トーナメント1回戦 イタリアvsスペイン
▲ イタリアは「死の組」グループEを2勝1敗で1位通過。大会前の評判は低かったものの、その予想を覆す躍進ぶり。
しかし控え選手中心で臨んだ第3戦アイルランド戦では試合終了直前に失点して試合にも敗れ、「我々は慢心してはならない」と気を引き締めるコメントをしていました。
▲ スペインはグループDを同じく2勝1敗で2位通過。調子の「悪い試合」と「良い試合」を交互に繰り返してるような印象。
前回大会である2012年EUROの決勝戦を闘った両チームが、今年はトーナメント1回戦で激突しました。
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前半8分、イタリアのフリーキックを9番ペッレがヘディングで叩きつける。しかしスペインGKデ・ヘアが好セーブ。
スペインの絶対的守護神だったカシージャスからレギュラーの座を奪い、今大会では全試合に先発しているデ・ヘア。この後もイタリアが立て続けにシュートを放ちますが、好セーブを連発。
▲ 前半32分、敵陣ペナルティーエリア近くでイタリアがフリーキックを獲得。イタリア17番エデルの蹴ったボールをGKデ・ヘアがまたしても手で弾く。しかし詰めていたイタリア3番キエッリーニがボールを押し込んでゴール。イタリア先制。
後半4分、スペインのショートコーナーから中央へのクロスをスペイン7番モラタがヘディングシュート。しかしイタリアGKブッフォンの正面。
後半10分、イタリアのカウンター攻撃。ドリブルで独走した17番エデルがペナルティーエリア内に進入してシュート。これもGKデ・ヘアが体を張って阻止。
▲ 後半29分、イタリアのチャンスなのにトラップをミスして外に出したのを見て激怒したイタリアのコンテ監督。ボールをおもいっきり蹴飛ばして怒鳴りまくる。取り乱したコンテ監督を審判団が注意。
選手が得点を決めた直後に鼻血を出したり、試合が終了してないのに早トチリして相手の監督と握手しに行ったり、この人も何かと面白いキャラ。もっとイジっておけば良かった。
後半32分、スペインはコーナーキックの流れから最後は3番ピケが強烈なミドルシュート。これもGKブッフォンが好セーブ。インフルエンザも何のその、ブッフォンも若い奴らに負けじと頑張る。
アディショナルタイムに入った後半46分、イタリアはゆっくり時間をかけて左サイドを進み、反対の右サイドに大きく展開。スペイン守備陣が誰もいない右サイドでボールをもらった4番ダルミアンがドリブルでペナルティーエリア内に進入してからスルーパス。
▲ 反対側で待ち受けていた9番ペッレが豪快なボレーシュート。これが決まって、スペインを絶望の淵に追いやる2点目。
▲ 試合を決定づける追加点に興奮し過ぎたコンテ監督、ベンチの屋根に登りました。もう何でもアリです。
このまま2-0で試合終了。いやあ驚いた。そして認めましょう。イタリアは強い!
イタリアは積極的な攻撃でスペインのゴールを何度も脅かし、守備では伝統の固い守り「カテナチオ」がスペイン伝統の攻撃戦術「ティキ・タカ」を完全に攻略していました。
スペインはマトモにパス回しが出来ず、後半途中まではことごとくパスカットされていました。ティキ・タカどころか、最終ラインからロングフィードを多用したり、ドリブル突破ばかり試みたり、全然スペインらしくなかった。どうしてしまったんだろ。
スペインは史上初の「EURO三連覇」という夢をイタリアによって打ち砕かれ、決勝トーナメント初戦で姿を消すことになってしまいました。
▲ 前回EURO決勝での屈辱を晴らしたイタリア、次戦も勝てば強さは本物でしょう。この快進撃を誰が予想したか。
準決勝の対戦相手は前回ワールドカップ王者のドイツ。これまた優勝候補の強敵です。
トーナメント1回戦 イングランドvsアイスランド
▲ イングランドはグループBを1勝2分で2位通過。ウェールズには勝利したものの、他の試合はパッとせず本領発揮とは言えない状態。
絶不調の7番スターリングと9番ケインは自国メディアからも批判されていますが、そのスターリングとケインをこの試合で先発に戻してきました。これには正直驚きましたね。試合前に先発メンバー見て「は?」って叫んだもん。
2戦目で得点を決め、3戦目で先発出場した11番ヴァーディーはベンチスタート。
▲ アイスランドはグループFを1勝2分で2位通過。第3戦のオーストリア戦では試合終了の数秒前に劇的なゴールを決めて勝利しましたが、ここまで3試合で全て失点してるのが気になるところ。
アイスランドは人口が30万人ちょっとの小さな国。そのうちプロサッカー選手として活動しているのが約100名なんだそうです。
そんな少数精鋭の選手達がサッカー大国イングランドに勝ってしまおうもんなら、これはとんでもなくスゴいことになるのですが、試合開始早々にとんでもないことが起こりました。
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前半3分、イングランド15番スタリッジのクロスに反応してペナルティーエリア内に進入した7番スターリング、ボールを拾えず追いかけてるところでアイスランドGKハルドールソンと交錯。
このプレーに主審はPKの判定。実況陣も「PK取りましたか!」と驚いてたし、私もこの判定は大いに不満。
▲ PKを蹴るのは10番ルーニー。冷静に決めてイングランドが先制。
イングランドにしてみればギフト、アイスランドにしてみれば悪夢のような試合序盤。
しかし、もっとトンデモナイことが直後に訪れました。
失点直後の前半5分、アイスランド17番グンナルソンのお馴染みとなったロングスロー。
▲ このロングスローを14番アウルナソンが頭で後方に流し、6番ラグナル・シグルズソンがボレーシュートで押し込んでゴール。
アイスランド、なんと2分で同点に追いついた!
グンナルソンのロングスローをアウルナソンがヘディングで後ろに流す一連のプレーは、グループステージの第3戦、オーストリアとの試合で先制点を決めた時と全く同じパターン。
イングランドにもその情報は行ってたはずなのに対応できず。
▲ 前半18分、アイスランドが敵陣ペナルティーエリア付近をパスの連携でつなぎ、最後は9番シグソールソンがシュート。GKハートは手に当てたが止めきれず、ボールは転がってゴール内へ。アイスランドが2-1と逆転!
前半のうちに逆転するとは夢にも思わず、この時点でアイスランドのトリコですよ。同点になった時点で空気がおかしくなってきたイングランドのサポーター、一気に静かになりました。不穏な雰囲気…。
アイスランドの勢いは止まらず。後半10分、コーナーキックの流れでゴール前の攻防から最後は同点弾を決めた6番ラグナル・シグルズソンが豪快にオーバーヘッドシュート。しかし惜しくもGKハートの正面。
後半25分、イングランドのカウンター攻撃。スルーパスに抜け出したのは後半から交代で投入されたイングランド11番ヴァーディー。
俊足でペナルティーエリア内に進入するも、アイスランド6番ラグナル・シグルズソンがノーファウルのスライディングで見事にクリアー。
これを振り切られていたらアイスランドは大ピンチでした。ラグナル・シグルズソンは攻撃でも守備でも大活躍。
アディショナルタイムに入った後半48分、イングランドはGKハートも敵陣ペナルティーエリア内に入って最後のセットプレーに賭ける全員攻撃。
おそらくキッカーは長身のハートを狙ってフリーキックを蹴ったものの、ハートは届かず。そして皮肉なことに、そのハートが視界をさえぎってしまう形となり、すぐ後ろにいた20番デレ・アリがヘディングシュートを失敗。
▲ そして主審が笛を吹き、試合終了。アイスランドが歴史的な大金星。
歓喜に沸くアイスランドの選手たち、そしてサポーターたち。
一方イングランドの選手たちは立ち上がることが出来ず。まさに明と暗。
会場の大半を占めていたイングランドのサポーター、終盤には不甲斐ない選手達に呆れたか、イングランドが攻撃してる最中に敵ではなく自国の選手たちに大ブーイングを集中砲火させていました。
失意の選手たちがロッカールームに消えた後、サポーターの大群もあっという間にいなくなり、スタジアムにはアイスランドの青いユニフォームを着たサポーターが残るのみ。
イングランドのフーリガンたち、暴れてなければいいけど。
最初にも書きましたが、今大会の初戦から絶不調だったスターリングとケインをなぜ今日また先発で起用したのかが解せません。
ケインに関しては「アイスランドに対して長身のポストプレーが有効」と判断したからと報じられていましたが、ではスターリングに何を期待したのか。
ヴァーディーが計算できる選手だと第2戦で証明し、監督もそれを認識したからこその第3戦先発だと思っていたなのに、なぜ今日またヴァーディーではなくスターリング先発だったのか。
足の速さを活かしてドリブルで最前線までは何度も行くけれど、そこから何も出来ずにバックパスばかりのスターリング。動きがモッサモサで遅く、フリーキックは大半が枠を捉えることすら出来なかったケイン。
そもそも、なんでフリーキックのキッカーがケインだったんだろ。所属チームでもキッカーしてるのかな?
今大会を見た感じ、彼の質の低いフリーキックに得点の可能性は全然感じなかったし、むしろ長身なんだから「蹴る側」じゃなくて「ゴール前で受ける側」にしたほうが効果的じゃないかってのは素人が考えても分かることだし、イングランドには他にも優秀なキッカーたくさんいると思うんだけどな。
この二人の起用方法に関してはホジソン監督の采配ミスだと正直感じてます。
スターリングは前半のみでヴァーディーと交代してベンチに下がり、ヴァーディーが入ってきてからイングランドの攻撃にスピード感が戻りました。それでも連携が全然ダメ。
ヴァーディーは何度も何度も敵陣の最前線で裏を取る動きをして味方からのパスを待ち続けたのに、誰もヴァーディーにパスを送れないどころか、すぐアイスランドにボールを奪われてしまう。
頼みのルーニーも後半はさすがに疲れ果ててしまい、終盤で交代となってしまいました。選手起用も不思議だったけど、戦術もなんとかならなかったのかなあ。
2014年ワールドカップのグループステージ敗退に続き、イングランドはEUROもトーナメント初戦で姿を消すという不本意な結末を迎えてしまいました。EU離脱に次いでイギリスには立て続けの衝撃となったことでしょう。
監督が更迭されるかも含め、またいろいろ騒がしくなるんだろうな。
(追記:試合後すぐホジソン監督は辞任を表明したそうです)
▲ アイスランドの選手達はピッチの上でいつまでもいつまでも、熱い応援を送ってくれたサポーターたちに拍手。
そして最後は選手とサポーターの全員で呼吸を合わせ、手拍子と咆哮。感動的な場面でした。私はここで少し泣きました。
アイスランドの人たちは今日という日を忘れないでしょうね。
イタリアとアイスランドが勝ち上がり、これでベスト8が出揃いました。準々決勝の組み合わせは上の表のようになっております。
モバイル表示だと画像が小さくて読みづらいかもしれないので、対戦カードを下にまとめておきます。
◆フランス vs アイスランド
◆ポーランド vs ポルトガル
◆ウェールズ vs ベルギー
今大会最大のジャイアント・キリング(大番狂わせ)をやってのけたアイスランド、次戦の相手は開催国のフランスとなりました。
今日のイングランド戦でさえ席の大半を相手に奪われてたのに、次はもっと座席数が減ってしまうでしょう。負けるなサポーター。鳥取県より人口少ないけど応援してるぞ。
得点王(6月27日現在)
本日現在の得点王争いは以下の通りです。
◆3得点 … グリーズマン(フランス)
◆3得点 … モラタ(スペイン)
◆2得点 … クリスティアーノ・ロナウド(ポルトガル)
◆2得点 … ナニ(ポルトガル)
◆2得点 … パイェ(フランス)
◆2得点 … ブワシュチコフスキ(ポーランド)
◆2得点 … ルカク(ベルギー)
◆2得点 … マリオ・ゴメス(ドイツ)
◆2得点 … ペッレ(イタリア)
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イタリアのペッレが今日1得点、合計2得点でランキングに入ってきました。
トップは3得点の3人、しかしスペインのモラタは今日で敗退となってしまいました。
6月30日の試合予定
決勝トーナメント1回戦が全て終了し、大会は2日間のお休みに入ります。大会17日目、6月30日に予定されている試合は以下の通り。
ベスト8の対戦、まずはポーランドとポルトガルがベスト4を賭けて闘います。
レヴァンドフスキが目立った活躍を見せていないポルトガルに対し、クリスティアーノ・ロナウドが調子を上げてきているポルトガル。優勝候補のクロアチアを破った勢いでポーランドも喰うことができるか注目です。
ではでは、大会16日目のEUROレビューでした。