グループF アルゼンチン vs ナイジェリア
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既に決勝トーナメント進出を決めているアルゼンチン。対するは今日の試合で勝つか、最低でも引き分ければ自力での2位通過が決まるナイジェリア。両チームはW杯で過去3度対戦し、すべてアルゼンチンが勝利しているのだそうです。
2試合連続で得点を決めているメッシ。所属チームのバルセロナでは圧倒的な活躍を見せるものの、ワールドカップでは不本意な結果が続いてたメッシですが、今日もゴールを決めて勢いをさらに加速させられるか。
試合開始直後の前半3分、ピッチ中央からのフィードを綺麗にトラップしたアルゼンチン7番ディマリアがシュート。これはポストに阻まれるも、跳ね返ったボールを10番メッシがズドンと蹴り込み、アルゼンチン先制。
メッシ、いきなり加速してしまいました。これで3戦連続ゴール。
ところがドッコイ、試合を面白くしてくれる存在が今日はナイジェリアにもいました。
メッシが先制弾を決めた直後の前半4分、2点目を狙うメッシのドリブル突破を4人がかりで止めたナイジェリアがカウンター攻撃。ピッチ中央をドリブルで突き進んだ18番ババトゥンデからパスを受け、7番ムサが左サイドからミドルシュート。これが見事に決まり電光石火の同点。
まだメッシ先制点の興奮が冷めやらない時間帯の同点劇。試合が始まって5分しか経ってないのにスタジアムが騒然とし始めました。
前半アディショナルタイム、メッシが遠い距離からのFK。壁となった相手選手の頭上を越えてゴール右隅に直接決め、2点目。
今年に入り試合中に吐く回数が多く、体調不良説まで流れてたメッシですが、この勢いは今度こそ本物かもしれん。
後半開始直後、またまた魅せてくれました。後半2分、ナイジェリア7番ムサがドリブル突破からシュートを決め、再び同点。ムサも今日2点目。
ハーフタイムを挟んでましたが、取られたら直後に取り返す応酬で、これは見ていて興奮しました。素晴らしい。
ところが、取られたらすぐに取り返すのを今度はアルゼンチンがお返し。後半5分、コーナーキックのボールを16番ロホがジャンピングニーで押し込む。アルゼンチンまたまた勝ち越し。
おいおい、この試合は両チームで何点決まるんや、と想像を超える展開にビックリしてましたが、ロホの3点目が決勝点となりました。
ナイジェリアGKエニェアマは今大会これまで無失点だったのですが、さすがにアルゼンチン、というかメッシの攻撃力には耐えられなかった。でも他に何発かシュートを好捕してましたし、良いキーパーでした。メッシとゴール前で競った後、お互い笑顔で何か話し、指でメッシのホッペをプニュッと押してたシーンが映って微笑ましかった。イイ人そう。
メッシは後半18分に交代して便利に下がり、お役御免。交代の際にはスタジアムから物凄い大歓声で称えられていました。
メッシは今日の2得点で今大会4点目。バルセロナの同僚ネイマール(ブラジル)と並び、現時点で得点王ランキングのトップに躍り出ています。
オランダやドイツの強さが際立ってる今大会、それほど優勝候補に挙げられてなかった気がするアルゼンチンは、実はダークホースなのかもしれない。どうしてもメッシの出来・不出来で左右されちゃうチームなので予想が難しいんですよね。
ナイジェリアは負けてしまいましたが、同時開催中の試合でイランの結果次第ではまだ予選突破の可能性が残されています。さてどうなったか。
○アルゼンチン 3 – 2 ナイジェリア●
【得点】
(アルゼンチン)メッシ(前半3分)
(ナイジェリア)ムサ(前半4分)
(アルゼンチン)メッシ(前半46分)
(ナイジェリア)ムサ(後半2分)
(アルゼンチン)ロホ(後半5分)
グループF イラン vs ボスニア・ヘルツェゴビナ
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まだ少しだけ予選突破の可能性を残しているイランと、残念ながら予選敗退が決まってしまったボスニアの対戦。
今大会に出場した全32チームで唯一の初出場国であるボスニア。2連敗してしまいましたが、初戦で9番イビシェビッチが歴史に残る初ゴールを記録。
そのイビシェビッチは過去2戦ともベンチスタートでしたが、ようやく今日の最終戦で11番ジェコとイビシェビッチの長身2トップを先発で同時起用してきました。
一方のイランは勝ち点が1で、今日の試合に最低でも勝たないと予選突破できない状況。勝った場合もナイジェリアの試合結果や得失点差で2位通過を争うことになりますが、1つ上のレビューで書いた通り、ナイジェリアはアルゼンチンに負けました。勝って大逆転の予選突破なるか。
前半23分、ドリブルで中央に斬り込んだボスニア11番ジェコ、PAの外でシュートを放つ。
シュートが決まり、ボスニア先制。
過去2戦でことごとく不発だったジェコ、待望の初ゴール。しかしジェコ笑ってない。
後半14分、イランのパスを8番ピアニッチがカット。11番ジェコ→14番スシッチと繋ぎ、最後はピアニッチ自身がシュートを流し込む。ボスニア2点目。
後半37分、イランのコーナーキックがボスニア守備にはじき出され、PAの外へ。遠く離れた場所からイラン2番ヘイダリがロングパスし、6番ネクナムが抜け出してトラップ。ボスニアの守備陣はオフサイドだとセルフジャッジしてしまい、誰も追いかけず止まったまま。最後はクロスをフリーで受けた16番グーチャンネジャードが押し込んでイラン1点を返す。
イランは今大会初ゴール。あと2点取って勝利したいイランは勢いづきたいところ。しかし、直後でした。
わずか1分後の後半38分、勢いに乗ったイランの攻撃を防ぎ、ボールを奪ったボスニアがカウンター。長いスルーパスに向けて長距離を激走したボスニア2番ブルサイェビッチ、走り込んでのシュートを決めて3点目。
ただの消化試合にはしないというボスニア、気迫のこもった3点目。イランは反撃の機運をわずか1分で潰されてしまいました。
この3点目が決勝点となり、ボスニアはW杯初勝利。内戦で揺れた祖国にまた一つ、誇るべき記録を残すことが出来ました。オシムさんも嬉しかったろうなぁ。
負けてしまったイランは予選敗退。これで日本、オーストラリア、イランと、アジア予選を勝ち抜いた3チームがW杯本戦で1勝もできず、ブラジルを去ることになりました。残るアジア勢は明日ベルギーと対戦する韓国のみですが、何も言うまい。
次回ロシアW杯、アジアは出場枠を確実に減らされるだろうな。仕方ないです。アジアに4.5枠は確かに多かったのかもしれない。3枠か、3.5枠か。どうなるのかな。
○ボスニア・ヘルツェゴビナ 3 – 1 イラン●
【得点】
(ボスニア)ジェコ(前半23分)
(ボスニア)ピアニッチ(後半14分)
(イラン)グーチャンネジャード(後半37分)
(ボスニア)ブルサイェビッチ(後半38分)
グループE スイス vs ホンジュラス
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グループEはフランスが2戦連勝で決勝トーナメント進出を既に決め、ホンジュラスが2戦全敗で予選敗退となっています。残る1つの枠をスイスとエクアドルが争う状態。
試合前の時点で暫定2位はエクアドル。勝ち点が足りないスイスは引き分けでも予選敗退となるため、2位通過するためには勝つしかない状況。
今大会、多くの試合でそうなんですけど、この試合も開始直後に動きました。やっぱり先制点って大事。
前半6分、23番シャキリがPA外からシュート。これがゴール左上に決まってスイス先制。
テレビ中継でスイス戦の際にどの解説者も「注目選手」として必ず挙げていたシャキリ。過去2戦は不発でしたが、遂にシュートを決めました。それにしてもガタイがいい。
喜びのあまりテレビカメラにキスをするシャキリ。アンタのチュー顔どアップが国際映像で全世界に流れてたんやで。お茶の間もビックリやわ。
前半31分、自陣ゴール前からのロングフィードを19番ドルミッチが受けカウンター。パスをもらったシャキリ、キーパーとの1対1を冷静にゴール右へと流し込んでスイス2点目。
2点目のシュートを決めたシャキリが、見事なパスを出したドルミッチに駆け寄って「オマエのおかげ!」と称えている図。
後半26分、スイス自陣の一番深いところからまたも超ロングフィード。ボールを受けた19番ドルミッチが個人技で一人かわし、中央のシャキリにラストパス。シャキリ難なく決めて3点目。シャキリはハットトリック達成。
2点目と全く同じ展開で、ドルミッチ→シャキリという同じコンビによる綺麗なゴール。2点目の時も3点目の時も、互いに駆け寄って「こいつスゲーだろ」「いやコイツの方がスゴイ」と称え合ってるのが大変微笑ましかったです。
ドルミッチとシャキリの見事な連携で、スイスが3-0の完勝。フランスに5失点と大敗した時の得失点差マイナスを少し取り戻しました。
あとは、同時刻に別会場で行われているフランスとエクアドルの試合結果を待つのみ。エクアドルが負ければ、スイスが逆転で予選通過となります。
○スイス 3 – 0 ホンジュラス●
【得点】
(スイス)シャキリ(前半6分)
(スイス)シャキリ(前半31分)
(スイス)シャキリ(後半26分)
グループE フランス vs エクアドル
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グループEのもう1試合、フランスとエクアドルの対戦。
決勝トーナメント進出を決めているフランスは、特に無理をする必要なし。先発メンバーを3人変えてきました。
一方のエクアドルは暫定2位だけど、別会場のスイスがホンジュラスに勝つ確率が高いのは明白だったので、フランスに勝利して自力で決勝トーナメント進出を決めたいところ。
勝たねばならないはずのエクアドルですが、特に前半は攻める気配がなく、自陣で守備を固めてカウンター狙いらしき戦術にしていました。解説者は「不要な失点を避けるためだろう」と言ってたけど、私にはこの戦術の真意がサッパリ分からない。先制点を取ってから守るなら分かる。でもいきなり守備的になってどうすんだ。
プレーが荒いエクアドルの選手は、各所でフランス選手と激しいタックル合戦を繰り広げ、中には頭が衝突して流血し、ネットをかぶってプレー続行する選手も。ゴール前では選手同士が主審の見えないところで殴り合ってたり、かなり荒い試合でした。
エクアドルが積極的に攻め上がらないこともあり、フランスが攻め続ける展開。中にはクロスバー直撃の惜しいシュートもあったけど、フランスもなかなか決めることができない。
後半4分、エクアドル16番アントニオ・バレンシアがドリブルで敵陣に猛然と侵入。フランス17番ディーニュのタックルに対してスパイクでおもいっきり踏みつけてしまった。ディーニュは痛みで悶絶し、数分間倒れたまま立つことも出来ず。
このプレーでアントニオ・バレンシアは1発レッドの退場。キャプテンを失い、エクアドルは10人でのプレーになりまして、ただでさえ攻撃ばかりだったフランスは、さらに攻撃一辺倒となります。
フランスが打ったシュートは実に20本。しかしエクアドルのGKドミンゲスが何度も何度も好セーブ。
フランスのシュートの多くがキーパー正面だった幸運もあったけど、中には絶体絶命のシュートもあり、それでもドミンゲスは横っ飛びで防ぐ。最後にはキーパーが働かされ過ぎて足をつってしまうという壮絶なシーンもあったくらい、GKドミンゲスの好守連発でフランスは点が入らない。
数少なかったエクアドルのカウンターでは、過去2戦で3点を決めているエネル・バレンシアがマークされていて、こちらも決めることが出来ず。1回だけ、猛烈に高い打点からのヘディングシュートをゴール前で叩き付け、どんだけジャンプすんねん!とスタジアムがどよめいてました。決まらなかったんですけどね。
結果はスコアレスドロー。別会場のスイスが勝利していたため、エクアドルは勝ち点で逆転され、予選敗退。
今大会は地元ブラジルをはじめ、チリ、アルゼンチン、ウルグアイ、コロンビアと南米勢が快進撃で決勝トーナメント進出を次々と決める中、エクアドルだけがブラジルを去ることになってしまいました。
△フランス 0 – 0 エクアドル△
【得点】
なし
グループEも全試合が終了。フランスは2勝1分、8得点を決めて貫禄の1位通過。スイスが逆転の2位通過を決めました。
決勝トーナメントは、F組1位のアルゼンチンがE組2位のスイスと1回戦で対戦。アルゼンチンが順調に勝ち進めば、準決勝でオランダかメキシコと当たります。準々決勝の相手がどこになるかは明日分かります。
もう一方の組み合わせは、E組1位のフランスとF組2位のナイジェリアが1回戦で対戦。今日の試合のように攻撃の爆発力があるナイジェリア。フランスも舐めてはかかれません。
得点王ランキング
1位 ネイマール(ブラジル) 4得点
3位 ファンペルシー(オランダ) 3得点
3位 ロッベン(オランダ) 3得点
3位 ミュラー(ドイツ) 3得点
3位 ベンゼマ(フランス) 3得点
3位 シャキリ(スイス) 3得点
3位 エネル・バレンシア(エクアドル) 3得点
メッシが今日2得点を決めて、ネイマールと並び4得点でトップタイ。アルゼンチンもブラジルも決勝トーナメント進出が決まっているので、まだまだ得点は伸びそうですよ。
今日ハットトリックのシャキリが3位タイに上がってきました。同じく3得点で3位タイだったエクアドルのエネル・バレンシアは予選敗退が決まったため、これ以上の上積みが出来なくなりました。
15日目の見どころ
15日目となる6月26日(木)で、長かった予選グループリーグの全試合が終了します。
グループGの2試合は、アメリカvsドイツと、ポルトガルvsガーナ。4チーム全てにまだ決勝トーナメント進出の可能性があります。
前ドイツ監督にして現在アメリカ監督のクリンスマン、対するはクリンスマン政権時代にコーチで共に戦い、クリンスマン退任後にドイツ監督となったレーヴ。二人の対決にも注目です。
ポルトガルは2戦目の奇跡的な同点ゴールで首の皮1枚繋がってる状態ですが、状況としては相当厳しい。とにかく勝つしかないのだけど、ガーナも強豪。侮れません。
グループHの2試合は、ベルギーvs韓国と、アルジェリアvsロシア。ベルギーは2連勝で既に決勝トーナメント進出を決めているので、残る1枠を3チームで争う状態。
アジア勢が1勝もできずブラジルを去ってる中、最後の1チームとしてベルギーに挑む韓国。ベルギーは「2軍」で来るのかもしれませんが、もしそのベルギー2軍に負けたら、コロンビア2軍に負けたぜーと日本を酷評してくれちゃった韓国メディアはキッチリ自国も報道してくれやがるんだろうな。アルジェリアはロシアに勝てば自力で予選突破が決まります。
以上、14日目の試合レビューでした。
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