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ポール・マッカートニー死亡説:ビートルズ末期に流布した噂の全解説

2014年5月15日

Catch20140515

誕生日が1942年6月18日。80歳を超えても現役ミュージシャンとして活躍中の元ビートルズ、ポール・マッカートニー

そのポールですが、ビートルズ末期の1969年に「ポール死亡説」というものが流され、大騒動となりました。

この記事では、ポール死亡説が何を根拠に作られて流布していったのかを、解説もまじえて紹介します。

ポール・マッカートニー死亡説とは

ポール死亡説ですが、最初はどこかのラジオ局から流れ始めたのだそうです。真面目だったのかネタだったのかは分かりません。

ポールは1966年に自動車事故で死亡しており、現在のポールは替え玉のソックリさんが影武者をしている

というニュースが発端のようです。

死亡説の根拠となる理由は次から次へと出てきて、それらが妙な説得力を持っていたため、またたく間にファンの間で広まりました。

ついにはアップル社(=ビートルズの会社)の広報担当が記者会見を開いて否定する事態にまで発展したのです。

しかし、記者会見で沈静化するどころか「そういえば、あの件も死亡を裏付けてる」「あの曲にも秘密が!」みたいに、どんどん死亡説が飛躍・増殖していきました。

大騒動になっていた1969年当時、ポールは結婚したばかりの妻リンダとスコットランドの広い農場がある自宅にこもってノンビリ過ごしつつ、ソロ活動の準備を始めていたのだそうです。

そのポールが1969年の年末、雑誌「LIFE」のインタビューで「生きてます」と発言。好き放題に広まっていた死亡説がそこでようやく沈静化しました。

それでは、たくさんあるポール死亡説の根拠といわれる内容を解説していきます。

アルバム「サージェント・ペパーズ」の死亡説

ポールの頭上で広げられた手

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アルバムジャケットで、青い衣裳を着ているのがポール。そのポールの頭上に手があります。

ポールの背後に立っているイッシー・ボンという人物(イギリスの寄席芸人)のパネルが手を上げているだけなんですけどね。

この手ですが、東洋では「宗教的に埋葬された者に対する神の祝福を象徴」しているのだそうです。

そういう解釈により、ポールは埋葬されたことになりました。

後ろ向きのポールと歌詞の内容

Skitched 20140515 08

上の写真は、アナログレコード盤では裏ジャケットでした。CDではブックレットの中に写真があります。

まず、ポールだけが後ろを向いてます。これだけでポールは死んだことにされました。

なぜポールだけ後ろ向きだったのかは知りません。ほら、ポールってそういうとこあるじゃないですか。自分だけ違うことするみたいな。

もうひとつあります。レコード盤では、収録されている全ての曲の歌詞がズラーっと裏ジャケットに書かれていました。

ちなみに上の写真の通り、CDブックレットに歌詞は記載されてません。

ポールの頭上にあたる箇所には、ジョージ・ハリスンが作った「Within You Without You」という曲の歌詞の一部「without you(あなたはいない)」というフレーズが載っていたのです。

歌詞のフレーズがポールの頭上にピッタリ来たのは偶然なんでしょうけど、ポール死亡説の崇拝者に言わせれば「これも計算されていた」ことになるそうです。

ポールが腕に着けた「OPD」のバッジ

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上の写真はCDブックレットのものです。

ポールが着けているバッジには「OPD」と書かれています。「Ontario Provincial Police(=オンタリオ州警察)」の略だそうです。

しかし、これを「Officialiy Pronounced Dead(=公式に死亡を宣言する)」と解釈した人がいました。

本物のポールが死んだことをバッジで訴えているのだそうです。

「She’s Leaving Home」の歌詞

6曲目に収録されている「She’s Leaving Home(シーズ・リーヴィング・ホーム)」の歌詞、その序盤に以下のフレーズがあります。

Wednesday morning at five o’clock as the day begins
(水曜日の朝5時、1日の始まり)

これを「ポールの死亡時刻が水曜の午前5時だった」と解釈した人がいました。警察発表みたい。

「Good Morning Good Morning」の歌詞

11曲目に収録されている「Good Morning Good Morning(グッド・モーニング・グッド・モーニング)」の歌詞に、以下のフレーズがあります。

Nothing to do to save his life
(彼の命を救うものは何もない)

歌詞そのまんまですね。ポールは救われなかったと解釈されたようです。

この曲を作ったのはジョン・レノンで、ジョンお得意の言葉遊びなんですけどね。

「A Day In The Life」の歌詞

13曲目に収録されている「A Day In The Life(ア・デイ・イン・ザ・ライフ)」、この曲の冒頭では自動車事故で亡くなった男性の描写があります。

And though the news was rather sad
(そのニュースは悲しい内容だったけど)
Well I just had to laugh
(僕は笑ってしまったんだ)

He blew his mind out in a car
(彼は車の中で意識が飛んでしまい)
He didn’t notice that the red lights had changed
(信号が赤に変わったことにも気付かなかった)

これを死亡説では「ポールが自動車事故で亡くなった」ことにしたというわけです。

この曲を作ったのはジョン・レノンですが、これについてジョン本人の言及があります。

1966年12月に読んだ新聞「デイリーメール」の朝刊に載っていた2つの事件からインスピレーションを受けて歌詞を書いた、とジョンはインタビューで語っています。

  • 資産家で、ビートルズのメンバーたちとも交流があった「タラ・ブラウン」という人物が自動車事故で急死したというニュース
  • イギリスのランカシャー州ブラックバーンにある道路に4000もの穴が空き、それを舗装しているというニュース

「A Day In The Life」の歌詞にある自動車事故の描写は、タラ・ブラウン氏が自動車事故死したニュースがベースになっています。

また、死亡説とは関係ないですが、ランカシャーの穴のニュースについても、同じく歌詞の中に描写があります。

I read the news today oh boy
(今日、新聞を読んだ)
Four thousand holes in Blackburn, Lancashire
(ランカシャー州のブラックバーンに4000個の穴があるという話)

ちなみに、ランカシャーの穴のニュースはポール自身もインスピレーションを受けており、アルバム5曲目の「Fixing a Hole」という曲を作っています。直訳すると「穴を舗装する」ですね。

アルバム「マジカル・ミステリー・ツアー」の死亡説

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「I Am The Walrus」のエンディングでの大合唱

6曲目に収録されている「I Am The Walrus(アイ・アム・ザ・ウォルラス)」。

この曲のエンディングで、大勢のコーラスが「got one got one everybody got one」というフレーズを延々と繰り返し、大合唱しています。

この部分を逆回転で再生すると「ワハハ、ポールは死んだ」という意味のフレーズに聞こえるのだそうです。

ポール死亡説の中には「曲を逆回転すると死亡を意味する表現が聞こえる」という解釈がとても多いです。逆回転したらどうとでも都合よく聞こえるでしょうけどね。

ちなみに、最後の「got one got one everybody got one」という大合唱に関して、

「みんなポット(=ドラッグのこと)を吸おう」

と歌っている、というデマを流したメディアがありました。死亡説とは全然別の意味で論争を巻き起こした箇所でもあります。

この解釈については、曲を作った張本人であるジョン・レノンがインタビュー記事で、

歌っているのは「everybody got one」だ。

と明確に否定しています。

「I Am The Walrus」のエンディングでのうめき声

同じく「I Am The Walrus」のエンディング部分、上で紹介した大合唱パートの音量が小さくなっていくあたりで、男性が低く小さな声で何やら呟いている音声が聞こえ始めます。

これはシェイクスピアの舞台劇「リア王」で役者が喋っているセリフを録音し、曲の最後に挿入しているのだそうです。ジョンをはじめビートルズのメンバーの声ではありません。

セリフの内容としては、

  • bury my body(私の亡骸を葬ってくれ)
  • O, Untimely Death(なんと早すぎる死だ)

というものだそうです。

内容が人の死を扱っているため、ポール死亡説の根拠として曲のラストに入れたのだと解釈されたのでしょう。

映画の中でポールがセイウチのマスクをかぶっている

映画「マジカル・ミステリー・ツアー」には「I Am The Walrus」の演奏シーンがあります。今でいうPV・MVのような、とてもカッコイイ仕上がりとなっています。

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この演奏シーンの中で、ビートルズの4人が動物のマスクをかぶる場面があります。

アルバムのジャケットにも登場する「かぶり物をしたビートルズ」です。

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これが「マジカル・ミステリー・ツアー」のアルバムジャケット。中央で両手を広げている黒い胴体と長い牙の動物はセイウチ。英語だと「ウォルラス」。

この「ウォルラス」という単語、スカンジナビア文化圏においては死の象徴であり、ギリシャ語では「死体」を意味するのだそうです。

で、ウォルラスのかぶり物をしているのがポールである、だからポールは死んでいる、というのがポール死亡説のひとつ。

スカンジナビアやギリシャの話は知りませんでしたが、ウォルラスがポールだというのは明らかなデマです。映画を観ればすぐに分かります。

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映画「マジカル・ミステリー・ツアー」での「アイ・アム・ザ・ウォルラス」演奏シーン。マスクをかぶっていない状態の4人。

左から順に、

  • ジョージ・ハリスン(ギター)
  • ジョン・レノン(白いピアノ)
  • ポール・マッカートニー(ベース、左きき)
  • リンゴ・スター(ドラム)

これを覚えておいてくださいね。

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この頃、ジョンはすでにメガネをかけていたのですが、「アイ・アム・ザ・ウォルラス」の演奏シーンではメガネを外しています。

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で、かぶり物のシーンがこれです。先ほどの順番と同じで、左からジョージ・ジョン・ポール・リンゴです。

もうお分かりですかね。ウォルラスは白いピアノを弾いています。つまり、ウォルラスはジョンです

ポールは中央に立ち、左手でベースを弾いています。ウォルラスのマスクなどかぶっていない。

にもかかわらず、スカンジナビアではああだ、ギリシャ語ではこうだ、だからポールは死んでいる、と無理筋な話をでっちあげる人がいるのです。困ったものです。

余談ですが、なぜセイウチが登場するのか、もっと言うと、なぜ曲のタイトルが「アイ・アム・ザ・ウォルラス」なのか。

ジョンはディズニー映画「不思議の国のアリス」からインスピレーションを受け、この「アイ・アム・ザ・ウォルラス」を作っています。

映画の中に「セイウチと大工の話」というシーンがあります。

美味しそうな牡蠣を食べようとしたセイウチと大工。しかしセイウチは大工をだまし、セイウチが牡蠣を独り占めして全部食べちゃった。

1つも食べられなかった大工が激怒してセイウチを追いかけ回す、というシーンです。

ジョンはインタビューでこう語っています。

セイウチの方が良い奴だと勘違いしてたんだ。本当は「僕は大工」っていう曲にすべきだったんだよ。

これを読んで「ウソ言うな(笑)」って思いましたけどね。

ポールだけが黒い薔薇をつけている

これも映画の中の1シーン。

ラストでビートルズの4人が白いタキシードを着て、アルバム5曲目に収録されている「Your Mother Should Know(ユア・マザー・シュッド・ノウ)」という曲に合わせてダンスを踊るシーンがあります。

この時、ジョン・ジョージ・リンゴの3人は胸の部分に赤い薔薇をつけているのですが、ポールだけは黒い薔薇をつけています。

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「黒いバラは死を連想させる」という解釈により、これもポール死亡説のひとつとされました。

なぜポールだけ黒い薔薇なのか、というのは確かに不思議でした。目立ちたかったんですかね。

ポールによれば、

スタッフが赤いバラを3つしか用意してなかったんだ。

だそうです。

普通に考えて、そんなことはあり得ません。ビートルズは4人いるのに「赤い薔薇3つと黒い薔薇1つ」を用意するなんて、どれだけ無能なスタッフなんだよって話です。

「Your Mother Should Know」はポールが作った曲で、歌っているのもポールですし、映画のフィナーレですから、目立ちたかったんでしょうねえ。

「Strawberry Fields Forever」のエンディング

アルバム8曲目に収録されている「Strawberry Fields Forever(ストロベリー・フィールズ・フォーエバー)」。

この曲のラスト、1回目のフェードアウト、そしてフェードインの後、2回目のフェードアウトで音が聞こえなくなる寸前、男性が低い声で何やらつぶやいているのが聞こえます。

このつぶやきは「I buried Paul(私はポールを埋葬した)」と言っている、というのがポール死亡説のひとつ。

低い声の主はジョンなのですが、「ポールを埋葬した」というセリフについてはジョン本人が1980年のインタビューで明確に否定しています。

Cranberry Sauce(クランベリー・ソース)と言ったんだよ。

これはどうも本当らしく、同じ曲の別テイクでは「クランベリーソース」というセリフがハッキリとクリアに聞こえます。

アルバム「ホワイトアルバム」の死亡説

アルバムジャケットの色はポールの喪に服している

アナログレコード時代はビートルズ初の2枚組としてリリースされたアルバム「ザ・ビートルズ」。アルバムジャケットの色が真っ白なので「ホワイト・アルバム」という愛称でも知られています。

なぜアルバムジャケットを白一色にしたのかは諸説あって、どれが本当なのかウソなのか正直分かりません。全部挙げると膨大になるので省略します。

ポール死亡説のひとつとしては、「アルバムジャケットが白なのは、ポールが死亡し、メンバーやスタッフが喪に服していることを表すため」というものがあります。

日本では喪服といえば黒色なので、喪に服すのは黒だという印象です。

イギリスでも喪服は黒であることが大半のはずですが、イギリス王室では白い喪服を着ていた時代もあったそうです。

なので「白も喪に服す色である」ということは言えるようですが、ポールは王室ではないですからね。

「Glass Onion」の歌詞

3曲目に収録されている「Glass Onion(グラス・オニオン)」で、ジョンが

The walrus was Paul
(セイウチはポールだったんだ)

と歌う箇所があります。

「I Am The Walrus」の解説で書いたとおり、セイウチ(ウォルラス)はギリシャ語で死体を意味するなどという解釈があります。

映画の中でセイウチのマスクをかぶっていたのは、ポールではなくジョンです。セイウチがポールではないのはファンや映画を観た人なら分かるはず。

しかし、それでもジョンがあえて「セイウチはポールだった」と歌詞で言及したので、「やはりセイウチはポールだ」「そしてポールは死んでいるのだ」と死亡説に繋げたがる気持ちも分からなくはないです。

ひとつ気になるのは、このアルバムを制作していた時期に、ポール死亡説がまだ出ていなかったのではないか? ということ。

ホワイト・アルバムがリリースされたのは1968年11月ですから、ジョンが「Glass Onion(グラス・オニオン)」を作ったのは当然ながらそれよりも前。

一方でポール死亡説が出てきたのは1969年頃ですから、ホワイト・アルバムの制作時期よりもポール死亡説のほうが後なんです。

じゃあ、なぜジョンは「セイウチはポールだった」などというセリフをこの曲の歌詞に入れたんでしょうね。謎です。

「I’m So Tired」のラスト

アルバム10曲目に収録されている「I’m So Tired(アイム・ソー・タイアード)」という曲のラスト部分。歌っているジョンが小さい声で何やらボソボソとつぶやいている箇所があります。

この箇所を逆回転で再生すると、「ポールは死んだ、寂しい、寂しい、寂しい」と聞こえるのだそうです。

逆回転再生が可能な機材を持っていないので検証はできません。言い換えれば、逆回転再生はどうとでも聞こえます。

「Revolution 9」の曲のどこか

CDではディスク2の12曲目に収録されている「Revolution 9(レボリューション9)」という曲。

クレジットではジョンとポールの共作になっていますが、実際はジョンとオノ・ヨーコが実験的に作った前衛的な作品です。

曲の長さが8分21秒もあり、ビートルズの公式発表曲の中ではもっとも長い曲でもあります。

この長い長い「Revolution 9」のどこかに、逆回転で再生すると「turn me on, dead man(その気にさせてくれ、死人よ)」というフレーズが潜んでいるのだそうです。

そのフレーズがどこにあるのかは知りません。逆回転させてネタ探しをするのが好きな人もいるんです。

アルバム「アビイ・ロード」の死亡説

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「アビイ・ロード」のアルバムジャケットはとても有名です。似た構図の、横断歩道を渡っているジャケットを作ったアーティストは世界中にたくさんいます。

横断歩道は後に舗装が変更され、現在はちょっとだけ違う形になっているものの、有名な観光名所として人気があります。

アビイ・ロードとは、イギリスのロンドンにある道路「アビイ・ロード通り」のこと。横断歩道の近くにはビートルズがレコーディングで使用していた「EMIレコーディング・スタジオ」があります。

アルバム「アビイ・ロード」が大ヒットしたことで、EMI社はスタジオの名前をEMIレコーディング・スタジオから「アビイ・ロード・スタジオ」に変更しています。

このジャケット写真の中だけでも、ポール死亡説のネタが大量に含まれています。

ポールが右手でタバコを持っている

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アルバムジャケットでは、左利きのはずのポールが右手でタバコを持っています。

なので「これは本物のポールではない!」ってことにされたのでしょう。左利きの人は必ず左手でタバコを持つ、というわけでもないでしょうに。

ちなみに、2000年代前半にアメリカでタバコの広告規制が厳しくなった際、アビイ・ロードのジャケット写真を用いた広告ではポールのタバコが(ポール本人やアップル社の許可を取らずに)修正され、消されていたのだそうです。

ポールだけが目をつぶっている

アルバムジャケットでは、他の3人が目を開いているのに対し、ポールだけが目をつぶっている。だからポールは死んでいるのだそうです。

別にいいじゃない。人間なんだから、まばたきくらいするでしょうに。

ポールだけ踏み出す足が違う

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アルバムジャケットで横断歩道を渡る4人のうち、ポール以外の3人は左足を前に踏み出し、ポールだけが右足を踏み出しています

なのでポールは死んでいる、ってヒドい理屈だと思いません? もはやイジメの構図じゃないですか。

軍隊でもないのに、みんなが常に同じ歩調で行進するわけでもないですから、偶然なんでしょうけど、まあ確かに言われてみればポールだけではあります。

ポールだけ裸足で歩いている

「裸足は死を意味する」のだそうです。

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ネタ満載です。ここまでくると逆に「ポール、もう少しキチンとしろよ」と叱りたくなります。

この日、ポールは写真撮影にサンダル履きで来てたらしく、その流れで裸足になって横断歩道を渡ったとのこと。

そもそも、写真撮影があると分かっていたのになぜサンダル履きなのか。ちゃんとしろよ。

ジョン、ジョージ、リンゴに役割が与えられた

「ポールが裸足=死体説」が広まったことで、調子に乗った誰かが「他の3人にも役割がある」と飛躍させ、「アビイ・ロード」におけるポール死亡説はさらに拡大しました。

その役割とは、

Skitched 20140515 12

右から順に、ジョンは牧師、リンゴは葬儀屋、ポールは死体、ジョージは墓掘人を表現しているのだそうです。

もう好きにしてくれって思います。

車のナンバーがポールの年齢を暗示している

「アビイ・ロード」のジャケットに関する大半の死亡説ネタがツッコミどころ満載で苦笑するしかない中、この「車のナンバー」に関しては初めて知ったときに相当ビックリしました

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アルバムジャケットの左側に白いフォルクスワーゲンが停まっています。その車のナンバーが「28IF」になっているのです。

これは「もしも(IF)ポールが生きていたら28歳だった」という意味になるそうです。

これ、スゴいですよね。よく車のナンバーからそんな説を世に送り出したなあと素直に感服しました。

しかし、これにもオチがあります。

  • 車のナンバーは「28IF」ではなく「281F」。英語の「I(アイ)」ではなく数字の「1(いち)」
  • ポールはこの時、27歳になったばかり。(誕生日が1942年6月18日で、ジャケット写真撮影日は1969年8月8日)

惜しかったね。着眼点は素晴らしかったんだけどね。

裏ジャケットで文字がひび割れている

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アルバム「アビイ・ロード」の、今度は裏ジャケット。

壁に「BEATLES」というパネルが貼られているのですが、いちばん右端の「S」という文字だけ、ひびが入っています。

なのでポールは死んでいるのだそうです。どうして?

そもそも、なぜポールは「S」なのか。ポールの名前のどこに「S」があるというのか。

こういう難癖をつける人って、ひび割れているのが「A」でも「Z」でもポールを死んだことにしたんでしょうね。

もしも横断歩道の上にイヌのウンチが落ちていて写り込んだとしたら、きっとそれもポール死亡説と結び付けたと思いますよ。

「イヌのウンチがある、だからポールは死んでいる」って。

「Come Together」の歌詞

アルバム1曲目に収録されている「Come Together(カム・トゥゲザー)」という曲の中に、以下のフレーズがあります。

He say “One and one and one is three”
(彼は言う、「1プラス1プラス1は3だ」)

ビートルズは4人だが、現在は3人だ、つまりポールは死んでいる、という論理展開なのでしょう。

「アビイ・ロード」を制作している時期、ビートルズの4人は確かに

ポール vs 他の3人(ジョン・ジョージ・リンゴ)

という対立構図にはありました。その理由のひとつはマネージャー問題です。

ビートルズがメジャーデビューする前からマネージャーを務め、メンバーから絶大な信頼を得ていたブライアン・エプスタインが1967年8月に死去。ここからビートルズは迷走を始めてしまいます。

早急に次のマネージャーを決めねばならないということで、ポールが推したのは義父(妻リンダのお父さん)のリー・イーストマン

一方、ジョン・ジョージ・リンゴの3人が推したのは、元ローリング・ストーンズのマネージャーだったアラン・クレイン

ポールはアラン・クレインを一切信用せず毛嫌いしており(実際、このポールの判断は正しかったと後で証明されます)、一方のジョンたち3人はポールを公私混同だと批判し、リー・イーストマンを認めませんでした。

この対立構図があったから、ジョンは自身の楽曲で「1+1+1=3」という小学生の算数論法を用いて、ポールにイヤミのひとつでも言いたかったのかもしれません。ポール死亡説とは関係なく。

なお、ポールは1970年にビートルズの解散とアップル社における共同経営関係の解消を求めて訴訟を起こしました。被告となったのはビートルズの他のメンバー3人。

ポールは勝訴し、法的に認められたことでビートルズは正式に解散となりました。しかしポールは元仲間を訴えたことで猛烈なバッシングにあいます。

本来、ポールはジョンたち仲間ではなく、天敵であるアラン・クレインを訴えたかったのですが、法的な共同経営関係の中にクレインが含まれていなかったため、クレインを被告にすることができず、仕方なくジョンたち3人を訴えるしかなかったのだそうです。

ジョンたち3人とアラン・クレインの関係は結局、ビートルズ解散後の1973年に決裂。両者の間で裁判も起こり、ジョンたちはクレインに対して多額の和解金を支払うハメになりました。

後にジョンは「クレインについては僕の間違いだった」「僕もたまには失敗を犯すことがある」と発言しています。

生きているポールは1993年に反撃した

センセーショナルに広がり、現在もまだ信じ切っている人がいるほどインパクトを与えた「ポール死亡説」。今回紹介したように、根拠とされる大量の説が生み出されていきました。

ポール自身のインタビュー記事により死亡説は徐々に騒がれなくなりましたが、ポール自身も反撃をしています。

ポールは51歳だった1993年に、ライブ音源を収録した「ポール・イズ・ライブ」というライブアルバムをリリースしました。

このアルバムタイトルには、

  • ライブアルバムという意味での「ライブ」
  • 死亡説に対する「僕は生きているよ」という意味での「ライブ」

と、2つの意味を掛けています。

アルバムジャケットもずいぶん話題になりました。

Paul is live

一見して分かる通り「アビイ・ロード」をセルフパロディしたジャケットです。

このジャケットでポールは、「アビイ・ロード」でウワサになった死亡説の根拠をすべて逆手に取ったネタを散りばめています。

  • 裸足だった → クツを履いている
  • 右手でタバコ → 左手で犬のリードを持ってる
  • 一人だけ右足で踏み出した → 左足で踏み出してる
  • 車のナンバーが「28IF」 → 「51IS(いま51歳です)

車のナンバーを見た時は大笑いしました。さすが、タダでは転ばないポールの面目躍如です。

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