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バック・ビート:デビュー前のビートルズが良く分かる映像集その2

2014年1月8日

スチュワート・サトクリフを中心に描いた作品

「デビュー前のビートルズが良く分かる映像集」の第1弾として「アンソロジー」を紹介しましたが、今回は第2弾。

アンソロジー:デビュー前のビートルズが良く分かる映像集その1

ビートルズを好きになったばかりのファンには特にオススメしたい映像作品を紹介する企画。第1弾はメンバー本人や関係者が結成から解散までを語ったドキュメンタリー「アンソロジー」です。

第2弾として紹介するのは『バック・ビート』という映画。1994年に劇場公開されました。

ビートルズを題材とした映画ですが、有名な俳優陣はほとんど出演していません。

また、物語のメインとして描かれているのは、ビートルズの初期メンバーで、ハンブルクでの修行中にビートズルを脱退したスチュワート・サトクリフという人物。スチュという愛称で親しまれていました。

美術学校でジョンの親友だったスチュ

ジョン・レノンは絵の才能もあり、ハイスクールを卒業してから美術学校に進学していますが、その美術学校でスチュと出会い、親友の間柄になっています。

スチュは学生の頃から絵の才能を高く評価されており、美術学校時代に描いた絵画作品が高値で売れ、そこをジョンにそそのかされて、手に入れたお金でベースギターを購入。ビートルズに加入させられます。

ちなみにスチュは、ベースギターが全く弾けなかった。加入当初、ベースが上手く弾けないことを隠すためにスチュはステージ上で観客に背を向けて演奏していたそうです。

スチュはとても美青年で、そのルックスから女性ファンが多く、背を向けて演奏することも逆に「なんだか神秘的!」と予期せぬ効果を生じさせていたんだそうです。イケメンっていいな

スチュが演奏している音源は存在しないと長年伝えられていて、私もそうなんだとばっかり思ってましたが、「アンソロジー」のCD1枚目に収録されている

◆ハレルヤ・アイ・ラヴ・ハー・ソー
◆ユール・ビー・マイン
◆カイエンヌ

の3曲はスチュがベースを演奏しているのだそうです。

Anthology 1
アーティスト:ビートルズ
収録曲数:61曲
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映画『バック・ビート』の大まかな流れ

デビュー前に脱退したこともあり、スチュ自身についての記録はあまり多くなく、従って部分的に創作した描写があるかもしれませんが、映画の大半は実際の出来事に基づいて作られています。

映画『バック・ビート』は、スチュがビートルズに加入してから、ドイツ・ハンブルクでの修業時代、そしてビートルズ脱退、その後に急死する場面まで。スチュの生涯を中心に描かれています。

時系列で書くと、1960年に1回目のハンブルク遠征でビートルズはドイツを訪問。ここでビートルズは、後にスチュだけでなくビートルズというグループにも影響を及ぼす二人の人物、アストリッドとクラウスに出会います。

やがてスチュとアストリッドは恋に落ちますが、ジョージの年齢をウソついて出演してたことが警察にバレてイギリスへと強制送還。

翌1961年、2回目のハンブルク遠征の際にスチュは画家の道を進むこと、そしてアストリッドとの愛を選択し、ビートルズ脱退を決意。イギリスに帰るビートルズの面々を見送り、スチュはドイツで画家としての活動を本格的に開始。

そして1962年、脳出血により急死。まだ21歳の若さでした。

死に至った原因は諸説あり、ケンカの際に殴られた後遺症だとか、酒場で暴行された際の後遺症だとか、いろいろ言われています。映画では「酒場で暴行説」に基づき、冒頭のシーンで壁に何度も頭を強打され気を失う描写があります。

スチュが愛した女性、アストリッド

映画紹介から脱線しちゃいますが、アストリッドとクラウスの二人について解説しないと今回エントリー書いてる意味が半減しますので、しばしご容赦を。

アストリッドはハンブルクに住んでいたドイツ人女性。名前のドイツ語表記は「Astrid Kirchherr」で、「キルへヒル」「キルヒャー」「ケルヒャー」など、解説文献によって日本語の読み方が異なるので、どう読めばいいのか私も分かりません。

アストリッドは1938年生まれ。スチュとジョンが1940年生まれなので、2つ年上だったことになりますね。現在75歳で、今もドイツに住んでいます。

次の項で解説するクラウスがビートルズに惚れ込み、ライヴハウスにアストリッドを連れて行ったのがスチュ(とビートルズ)との出会い。クラウスは、スチュとアストリッドが交際する以前にアストリッドと恋人同士だったという説が最有力ですが、とても仲の良い幼なじみというだけで恋愛関係になかったという説もあったり、単に芸術仲間だったという説もあったり、これまた良く分かりません。

アストリッドはカメラマンを目指しており、若き日のビートルズを多数撮影してまして、その写真の幾つかはビートルズの関連書籍で見ることができます。

IMG 3541

↑第1弾で紹介した「アンソロジー本」にも掲載されてます。右上の写真中央で横を向いてるサングラスの男がスチュ。左下にはアストリッドの自画撮り写真もあります。これらの写真を撮影してるシーンも映画でキチンと描写されてますので、コアなファンはニヤリとできるところ。

アストリッドがビートルズに影響を与えたものとして特に有名なものは2つ。

★マッシュルーム・カット

ビートルズ初期のトレードマークともいえるキノコ風な髪型、通称マッシュルーム・カットですが、これはアストリッドがスチュの髪型をマッシュルーム風にセットしてあげたのが始まりだと言われています。

当時のビートルズたちはリーゼントが主流だったので、スチュのキノコ頭を最初に見た時は大笑いしたりバカにしたりしたらしいのですが(映画でもジョンがバカにしまくってます)、プロデビューが近付き、正式にマネージャーとなったブライアン・エプスタインが服装や髪型などのルックスを改善するよう指導したこともあり、徐々にメンバーはマッシュルームへと変貌していきました。

★ハーフ・シャドウ

ビートルズ2枚目のアルバム『ウィズ・ザ・ビートルズ』のアルバムジャケットは、ファンじゃない人でも見たことあるかもしれません。CMでも使われたし、パロディーで同じようなアルバムジャケットにしたアーティストも多数いるらしいので。

With The Beatles
アーティスト:ビートルズ
収録曲数:16曲
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↑メンバーたちの真横からライトの光を当て、顔の半分が影になるハーフ・シャドウという撮影手法なんだそうです。これを考案したのがアストリッドとのこと。

アルバムジャケットを実際に撮影したのは、ビートルズの写真を多数撮ったことでも有名なロバート・フリーマンというカメラマンなのですが、ビートルズは2枚目のアルバムジャケット撮影の際、以前アストリッドにこの手法で撮ってもらった実際の写真を見せ、「こんな風に撮って欲しい」とフリーマンにリクエストしたんだとか。

もう一人の重要な人物、クラウス

もう一人、アストリッドの元カレ?なクラウスですが、彼の名前のドイツ語表記は「Klaus Voormann」で、「ボアマン」「ヴーアマン」「ブアマン」「フォアマン」と、これまた文献によって違う読み方だらけ。ドイツ語って難しいのねー。

このクラウス、ハンブルク時代にビートルズを好きになった「古くからの友人」という関係だけでなく、ビートルズがデビューして以降も様々な形でその名前が登場してきます。

IMG_3537.jpg

↑まずは、前回の第1弾で紹介した「アンソロジー」のアートワークですね。これを制作したのはクラウス。

他にもクラウスといえばコレ!っていうもの。

★リボルバーのジャケットを制作した

Revolver
アーティスト:ビートルズ
収録曲数:16曲
ダウンロード

 

ビートルズ通算7枚目のアルバム『リボルバー』。このジャケットを作ったのがクラウス。これでグラミー賞だったか、何かの賞をもらったんじゃなかったかな。忘れちゃいました。

★プラスティック・オノ・バンドのベーシスト

クラウスはミュージシャンとしても一流でして、まだビートルズが解散してなかった1969年、ジョンがヨーコと共に「プラスティック・オノ・バンド」というソロ名義みたいな別バンドを結成した際、クラウスはベーシストとして参加しています。

私の大好きな曲の1つで「コールド・ターキー」ってのがあります。これ、歌詞が問題あるってことでイギリスでは放送禁止になった曲なんですけど(それでもそこそこ売れた)、この曲のベースが渋くて好きなんですよ。弾いてるのはクラウスなんです。

 

※この曲、ジョンはビートルズとしてリリースしたかったらしいんですが、他のメンバー3人に猛反対された、とジョン本人が語ってます。

映画『バック・ビート』の見どころ

スチュ、アストリッド、そしてクラウスの解説が済んだところで本題。

★アストリッド役はシェリル・リー

冒頭でも書きましたが、この映画に出演してる俳優・女優の大半はそんなに有名な人ではありません。

そんな中、アストリッド役で出演したシェリル・リーは当時日本でもそれなりの知名度がありました。というのも、大ヒットしたテレビドラマ『ツイン・ピークス』に出てたから

今までの人生で唯一、最初から最後まで全部見た海外テレビドラマ。それも1回じゃなく4回5回と何度も見るくらいハマリまくりました。余りにもハマったせいで海外ドラマの怖さを知り、後にヒットした『24』や『LOST』といったドラマは一切見てません。見るとハマるから。

『ツイン・ピークス』で最初に殺害された女子高生、ローラ・パーマーを演じたのがシェリル・リー。日本でもドラマが大ヒットした際、ローラの亡骸を「世界で最も美しい遺体」などと形容して宣伝するメディアもあったくらい、美人女優として人気が出ました。

『ツイン・ピークス』は映画化もされ、そちらはR指定になりエロ描写が全開。シェリル・リーも脱ぎまくってました。ドラマ版では主要キャストだったララ・フリン・ボイルが、あまりにエロ過激な描写のため出演をキャンセルしたことでも話題になってました。

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【監督】デイヴィッド・リンチ【出演】シェリル・リー、レイ・ワイズ、カイル・マクラクラン、デヴィッド・ボウイ、キーファー・サザーランドAmazonビデオ 字幕版

『バック・ビート』でもシェリル・リーは脱いでます。しかも、いきなり脱ぎます。

アストリッドは様々な文献から「知的」「独創性がある」「物静か」という印象を持っていて、『バック・ビート』でも正にそのイメージで描かれているのですが、いきなり全裸になるところは「えええー?」って正直思いました。でもニコヤカに凝視するんですけどね。オトコだから。

★アストリッドとクラウスの微妙な描き方

スチュが出現するまで、アストリッドとクラウスは恋人同士だったのか友人関係だったのか今ひとつ分からんのですが、映画でもその辺りはなんとなくボヤかしてる印象があります。

たとえば、アストリッドとスチュが初めて結ばれた翌朝、ベッドにいる二人を目撃したクラウスがショックを受け、アストリッドが追い掛けて抱き締める場面があったり、その直後にアストリッドとスチュがクラブに行った際、初めてマッシュルーム・カットにしたスチュをクラウスが歓迎する場面があったり。

よくある「複雑な三角関係」という描写にはなっていません。実際どうだったんだろ。

★ビートルズの各メンバー役が雰囲気あって笑える

これはスチュワート・サトクリフという一人の男の物語ですが、同時にビートルズがデビューする前の物語でもあるわけですので、ビートルズのメンバー(を演じる俳優陣)も登場します。

ジョン役の俳優は、ジョンのシニカルで辛辣で過激で嫉妬深く、しかし情に厚いところ、スチュとの友情が実に微笑ましく描かれてます。風貌はそれほど似てませんが、とてもいい感じのジョンに仕上がってます。

ルックス的に最も似てるのはポール役でしょうね。最初に見ただけで「ポールだ!」と分かるほど顔や雰囲気が似てます。スチュに対して敵対心を隠さず、しかしスチュが脱退して別れる際には「いろいろあったけど頑張れよ!」と、それまでの事を自分で水に流しちゃうキャラもポールらしさが出てます(笑)

ジョージ役も顔はそれなりに似てるけど、この映画で最も悲惨かつ滑稽に描かれてるのはジョージ。最年少メンバーなこともあり、マザコンで弱気、そして女性に対して超プラトニックなキャラ。

ハンブルクでビートルズのメンバーたちが、いわゆる「オトナの階段を上っている」時も、ジョージだけは相手の女性に対して奥手にも程がある態度を取り、私は見てて爆笑してしまいます。ジョージ本人はあれを見てどう感じたんだろう。私がジョージだったら激怒しますよ(笑)

残るリンゴは当時まだビートルズのメンバーではないけれど、数秒間だけ映画に登場します。体調を崩してベッドで寝てる背中だけが写ってるという扱い。

当時ビートルズのドラム担当だったのはピート・ベストで、ピート役を演じる俳優もルックス的には雰囲気が出てます。実際のピート本人は大変無口で物静かだったらしく、映画もそれを正確に踏襲し、ほとんどセリフがありません。ようやくセリフが…と思ったらトンデモナイこと言わせるし(笑) これも本人怒るぞ。

他に関係者としては、ジョンの最初の奥さん(ジュリアン・レノンの母)、シンシア役も登場しますが、髪型も似せてるし、彼女も雰囲気がとても出ています。

★演奏陣が豪華メンバー

映画の中で、ビートルズが歌ってるシーンも数多くあります。しかし映画で使用されている楽曲は「ロング・トール・サリー」「マネー」「ロックンロール・ミュージック」など、全てカバー曲。ビートルズが作ったオリジナル作品は1つもありません。権利関係で使用許諾が下りなかったんだろうな。

演奏シーンはとても迫力があるし、ジョン役の俳優さんは歌もなかなか上手じゃないかとか、ベースが全く弾けないはずのスチュもそれだけ弾けたら十分だろ!と感じるほど見事に演奏してます。しかし実際には、俳優陣は歌ってもないし演奏もしておらず、一流ミュージシャンたちによる影武者バンドが演奏・熱唱してるものを使ってます。

◆ボーカル:デイヴ・パーナー(ソウル・アサイラム)
◆ボーカル:グレッグ・デュリ(アフガン・ウィッグス)
◆ギター:サーストン・ムーア(ソニック・ユース)
◆ギター:ドン・フレミング(ガムボール)
◆ベース:マイク・ミルズ(R.E.M.)
◆ドラム:デイヴ・グロール(ニルヴァーナ)

ライヴハウスでの演奏シーンは全て上記のミュージシャンたちによる演奏曲を使用しています。

唯一、映画の終盤でビートルズが出世した際に、スチュ抜きでトニー・シェリダンという歌手のバックバンドを担当し、「マイ・ボニー」という曲を演奏するシーンがあります。

ここで流れてるのはホンモノの「マイ・ボニー」、つまり本物のトニー・シェリダンが歌って本物のビートルズが演奏&バックコーラスを担当している音源が使用されてます。リリースされたレコード会社が違ったので、この曲だけは使用が許されたんでしょうね。

りくま ( @Rikuma_ )的まとめ

劇場公開が1994年だから、もう20年以上も前の作品になるんですね。当時はDVDではなくVHSビデオでリリースされてましたが、後にDVD化もされています。

でもDVDレンタルショップで置いてるところ、きっと少ないでしょうね。ずいぶん昔の作品だし、小規模なお店には置いてないかも。

ちなみに福岡県内をTSUTAYAのiPhoneアプリで検索してみると、

IMG 3543

↑天神駅前福岡ビル店では取り扱っています。さすが、九州最大の在庫数と言うだけのことはあります。

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カテゴリ: エンターテインメント, ライフスタイル
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福岡在住のビートルズファンでまだ『バック・ビート』を見てない方々、福岡ビル店に急げ!

もしお近くのDVDレンタルショップに『バック・ビート』があれば、是非一度ご覧になってみてください。ちなみに私はDVD持ってます。

最後はスチュが亡くなってしまうのでハッピーエンドというわけにはいかないですが、ハンブルクで悪戦苦闘しつつ磨かれていった若き日のビートルズを目撃することができます。

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