決勝トーナメント1回戦 ブラジル vs チリ
via:FIFA.com
決勝トーナメント、いよいよ始まりましたけども、いきなり最初の試合でこれか!
次のコロンビアvsウルグアイ戦を見る気力が失せそうになるほど、ブラジルvsチリ戦で満腹状態になっちゃいました。濃すぎるわ!
入場前に談笑するブラジルのネイマール&ダニエウ・アウベスと、チリのサンチェス。この3人は同じバルセロナ所属のチームメイト。
南米同士の対戦。スタジアムは当然ながらブラジルの黄色いサポーターが多かったんですけど、チリの赤いサポーターも結構いました。
国歌の音楽が止まってもアカペラで歌い続ける今大会の南米勢。今日は最初にチリ国歌のアカペラが始まったらブラジルのサポーターがブーイング。次にホームのブラジル国歌アカペラパートで今度はチリのサポーターがお返しのブーイング。日本でやると大炎上しそうですけど、今日は両チームのサポーターがやり合ってました。
試合が動いたのは前半18分。ネイマールが蹴ったコーナーキックを3番チアゴ・シウバがヘディングで後ろにスライド。4番ダビド・ルイスが最後は足で押し込み、ブラジル先制。チリ選手の足に当たって入ったオウンゴールのようにも見えましたが、記録はダビド・ルイスの得点となってました。
今大会の出場32チーム中、チリは平均身長が最も低いんだそうで、そこをブラジルが突いた格好。この戦術で行けばいいんじゃね?って素人の私なんぞは思うんですけど、そう簡単にさせないのがチリの強さなわけで。グループリーグでも全然決められてないことが証明してるし。
前半32分、ブラジルが自陣ゴール近くでスローイン。ブラジル6番マルセロのスローインを7番フッキがリターンしようとするも、返しのパスが弱かったのか、チリ11番バルガスがカット。
バルガスからのパスをPA内フリーで受けたチリ7番サンチェスがゴール左隅に蹴り込む。チリ、前半のうちに同点に追い付いた。
バルセロナではネイマールの次に得点を多く取っているチリのエース、サンチェス。今日も決めてみせました。直前にパスを奪ったバルガスの抜け目なさも強豪チームならでは。
後半10分、ブラジル6番マルセロからのロングフィードを敵陣ゴール前に抜けた7番フッキがトラップ。そのままゴールに蹴り込んで勝ち越し!
かと思ったら、ブラジルの選手たちがフッキの所に集まって来ない。チリ選手たちも何かアピールしてる。あれ?なんかおかしいぞ、と思ったら。
主審は「腕でトラップした」としてハンドの判定。歓喜の絶叫が一転、イエローカードまで貰って怒りまくるフッキ。
上の写真見ても、腕じゃないように見えるけどなぁ。フッキ本人も「腕じゃない。胸でトラップした自信がある」と試合後に語ってましたが、これは主審、ちょいと厳しかったんじゃないかな。いずれにせよ、フッキの一発は幻のゴールとなってしまいました。
後半はどんどんチリのペースに。ブラジルは次第に足が止まっていき、パスミスも目立ち始めます。両チームとも疲労の色が濃くなる中、90分で1−1のまま決着つかず今大会初の延長戦に突入。
11番オスカルも今日は全然ダメでした。延長後半で交代。
前の試合でようやく得点を決めて、ヒゲを剃るのと一緒に頭を剃ってくるのか期待した9番フレッジ。スキンヘッドにしてないのは許すとしても(=本人頭を剃るとは言ってない)、ヒゲ剃ってないのはどういうことやねん。マリオもどきのまんまやないか。
そのフレッジも今日はパッとせず、途中で21番ジョーと交代してましたが、このジョーが今日いちばんヒドかった!
解説者が交代前から試合中もずーっとジョーをケナしまくってて笑ったんですけど、次第に笑えなくなるほどヒドかった。
上の場面なんて、もうあきれちゃって時間の記録を取り忘れた。左サイドからフッキが上げた絶妙クロスを、ジョーがまさかの空振り。ボールは綺麗にジョーの足の下を抜けていっちゃった。
他にも延長前半3分には、ゴール前で1対1となったジョーがボールではなくGKブラボに16文キックをカマしてイエローもらったりとか。
動きが遅くてモッサモサしてるし、ポストプレーもできない、パスも取られる、トラップ失敗する、ヘディングできない、シュート入らない、挙げ句の果てには途中交代なのに他の誰よりもバテてる。
延長後半にはジョーがゴール前でヘディングシュートをミスった時、スタジアムの観客、アアーって残念がるわけでもなく、ブーイングをするわけでもなく、気持ちいいほどシーンとなっちゃってて私はお茶を吹きました。あんだけミスってたらサポーターもシラけるよね。
いくらフレッジが不調だったからって、ジョーを出すのはもう止めた方がいいんじゃないですかね、スコラーリさん。他の交代メンバーも今日はミスだらけで、ブラジルのサブメンバーは今日みたいなプレーの質ではちょいと厳しいなぁ。
チリ17番メデルは守備でブラジルのフレッジをずっとマークしてて、身長はフレッジのほうが随分高いのに、ヘディング勝負で全部メデルが勝ってた、と解説者が大絶賛してました。
試合中もずっと走り回ってて献身的な守備を続けてたメデル、試合中に足を痛めてしまい、テーピングをグルグル巻きにしてそれでも走り続けてたけど、延長後半、遂に限界が来てしまい交代。傷みで立てなくなり担架で運ばれてるとき、メデル泣いてた。悔しかっただろうなぁ。彼の闘志は本当に素晴らしかった。
延長後半14分、終了直前のところでチリ9番ピニージャのシュートがクロスバーを直撃して、おそらくスタジアムのサポーターだけでなく全てのブラジルサッカーファンが凍り付いたんじゃないかな。なかなかスリリングな場面でした。
延長30分でも決着つかず、今大会初のPK戦。トーナメント初戦からなんっちゅう死闘。
両チームの選手たち、ピッチに横になり、しきりに足をマッサージしてもらってました。ネイマールも相当走り回ってたもんなぁ。
ブラジルのGKはジュリオセザール。前回南アフリカW杯でブラジルは、準々決勝でオランダに負けたんですけど、その試合でジュリオセザールは自分のミスで1点を失い(=パンチングに行ったものの飛び出しが中途半端だったため相手選手のヘディングに負けて失点)、敗因の1つとして批判されてた過去があります。
今大会では期するものがあったであろうジュリオセザール。PK戦の直前には、気合いが入りすぎたのか、既に感極まったのか、それとも極度のプレッシャーからか、目が涙でウルウル状態になってました。仲間たちがジュリオセザールを次々に抱き締め、彼に勝利を託してる場面はとても印象的でした。
対するチリのGKブラボは今大会で好セーブを連発し、チリの固い守備力の要にもなっていました。今大会の終了後、メッシやネイマールが所属するバルセロナに移籍することが正式発表されており、それだけ評価の高いキーパーだと言えます。
PK戦って、見る側ですら緊張しますよね。蹴ってる人、守ってる人はもっともっと緊張するよなあ。
PK先攻はブラジル。1人目は先制点を決めたダビド・ルイス。しっかりPK成功させて幸先良いスタート。
後攻チリ。1人目は延長終了の直前にクロスバー直撃シュートを放ってブラジルを凍り付かせた9番ピニージャ。しかしキーパー止めた! ピニージャ逆に凍り付く。
スタジアム大歓声。盛り上がってまいりました!
しかしブラジル2人目、途中交代で入った19番ウィリアン、枠に飛ばすことも出来ずPK失敗。スタジアム打って変わって静寂。
チリの2人目はエース、サンチェス。しかしこれもキーパー止めた! ジュリオセザール、2発連続セーブで確変突入か。
チームのエースがPK戦で外すって結構あるんですよね。有名なところでは、1994年アメリカ大会の決勝戦がPK戦まで行って、イタリアのエース、バッジョがまさかのPK失敗でブラジル優勝ってのがありました。日韓大会では中田ヒデもPK戦で外してるし。結構あるんです。
その後、ブラジルは3人目の6番マルセロが成功。4人目の7番フッキはキーパーが足で止めて失敗。フッキは今日ことごとくアンラッキーでした。
チリは3人目の20番アランギスが成功。4人目の21番ディアスも成功。この時点でスコアは2−2。
ブラジル5人目で登場したのはエース、ネイマール。相当なプレッシャーだったでしょうね。こっちのエースも外すんじゃないか…ってドキドキしながら見入りました。ネイマール、フェイントも織り交ぜつつ、しっかり決めて3−2。
チリ5人目は18番ハラ。右に蹴ったボールにキーパー届かない。しかしボールはポストに当たってゴール外に飛んでいった。
一瞬、実況アナもスタジアムの観衆も、そして私も「え?」っていう、状況を理解できない間(ま)が空いて、誰もがブラジル勝ったんだと気付きました。
勝利の瞬間、雄叫びをあげる選手もいれば、ネイマールやチアゴ・シウバは祈ってたのかな。
ネイマールは感極まって泣き崩れ、ダビド・ルイスが優しく抱き締めてました。見てた私もボロボロもらい泣き。
敗れたチリの選手、そしてスタジアムのサポーターたちも泣いてた。南アフリカで号泣してた駒野や松井のことを思い出してしまいました。あのとき、日本のサッカーファンもみんなツラかった。チリのサポーターたちが泣く気持ち、とても分かる。
でもチリは強かった。ブラジル負けるんじゃないかって本気で思いましたからね。
2本止めて殊勲のジュリオセザール。前回大会での悔しさを少しは晴らせたかな。
なんとかギリギリで準々決勝進出を決めたブラジル。危なかったなぁ。もし今日負けてたらいろんな意味でブラジルは相当ヤバかったと思うので、勝ってくれて良かった。
次の準々決勝も南米勢との対決。また熱い試合となることでしょう。でもジョーだけは止めとけ。「あしたの無いジョー」になってしまうぞ。
△ブラジル 1 – 1 チリ△
PK戦 ブラジル 3 – 2 チリ●
【得点】
(ブラジル)ダビド・ルイス(前半18分)
(チリ)サンチェス(前半32分)
決勝トーナメント1回戦 コロンビア vs ウルグアイ
via:FIFA.com
テレビ観戦も、そしてこのエントリー書きもブラジルvsチリの1試合で既に燃え尽きそうだったんですけども。
決勝トーナメント1回戦、もう1試合はコロンビアvsウルグアイ戦。こちらも南米勢同士の対決。
コロンビアはいつもの先発メンバーに戻ってました。当たり前っちゃ当たり前ですけども。
対するウルグアイは、噛み付いちゃったスアレスが追放されたため、当たり前ですが今日はいません。昔、長州力がリング上で「藤波!前田!お前は噛み付かないのか!」とマイクで叫んだことがありましたけど、噛み付いたらダメです。
スアレスは消え、前回大会で輝きまくって今大会ではすっかりシボんでる10番フォルランが先発に復帰。今日は21番カバーニと2トップのような形のポジションでした。
前半28分、コロンビア8番アギラールがヘディングで前線にパス。10番ハメス・ロドリゲス、胸でトラップしたボールが地面に落ちる前に振り向きざまのダイレクトシュート。
GKが手を伸ばすも届かず、実に見事で華麗なシュートが決まってコロンビア先制。
ロドリゲス、やっぱりモノが違いますわ。日本を一人でコテンパンのギッタギタにしただけのことはあるんです。
後半5分、コロンビア7番アルメロのクロスを、11番クアドラードがヘディングで折り返し、最後はロドリゲスが蹴り込み2点目。ロドリゲスは今大会5得点目で得点ランキングトップ。
またもロドリゲスが決めたんですけど、ゴール反対側でヘディングして折り返したクアドラードのアシストも見事でした。ただ、そのヘディングが右に飛ぶのを瞬時に察知したロドリゲスがササッと高速で走り込むエリアを軌道修正してシュートする辺り、やっぱり彼はスペシャルです。
コロンビアは守備でもGKオスピナが好セーブを連発。1対1となった場面でも片手だけで止めたり、ウルグアイの反撃を封じてました。
前回大会の得点王フォルランは今日もパッとせず。途中、コロンビア3番ジェペスと激突したのに怒って激しい口論となったのが一番の見せ場というのも哀しい。フォルランは後半8分で交代となり、ベンチに下がりました。
試合は2−0で終了。点差は2点だけど、コロンビアの完勝と言っていいでしょう。ウルグアイはスアレスを欠いたのがやっぱり痛かった。噛まれた人も痛かったけど。
無敵のコロンビア、次戦は遂にブラジルと対戦です。この対決も相当熱いことになるぞ。
思えばコロンビアは、エース格のファルカオが今年1月の試合中に大怪我を負い、なんとか復帰を目指したものの間に合わず代表メンバーから漏れてしまいました。
いま、エースのロドリゲスが大活躍してますけど、ここにファルカオが加わってるコロンビアってどんだけ強かったんだろう。見てみたかった。
○コロンビア 2 – 0 チリ●
【得点】
(コロンビア)ロドリゲス(前半28分)
(コロンビア)ロドリゲス(後半5分)
南米勢4チームによるトーナメント1回戦は、ブラジルとコロンビアが勝ち上がりました。
得点王ランキング(6月29日現在)
2位 ミュラー(ドイツ) 4得点
2位 メッシ(アルゼンチン) 4得点
2位 ネイマール(ブラジル) 4得点
5位 ファンペルシー(オランダ) 3得点
5位 ロッベン(オランダ) 3得点
5位 ベンゼマ(フランス) 3得点
5位 シャキリ(スイス) 3得点
5位 エネル・バレンシア(エクアドル) 3得点
今日2得点を決めたロドリゲスが単独トップとなっています。
17日目の見どころ
17日目となる6月30日(月)は決勝トーナメント1回戦「オランダvsメキシコ」「コスタリカvsギリシャ」の2試合が行われます。
ロッベンとファンペルシーを中心に圧倒的な攻撃力で勝ち上がったオランダ。対するはGKオチョアを中心にわずか1失点で勝ち上がった守備力を誇るメキシコ。どちらもカウンター主体の戦術になると思われるので、攻守の入れ替わりが激しいスリリングな戦いになる予感がします。前の試合で出場停止だったファンペルシーも戻ってきますよ。
もう1試合は、グループDで強豪3チームに無敗で驚きの1位通過を成し遂げたコスタリカと、16チームの中で唯一の「得失点差マイナス」で勝ち上がってきたギリシャの、いわば「サプライズ対決」。この試合は読めない(笑)
以上、16日目の試合レビューでした。
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