グループA ブラジル vs クロアチア
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いよいよ始まりました。2014年FIFAワールドカップ・ブラジル大会。
工事が遅れまくってて、間に合うんかいな、と世界中のサッカーファンが心配してたんですけども、
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今回の会場もひとまずギリギリで間に合ったらしいですね。今月の上旬に最終テストした段階でもダメ出し喰らってたけども、どうにかこうにか。ただ、試合前半で照明の不具合が発生したとか言ってましたね。まだまだ油断禁物かもしれぬ。
会場やキャンプ地も、なんだかんだで形にはなってきてるみたいで良かったですが、今回の照明トラブルみたいに各スタジアムの状況が万全かどうかは分からないし、外ではデモが多発してるみたいだし、下手すると4年前の南アフリカより治安悪いんじゃねえかなどと言われてるし、とにもかくにも事故や事件がなく無事に開催されることを祈ります。
さて開幕戦。地元ブラジルが登場です。
この日、ブラジルは国民の祝日になったんだそうです。大統領も仕事をサボって中断してスタジアムの貴賓席に座り、スクリーンに映し出されてこの日最大のブーイングを浴びておりました。とても嫌われてるのが分かりました。
試合開始早々。前半11分。
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クロアチア18番オリッチの低いクロスを、敵も味方も次々とスルー。ゴール前付近に突進してきたブラジル6番マルセロの足に当たったボールがゴールに一直線。ブラジルW杯の記念すべきゴール第1号はブラジル選手が自陣に入れちゃった。
マルセロ、顔面蒼白でしたもんね。「もしかして俺、ブラジルのサッカー史に残っちゃう大変なことやらかしてしもたんか…?」ってな感じで。そりゃビビリますよ。オウンゴール自体は仕方ないことだけど、これで負けたら絶望的ですよ、負け方が。
でもマルセロ、その後のプレイは素晴らしかった。メンタル強いんだな。
前半29分。ブラジル10番ネイマールが中央に切り込み、左足でシュート。完全にミートせずそれほど速いシュートではなかったけど、飛んだコースが良かったか、キーパーの手も届かずポストに当たってゴール。ブラジル同点。
今回がW杯デビューとなり注目されていた新星ネイマール。早速結果を出しました。
この試合で最も物議をかもしたシーンが後半25分過ぎ。
ブラジル9番フレッジがペナルティエリア内で反転しようとしたところ、クロアチア6番ロブレンが手で相手の身体を掴んだということで笛。ブラジルはPK獲得。
開幕戦の主審は日本人の西村さん。日本人審判がW杯の開幕を裁くのは史上初で、日本サッカー界からも快挙だと称えられてました。一方でブラジルのサッカーメディアからは試合前からいろいろ心配されてたようで。
西村主審と相樂副審は南アフリカW杯で準々決勝のオランダ対ブラジルなど4試合を担当。西村主審はスペイン対オランダの決勝で第4の審判員も務めた。準々決勝ではFWアリエン・ロッベン(オランダ)を足で踏みつけたMFフェリペ・メロ(ブラジル)にレッドカードを出し、試合もオランダがブラジルを2-1で下した。
ブラジルの選手やサポーターからすれば、嫌な記憶が残る主審だろう。実際、開幕戦を西村主審が担当することが発表されると、記者も現地のブラジル人から「ニシムラとは友人か? よろしく伝えてくれ」と冗談交じりに声をかけられたほどだ。
via:ゲキサカ
で、今回のPK判定は賛否両論というか、どっちかというと酷評や罵倒されてる報道がとても目に付きます。
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これ、判定としては難しいと思うんですよ。「どっちとも取れる」と言えばいいんですかね。表現を変えると、今回の西村さんみたいにPKを与える審判もいれば、完全スルーしちゃう審判もいるだろうし、逆に倒されたブラジルのフレッジに対して「シミュレーション(=ファウル目当てで故意に倒れた)」としてイエローを出す審判もいるかもしれない。
個人的にはですね、あくまで個人的にはですけど、フレッジの倒れ方が好きじゃないんですよ。倒れてすぐ大げさにアピールしてる。こういう姿勢を見ると「倒れに行ってるだろ」と感じるし、審判がそう捉えたらシミュレーションになる。
ただ、リプレイで見ると確かに捕まれてるんですよね。でもそんな露骨な感じでもないし長時間でもない。そういう意味ではクロアチアの選手が可哀想とも言える。
ただ、上で書いたように「どっちとも取れる」と感じるので、誤審だ誤審だと一部で大騒ぎしてますけど、誤審ではないんですよ。誤審って「明らかな間違い」なわけでしょ。今回の大会では、相手の身体を掴む犯則行為に対しては厳しく判定するようにという通達が審判団に成されてるというような報道も見ました。それもあって、今回のは難しいなぁと。
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外野はノンキにそんな風に語ってられますが、当事者であるクロアチアの選手や関係者、そしてサポーターはたまったもんじゃない。選手達がものっすごい怖い顔して猛抗議。
試合後もメディアが煽ったのもあって大騒ぎになっております。まず、クロアチアのコヴァチ監督。
コヴァチ監督は試合後「私は普段、決して審判員を攻撃することはないのだが、今回は恥ずべき行為だったと言うしかない」「強盗に遭ったようなものだ」とコメント。「あれがPKならバスケの試合だ。バスケだったらあの種のプレーはファウルになる」と怒りをあらわにした。
同監督はさらに「恥ずかしいことだ。これはW杯の審判がするようなことではない。彼はブラジルとクロアチアに対し、異なる判断基準を持っていた。我々を共通なルールでさばいていなかった」「残念ながら、あの主審は素人同然だった。こんな調子が続くなら今大会ではPKが100本生まれるだろう」と、主審を痛烈に批判した。
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クロアチア5番チョルルカ。
「これまでのキャリアで、英語を話さない審判を初めて見た」とコメント。W杯をさばく審判員には英語能力が必須となっているが、同選手は「彼は日本語で何か言っていたけど、誰も理解できなかった」と話している。
via:ISM
元イングランド代表のリネカー。
氏は約20年の現役生活でレッドカードはおろか、イエローカードを一枚も受けたことがなく、90年にはFIFAから個人としては初めて「FIFAフェアプレー賞」が贈られた。そのミスタークリーンで知られるリネカー氏は「開幕戦のマンオブマッチは、ネイマールか、主審か選ぶのは難題だ」と、痛烈なつぶやきを世界に発信したのだ。
via:サッカーマガジンゾーン
イタリアの「ガゼッタ・デロ・スポルト」紙。
同紙は、先制されたブラジルがネイマールの2得点で逆転したことを報じる中で、その2点目について「2-1のPKをプレゼントしたことに議論がある」と指摘。「主審のミスは大きかった」、「このレベルの試合で許されないことが待っていた。ロブレンのフレッジへのPKはなかった」などと伝えた。
via:サッカーマガジンゾーン
ついでに、あの歌姫が余計なツイートで炎上したようです。
シンガー・ソングライターの宇多田ヒカル(31)が13日、ツイッターで、サッカーW杯開幕戦のブラジル‐クロアチア戦で主審を務めた西村雄一氏に「ごめんなさい」と謝罪した。
宇多田はこの日の最初のツイッターで、「クロアチアの皆さん、不運な試合でしたが日本人を嫌いにならないで」と英語で呼びかけた。西村氏のPK判定に、クロアチア代表のニコ・コバチ監督を始め、大きな不満が起こっていることに触れた。
その後、宇多田は再びツイッターで「周りのサッカーファンがみんな誤審だって騒いでたから鵜呑みにして失礼な冗談を書いてしまった 西村さんごめんなさい」と今度は日本語で謝罪した。
via:デイリースポーツ
そんなこんなで批判が殺到してます。クロアチアの人が怒りまくるのは全くおかしくないし、これが仮にどこかの国の審判が日本の試合で同じことしたら、たぶん私も含めてみんな怒り狂ってると思います。私もザックJAPANやなでしこJAPANの試合は、毎回勝とうが負けようが審判の文句をツイートすること多いですし。
ただ解せないのは、SNSなどを見てると日本の人たちが西村さんに対して「あいつはW杯で審判できる技量もない」とか「また日本の恥を晒した」みたいな罵倒をしてるのを見ると、はあ?って思いますわ。うちら日本人が上から目線で言うことではないんじゃないかな。言いたくてたまらん人は国とか関係なく言うんだろうけど。
とにかく、ブラジルの天敵と揶揄されてた西村さん、不本意ながら今後はクロアチアの天敵と呼ばれてしまうのでしょう。審判ってのも不憫な仕事だなぁと感じつつ、話を試合に戻します。
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獲得したPKをネイマールがキッチリ決めて、ブラジルが2-1と逆転。この後、ネイマールは後半43分に交代でピッチを去りました。途中、足首を痛そうにしてる仕草もあったし、怪我が悪化してないといいんですけどね。ひとまず初戦は2得点。結果を出しました。
試合終了前の何分かはクロアチアが怒濤の攻めを見せていて、これはもしかすると同点になるんじゃないかっていう勢いを感じたんですけど、
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後半アディショナルタイムにブラジル11番オスカルがダメ押しの3点目。一人ドリブルで持ち込み、2人に囲まれながらも爪先でコントロール。キーパーまたも手が届かなかった。クロアチア、とどめを刺されて終了。
解説の藤田俊哉氏も大絶賛してましたが、オスカルはいいですねー。足元のテクニックがとても華麗で、個人技が見ていて楽しい。ネイマールとオスカルの若きコンビは今後のブラジルを牽引していきそう。もう一人のFWフッキは少し調子悪そうでしたけども。
クロアチアがすごく強くてビックリでしたが、3失点は痛かった。メキシコとカメルーンの試合は2日目ですが、結果次第では2位争いが壮絶な展開になるかもしれません。
○ブラジル 3 ー 0 クロアチア●
【得点】
(クロアチア)オウンゴール(前半11分)
(ブラジル)ネイマール(前半29分)
(ブラジル)ネイマール(後半26分)
(ブラジル)オスカル(後半46分)
2日目の見どころ
上記した通り、A組のもう1試合、メキシコvsカメルーンがあります。結果次第で2位以下が大混戦になる予感。
さらには、前回南アフリカの決勝戦と同じスペインvsオランダ戦が早くも2日目で実現。これは必見ですよ。
もう1試合はチリvsオーストラリア。両者とも同グループの2強、スペイン&オランダに肉薄するためには点差をつけての勝利が欲しいところ。さてどうなるか。
以上、予選1日目のレビューでした。
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