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アンソロジー:デビュー前のビートルズが良く分かる映像集その1

2014年1月7日

数回に分けて紹介します

私自身、ビートルズを好きになって30年以上経ちました。彼等に関する書籍はたくさん読んだし、映像集もいろいろ見ました。楽曲は今も聴き続けています。

解散したのが1970年ですから、今年でもう44年になっちゃうんですよ。なのに現在も世界中で愛されているビートルズ。最近になってビートルズを好きになったよーという方々がいらっしゃるかもしれません。

今回お届けするのは、ビートルズのことをもっともっと知りたいな、という最近ファンになった方々には特にオススメしたい映像集を紹介する企画です。複数ありまして、それらを一挙に紹介するつもりでしたが、全部まとめると長くなり過ぎるので1つずつ分けて紹介します。今回は第1弾。

アンソロジー・プロジェクトとは

今回紹介する「ビートルズ・アンソロジー」は、DVD集の名称でもあるんですけど、本来は映像集を含めた「アンソロジー・プロジェクト」という企画の1つなんです。

アンソロジー・プロジェクトはビートルズ解散から20年が経過した1990年代前半に関係者の間で活動が始まり、ファンを始め世界に発信され始めたのは1995年。

◆映像集 → DVDなど
◆音源 → CDなど
◆書籍

アンソロジー・プロジェクトは上の3つで構成されてます。私は単純に「アンソロジーのDVD」とか「アンソロジーの本」と呼んでます。

初めてお目見えしたのは1995年の大晦日

ビートルズに関するドキュメンタリー映像や書籍などは、ビートルズの過去映像などを使用しつつ誰か第三者が制作したり、あるいは第三者が語ったものを書籍にしたものが大半です。

それらとは違い、アンソロジー・プロジェクト最大の売りは、ビートルズのメンバー本人たち、そして大変近しい関係者たちがビートルズの様々なことについて語っているものをまとめている、ということ。

ジョン・レノンは既に亡くなっていましたが、残るメンバーの3名(ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスン、リンゴ・スター)が様々な出来事について回想しつつ当時を振り返り、またジョン自身が生前ビートルズについて語っていた映像も多数使われています。

このドキュメンタリー映像が最初にお目見えしたのは、1995年12月31日の大晦日。テレビ朝日系列の年末特番として5時間半もの長時間、紅白歌合戦の裏番組として放送されたんです。ファンとしてこんな嬉しい贈り物はなかった。どれだけ狂喜乱舞したことか。案内役は当時「ニュースステーション」のキャスターだった小宮悦子さん。

このドキュメンタリー映像がVHSとレーザーディスクで発売され、後にDVDボックスも発売されました。

私はDVDボックスを買いました。予約開始をニュースで知ったと同時にAmazonで速攻予約したのに、到着したのは発売日の1週間後だったので、物凄くヤキモキしたのを覚えてます。予約が殺到してたんでしょうね。

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▲ VHSは確か8本組のセットだったかな? DVDボックスはVHS2本分をDVD1枚に収録してるので4枚。そして特典映像集の1枚による計5枚のDVDで構成されてます。バラ売りはされていません。

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▲ 4枚のDVDを横に並べると1枚の絵として完成するようになってます(音楽CDのアルバムジャケットもそうです)。

このアートワークを制作したのはクラウス・ボアマンという人。ビートルズのコアなファンなら名前を聞いただけでピンと来る超重要人物。この人については紹介企画・第2弾で詳しく解説しています。

アンソロジー映像集の見どころ

1995年の大晦日にテレ朝系で放送された年末特番は、もちろん日本だけで放送されたわけでなく、アメリカやイギリスなど世界各国でも放送されています(全ての国が大晦日に放送したわけではありません)。

私はVHSに録画して、それこそ何度も何度も繰り返し見ていたので、ほとんど内容を暗記してた状態でDVDボックスを購入しました。DVDの収録内容はほぼ年末特番と同じ。テレビで放送されなかった映像も多数DVDに収録されてますが、反対に「あれ? テレビの特番では放送されてたあの映像がないぞ?」っていうパターンもあります。なんでだろ。

DVD映像についての見どころとして、いろいろ挙げてみます。

★なんと言っても本人たちが出演している

アンソロジーのドキュメンタリー最大の売りは、なんと言ってもメンバー本人たちがビートルズについて語っている点です。

ビートルズがメジャーデビューしてから解散するまでの回顧はもちろんですが、デビュー前、ドイツのハンブルクで修行してた頃の話や、結成直後の様子、バンド加入に至る経緯、そして幼少の頃などを本人が自分の言葉で語っていますので、第三者の伝聞とは違う信憑性の高さがあります。

解散直前時の心境をカメラの前で語るメンバー、特に深く深く溜め息をつきながら当時を回想するリンゴの表情など、本人たちでないと伝えられない切実なリアリティーを感じることができます。

メンバー以外にも、

◆ジョージ・マーティン(音楽プロデューサー)
◆ニール・アスピノール(ロードマネージャー)

といった、ビートルズの歴史を語る上で欠かせない重要人物も多数出演し、ビートルズの歴史を語ってくれています。

★ポールとジョージが一緒にいる光景

ビートルズが解散した原因の一つはメンバー間の不和。特にポールとジョージの仲が険悪だったことは有名です。

ビートルズのレコーディング風景を記録する映像作品という主旨で制作された映画『レット・イット・ビー』でも、ポールとジョージが演奏を巡って口論しているシーンが収録されています。

※ちなみに映画『レット・イット・ビー』は現在も権利関係でモメているのか、映像がDVDなどで発売されておらず、非公式の海賊版のみが出回っている状態。上記したポールとジョージの口論シーンは『アンソロジー』にも収録されています。

ビートルズ解散後、ジョンとポールは互いを中傷し合う楽曲で「音楽によるケンカ」を世間に公開した状態でヤラかすのですが、ジョンがリリースしたアルバム『イマジン』に、ポールの悪口をズラリと歌詞に並べた「ハウ・ドゥ・ユー・スリープ」という曲があります。

How Do You Sleep?

How Do You Sleep?

収録アルバム『ImagineJOHN LENNON EMI UK BeatlesAmazonデジタルミュージック

このアルバム『イマジン』にジョージも参加してまして、「ハウ・ドゥ・ユー・スリープ」のレコーディング中、ジョンから「これは悪意のある曲だから、もっと悪意を込めて弾いてくれ」というリクエストがあり、それに応えてジョージがジャカジャカ弾いてます。よっぽど嫌いだったんかいな、と思わせられるシーン。

その後もポールとジョージは表向き共演などはなく(プライベートでは分かりません。ジョンとポールも1970年代後半はプライベートで交流していたそうですから)、久々にポールとジョージの名前が一緒に出たのは1981年。

当初はリンゴに贈る曲だったAll Those Years Ago(邦題は『過ぎ去りし日々』)という曲の制作中にジョンが死去。急きょジョージは歌詞を追悼曲として書き直し再録音。更にその後ポールがレコーディングに協力し、結果的にビートルズ解散後、初めてポール、ジョージ、リンゴの3人が(実質的に)共演した作品となりました。

All Those Years Ago

All Those Years Ago

収録アルバム『Somewhere In EnglandGeorge Harrison ParlophoneAmazonデジタルミュージック

※ちなみにポールはジョンの追悼曲として「ヒア・トゥデイ」という名曲をリリース。昨年2013年、久々に来日して福岡や東京などでライヴをした際も歌っています。

Here Today (Remixed 2015)

Here Today (Remixed 2015)

収録アルバム『Pure McCartney (Deluxe Edition)Paul McCartney Universal Music International Ltda.Amazonデジタルミュージック

話を戻しますが、ジョージのジョンに捧げる追悼歌「All Those Years Ago」からアンソロジーまで、さらに10年以上かかってるんです。

しかも1981年の時は公にポールとジョージが一緒になってメディアに登場した訳でもないので、解散後、ポールとジョージが一緒にいる姿をファンが見られたのは、たぶんアンソロジーが「最初で最後」じゃなかったのかな。

お互いに笑顔で過去を語り合ったり、スタジオで互いを見つめながら演奏する光景は、長年の確執を知るファンにはグッとくるものがありました。

※2001年、ジョージが亡くなる2週間前にポールは病床のジョージを見舞い、二人は一緒に歌ったりしながら談笑。最後に握手をして別れたんだそうです。

ジョージの訃報を聞いたポールは取材に対し、「あんなに長いこと一緒にいたのに、ジョージと握手したのはあの時が初めてだった」と語ったそうです。たぶん記憶違いだと思いますけどね、ポールのことだから(笑)

★未公開映像や未発表曲がたくさんあります

アンソロジーには、それまであまり公開されてなかった秘蔵映像なども多数収録されています。バカンスの様子だったり、バラエティ番組に出演して司会者とギャグを言い合ってる場面だったり(これ大好きです)。

また、ビートルズになる以前に録音していた音源も収録されていて、

◆「イン・スパイト・オブ・オール・ザ・デンジャー」や「ハロー・リトル・ガール」など、ジョンが10代の頃に作ってた未発表オリジナル
◆ジョンが敬愛していたバディ・ホリーの名曲「ザットル・ビー・ザ・デイ」のカバー
◆ビートルズをオーディションで落としたことにより「音楽史上最大の失敗」と酷評されたデッカ・レコードでのオーディション時の音源(「スリー・クール・キャッツ」など)
◆ハンブルク修業時代にトニー・シェリダンのバックバンドとしてレコーディングに参加した「マイ・ボニー」

などなど、書籍で読むなどして存在は知ってたけど聴いたことのない曲や、存在そのものすら知らなかった未発表曲まで聴くことができ、感激したものです。これらの音源は、後述するアンソロジーCDにも収録されています。

★ビートルズの「新曲」2曲のビデオクリップが収録されている

アンソロジー・プロジェクトで最も話題になったのが、「ビートルズ25年ぶりの新曲」と各メディアで熱狂的に報じられた2つの楽曲、「フリー・アズ・ア・バード」と「リアル・ラヴ」のリリースでした。

「フリー・アズ・ア・バード」という曲自体は、ジョン・レノンが生前(1977年頃だそうです)録音していた未発表のデモテープを、1994年にオノ・ヨーコがポールに直接手渡しして、完成を託したのだそうです。

これを受けてポール、ジョージ、リンゴの3名が集結し、曲の後半や間奏など未完成部分を共作。プロデューサーのジェフ・リンを始めとするエンジニアたちの熱意ある編集作業もあって「新曲」が完成。メインヴォーカルは生前のジョンですからね。本当に「4人で作った新曲」なんです。

録音状態がそれほど良くなかった事に加え、ジョンが演奏していたピアノの音や各種ノイズを除去する編集加工作業がとても大変だった、とプロデューサーのジェフ・リンが「アンソロジー」の中で語っています。

Free As A Bird

Free As A Bird

収録アルバム『Anthology 1The Beatles EMI CatalogueAmazonデジタルミュージック

「フリー・アズ・ア・バード」のビデオクリップがとにかく秀逸。活動中の映像、様々な楽曲のPVで使用されたシーン、主演した映画でのワンシーン、曲名にちなんだネタなどが映像の大半に散りばめられていて、元ネタが幾つ分かるか、コアなファンには宝探しをしてるような素敵なビデオクリップに仕上がってます。

もう1つの新曲「リアル・ラヴ」も同様にジョンの未発表曲を3人でアレンジした作品。ビデオクリップには、前述した通り長年不仲だったポールとジョージがハグする場面もあり、それだけで感動できます。

Real Love

Real Love

収録アルバム『Anthology 2The Beatles EMI CatalogueAmazonデジタルミュージック

他の「アンソロジー・プロジェクト」作品

最初で書いた通り、アンソロジー・プロジェクトとしてリリースされた作品は、映像集の他に「音源」と「書籍」があります。音源は2枚組CDが3作リリースされており、1から3までナンバリングされています。

未発表曲の数々に加え、公式曲のレコーディング初期状態のテイクも収録されていて、たとえば「ノー・リプライ」という曲ではジョンが何を間違えたのか途中から爆笑して歌い続けたり、「ワン・アフター・909」ではメンバーが何かしら口論してたり、「アイル・ビー・バック」をジョンが作った当初は全然違うリズムであることが分かったりと、ファンには興味深い音源がたくさんあります。

残すは書籍ですが、これは2000年に発売されました。書籍も発表と同時に速攻予約しましたよ。値段高かったけど、これを読まずしてビートルズは語れない!という内容になってます。映像集と同じく、メンバー本人たちの発言を中心に構成されてるドキュメンタリーな内容なので、新たな発見も多数ありました。

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▲ 我が家にある「アンソロジー・プロジェクト」の全て。左上がDVDボックス。左下がCDの1作目。右のデカイのが書籍。

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▲ MacBook Airの13インチと比較してみると、この大きさ。デカイんです。

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▲ そして、とても分厚い! 何と比較するか散々迷った挙げ句、なぜかゲームのパッケージを持ってきてしまいました。

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▲ 知ってる写真、知らない写真、ビートルズのメンバーを写した大量のフォトに加え、文章量がハンパありません。これ1冊でビートルズのことが全て分かるんじゃないかな。ちなみに年表みたいな「時系列の説明」がないため、ある程度ビートルズのことを知ってから読まないとピンと来ない箇所があるかもしれません。

りくま ( @Rikuma_ )的まとめ

アンソロジー自体のボリュームが物凄いため、説明も長くなってしまいました。

「デビュー前のビートルズが良く分かる」というタイトルですが、このアンソロジー・プロジェクトはデビュー前もモチロンのこと、結成から解散までもかなり詳細に知ることができます。本人たちの言葉ですからね。

インタビューなどのドキュメンタリー作品というだけでなく、ライブでの貴重な映像や、シングル曲のプロモーションビデオ映像も多数収録されていますので、純粋にビートルズのミュージックDVDとしても楽しむことが出来ます。

さらに踏み込みたくなったらCD(あるいはiTunes)、そして書籍とハマリこんでいくのもいいですね。でも値段がそれなりにしますので、購入する際はお財布としっかり相談してからにしましょうね。

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