グループB イングランドvsウェールズ
今大会注目カードの1つ、「英国ダービー」。
過去の対戦成績はイングランド68勝、ウェールズ14勝(21引き分け)と圧倒的にイングランドがリードしています。直近5試合の対戦でもイングランドが4勝1引き分けで負け無し。
ウェールズが直近でイングランドに勝ったのは1984年。つまりウェールズは32年間イングランドに勝てていない。
▲ イングランドは初戦、ロシアと1-1でドロー。今回も先発は初戦と全く同じメンバーを揃えてきました。
ウェールズのカギを握る男・ベイルに対して、主将のルーニー、そしてホジソン監督ともに「要注意人物ではあるが、マンマークを付けるほどではない」と発言しています。余裕なのか挑発なのか。
▲ ウェールズは初戦、スロバキアに2-1で勝利し、歴史的なEURO初勝利を飾りました。この試合に勝てば決勝トーナメント進出が決定します。
今大会でEUROに初出場した全6チームのうち、初戦に勝利したのはウェールズだけだったそうです。
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前半7分、イングランドの速攻。独走した8番ララーナが中央にクロス。走り込んだ7番スターリング、ゴールの目前でシュートを盛大にふかす。
スターリングは初戦に続き今回もパッとせず、前半のみで交代となりました。
後半42分、イングランドのファウルで得たフリーキック。ゴール正面、30メートル以上の距離を蹴るのは11番ベイル。
▲ 初戦と同じくストーンと落ちる弾道でゴール右隅に飛んだフリーキックに、イングランドGKハートは触ったものの阻止できず。またもベイルのスーパーゴールが決まってウェールズ先制。
2試合連続で驚異的なフリーキックを決めたベイル。こんなにスゴいのに、所属するレアル・マドリードだとフリーキックの序列はクリスティアーノ・ロナウドのほうが上なんです。
イングランドは後半から選手を二人同時に交代。9番ケインに代えて11番ヴァーディー、7番スターリングに代えて15番スタリッジを投入します。スターリング同様、交代となったケインも2試合連続でパッとせず。
プレミアリーグ初優勝を成し遂げたレスターの大黒柱・ヴァーディーが遂にEUROデビュー。そしていきなり結果を出します。
▲ 後半11分、ウェールズのゴール前で混戦の中、最後は11番ヴァーディーがシュート。
ヴァーディーはオフサイドの位置に立っていたため、ウェールズの選手たちはノーゴールではないかと抗議。
しかしシュート前に触ったのがイングランドの選手(=パス)ではなくウェールズの選手(=クリアボール)だったため、判定はオフサイドではなくゴール。イングランド同点に追い付いた。
采配に応えてヴァーディーは早々に結果を出しました。このゴールだけでなく守備でも貢献していたヴァーディー。チームにおける(あるいはホジソン監督の頭の中での)序列がケインと逆転したかもしれませんよ。
▲ アディショナルタイムに入った後半46分、イングランド15番スタリッジがパス交換してペナルティーエリアに侵入。最後は足で押し込んでイングランドが土壇場で逆転。
▲ 今大会で初めての逆転劇。大興奮の主将ルーニーはテレビカメラを襲撃。
そして試合終了。イングランドは貴重な今大会初勝利と勝ち点3を獲得。
一方のウェールズは、またしてもイングランドに勝てず。それでもベイルは世界トップレベルの選手であることを今回も証明したと言えます。

▲ グループBは2試合目が終了。勝ち点4でイングランドが首位に立ちました。
勝ち点3で並んだウェールズとスロバキアは、「勝ち点が同じ時は直接対決の勝者が上位」という今大会ルールにより、ウェールズが2位となっています。(直接対決が引き分けの場合は、得失点差の多い方が上位)
グループC ウクライナvs北アイルランド
▲ ウクライナは初戦、0-2で敗れはしたものの大健闘だったと高評価の試合展開でした。
日本代表のハリルホジッチ監督も「ボアテングのビッグプレー(あわや得点という場面でボールをゴール内から蹴り出した)がなければ、果たしてドイツは勝てていただろうか」とWOWOWでコメントしていました。
▲ 北アイルランドは初戦、ポーランドに0-1で敗れています。点差こそ1点差ですが、北アイルランドはチャンスらしいチャンスをほとんど作ることが出来ず、苦しいスタートとなりました。
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初戦での反省を活かしたか、前半から北アイルランドが積極果敢に攻め立てます。対するウクライナは連携がそれほど上手くいかす、ストレス溜め込んでそうな試合展開。
前半のボール支配率はウクライナが65パーセントだったものの、シュート本数はウクライナの5本に対して北アイルランドが8本と上回っていました。
▲ 後半4分、北アイルランドのフリーキック。遠目から16番ノーウッドの蹴ったボールを4番マコーリーがダイビングヘッド。これが決まって北アイルランドが先制。
北アイルランドにとっては歴史に残るEUROでの初得点となりました。
▲ 後半13分、それまで降っていた大雨が雹(ひょう)に変わったため、主審の判断により試合中断。3分足らずの中断後、試合再開となりました。
中断で気分転換が出来たのか、ウクライナが猛攻を開始。しかしなかなかゴールを決めることができません。
▲ アディショナルタイム6分が取られた後半51分、北アイルランド21番マゲニスのクロスをペナルティーエリア外正面で受けた14番ダラスがシュート。
ウクライナGKピアトフはなんとか弾くも、詰めていた7番マッギンがダメ押しゴール。
北アイルランドは試合終了直前で貴重な追加点。ウクライナは初戦に続いて今回も試合終了直前に失点してしまいました。
そして試合終了。初戦が散々な出来だった北アイルランド、別のチームになったかのような勇猛果敢な試合展開で歴史的なEURO初勝利。
ズブ濡れになりながら最後まで大声援でチームを鼓舞したサポーターにとっても忘れられない勝利となったことでしょう。北アイルランドの応援は一見の価値アリ。
敗れたウクライナは悪天候による試合再開から猛烈に攻めまくったものの、北アイルランドの堅い守備にことごとく阻まれてしまいました。
グループC ドイツvsポーランド
1939年、ドイツ軍がポーランド領内に侵攻を開始したのがキッカケとなり第二次世界大戦が勃発。この歴史的背景もあって「因縁の対決」とメディア報道が加熱している一戦。
▲ ドイツは初戦、ウクライナに2-0で勝利。足の負傷が報じられ初戦は出場しなかった5番フンメルスが戦列復帰で先発出場を果たしました。
初戦で何も出来ず、日本代表のハリルホジッチ監督からも「ボールが収まらないので、このポジションでは使わないほうがいい」と酷評されていた19番ゲッツェは今回も初戦と同じく最前線中央の位置で先発。
▲ ポーランドは初戦、北アイルランドに1-0で勝利。得点こそ1点だったものの内容では圧倒し、北アイルランドにほとんど何もさせませんでした。エースの9番レヴァンドフスキは初得点なるか。
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前半3分、ドイツ6番ケディラにイエローカード。
WOWOW解説の奥寺氏は早い時間帯でのイエローカードについて「レフェリーがオランダの人だから」と冗談半分にケチ付けていました。
しかしケディラは試合開始直後にもヘディングの競り合いの際、相手選手の顔面をヒジ打ちして主審から注意され、直後のファウル連発でした。これでイエロー出さないほうがおかしい。オランダうんぬんは全くの的外れ。
それはともかく、両チームとも特に派手な見せ場がないまま前半終了。
後半開始直後、ポーランド11番グロシツキのクロスに7番ミリクがダイビングヘッドで飛び込む。しかしボールはミリクの頭ではなく鼻に当たって枠の外へ。
得点にはならなかったものの、ドイツGKノイアーが反応出来なかった速攻にスタンドが大きくどよめいてました。
エースのレヴァンドフスキが厳しいマークにあっていたため頑張らなきゃいかんミリクは、ヘディングが鼻に当たるわ、ゴール前の決定機で空振りするわの大ブレーキ。
その後も両チーム激しい攻防。しかし決定的な場面がなく、得点が決まらないまま試合終了。
ポーランドとしては勝ち点1で上々か。一方のドイツはワールドカップの時ほどの攻撃力が2試合通して感じられない結末となりました。

▲ グループCも2試合目が終了。ドイツとポーランドは勝ち点が並んだまま、得失点差でドイツが1位となっています。
まだ勝ち点がないウクライナは次戦で勝たない限りグループリーグ敗退となります。
6月17日の試合予定
大会8日目、6月17日に予定されている試合は以下の通り。
◆グループD チェコ vs クロアチア
◆グループD スペイン vs トルコ
下馬評を覆して初戦に快勝し、現在グループEの首位に立つイタリアはイブラヒモヴィッチ率いるスウェーデンと対戦。グループDは初戦に勝利したスペインとクロアチアが勝ち点を積み重ねることができるか。
ではでは、大会7日目のEUROレビューでした。