「ジェイソン・ボーン」レビュー:ド迫力の新章始動に度肝を抜かれろ

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9年ぶりとなる新作

ジェイソン・ボーン

2016年10月7日(金)から日本でも劇場公開が開始された「ボーン」シリーズの最新作、『ジェイソン・ボーン』。

前3部作の最終作『ボーン・アルティメイタム』から9年ぶりに復活した、マット・デイモン演じるジェイソン・ボーンの新たな物語を再び体感することができ、シリーズのファンとして嬉しい限り。

当ブログでの映画レビューは今回に限らず、極力ネタバレしないよう考慮しながら書いてるつもりですが、内容に全く触れずにレビュー書くのは不可能ですので多少はストーリーにも触れてます。

全く何の予備知識も要らない、一切のネタバレなしで映画を見たい、という人は以下からのレビューを読まないほうがいいです。

前3部作は見ておいたほうがいい?

「ボーン」シリーズは大好きですが、最後の作品『ボーン・アルティメイタム』が9年前(2007年)の作品ですので、さすがに細かい設定や描写は忘れてしまってました。

なので今回の最新作を見るため、前3部作を全て鑑賞し、復習をバッチリ済ませておきました。

復習しておいたほうがいいと思うよ、ってのは別エントリーにまとめています。(このエントリーを書いた後で3部作を再鑑賞しました)

ジェイソン・ボーン


で、実際に最新作を見終えてから感じたのは、やっぱり前3部作は見ておいたほうがいいです。シリーズものだから当たり前なんですけどね。

映画SNSのレビューや映画サイトのコメントなどを読んでいくと、「前のシリーズ見てないけど面白かった!」という意見が少なからずありました。なので前3部作を知らなくても「ある程度は」面白いのかなとは思います。

※「前作を復習しておけば良かった!」という意見はそれ以上にありました。

私はシリーズのファンなので「既に見ちゃってる立場」だから、前シリーズを「知らない・見たことない」人が最新作を見たらどういう風に感じるのかはあくまで想像でしか語れません。

アクションシーンが迫力満点なので予備知識がなくても面白いとは思うんですけど、前作を見てないと多分ストーリーのいろんなところで「ん?」って詰まります。それが気にならない人なら復習しなくても大丈夫かな。

ちなみに某Yahoo!映画には「2012年の『ボーン・レガシー』の続編である」と解説欄に書かれていますが、シリーズ見てない人が書いてる?

『ボーン・レガシー』はあくまでスピンオフ。最新作『ジェイソン・ボーン』とはほとんど繋がっていませんので、見なくても問題なし。

なぜボーンは戻ってきたのか、の描き方

ジェイソン・ボーンは元CIAのスパイで、いろいろあって組織を離れ、CIAに命を奪われながらも培われた戦闘能力と諜報能力で逆に組織を追い詰めていく物語。この辺りは前3部作を見れば把握できます。

3作目の『ボーン・アルティメイタム』で物語にひとまずの終止符が打たれ、ジェイソン・ボーンは失っていた記憶を取り戻した…かのような描写になっていました。

しかし記憶は完全には戻っていなかった、まだ思い出せていない過去の出来事があったのだ、というのが今回の最新作における1つの大きなテーマになっています。これは予告編を見た時点で分かります。

で、9年前に物語が一旦終焉を迎えて(ボーンを演じてたマット・デイモン本人も「これでシリーズは終わりだ」と宣言してた)、それでもボーンは再び「戻ってくる」、というか「引きずり込まれる」わけです。

それまでの9年間、ボーンはどうしてたのか、何やってたのかってのは軽く序盤で描かれてます。敢えて言うなら「ランボー」と同じパターン。

なぜ戻ってきたのか、その重大なカギを握ってるのは、元CIAの女性工作員ニッキー。演じているのは前3部作の全てに続き最新作でも続投したジュリア・スタイルズ

3作目『ボーン・アルティメイタム』の最後でニッキーが見せた意味深な笑いの描写が私は好きで、映画を見た人の多くはあの笑顔に納得感と満足感を得られると思うんですけど、そんなニッキーが最新作でボーンを最前線に連れ戻す格好となってます。

パメラ・ランディはどうした?

ジュリア・スタイルズが最新作にも出演するというニュースを見た時はとても嬉しかったのですが、他に前作の出演者で最新作も続投するという情報では、CIA管理官パメラ・ランディの名前がありました。演じているのはジョアン・アレン

パメラは2作目『ボーン・スプレマシー』と3作目『ボーン・アルティメイタム』に登場し、当初は事件の容疑者としてボーンを追う立場だったものの、次第にCIAの暗部を悟り始め、ボーンの記憶に欠けていた最後のピースを取り戻すための重要な役割を演じていました。

この類いの「スパイもの作品」では、CIAという組織はとんでもない悪党だらけのような描かれ方をされがちで、「ボーン」シリーズでは特にそれが顕著です。こいつらにアメリカの治安を任せて大丈夫なのかと怖くなる。

その中でもCIAの「正義」の部分を担っていたパメラが最新作でも続投する、と当初は聞いてたので楽しみにしてたんです。9年経って、どういう立場になってるのだろうと。

でも、登場しないんですよパメラ。違う女優さんが演じてるでもなく、パメラ自体が登場しません。降板したのかな。それとも最初から登場予定ではなかったのか。いろいろ調べたけど情報を発見できませんでした。残念だなあ。

CIAのテクノロジーが進化しまくってる

CIAにとっては「ジェイソン・ボーン」という存在そのものが「アメリカ国家の脅威」になってしまうので、あの手この手を使ってボーンを捜索し、発見し、大量の人員を投入して彼を拘束、あるいは暗殺しようとします。

過去のシリーズでもいろんなテクノロジーを駆使してボーンを捜索してたのですが、最新作で登場するテクノロジーの数々には戦慄させられます。9年という歳月でCIAの技術はとんでもない飛躍をしたんですよ。これ、全部本当にあったら怖いぞー

★ハッキング拠点を停電させる

CIAのメインフレーム(=サーバー)にハッキングを仕掛け、ボーンの過去に関するファイルやCIAの重要な機密ファイルを盗み出そうとするシーンがあります。

CIA側はハッキング状況を瞬時に察知。ハッキング拠点がアイスランドの某所であることもすぐに判明します。このツールがあればオフ会で居酒屋を探す時、絶対に道に迷いません。Googleマップに欲しい機能です。

居酒屋ではなくハッキング拠点を突き止めたCIAは、その拠点の電気を全て止めてしまいます。いわば電力会社への逆ハッキングみたいなもんでしょ。いいのかそれは。

さらに停電させる直前、ハッカーがUSBメモリにダウンロードしていたファイル群の中にCIAは「追跡装置付きファイル」をコッソリしのばせて保存させます。

この追跡装置ファイルをダウンロードしたため、ハッカーの現在地がすぐバレてしまい、後にボーンと合流したことも全てバレバレになってしまい、ボーンたちは大ピンチとなります。

★USBメモリのデータを遠隔操作で全消去

前述したUSBメモリを手渡されたボーンは、とある人物の自宅PCでこのUSBメモリに保存された重要なファイルを開き、中をチェックします。

しかし、CIA側はボーンがその家に侵入したことを把握済み。どこかの監視カメラをハックして、窓際に立ってるボーンがノートPCを見ていることも映像で把握。

さらに怖いのは、CIAがノートPCをハッキングして、接続していたUSBメモリに保存されているデータを遠隔操作で消去しちゃいます。このツールがあれば嫌いな同僚社員のUSBメモリをイジって泣かすことができます。

★街を歩く人の正体が全て分かる

現在は街の至る所に防犯カメラや監視カメラが設置されてますが、CIAは全世界にあるそれらのカメラ群を全て我が物のように操作監視することが出来るらしいです(映画では、ですよ)。

ボーンを追跡している際、通行人の顔を次々と自動スキャニングして、どこかのカメラにそれらしき人物が映ったら自動的にアラームが鳴ってデータ照合までしてくれたり。飲み会で初対面の人に会う時はめっちゃ便利なので使わせてほしい。

さらに各地のカメラとSNSのデータ、そしてCIAが持っている人物データを自動照合して、いまカメラに映った人物はどこに住んでてボーンと関係があるというところまで、わずか10秒くらいで判明してます。

のび太がCIAに就職したら確実にドラえもんはお役御免になります。

だがCIAは弱い

テクノロジーは9年で驚愕の進化を遂げているCIAですが、諜報員の質は9年経っても変わりません。相変わらずヘタレの極致みたいな局員ばっかり。

百歩譲ってボーンがスゴすぎる、強すぎる、って設定は分かります。しかしそれにしても尾行なり格闘なり射撃なり、もうちょっとどうにかならんか? ってのは前3部作から何も変わりません。

『スター・ウォーズ』シリーズに出てくるストームトルーパーっているじゃないですか。白い防具を着た雑魚

ストームトルーパー

2016年12月に公開されるスピンオフ作品『ローグ・ワン』には黒い防具の奴らも出てくるらしいけど、それは置いといて。

スター・ウォーズを見てて毎回思うんですけど、ストームトルーパー弱すぎだろ。お前ら射撃の練習してねえだろ。そんだけ撃って1発も当たらないのは下手すぎだろ。そりゃ帝国軍は勝てねえよ。

まあ確かに狙撃技術がスゴすぎる『アメリカン・スナイパー』みたいなストームトルーパーが出現してルークやレイアやハン・ソロを1発で仕留めちゃったらフォースも何もあったもんじゃないので別にいいんですけど、「ボーン」シリーズにおけるCIA局員たちの雑魚感も健在です。

ラスベガスでのカーチェイスは「スゴい」を超えてる

前3部作でもボーンやCIAたちは世界のいろんなところに出没し、様々な街でロケを敢行してきました。インドやロシアもあったな。

最新作では、アテネ(ギリシャ)、ロンドン(イギリス)、ラスベガス(アメリカ)、そしてベルリン(ドイツ)にボーンが出現します。ベルリンは「ボーン」シリーズにおけるキモとなる場所ですので、今回も出てきました。

ギリシャは現実世界でも財政赤字、経済危機、国民投票、過剰な公務員などで揺れてますが、映画の中でもデモ隊と機動隊が衝突して大変な騒ぎになってます。

大変すぎて、もはやデモではなく内戦みたい。別の監督ならこれだけで映画1本作れちゃうくらい大変な事態。そんな中をボーンが逃げ、CIAが追い、ボーンに個人的恨みを持つ作戦員(演じるのはヴァンサン・カッセル)がビルの上からライフルでボーンを狙う。もう大変。

このヴァンサン・カッセル演じる作戦員とボーンは、ラスベガスの街を大パニックに陥れる壮絶なカーチェイスを繰り広げます。

「ボーン」シリーズはカーチェイスが壮絶なのもお約束、というか売りの1つなんですけど、最新作でのラスベガスのカーチェイス、このシーンだけでも映画館で見る価値は十分にあります

これ、ラスベガスで撮ってるんですよ。たぶんこのカーチェイスのシーンだけで相当な制作費が掛かってるはず。余りの迫力にしばらく呆然としながら見ていて、突然その制作費のことを想像して余計に呆然としました。

今までいろんな映画でド迫力のカーチェイスを見てきましたが、今作でのカーチェイスは上位5つの中に入ってくるんじゃなかろうか。あの映像と音の迫力を映画館で存分に味わってもらいたいです。

新たな登場人物たち

前3部作には登場していなかった人物で、今回の最新作で新たな重要人物が2人います。

まず、CIA長官ロバート・デューイ。演じるのはコーヒー好きな宇宙人でお馴染みのトミー・リー・ジョーンズ

良い人も悪い人も演じられるトミー・リー・ジョーンズですが、今回はCIA長官の役ですからね。悪いに決まってるんですよ。(こんなことばっかり書いたらCIAから命を狙われるかもしれない)

過去の前3部作では、まずボーン自身が工作員として関わっていた「トレッドストーン作戦」というものがありました。今回の最新作でも何回も出てくる単語で、全ての作品に登場する重要なキーワードです。

その「トレッドストーン作戦」は1作目でボーンが記憶を失って離反したことにより消滅するのですが、国家機密を知っているボーンの存在が邪魔なため、CIAはボーン抹殺に動きます(この時点でボーンが記憶を失ってることをCIAは知らない)。

更に、バージョンアップさせた「ブラックブライアー作戦」というものが、3作目の『ボーン・アルティメイタム』で開始されます。この作戦を阻止するためボーンが暗躍する、というのが3作目の見どころ。

で、最新作ではまたまたCIAによる「アイアンハンド作戦」というのが極秘に開始されていて、この作戦のキーマンがCIAのデューイ長官となります。

それまで姿を消していたボーンが9年ぶりに戻ってきたことが確認されたので、デューイ長官を頂点とするCIAはアイアンハンド作戦を以前のようにボーンが邪魔しないよう、再びボーン抹殺に動きます。この辺り、ちょっとネタバレになってますが、映画見ただけでは分からない人がいるかもしれんので補足的に書いておきました。

なので今まで通り「ボーン対CIA」という図式は変わらないんですけど、今回デューイ長官は、シリーズ全作を通して一貫していた「邪魔者であり裏切り者であるボーンを抹殺せよ」という基本線と同時に、それまでとは全く違うアプローチでボーンにある提案をします。心理戦を展開すると言ってもいいかもしれません。

今後続編があれば、おそらくその「全く違うアプローチ」が物語の核になってくるはずです。それが何なのかをここで書いてしまうと完全なネタバレで面白くないので、映画を見て確かめてください。

もう1人の新たな登場人物は、CIAの女性局員、ヘザー・リー。演じるのは今年のアカデミー賞で助演女優賞(作品は『リリーのすべて』)を獲得したアリシア・ヴィキャンデル

スタンフォード大学を卒業した才女で、CIAのサイバー案件に精通した新進気鋭の若手局員。9年前にはCIAに在籍していなかったので、ボーンのことも、「トレッドストーン作戦」などのことも最初は知らず。

ボーン出現の一報を聞き、志願してボーン確保作戦の責任者となり、CIAの最新テクノロジーを自在に操ってボーンたちの所在地を瞬時に把握していきます。めっちゃカッコイイ。

これまでの「ボーン」シリーズでは女性たちがいろいろとカギを握っていて、前述したニッキーはCIAを裏切ってボーンの味方になるし、ボーンを容疑者として追っていたパメラも真実に気付いたことでボーンに助け船を出したりします。

あるいは1作目の『ボーン・アイデンティティー』で登場した女性、マリー(演じたのはフランカ・ポテンテ)に至っては完全に「通りすがりの一般人」なのですが、結果的に彼女がいなければボーンは死んでただろうってくらい活躍しますし、最後は恋人同士になっちゃってます。

※今回で4作目となった「ボーン」シリーズですが、その中でジェイソン・ボーンが笑顔を見せたのはマリーに見せた1回きりじゃないかな。

そんな感じで、各局面で女性の助けを得ているボーン。似たキャラでイギリスの諜報員ジェームズ・ボンドがいますけど、彼の場合は助けを得るだけじゃなくて女性の心と身体も奪ってます。ボーンはそこまで行ってません。私ならボンドになりたい。

話を戻すと、今回登場するヘザー・リーというCIAの女性局員はどういう役回りになるのか楽しみでした。なんとなーく今までの感じで予想通りの展開になるのか、それとも全然違う関係性でボーンと終始対立するのか。

これもネタバレになるので書きませんが、ヘザー・リーに関してはちょっとヒネってきました。中盤まで見てると「まあそうだよね」と思いますが、途中でちょっとヒネりがあります。これも見てのお楽しみ。私はこういう設定キライじゃないです。

りくま ( @Rikuma_ )的まとめ

前作まで全く描かれてなかった「ボーンの記憶」の新局面についても今回は掘り下げられています。そういう意味では前作を見てなくても楽しめるかもしれないです。

ただ、やっぱり「トレッドストーンって何なのよ」というところまで把握しておいたほうが理解度も、そして感情移入の度合いも随分違ってくると思いますので、シリーズ3作を復習してから見ることをオススメします。映画3本見るのは大変ですけどね。

あとは予告編映像にもある「新章始動」という文字。これは5作目を期待していいのかな。続編が公開されたらもちろん見に行きますよ。

ボーン・アイデンティティー

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ボーン・スプレマシー

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ボーン・アルティメイタム

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