プロローグ
既に放送が終了して1週間が経過し、かなり出遅れた感のある当ブログのアカデミー賞振り返り。
授賞式司会のビリー・クリスタル、とても良かったんじゃないかと思ってます。爆笑に次ぐ爆笑って感じではないけど、今回で司会は9回目というからさすがに場馴れしていたし、進行もスムーズで良かったんじゃないかなーと、見ていて感じました。
一方でWOWOWの進行役ですが、私はWOWOWの放送を見ておらず、TwitterやUSTREAMでリアルタイムに情報収集していました。
驚いたのが、今年から新たに案内役として起用された高島彩ちゃんの想像を絶する叩かれっぷり。
以前の職場であるフジテレビのバラエティーなどの番組司会は安定してたし、見ていてとても安心感のある女子アナであるのは周知のとおり。
ところが今回は、あまり映画を観ていないことや勉強不足なことを自ら暴露してしまう場面があったせいなのか、セリフを噛みまくったり、言い間違えが多かったり、返答に詰まったり、その都度TwitterやUSTREAMで彼女に対する批判意見がドッと集中してしまい、それがさらに悪評を増幅させるという、なんとも悲惨な悪循環に陥ってたようです。
アナウンサーとしての力量を高く評価されてる高島彩がそこまで批判されるという展開に、実際の映像を見てない私は驚きの連続。そこまでヒドかったの?
前年まで担当していた滝川クリステルがとても安定していたので、降板したのはとても残念でした。でも一方で高島ちゃんにも頑張って欲しい、授賞式を盛り上げて欲しいと思ってたんですよ。今回の凄まじい批判の嵐をWOWOWがどう捉えるかですね。来年も続投なのか、それとも降板なのか。
では本題の主要部門結果に入ります。
助演女優賞
●ジェシカ・チャステイン (ヘルプ ~心がつなぐストーリー~)
●メリッサ・マッカーシー (原題:Bridesmaids)
●ジャネット・マクティア (アルバート・ノッブス)
◎オクタヴィア・スペンサー (ヘルプ ~心がつなぐストーリー~)
ヘルプ~心がつなぐストーリー~
※Octavia Spencer winning Best Supporting Actress
プレゼンターは昨年『ザ・ファイター』で助演男優賞を受賞したクリスチャン・ベール。
名前を呼ばれた直後から感無量のオクタヴィア。壇上に上がってオスカー像をもらっても言葉が出ず。感動のシーンに観客は次々と席を立ち、スタンディング・オベーション。
2年前だったか、受賞者は檀上でのスピーチで絶対泣いたらダメ!と通達が出ていたはずですが、もうOKになったのかな? 終始感極まって泣いているオクタヴィア。
スティーブン・スピルバーグ監督にも「人生を変えてくれてありがとう」と感謝の言葉。他にもいろいろ喋ってますが、極度の緊張と興奮、そして時間も押していたのか、後半は超早口でのスピーチ。感極まるとはこういうことなんでしょうね。感動したシーンでした。
助演男優賞
●ジョナ・ヒル (マネーボール)
●ニック・ノルティ (原題:Warrior)
◎クリストファー・プラマー (人生はビギナーズ)
●マックス・フォン・シドー (ものすごくうるさくて、ありえないほど近い)
人生はビギナーズ
※Christopher Plummer winning Best Supporting Actor
84年の歴史を誇るアカデミー賞で、82歳のクリストファー・プラマーがオスカー初受賞。最高齢でのオスカー受賞者として記録に残ることになりました。
初めて手にしたオスカー像を見つめて、「私よりたった2つだけ年上なのに、長いこと会えなかったね」と最初にジョーク。「実は母の胎内から出てきた時にはもう、受賞スピーチの練習をしてたよ。そんなに昔のことじゃないけどね。でも内容は忘れちゃった」と82歳だからこそ言えるジョークを続け、場内が温かい雰囲気に。
ノミネートされた他のすべての俳優たち、そして関係者、娘さん、奥さんにも感謝の言葉。和訳を見るまで内容を完全には把握できなかったけど、リアルタイムで観ているだけでも彼の気持ちが伝わる、すごく心がホッコリした印象的なスピーチでした。
監督賞
◎ミシェル・アザナヴィシウス (アーティスト)
●テレンス・マリック (ツリー・オブ・ライフ)
●アレクサンダー・ペイン (ファミリー・ツリー)
●マーティン・スコセッシ (ヒューゴの不思議な発明)
アーティスト
※Michel Hazanavicius winning the Oscar for Directing
監督賞のプレゼンターを務めたのはマイケル・ダグラス。昨年はお父さんのカーク・ダグラスがいろんな意味でヤラカシましたが、まだそこまでの域には達してません。いろんな意味で。
3度目のノミネートにして初の栄冠に輝いたアザナヴィシウス監督。最初にお礼を述べた後、頭が真っ白になったんでしょうね。「スピーチ忘れた」とポツリ。
「出演者」の一人である犬のアギーにも感謝の言葉。「たぶん僕の言ってることは理解してくれてないと思うけど」と付け加えて笑いを取ってました。
主演男優賞
●ジョージ・クルーニー (ファミリー・ツリー)
◎ジャン・デュジャルダン (アーティスト)
●ゲイリー・オールドマン (裏切りのサーカス)
●ブラッド・ピット (マネーボール)
※Jean Dujardin winning Best Actor
プレゼンターを務めたのは、昨年の主演女優賞、ナタリー・ポートマン。今やママさんです。
ナタリーが話してる途中で少しドヨメキにも似た笑いが起こったので、何だろうと思って調べてみたら、ノミネートの一人であるゲイリー・オールドマンに対して、「子どもの頃に私を殺そうとした人に、まさか自分の手で主演男優賞を贈ることになるかも知れないなんて…」との言葉を贈っていたようですね。(ナタリーが12歳の時に出演したデビュー作『レオン』でゲイリーは冷酷な敵役を演じていました)
しかし結果は『アーティスト』のジャン・デュジャルダン。スピーチの冒頭で、
「I love your country」
とつぶやいてます。「この国サイコー」みたいなニュアンスでしょうね。(ジャンはフランス人)
最後に、自分が映画で演じたジョージ・バレンタインの名を借りて「彼ならこう言うだろう」と前置きし、フランス語で「ありがとー!!!」と絶叫してます。嬉しさが伝わってくる微笑ましいシーンでした。
主演女優賞
●ヴィオラ・デイヴィス (ヘルプ ~心がつなぐストーリー~)
●ルーニー・マーラ (ドラゴン・タトゥーの女)
◎メリル・ストリープ (マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙)
●ミシェル・ウィリアムズ (マリリン 7日間の恋)
マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙
※Meryl Streep winning Best Actress
プレゼンターは昨年『英国王のスピーチ』で主演男優賞を獲得したコリン・ファース。
今回の主演女優賞は前哨戦でことごとく違う女優が受賞したため、戦前の予想もかなり割れていました。私は「今年こそメリル!」と彼女を本命に挙げていたのですが、結果は「英国王」から「英国首相」にオスカー像が手渡されるという粋な展開でした。
壇上に上がった直後から感無量のメリル。「Oh my god!」や「Oh C’mon」と連発。
スピーチの冒頭でも「私の名前が呼ばれた時、アメリカの半分が『Oh no(マジかよー)』、『Oh c’mon why(なんで~?)』、『her again(また彼女?)』と思ったでしょね」と自虐的に述べたあと、「whatever(まあ、もういいや)」と言って笑いを取りました。
しかしその後、まず最初に感謝の言葉を伝えたのは夫のドーン。最後に言うと時間切れで音楽が流れてしまうから最初に、という意味合いだったらしいですが、この時点でメリルは感無量の涙。
もう一人のパートナーとして、『ソフィーの選択』以来なんと37年間、すべての仕事を共にしているというヘア・スタイリストのロン・ヘランドにも感謝の言葉。
途中、「もう二度とここに立てないから」とまた自虐的にジョークをかまし、自分でもアハハと大笑いしてますが、最後は全ての友人に対して感謝を伝え、天を仰ぎながら「亡くなった友人たちは今もここにいます」と言って自らの胸を押さえ、そして「wonderful career(素晴らしい俳優人生だ)」と締めています。
シーンと静まり返りながらメリルの言葉に聞き入る観衆。いつもはメリルをおちょくってばかりのサンドラ・ブロックが泣きながらメリルを見つめる姿。そんなサンドラの表情を見て貰い泣き。
最多ノミネート数を誇り、毎年何かしらの賞で授賞式にやってくる常連のメリル。ここ最近はずっと他の人が受賞し、その度に柔和な笑顔で祝福してあげてたメリル。でも実際は悔しかったに違いないですよね。
あれだけのキャリアを積んでいるメリルが久々に栄冠を手にして、今回檀上でスピーチの際にあんなにも感動で声を震わせる。メリル良かったなー、おめでとうー、と泣きまくった私。別に家族でも親戚でもないんだけどね。
作品賞
●ファミリー・ツリー (原題:The Descendants)
●ものすごくうるさくて、ありえないほど近い (原題:Extremely Loud & Incredibly Close)
●ヘルプ ~心がつなぐストーリー~ (原題:The Help)
●ヒューゴの不思議な発明 (原題:Hugo)
●ミッドナイト・イン・パリ (原題:Midnight in Paris)
●マネーボール (原題:Moneyball)
●ツリー・オブ・ライフ (原題:The Tree of Life)
●戦火の馬 (原題:War Horse)
※The Artist winning Best Picture
檀上で、犬のアギーは静かでしたね。あと、監督さんはナチュラルに面白い。
総括
毎度毎度、結果論になってしまいますが、今回も終わってみれば波乱の全然ない、前評判通りの結果になっちゃいました。
言っちゃ悪いですが、平均年齢62歳のアカデミー会員(=審査する人)で『アバター』や『ソーシャル・ネットワーク』や『ヒューゴ』の評価が世間のそれと近いとは思えません。もちろん『ハート・ロッカー』や『英国王のスピーチ』や『アーティスト』が旋風を巻き起こしたこと自体には何の異論もないですが。
でも、この状態が続く限りは、これからも受賞作品の傾向は意外と簡単に想像もつくだろうし、ブラピやジョニデやディカプリオが賞レースの主役に躍り出ることは難しいかなーと想像してます。ディカプリオなんて今回ノミネートすらされてないんですよ。ビックリしちゃった。
以上、2012年のアカデミー賞結果まとめでした。
その他の受賞作品
◆ミッドナイト・イン・パリ
脚本賞を受賞
ミッドナイト・イン・パリ
◆ファミリー・ツリー
脚色賞を受賞
ファミリー・ツリー
◆ヒューゴの不思議な発明
音響編集賞、録音賞、美術賞、撮影賞、視覚効果賞を受賞
ヒューゴの不思議な発明
◆ドラゴン・タトゥーの女
編集賞を受賞
ドラゴン・タトゥーの女
惜しくもオスカーを逃した主要作品
◆ものすごくうるさくて、ありえないほど近い
作品賞、助演男優賞などにノミネート
ものすごくうるさくて、ありえないほど近い
◆マネーボール
作品賞、主演男優賞、助演男優賞などにノミネート
マネーボール
◆ツリー・オブ・ライフ
作品賞、監督賞などにノミネート
ツリー・オブ・ライフ
◆戦火の馬
作品賞、作曲賞などにノミネート
戦火の馬
◆裏切りのサーカス
主演男優賞、作曲賞にノミネート
裏切りのサーカス
◆マリリン 7日間の恋
主演女優賞、助演男優賞にノミネート
マリリン 7日間の恋
◆トランスフォーマー ダークサイド・ムーン
視覚効果賞、音響編集賞などにノミネート
トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン
◆ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2
美術賞、メイクアップ賞などにノミネート
ハリー・ポッターと死の秘宝 PART 2
◆リアル・スティール
視覚効果賞にノミネート
リアル・スティール
◆猿の惑星:創世記(ジェネシス)
視覚効果賞にノミネート