【ロンドン五輪】涙ナミダの小原、満面笑顔の伊調、交錯した姉妹の運命

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レスリング


via:The Japan Times Online

◆女子フリースタイル48kg級 小原日登美

・2回戦 ○ フォール勝ち(4-0)
・準々決勝 ○ 判定勝ち(2-0、5-0)
・準決勝 ○ 判定勝ち(2-0、2-1)
・決勝 ○ 判定勝ち(0-4、1-0、2-0) → 金メダル獲得!

【感想】

レスリングで姉妹と言えば、やっぱり有名なのは千春&馨の「伊調姉妹」。

妹の伊調馨はアテネ、北京と63kg級で連続金メダルを獲得した猛者。姉の伊調千春もアテネと北京の48kg級で銀メダルを獲得。姉妹で4つものメダルを獲得してますから、知名度も全国的です。

もう一組、「坂本姉妹」という有名なレスリング姉妹がいました。

脚光を浴びまくった伊調姉妹を「光」と表現する対比で、坂本姉妹を「影」と言ったり、「不運な姉妹」と称したりするメディアもあります。

妹の坂本真喜子は、伊調姉妹の姉・千春と同じ48kg級の選手。オリンピック代表でことごとく伊調千春に敗れ、一度も五輪に出場することが出来なかった。

姉の坂本日登美は51kg級で世界中の選手から畏怖の念を抱かれていた強豪選手。この階級では世界選手権で6度も優勝したほどで、いわば「敵なし状態」。

しかし51kg級が北京五輪では実施されないため、坂本日登美がオリンピックに出場するには、体重を増やして55kg級に転向するか、逆に減らして48kg級に転向するか、この2つしか選択肢がなかったのです。

軽い方の48kg級には伊調千春、そして何よりも妹の真喜子がいる。伊調千春と坂本真喜子の代表争いがし烈だったこともありましたが、最終的には「姉妹で代表争いをして欲しくない」というお母さんの一言を機に、坂本日登美は55kg級への転向を決意したんだそうです。

しかし55kg級には、天下無双の世界王者、吉田沙保里がいる。

吉田沙保里と坂本日登美は55kg級の大会で一度闘ったのですが、結果は吉田が完勝。その後も勝利を重ねた吉田が北京の55kg級代表に決定。

北京五輪と同じ年(2008年)に開催されたレスリング世界選手権で、51kg級6回目の優勝。この大会を最後に坂本日登美もオリンピックに出場することができないまま、現役を引退しました。

私が知ってたのはココまで。

その後、妹の真喜子がどうなったのか情報収集をすることもなく、坂本姉妹のことをほぼ忘れた状態になってました。

今回、48kg級の代表に選ばれた小原日登美のことを私は全く知らなかった。レスリング女子では、吉田沙保里と伊調馨に関しては十分に情報収集をしてましたが、小原日登美という選手に関しては完全にノーマーク。

※あれ? 浜口京子は? ってのは明日書きます。

伊調千春に変わって新しく出てきた選手なんだね、という程度の認識。情報収集を完全に怠っていました

で、試合を見ていたのですが、実況アナが何度も何度も「悲運の世界王者」とか「階級を変えて挑む」とか「妹の想いも背負って」とか言ってる。それでもまだピンとこない私。

さらには、観客席の映像が映った際に「坂本」と大きく書かれた日の丸の寄せ書きを持ってる人がいる。それでも私は気付かない。「ん? なんで坂本? 何かと間違えたんかな」と。鈍い。鈍すぎる。

レスリングって、姉妹そろって強くなる人たちが多いんだな~と、坂本姉妹の方に記憶が近づいてるにもかかわらず、まだ気付かない。

私、「坂本姉妹」のことは知ってたし、雑誌で特集を何度か読んだこともあったのですが、坂本姉妹の顔を憶えてなかった。そして下の名前もよく知らなかった

だから「伊調」「坂本」に続く「小原姉妹」が最近出てきたのかな、くらいの感覚で。

小原日登美、イコール坂本日登美だということに気付いたのは、準決勝が終わった時。実況アナが「坂本姉妹のウンタラカンタラ」みたいなことを言って、「ああー!!」って遅い!

慌ててネットで情報収集したら、48kg級は伊調千春の引退後、坂本姉妹の妹・真喜子が引っ張ってたのかと思ったら、2009年に結婚して現役を引退したんですね。それ知らなかった。

その後、妹の進言もあって姉の日登美が現役復帰。ここでようやく坂本日登美の主戦場が48kg級になった。2010年、2011年と48kg級でも世界選手権を2連覇した坂本日登美は、2010年に結婚したのを機に登録名を新姓の「小原」に変更

そして今回、堂々の48kg級世界王者として小原はオリンピック代表に選ばれたと。そんなことがあったなんて、な~んも知らんかったわ。

さて試合ですが、初戦は貫録のフォール勝ち。決着までに要した時間、なんと48秒

小原日登美の「正体」にまだ気付いてない私はビックリ。おいおい、強すぎじゃねえか。すごい人が出てきたな。

準々決勝も圧勝。ポイント取られそうな気がしない。強い!

準決勝も楽勝かと思ったら、第2ピリオドの終盤で遂に1ポイントを奪われ、しかも逆転されそうな大ピンチ。

しかし小原、防御も素晴らしい。結局ポイントのリードを守って試合終了し、ここまで一度もピリオドを奪われることなく無敵の決勝進出。

ここで「小原=坂本」の事実が判り、納得。

しかしさすがに決勝戦。対戦相手のスタドニクがいきなり見事なタックルで小原を倒しポイント。さらにそのままひっくり返してポイント加点。いきなり4点も取られちゃった。

あんなに強かった小原。油断したようには見えなかったから、相手が上手かったんでしょう。6点差をつけられると試合終了なのでちょっとヒヤヒヤしたけど、小原もなんとか踏ん張って第1ピリオド終了まで持ちこたえた。初めてラウンド取られたけど仕方ない。

第2ピリオドから見事に切り替えた小原、再び無双状態。相手のスタドニク、何もさせてもらえなくなっちゃった。そのまま第2、第3と連続でラウンドを奪取した小原が逆転勝利。遂に金メダル獲得。

試合終了直後から小原は号泣。観客席の妹・真喜子さんも大泣き。真喜子さんの子供と思われる赤ん坊は隣りにいる男性に肩車されながら爆睡。

表彰式でメダルをもらう前にも感極まって大泣きする小原。ご主人も泣き過ぎてコンタクトレンズが取れた様子。

これまでのいろんな苦労や悔しさ、想像を絶するだろうね。きっと姉妹で数え切れないほど泣いてきたはず。

ようやく報われた坂本姉妹。忘れてしまっててゴメンナサイ。

◆女子フリースタイル63kg級 伊調馨

・2回戦 ○ 判定勝ち(4-0、2-1)
・準々決勝 ○ 判定勝ち(1-0、4-0)
・準決勝 ○ 判定勝ち(1-0、4-0)
・決勝 ○ 判定勝ち(3-0、2-0) → 金メダル獲得!

【感想】

さて、一方の伊調馨。

今回、大会前に大注目されていたのは「吉田沙保里が日本女子選手で初めてオリンピック3連覇を達成するか」ということ。

※男子では柔道の野村忠宏がアトランタ・シドニー・アテネで3連覇を達成してます。

世界選手権9連覇、オリンピック3連覇を成し遂げた「霊長類最強の男」と称されるロシアのレスリング選手、カレリンって人がいます。前田日明が引退試合で対戦した人でもありますね。

女子の吉田も世界選手権を9連覇していて、今回オリンピックで3連覇したら、実績がカレリンと並ぶわけで、「霊長類最強の女」という称号を与えられるぞ、なんて騒がれてました。

吉田ばかりが騒がれる中、実は伊調馨も今回優勝すれば3連覇。でもあんまり騒がれてなかった。(もちろん少しは騒がれてました)

吉田沙保里の話が出たので、もう少しだけ脱線しますが、吉田は高速タックルで世界を制した「攻撃型」の代表格。

で、伊調馨は有名ですが、典型的な「防御型」の選手。ずっと守ってるという意味ではなく、鋭い攻めでポイントを取ったら、後はもう徹底的にポイントを守って逃げ切る闘い方をする。

競泳の泳ぎ方にも選手によって差があったのと同じで、伊調は「先行逃げ切り型」として天才的だったんです。

ところが今回、伊調は自分の意志でその闘い方を改めたという。「攻撃型」に転じたと。

上に書いた今回の戦績を見てもらえば分かりますが、今回の伊調、すべての試合でラウンドを1つも取られてません。完勝なんです。

しかもスコア「4-0」ってのが2回戦、準々決勝、準決勝と3回もあります。つまりポイントを取って逃げ切るのではなく、さらに攻めている。

実況アナが喋った話では、伊調は現在公式戦で2003年から負けてないんだそうです。

しかも今回、戦法を変えてポイントを奪ってもさらに攻撃を続ける姿勢を見せた。これでは対戦相手、ビビリます。スキをつくどころか、伊調が休まず攻めてくるから自分の方こそ防御しなけりゃ負けてしまう。

もちろん、中途半端に攻撃しちゃうと、それこそスキが出来るので相手の返し技を喰らって大逆転負け、ってな展開になるのがレスリングです。柔道も同じですね。

ところが伊調は攻め続ける姿勢を最後まで貫いた。これはもう他の選手と違う次元に行っちゃったと考えるしかない。守りがスゴすぎて誰も勝てない伊調が、さらに攻撃を強化してきた。他の選手はどうしろっつうのよw

しかもしかもですよ。伊調、大会直前の練習で左足首のじん帯の一部を切ってたらしいじゃないですか。「伸びた」じゃなくて「切れた」んですよ。重傷なんです。

で、痛み止めの注射を打って試合に出て、あれだけ圧倒的な試合で優勝したんです。技術的にも精神的にも彼女はどんどん強くなっていく。守りに入らない。

3連覇という大偉業を達成しても、伊調は試合終了から表彰式に至るまで満面の笑顔。まさに「破顔一笑」。彼女らしさ全開で、それで私は逆に涙が出てしまった。敬服しました。

次の五輪に挑戦するかの明言は避けたらしいですが、「対戦相手に合わせて攻め方を変えてしまったのが悔しい」と試合後のインタビューで語った伊調。

金メダルを獲っても彼女はまだ悔しいんです。バケモノだ。前人未到の4連覇、伊調に挑んで欲しい。でも今はゆっくり休んで、怪我を治して下さい。アナタは本当にスゴイよ。

陸上

◆男子棒高跳び

・山本聖途 … 記録なし → 予選敗退

◆男子10種競技 右代啓祐

・100m … グループ5位
・走り幅跳び … グループ14位
・砲丸投げ … グループ11位
・走り高跳び … グループ12位
・100m … グループ4位

◆男子5000m

・佐藤悠基 … 予選1組で12着 → 予選敗退

◆男子やり投げ

ディーン元気 … 予選グループBで4位 → 決勝進出
・村上幸史 … 予選グループAで14位 → 予選敗退

◆男子200m 準決勝

・高瀬 慧 … 準決勝1組で8位 → 準決勝敗退
・高平慎士 … 準決勝3組で6位 → 準決勝敗退

飛び込み

◆女子高飛び込み 予選

中川真依 … 予選8位 → 準決勝進出

テコンドー

◆女子49kg級 笠原江梨香

・1回戦 ○ (12-0)
・2回戦 × (0-14)
・敗者復活戦 × (2-6)

ホッケー

◆女子 9位~10位決定戦

・日本 2 - 1 南アフリカ

8月9日開催の注目競技

◆レスリング

・女子フリースタイル55kg級 吉田沙保里 NHK総合
・女子フリースタイル72kg級 浜口京子 NHK総合
※共に準決勝以降は24:10放送開始 NHK-BS1、TBS

◆新体操

・団体予選 NHK-BS1、フジ

◆シンクロ

・女子チーム・テクニカルルーティン(23:00) NHK-BS1

◆バレーボール

・女子準決勝 日本vsブラジル(27:30) NHK-BS1、テレ朝

◆サッカー

・女子決勝 日本vsアメリカ(27:45) NHK総合

◆陸上

・男子200m ボルト(28:55) NHK-Eテレ

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