グループF オーストリアvsハンガリー
グループF最初の対戦は、オーストリア(FIFAランキング10位)と、ハンガリー(FIFAランキング20位)の対戦。
▲ オーストリアは2008年大会に開催国としてEURO初出場。予選を突破して出場するのは今大会が初めてになります。今大会予選は9勝1分の無敗で1位通過。
▲ ハンガリーがEUROに出場するのは1972年大会以来44年ぶり。予選プレーオフでノルウェーに勝利して本戦出場を決めました。
ハンガリーのGKキラーイは40歳。この試合でEURO最年長出場記録を達成しました(これまでの記録保持者はドイツのマテウス)。
両チームともチームカラーは赤。今回はオーストリアが赤、ハンガリーが白のユニフォームで闘いました。
試合開始早々の前半0分、オーストリア8番アラバがペナルティーエリアの外からミドルシュート。これは惜しくもポストに当たり得点ならず、しかし場内かなりどよめきました。
GKキラーイ、最年長出場記録を更新した直後にいきなり失点という悪夢のような展開にはならずに済みました。
ハンガリーはパスが良く繋がり、ボールを保持する時間も長く、中盤を支配して優勢に攻撃。しかし最後のところでオーストリアの守備陣にはね返される、という展開が続きます。
一方のオーストリアはパスが雑で繋がらず、苦しまぎれに中盤をスッ飛ばしてのロングフィードを多用するので分厚い攻撃もできず、すぐにボールを奪われてしまう。しかし時々はボールが相手ゴール前まで行ってシュートチャンスを何度か掴む、という展開。
前半はボール支配率もほぼ互角、シュート本数も同じ。「中盤で上手く繋ぐけど最後まで行けない」ハンガリーと、「中盤が繋がらないけどたまに最後まで行く」オーストリア、スコアレスのまま後半へ。
後半17分、ハンガリーがロングフィード1本から敵陣へ。
15番クラインハイスレルと9番サライが相手守備陣の隙間にパスを通し合い、二人だけの見事なパス回しでペナルティーエリア内に侵入。最後はサライが倒れながら足で押し込む。
▲ 均衡破れ、先制したのはハンガリー。
先制された直後の後半20分、今度はオーストリアにチャンス到来。
オーストリアのコーナーキックから最後は4番ヒンターエッガーが強烈なボレーシュート。これが見事に決まってオーストリア同点!と思いきや、その直前にオーストリア3番ドラゴヴィッチが相手選手の足を後ろから蹴って倒してた。
見ていた主審はシュートが決まる前に笛を吹いており、ドラゴヴィッチは2枚目のイエローカードをもらい、レッドカードで退場。
同点になったと思って大歓声だったオーストリアのサポーターたち、判定に大激怒。
同じ頃、オーストリア7番アルナウトヴィッチが、倒されたハンガリー選手の足をつまみ上げて「テメエ倒れてんじゃねえよ」とばかりにイチャモン。
他のハンガリー選手、イエローもらった奴よりもむしろコッチの野郎に激怒して詰め寄り乱闘寸前。
このオーストリア7番アルナウトヴィッチはスウェーデンのイブラヒモヴィッチを意識しているらしく髪型も似せてますが、相手選手へのリスペクトがないし、短気すぎる。いろんな場面ですぐキレてました。次戦以降で何かやらかすかも。
オーストリアはファウルがなければ同点だったのに、それどころか1人少ない10人で闘うことになってしまいました。
攻撃だけでなく守備網もスッカスカになっちゃったオーストリア。対するハンガリーはイケイケモードで猛攻。
▲ 後半41分、オーストリアのセットプレーをカットしたハンガリーがカウンター攻撃。
自陣からのロンクパスに対応したハンガリー18番シュティーベルが敵陣を独走。最後はフワリと浮かせたループシュートでキーパーの頭上を抜き、ハンガリー2点目。
オーストリアはアディショナルタイムのフリーキックも生かせず、試合終了。レッドカード退場の5番ドラゴヴィッチは次戦のポルトガル戦も出場停止。さらに一人が負傷交代しており、守備も攻撃も雑でファウルも多く、いいとこ全くなし。
戦前予想ではオーストリア有利と言われていたのに、フタを開ければハンガリー快勝。サッカーはやってみないと分からないってことですね。
攻撃の際にモタモタするスピード感の無さが気になるものの、ハンガリーはEURO44年ぶりの勝利で貴重な勝ち点3を獲得しました。
グループF ポルトガルvsアイスランド
グループFのもう1試合、ポルトガル(FIFAランキング8位)と、アイスランド(FIFAランキング34位)の対戦。
▲ ポルトガルは、ここまで国際大会で優勝したことがありません。EUROでの最高成績は2004年大会の準優勝。あの頃のポルトガルにはフィーゴというレジェンドがいました。
▲ そのフィーゴのポルトガル代表歴代最多出場記録(127試合)に今回のアイスランド戦で並んだ7番クリスティアーノ・ロナウド。今回がEURO4回目の出場となります。
クラブチームとしては所属するレアル・マドリードで今年ヨーロッパの頂点に立ったロナウド。「今度こそポルトガル代表として優勝を」と意気込んでいます。不安要素は、3番ぺぺという問題児が「やらかさない」か。
ぺぺは2014年ワールドカップの初戦でドイツと対戦した際、自分が倒したミュラーに逆ギレして頭突きをかまして1発レッドで退場になっただけでなく、他にも試合中に様々な素行不良の前科があります。
直近では欧州チャンピオンズリーグ決勝でファウル欲しさにシミュレーションを2回もやらかし、現在もメディアやファンから猛烈な批判を浴びています。今回のアイスランド戦でも開始直後からボールを持つ度に大ブーイングを浴びていました。
▲ アイスランドはEUROだけでなく、今回が主要国際大会に初めての出場。ピッカピッカの一年生なチームですが、今回のEURO予選では強豪オランダに勝利し、堂々の予選突破を果たしています。
前半2分、ポルトガルの連携ミスを突いてアイスランドがボールを奪い速攻。
スルーパスをもらってペナルティーエリア内に侵入した10番ギルフィ・シグルズソン、強烈なシュートはポルトガルGKパトリシオが反応して弾く。そのボールを再びシグルズソンがシュートするも、パトリシオがキャッチ。
今度は前半20分、ポルトガル7番クリスティアーノ・ロナウドの高速クロスにゴール正面で17番ナニが強烈なヘディング。しかしアイスランドGKハルドールソンが足でストップ。
前半25分、ポルトガル3番ぺぺがセンターライン付近からロングフィード。ゴール前に走り込んだクリスティアーノ・ロナウドがダイレクトボレーを狙うも、空振り。
決まればスーパーゴールだったけれど、失敗してロナウド苦笑い。
▲ 前半31分、ポルトガル15番アンドレ・ゴメスのサイドからのスルーパスに合わせて17番ナニがシュート。これが決まってポルトガル先制。
1点を追いかけるアイスランド、焦りなのかボールが繋がらなくなり、ポルトガルの攻撃シーンが連続するようになります。
前半終わってボール支配率はポルトガルが67パーセントと圧倒。シュート本数もポルトガルの12本に対してアイスランドは2本。
後半開始直後、アイスランドが久々に攻め込みます。
▲ 後半5分、サイドからのクロスをアイスランド8番ビルキル・ビャルナソンが完全フリーでダイレクトボレー。アイスランドが同点に追い付きました。
▲ 後半22分、アイスランド選手に倒された3番ぺぺ、倒れた状態で相手の胸にカニ挟みのような体勢で蹴りを入れて倒してしまいます。
カードこそ出なかったものの、総合格闘技みたいな悪質プレーがスタジアムのスクリーンでリプレイされ、少し収まりつつあったぺぺに対するブーイングが再び激しくなりました。こいつは病気なので治りません。
後半39分、右クロスからクリスティアーノ・ロナウドのヘディングシュートはキーパー正面。
アディショナルタイムの3分が経過して試合終了間際の後半48分、ポルトガルがゴール正面でフリーキックを獲得。蹴るのはクリスティアーノ・ロナウド。
ゴールまでの距離は33メートル。ロナウドの蹴ったボールはアイスランドの壁、11番フィンボガソンの手に当たってハンドの反則(フィンボガソンはイエローカード)。
フリーキックのやり直し、今度はペナルティーエリアすぐ外から、ロナウド2回目のキックも壁に阻まれ、試合終了。
蹴ったロナウドは「笛吹くの早いよ」という感じで主審に苦笑しながら抗議していましたが、アディショナルタイム3分なのに5分近く過ぎてたから仕方ない。
初出場のアイスランドは勝ちに等しいドローで勝ち点1を獲得し、選手たちもサポーターも大喜び。
負けはしなかったものの勝ち点3を逃したポルトガル。今後にどう響くか。
▲ 戦前予想では「初戦は勝つだろう」と言われていたポルトガルとオーストリアですが、ポルトガルは引き分け、オーストリアは完敗してしまいました。グループFはカオスになって今後も面白そうです。
6月15日の試合予定
大会6日目、6月15日に予定されている試合は以下の通り。
◆グループA 「ルーマニア vs スイス」
◆グループA 「フランス vs アルバニア」
全チームの1試合目が終わり、大会6日目からは2試合目に入ります。グループAで初戦に勝利したフランスとスイスは、次も勝てば両チームとも早々に決勝トーナメント進出が確定します。
ではでは、大会5日目のEUROレビューでした。