JR枝光駅の正確な場所を知らなかった
今回のウォーキングの起点、JR枝光駅。読みは「えだみつ」。
北九州市に移住してきて35年を過ぎたのだが、枝光駅に来たのは今回が初めて。もっというと、枝光駅の正確な場所すら把握していなかった。
枝光駅前に架かる歩道橋の上から南方面を撮影。駅から5分ほど歩けば「ジ・アウトレット北九州」に着く。
ジ・アウトレット北九州や「いのちのたび博物館」などがある東田エリアは、もともとは新日本製鐵・八幡製鉄所の敷地で、一般人は立ち入ることができなかった。
昔のJR鹿児島本線で枝光駅と八幡駅を結ぶ区間は、東田エリアを迂回するよう現在よりも遠回りに線路が敷かれていた。
私が北九州市に移住した頃は、まさにその「遠回りな鹿児島本線」だった頃。電車には何度か乗ったが、当時は北九州市の地理や歴史、東田エリアの事情など何ひとつ知らなかった。
1980年代後半、高炉や生産拠点が他エリアに次々と移転したことで、東田エリアは製鉄所としての機能が停止して遊休地となった。
その広大な遊休地を有効活用するために建設され、1990年(平成2年)4月にオープンしたのがテーマパーク「スペースワールド」である。
東田エリアの再開発により、それまで遠回りに敷かれていたJR鹿児島本線も東田エリアを最短距離で走れるよう移設された。
そのタイミングで1999年(平成11年)、枝光駅と八幡駅の中間地点に開業した新駅が「JRスペースワールド駅」。スペースワールドの開業から9年後だった。
スペースワールドが開園してから新駅(スペースワールド駅)が開業するまでの9年間、スペースワールドの最寄り駅は枝光駅だった。当時の人々は電車を利用してスペースワールドに遊びに行くとき、上の写真にある道路を歩いて向かったことになる。
なお、スペースワールドは2017年(平成29年)12月末で閉園。その跡地に再建され、2022年(令和4年)4月に開業したのが「ジ・アウトレット北九州」である。
望玄坂の長い階段を歩き、頂上から眺めた風景
「望玄坂」という長い坂道のスタート地点。
枝光駅の東側、少し離れた山の上に「九州国際大学付属中学・高校」があり、通学路として望玄坂が利用されていると小耳に挟んだので今回やって来た。
階段の横にはバリアフリーのスロープ。最初はスロープを歩いたが傾斜キツくて歩きづらい。むしろ階段のほうがラクチンだった。
望玄坂の中間地点あたり。右側には引き続き階段とスロープが続いており、左側には細い車道が奥へと延びている。今回は階段を上り続ける。
望玄坂はまだまだ続く。階段をゆっくりしたペースで歩いているため、最初に不安視したほど疲れてはいない。
望玄坂も頂上へと近付いたあたりで、左側に小さな階段を発見。おそらくここが九国大付属高校の裏側入口なのだろう。
あまり中をジロジロ見ると不審者として通報されてしまいそうだったので(最近そういうニュースを目にした)、詳しくは見ていない。
さらに階段を上り、ようやく望玄坂の頂上地点に着いた。
望玄坂の頂上で後ろを振り返ると、八幡東区の風景が眼下に広がっていた。とても素晴らしい眺望で、おお〜と唸る。ものすごい達成感。
洞海湾、若松区、旧八幡製鐵所の世界遺産、ジ・アウトレット北九州、東田第一高炉、皿倉山、北九州都市高速、全部見えている。
北九州市立美術館まで遠征
進路を南に変え、山間部の住宅地を抜けていく。
途中、「北九州市立大場谷小学校」と書かれた校門があった。奥にはグラウンドが今も残っている。
大場谷小学校は2003年(平成15年)3月に閉校となり、校舎はその後に解体されたのだそうだ。
Googleマップで「枝光日の出1号線」と書かれた道路に合流し、進路を南東へ。
山の中腹、標高の高い場所にある細い道路で、八幡東区の風景がめっちゃキレイ。
「枝光日の出1号線」道路の幅は狭い。車の往来はそこそこあり、バスも通る。歩道がないので車が接近したときは端に寄って通過するのを待った。
ウォーキングには正直向いていない道路だが、なんせ景色が良い。
国道3号線・戸畑バイパスの下に設置されたトンネルをくぐる。トンネルの中間付近が八幡東区と戸畑区の境界線になっていた。
トンネルから徒歩10分ほど、かなり傾斜のキツい上り坂を進み、北九州市立美術館に到着。
前回訪問は10年近く前か。当時小学生だった娘の絵がここに展示されたので見に来た。
北九州市立美術館は映画『デスノート』のロケ地としても有名。
映画の終盤に登場する美術館で、主人公・夜神ライト(演じたのは藤原竜也)の恋人・秋野詩織(香椎由宇)を、FBI捜査官の南空ナオミ(瀬戸朝香)が銃撃するシーンなどは北九州市立美術館で撮影されている。
上の写真は市立美術館に入ってすぐ、エントランスの正面にある階段。この階段では、殺人鬼・キラによる連続殺人事件の捜査本部長でもある夜神総一郎(鹿賀丈史)に、息子である夜神ライトが「僕を捜査本部に入れてくれ」と懇願するシーンが撮影された。
上の写真は美術館スタッフさんに撮影許可を得て撮影しています。
市立美術館の入口を出ると、景色がめーっちゃキレイ。これを見られただけでも戸畑区まで遠征した甲斐があったというものだ。
枝光公園の周辺は急勾配の坂道だらけ
市立美術館でUターンし、再び「枝光日の出1号線」道路を今度は北西に進む。
山の中腹には住宅の合間を抜けて、階段が地上まで長く延びている。こういう風景をあちらこちらで目にした。
八幡製鉄所の労働者たちが次々と住み始めたことで平地に住居の建設スペースがなくなっていき、山の上に次々と住宅を建てていったのだという話を以前に聞いたことがある。
枝光公園に到着。
当初の予定では、このまま北へ進むはずだった。しかしGoogleマップを見てみると、枝光公園のすぐ隣りに「アクティブリゾーツ福岡八幡(旧八幡ロイヤルホテル)」の跡地があるのを発見。
ホテル跡地を前回訪問してから3ヶ月が経過したし、また写真を撮りに行かねばと思っていたところだった。
ナイスタイミングだったので、ホテル跡地に寄っていくことにした。
軽い気持ちで枝光公園の周囲を囲む細い道路を進み始め、すぐに気付いた。下り坂の傾斜がヤバすぎる。
かなり急勾配で、坂というよりはもう急斜面。雪が積もったら余裕でスキーができる。スケボーに乗って下りたら時速100kmくらい出る。
あまりにも傾斜がキツすぎて普通に歩くことができない。歩幅をかなり狭くしてヨチヨチ歩きのように少しずつ進む。両脚の太ももに猛烈な負荷が掛かる。
確かにGoogleマップではすぐ隣りだが、平面の地図なので高低差までは分からなかった。それが失敗のモトだった。
よく考えれば、山の中腹から地上まで一気に下りる道路なのだ。そりゃあ急勾配なのは当然。それに早く気付けば良かった。
いったんは引き返したが、やっぱり思い直して坂を最後まで下り、地上に着いた。太ももがパンッパンになった。
3ヶ月前に来たときはまだ工事中で柵に覆われていたホテル跡地だが、今回は工事が終了しており、柵も撤去されていた。
詳細についてはアクティブリゾーツ福岡八幡跡地の別記事にて紹介する。
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アクティブリゾーツ福岡八幡の跡地、更地となる【2023年12月】
北九州市八幡東区、旧スペースワールド横にあった「アクティブリゾーツ福岡八幡(旧:北九州八幡ロイヤルホテル)」。2022年9月で閉館した後に解体工事が始まっていたのですが、その工事は終了したようです。2023年12月現在の現地の様子を写真に撮ってきました。
坂を下りるのにかなりの体力と脚力を消耗してしまったので、このまま平地を歩いて枝光駅まで戻る手もあったが、それでは面白くない。
今度は意を決して急斜面の坂を上り、山の中腹まで戻ることにした。
上り坂のスタート地点からして傾斜がキツすぎる。角度、45度くらいあるんじゃなかろうか。
坂が視界に入っただけで心が折れかけたものの、坂を下りたのは自分の判断。やっぱり当初予定していたコースまで戻ろう、と気合いを入れて上り始める。
気合いは入れたがハードなことに変わりはない。さっきは急勾配の下り坂で太ももがパンパンになり、今度は急勾配の上り坂でふくらはぎがパンパンになった。
なんとサディスティックなウォーキングだろう。もはや登山だ。
ヘロヘロになりながら枝光公園の入口まで坂を上り終え、
「2023年、よく頑張った! 良いお年を!」
と思った。大晦日まであと4週間あった。
九州国際大学付属高校を初訪問
枝光公園から北へ直進し、再び望玄坂の中間地点に来た。
ウォーキング前半では右側の階段を上って行ったのだが、今回は左側にある道路を進む。次の目的地までの最短距離だったのだ。
生活道路なのもあり、少なくない車が通過していった。道幅は狭く、対向する車同士がすれ違うときは片方が停止しなければならないほど。
さすがにここまで狭い道路を学生に歩かせるのは危険だし、だから望玄坂を整備して通学路としたのだろう。
九州国際大学付属中学・高校の正門に到着。中学と高校が同じ敷地にある私立校。
山の上にある高校なのもあり今まで見たことがなかったのだが、今回初めて校舎を見た。
体育館からは何の部活だったのか、男子学生たちの元気な声が響いていた。
牧山展望公園からは戸畑区が一望できる
九国大付属高校の前を通過してから北へ進み、坂を上って高峯霊園の西端にある道路に出ると、上の写真のような風景が広がっていた。今回のウォーキングは眺めの良い場所がとても多かった。
おそらく目の前に広がっているのは戸畑区の風景なのだろうとは思うが、見知った建物を発見できなかったので、どのあたりの街並みなのかは把握できなかった。
唯一、右端に小倉北区の高層ホテル「リーガロイヤルホテル小倉」が見えている。あの辺りがJR小倉駅になるのだろう。
今回最後の目的地、牧山展望公園に到着。公園のすぐ近くには県立戸畑工業高校があった。
公園のいちばん高い場所に上ってみた。
「展望公園」と名前がついているくらいだから、さぞかし良い眺めなのだろうと期待して来たのだが、さっき高峰霊園西端の道路から見た景色と基本的に同じ。
公園のすぐ下に民家が並んでいるのが風景としてはマイナスポイントかな。高峰霊園西端の道路からの眺めのほうが個人的には好き。
1つだけポイントが高かったのは、戸畑工業高校グラウンドの向こうに若戸大橋が見えたこと。
若戸大橋の手前にはイオン戸畑ショッピングセンターの看板も見えている。(若戸大橋もイオンも高峰霊園西端の道路からは見えない)
こうやって見ると、牧山展望公園は枝光駅と戸畑駅のちょうど中間あたりに位置しているのだと分かる。
荒手エリアから急勾配の下り坂を進む
牧山展望公園の西にある路地に下り、枝光駅に向かう。
途中、遠くに小高い山が見えた。山の上には「都島展望公園」がある。今年3月に初めて行った。
都島展望公園は「戸畑区の有名な桜の名所」のひとつとして別記事に載せている。
荒手1丁目を進んでいると、向こうに九国大付属中学・高校の建物が見えていた。こうやって眺めるとデカい。しかし枝光駅方面からは全然見えないのだ。
ちなみに九国大付属中学・高校は少しグレーっぽい色をした校舎だが、その手前にある白い校舎とグラウンドは北九州市立・枝光台中学。
荒手エリアから地上へと繋がる道を調べてみたら、上の写真にある坂道が最短距離のようだった。
またしても急勾配の下り坂。ヨチヨチ歩きのペースでゆっくりと坂を下る。再び太ももがパンパンになった。
やっと地上に戻ってきた。なんというハードなウォーキングコースだったことか。2023年に歩いたすべてのコースの中で圧倒的にいちばん疲れた。
JR枝光駅に戻ってきた。めちゃくちゃ疲れたが、初めて訪れた場所ばかりで楽しかったし、何よりも市街地を見下ろせる景色の数々が素晴らしかった。
今回の歩行時間は2時間45分。歩行距離は9.33km。