簡単な歌詞解説
今回のお題は「フロム・ミー・トゥ・ユー(From Me To You)」。
タイトルからして簡単な英語表現ですね。「私からアナタへ」という、昔々にビューティーペアがリング上で唄ってたのと同じフレーズです。古いか。
From Me To You
この曲も初期のビートルズに多いラブソング。ただ、歌詞の内容を見てると、両想いの恋人同士というよりも、なんか男が女を口説いてる感じがしないでもない。気のせいか。
まずタイトルは常とう文句ですね。「from A to B」で「AからBへ」という意味。
from a countryside to a big city
(地方から大都市へ)
吉幾三が若い頃に使った用法ですね。嘘ですよ。
Aメロでタイトルのフレーズ直前についてる「with love」とは、「愛を込めて」というニュアンスの言葉。ラブレターなどの最後に付け加えるフレーズなのでしょう。
Aメロ全部を和訳してみます。
If there’s anything that you want
(何か欲しいものがあるのなら)If there’s anything I can do
(何かボクに出来ることがあるのなら)Just call on me and I’ll send it along
(何でも言ってくれよ、全部ボクが送るから)with love from me to you
(愛を込めて ボクからキミへ)
「call on」は「要求する」とか「訪問する」とかの意味。今回は「何でも言ってよ」くらいのニュアンスじゃないでしょうか。
「along」は「~に従う」という意味がありますので、「言われたものは何でも送っちゃうよ」というニュアンスかな。
あとはBメロが、なかなか欲求不満でイイのではないかと。
I got arms that long to hold you and keep you by my side
(キミを抱き締めてずっと側にいられる腕もあるぜ~)I got lips that long to kiss you and keep you satisfied
(ウットリさせるようなキスをする唇もオレは持ってるぜ~)
「long」という単語は「長い」という意味の他に、「long to」と使うことで「熱望する」という意味もあります。
なのでキスの下りは、まず「keep you satisfied」で「キミを満足させてあげる」。それを「long to kiss you」だから「キミにめっちゃキスしたい」というニュアンス。
下心マンマンやないですか。
この曲に関する余談・エピソード
「フロム・ミー・トゥ・ユー」は、ビートルズ通算3枚目のシングル曲。
ビートルズが活動中の頃はアルバム未収録で、「オールディーズ」というベスト盤に収録されていましたが、その「オールディーズ」が廃盤になった後は「パスト・マスターズVol.1」というベストアルバムに収録されました。
この曲の1つ前、通算2枚目のシングル「プリーズ・プリーズ・ミー」が初の大ヒット。イギリスのメロディー・メーカーという雑誌のヒットチャートで1位を獲得しました。
Please Please Me
イギリスで人気急上昇となったビートルズが続いて発表した「フロム・ミー・トゥ・ユー」は、他のチャートも含めて全英チャートで1位を獲得。これでいよいよビートルズがイギリスを席巻するようになります。
AメロからBメロに切り替わる「I got arms that long to~」のところでコード進行がマイナーに変わります(Gm7らしいですね)。
1995年に制作された「アンソロジー」のドキュメント映像で、ポール・マッカートニーがこのマイナーコードへの転調について「今までのボクらでは作れなかった。音楽的に進歩できてる気がして嬉しかった」というニュアンスの発言をしています。