【EURO2016】エース以外が決めたウェールズ、王者ベルギーの敗因を考える(7/1)

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トーナメント準々決勝 ウェールズvsベルギー

▲ ウェールズは1回戦、北アイルランドを1-0で破ってのベスト8進出。後半、相手選手のオウンゴールが決勝点となりました。

▲ ベルギーは1回戦、ハンガリーを相手に4-0の大差で勝利。ハンガリーの守備が崩壊してたのもありますが、1ゴール1アシストと大活躍した10番アザールの復活が絶賛されていました。

アザールは今回の会場となったリールで過去7年間プレーしており、リールはベルギーとの国境に接している街ということもあって、会場は大勢のベルギーサポーターで埋め尽くされており、ベルギーのホームみたいな雰囲気。

トーナメント1回戦でイエローカードが累積2枚となり出場停止のヴェルマーレン、さらには前日練習で靱帯損傷の重傷を負ったと自身のTwitterで明らかにしたヴェルトンゲン、守備の要である二人が今日の試合は出場できず。

代役として15番デナイエル、そして9番ルカクの弟、21番ジョルダン・ルカクが今大会に初出場となりました。兄はやらかしまくってるが弟はどうなのか。

試合開始早々、ベルギーの強烈な猛攻がウェールズのゴールを襲います。

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▲ 前半6分、ウェールズからボールを奪ったベルギーのカウンター攻撃。

9番ルカクのクロスを完全フリーで受けた11番カラスコのシュートはGKヘネシーが体で止めるビッグセーブ。

こぼれ球を16番ムニエ10番アザールが立て続けにシュートするも、ウェールズ守備陣が全て守る。

▲ ベルギーは3本立て続けの決定的チャンスを全て決めることができず。アザールは天を仰いで悔しがる。

▲ 前半12分、守備を固めているウェールズ選手達から遠く離れた位置でベルギー4番ナインゴランがロングシュート。

▲ 弾丸ライナーでズドンとゴールに突き刺さり、ベルギーが先制

▲ グループステージ第3戦、スウェーデンとの試合でイブラヒモヴィッチに引導を渡す弾丸ミドルシュートを決めた実績があるナインゴランに対し、ウェールズ守備陣はナインゴランに寄せることなく無警戒の完全ノーマークでした。

ミドルシュート決定力の高い選手が一人いるだけで相手はペナルティーエリア内だけでなく外も警戒して寄せなければいけないため、相手にとっては驚異となります。

逆にミドルの決定力が低い選手なら勝手に失敗してくれて攻撃を終了させてくれるから、打ってくれればむしろラッキーなのですが、それでも時々何の間違いかミドルが決まってしまうこともあるので、やはり警戒を怠ることはできません。

ウェールズ守備陣はナインゴランにミドルを決められて以降、彼にシュートチャンスが来た時は徹底してマークに行くよう修正していました。

▲ 前半30分、ウェールズのコーナーキック。10番ラムジーの蹴ったボールに6番アシュリー・ウィリアムズがヘディングで合わせる。

▲ これが決まってウェールズ同点に追い付いた!

ここまで28試合連続で相手セットプレーでの失点がなかったベルギーからとても価値ある同点ゴール。さすがの名手クルトワも反応できませんでした。

▲ コールマン監督が全幅の信頼を置いていると言われている主将のアシュリー・ウィリアムズ。今大会初得点に監督、スタッフ、控え選手たちも大喜び。

▲ 後半開始時、ベルギーは11番カラスコに代えて8番金髪アフロのフェライニを投入。懲りねえなあ。

▲ 後半3分、ベルギー16番ムニエのクロスに、ゴール前中央フリーで9番ルカク兄がヘディングシュート失敗。いつものことです。

▲ さらには後半5分、ベルギー10番アザールがドリブル突破からシュート。

これも外して得点にはなりませんでしたが、ハーフタイムで監督から何らかの修正が入ったらしく、後半開始直後はベルギーが主導権を握って攻め続けます。

ところがどっこい。後半に入ってずっと押されてたウェールズがようやく反撃。

▲ 後半10分、ベルギーから自陣でボールを奪ったウェールズのカウンター攻撃。

11番ベイルのロングフィードを絶妙なトラップで受けた10番ラムジーが右サイドから中央にクロス。ペナルティーエリア内で受けた9番ロブソン=カヌ、ベルギー守備陣の圧力に屈さず見事な個人技で3人をかわしてシュート

▲ これが決まってウェールズが2-1と逆転!

ウェールズの得点の大半は11番ベイルと10番ラムジーが決めているそうで、いわばウェールズは2枚看板のチームであり、悪い風に言えばベイルとラムジー以外の決定力が劣ってしまうのがチームの弱点でもあったわけです。

しかし、この2点目はロングフィードのベイル、鮮やかなトラップと瞬時のクロスを上げたラムジーと、2枚看板の二人がスーパーと呼べるプレーで繋いだとは言え、クロスを受けたロブソン=カヌのフェイントとシュートは負けず劣らずスーパーなプレーでした。これは素晴らしかった。

▲ 後半29分、ベルギー2番アルデルヴェイレルトのクロスに合わせて8番フェライニがゴール前にて競り合いに勝って頭一つ抜け出て、長身から繰り出すヘディングシュート。

これが見事に枠の外へ。この試合、金髪アフロの決定的チャンスはこれ1回だけ。

▲ あれだけの決定的チャンスを外してしまうのが逆にスゴい。っていうか、あれを決められないなら投入された意味すらない。監督もベンチでお茶を噴いてたことでしょう。知らんけど。

▲ 後半30分、ウェールズ10番ラムジーがハンドの反則でイエローカード。累積2枚目のためラムジーは次戦が出場停止となってしまいました。これは相当に痛い。

▲ ベルギーは長身金髪アフロの空中戦からの展開に賭け、クロスやフィードなどのボールをひたすら金髪アフロに集中させる、いわゆるパワープレーを徹底し始めます。後半投入時からそれが狙いだったんでしょうけど、逆転されてから更に徹底してきました。

身長と高さで劣るウェールズ守備陣、それでもなんとか金髪アフロが自由にヘディングできないよう、組織的な守備と体を寄せるなどの技術で必死に阻止。

▲ 後半40分、ウェールズ2番ガンターの右サイドからのクロスに合わせた18番ヴォークスがヘディングシュート。

▲ これが見事に決まって3-1。ウェールズが決定的な追加点

▲ 後半途中からロブソン=カヌと交代で投入されたヴォークス、チームにとても大きな追加点をもたらしました。

この試合での3得点はいずれも「ベイルでもラムジーでもない選手が決めた」という意義は大変大きいでしょうね。エースにばかり頼ってパスを集中させてしまうのではなく、いろんな選手に得点できる能力があると示せるのはデカいです。

▲ 後半途中から延々と続いたベルギーのパワープレーをことごとく守り切り、試合終了。

相手が今大会最上位のFIFAランキング2位であることを考えれば、アイスランドの勝利に続いてこの試合もまたジャイアント・キリング(大番狂わせ)とも言えるのかもしれませんが、ウェールズは攻撃でも守備でもベルギーに堂々と競り勝っての完勝でした。

▲ ベルギーの敗因はいろいろあるんでしょうが、1つは金髪アフロを投入したことじゃないかな。別に冗談でもイヤミでもオフザケでもなく、ひたすら金髪アフロのヘディング頼みでパワープレーに固執し過ぎたんじゃないですかね。

フェライニは確かに長身だけど、ポストプレーやヘディングシュートに秀でてるとは思えないし、実際に今日は決定的なチャンスでヘディングを見事に外してるし、他にもヘディングで競り勝つ場面こそあれ、決定的チャンスに繋がった場面はありませんでした。

猛烈にヘディングが得意で、空中戦に絶大な信頼感のあるキープレイヤーなら徹底的にパワープレーってのが正解なんでしょうけど、フェライニはそういう選手じゃない。なのにベルギーが何とかの一つ覚えでパワープレーばっかりしてれば、さすがにどんなチームでも対処のしようがある。

フェライニが得意なのは反則のヒジ打ちですから。これは事実でありイヤミです。

▲ 左サイドバックのヴェルトンゲン、左センターバックのヴェルマーレンという「守備の要」の二人が今日の試合に出場できなかったこともベルギーには痛すぎました。(上の写真は靱帯損傷して松葉杖でベンチ入りしたヴェルトンゲン)

▲ 代役で出場したデナイエルとルカク弟は、まだ経験が浅く守備連携も熟成されておらず、ウェールズのセットプレーではマークが不十分な場面が多々ありました。

1点目の失点ではアシュリー・ウィリアムズをフリーにさせてしまったし(デナイエルとルカク弟の間に入り込まれてました)、2点目と3点目は守備の要がいないベルギーの左サイド(ウェールズにとっては右サイド)から攻撃されていたことからも明らか。

今日はベルギーの左サイドが最大の弱点だとウェールズに見破られており、徹底的に相手の左サイドを攻撃していました。

「ウェールズ、やたら右ばっかり攻撃しに行くなあ、左の攻撃陣は信頼されてないのか?」と最初WOWOWで見てて私は思ったのですが、上に書いた通りでベルギーの左サイドが穴だったから右ばかり集中攻撃したというのが真相。

▲ 前節の1回戦でキレキレだったアザールは、この試合でナインゴランが先制点を決めて以降、前半終了まで試合から消えてしまいました

1点リードした前半の早い時点で、ベルギーの攻めるペースは明らかに落ちて、言ってしまえば「守備固め」みたいな戦術になってしまいました。監督からの指示なのか、それとも選手たちの油断や慢心なのかは分かりません。

これにより、「攻める時はアザールを起点」という意識が薄れたのか、アザールがボールに触れる機会が少なくなり、たまにアザールがボールを持っても「強引なドリブル突破」みたいな勢いがなく、ベルギーのスピード感はどんどん失われていきます

で、前半30分にウェールズが同点に追い付いた時点で相手はもうイケイケなわけで、ベルギーは勝つために再び攻撃のスピード感を増す必要があったのに、いったん落としちゃったギアをまた入れるのは簡単じゃないでしょうから、そのままズルズルいっちゃった感じ。

後半開始直後、再びベルギーは攻撃のスピード感が増し、アザールにもボールが集中。高速ドリブルや強烈なシュートも放つようになりました(止められたけど)。ハーフタイムにロッカールームでヴィルモッツ監督から修正が入ったのは明らか

しかし上手くいかないもので、今度はアザールがボールを持ち過ぎてしまう悪癖が発症してしまい、せっかくの速攻なのにアザールが詰まってしまうことでウェールズに守備陣形を作り直す余裕を与えてしまいました。

▲ ルカク兄は相変わらず最後のところでパスの出し手とタイミングが合ってないし、一人で突破してシュートを決めるタイプでもないし、身長高いのにヘディング下手だし、グループリーグの第2戦で2得点して覚醒したかと思ったのに、再び寝ましたね。

この人、確か足がすごく速いんですよ。体がデカいのでモッサモサしてるイメージなんですけどそうではなくて実は俊足なんですよ。でも、相手ディフェンスの裏を全然取れてないんですよ

普通、足の速い選手が1トップだったら、相手ディフェンスと駆け引きして、一瞬の隙を突いて裏を取って、そこへ味方がスルーパスを出して、キーパーと1対1になって、そのキーパーを華麗にかわしてゴール! みたいなのを期待するはずなんです。

でもルカクにそういう場面、今大会で何回あったっけ。思い出せません。

全く裏を取れてないわけではなく、裏を取る動きは全ての試合で何度も何度もやってました。でも味方がスルーパスを全く出しません。「パス出せよ〜」とルカクがイライラしたジェスチャーしてるシーンは何度も見ました。

で、味方がルカクにパスを出す時ってクロスなんですよね。そのクロスに今度はルカク自身が全くタイミングを合わせられない。いっつもズレてる。

グループリーグ第2戦でルカクが2得点した時、いずれもサイドからのクロスは低いゴロ性の、しかもルカクの足元に通ったパスでした。これならルカクは待ってるだけでいいし、トラップして冷静に蹴り込めばいいだけで、実際ルカクは2本とも決めてます。

なんだかんだと書いてきましたが、結局はチームとしての戦術がいろいろ狂ってたんでしょうね。ヴィルモッツ監督の采配が今までヘンテコだと思ったことはなかったけど、今回の負けは采配ミスという側面があるかもしれません。攻撃陣は機能せず、守備陣は不慣れな点を突かれ、両面においてウェールズに上を行かれてしまったように感じます。

▲ EURO初出場のウェールズが堂々のベスト4進出ですよ。これは素晴らしい。

そして準決勝の相手はポルトガル。レアル・マドリードの同僚同士、クリスティアーノ・ロナウドとベイルの直接対決が実現するんですよ。夢みたい。

▲ ただウェールズにとって余りにも痛いのは、今日も2アシストを決めて攻撃の核となっているラムジーが次戦出場停止になってしまったこと。

両翼の片方を失ってポルトガルに挑むウェールズは、今日の試合のようにベイル以外の選手がどれだけ活躍できるかにかかっています。

EURO2016決勝トーナメント表

▲ ベスト4進出、2つめのチームはウェールズとなりました。初出場でベスト4、ますます勢いづくウェールズは準決勝でポルトガルとの対戦が決定。

もう一方の山で勝ち残る2チームはどこになるのか。

得点王(7月1日現在)

本日現在の得点王争いは以下の通りです。

◆3得点 … ベイル(ウェールズ)
◆3得点 … グリーズマン(フランス)
◆3得点 … モラタ(スペイン)
◆2得点 … クリスティアーノ・ロナウド(ポルトガル)
◆2得点 … ナニ(ポルトガル)
◆2得点 … パイェ(フランス)
◆2得点 … マリオ・ゴメス(ドイツ)
◆2得点 … ペッレ(イタリア)
2得点 … ルカク(ベルギー)
2得点 … ナインゴラン(ベルギー)
2得点 … ブワシュチコフスキ(ポーランド)
2得点 … ジュジャーク(ハンガリー)
2得点 … ブレイディ(アイルランド)
2得点 … ペリシッチ(クロアチア)
2得点 … スタンク(ルーマニア)

上位選手に変動はありません。今日1点を決めて合計2得点としたベルギーのナインゴランと、2試合目の2得点で一瞬だけ覚醒したあと眠ってしまったルカクは、チームが敗退してしまい得点王の可能性が消滅したため線を引いています。

7月2日の試合予定

大会19日目、7月2日に予定されている試合は以下の通り。

◆トーナメント準々決勝 ドイツ vs イタリア

ベスト8の3試合目は優勝候補のドイツと、今大会で下馬評を覆して強さを発揮しているイタリアとの好カード。あんまり調子が上がっていない王者ドイツをイタリアが倒してしまう可能性は十二分にあります。

ではでは、大会18日目のEUROレビューでした。

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