2年の歳月を経て遂にこの日が来た
2017年2月18日(土)、北九州スタジアム改め「ミクニワールドスタジアム北九州(略称ミクスタ)」の完成後、初のスポーツイベント開催となるラグビーのスペシャルマッチ「サンウルブズvsトップリーグ・オールスターズ」を観戦するため、現地に行ってきました。
JR小倉駅のコンコースを南口から北口へと向かいます。
新幹線口(北口)の新幹線のりば。新幹線でミクスタ観戦に行く人は、改札を出て右に進むと覚えましょう。
JR小倉駅の北口に出ます。目の前にある背の高い建物は「リーガロイヤルホテル小倉」。
博多駅の筑紫口と博多口を間違える人はよくいますが、小倉駅の北口と南口はあんまり間違える人いないんじゃないかな。キャプテンハーロックやメーテルの銅像があれば、そちらが北口です。
キャプテンハーロックの銅像付近を過ぎると左折する方角に長い「動く歩道」が伸びています。これをひたすら直進。
この日はスタジアムへと向かう人々で混雑していました。この光景が日常になればいいですね。
動く歩道の終点まで来たら右折。案内板に「スタジアム」の文字が反映されていました。
西日本総合展示場の横にある広場を横断します。
ミクニワールドスタジアム北九州の勇姿。
2015年4月に着工して以来、ずーっと見続けてきたんですよ。当ブログでも2年近く写真を掲載してきました。ようやくスタジアムの中に入ることができます。スタジアムと群衆が見えた瞬間にテンション爆上がり。
スタジアム西側にある広場。約2週間前に来たときはまだ立入禁止だったのですが、ようやく入れるようになりました。
歩道橋も2週間前は立入禁止でしたが、やっと開放されたようです。
歩道橋を渡って反対側の歩道に下りるものだと思ってたのですが、歩道橋の先は「西ゲート」になっており、ここからスタジアムに入場するようになってました。歩道には下りられません。
そんなこととは知らず人の波に身を任せて進んでいたら、いつの間にかスタジアム敷地内に入ってしまいました。もっとスタジアム外側の写真を撮りたかったのだけど想定外な展開に…。
スタジアム内に初潜入
西ゲートを通過してすぐ正面に、メインスタンド(有料指定席)の入口ゲートがあります。その入口ゲート横からスタジアムの中を覗くことができました。嬉しすぎて心の中でガッツポーズ取ってました。
今回購入したのは自由席チケットだったので、メインスタンド側には入れません。本当はメインスタンド側の指定席を買うつもりだったのに売り切れだったんですよ。
メインスタンドのみが有料指定席で、他の3方向のスタンドは自由席となってました。今後のサッカーの試合でもそうなるのかな? 上の写真は南サイドスタンド。
スタジアム1階部分。早くも売店が稼働していて、サンウルブズのグッズなどを販売していました。
指定席には入場できないので、スタジアム外側の連絡路を歩いて2階北ゲート付近へ。こちらも売店が幾つかあり、特設ステージでは選手のトークショーをやってました。
高所恐怖症にはツラい3階席
北サイドスタンド。正面には大型ビジョンも見えます。
左手前が北サイドスタンド。グラウンドの向こう、右側が南サイドスタンド。その左側がバックスタンドです。
北サイドスタンドから反対側の南サイドスタンドを見るとこういう感じ。北サイド、南サイドとも観客席は3階まであります。
北サイドスタンドの2階に上がってメインスタンドを撮影。メインスタンドは4階席まであります。
敷かれたばかりの芝生が本当に綺麗でした。新しいスタジアム! という実感が湧きます。
海に面したバックスタンドは1階席のみ。
完成予想図は何度も見ていたし、バックスタンドが1階だけという情報は事前に知っていましたが、完成したバックスタンド側の風景は想像を超えていて圧倒されました。
バックスタンドのすぐ後ろが海、その向こうには山があるんですよ。この光景が予想していたよりも遙かに綺麗で、「スゲー!」と圧倒されました。北九州市の景色じゃないみたいだ! ハワイのスタジアムだよと言っても信じちゃう人いるよね? 1人くらいいるよね?
余談ですが、観客席にいた見知らぬ女性が、一緒に来ていた男性に「あの海の向こうって下関?」と質問していました。下関市と向かい合ってるのは北九州市の門司区。ここは小倉北区。北九州の海の向こうが全て下関市なわけではないからね。
北サイドスタンドの3階席に上ってみました。ちなみに私、高所恐怖症です。
写真を撮ろうとグラウンド側を振り返ったら想像以上に高くて怖い!
南サイドスタンドの最も高い位置にて、左手でiPhoneを、右手でスタンド席の鉄柱を握りしめて、かなり腰が引けた体勢での撮影。
この日は風速7メートルの強風がビュービュー吹いており、風で身体を持っていかれそうな恐怖と、上る前に楽観視してたのを激しく後悔するほどの高さがミックスされて、オシッコをチビるかと本気で思いました。上の写真を撮り終えてから速攻で下りた!
身を震わせながら1階席まで下りてきました。もう安心です。
目の前に海! ピッチはゼロタッチ!
北サイドスタンドを抜け、バックスタンド側の通路へ。通路と海を隔てるフェンスが想像以上に低かったため、岸壁や船舶がメッチャ近くに見えます。もうちょっとフェンス高いだろうと想像してましたが、予想外の低さに笑ってしまいました。
ご覧のとおり、スタンドのすぐ前が海です。本当に「すぐ前」。
今回の試合では後半に選手の蹴り出したボールがバックスタンドのフェンスを越えて海に入ってしまいました。記念すべきミクスタ初の海ポチャを見て観客は大喜び。蹴った選手は真剣に試合をしてたから、全く笑ってなかったですけどね。
上の写真ならバックスタンドと海との距離がよく分かっていただけるのではないでしょうか。たぶん1メートルくらいしかないです。バックスタンド席の下側は通路になっており、「東ゲート」から入ることができます。
2年前にスタジアムが着工された際、港の部分はどうなるんだろう、とブログでも書いたのですが、港はそんまんまで、岸壁部分の大半が削られてスタジアム部分に変わってました。
どこがどう変わったのかは2年前に書いたエントリーに掲載している写真と見比べてみてください。私も実際に写真を見比べてみて、これほどまで海に接近したスタンド設置にするとは思っておらず驚きました。
バックスタンド側から見たメインスタンド。
バックスタンド席は、来た時点で8割ほど埋まってるという人気っぷり。自由席の人気度は、南スタンドが1番、バックスタンドは2番かなと予想してたんですよ。だからバックスタンドがここまで人気だとは予想外でしたが、眺めてみて理由が分かりました。
まずフィールドとの距離がものすごく近い。特に今回開催されたラグビーは選手同士が激しく衝突する肉弾戦ですから、それをわずか数メートルしか離れてない目の前で見られるというのはスゴい迫力です。
バックスタンド席の最前列は、すぐ目の前を走るフィールド上の選手と目線がほぼ同じ高さになります。これを「ゼロタッチ」と呼ぶそうです。
選手と同じ目線のゼロタッチで試合を観戦することが出来て、しかもサイドラインとスタンド席との距離が数メートルという驚異的な近さ。この席に座って実際に試合を見るとド迫力なのは間違いありません。
さらにスタンド席とグラウンドとの間にフェンスや網などが全くない。油断してるとボール飛んできますよ。スマホ見るなどして「よそ見」してる場合じゃないぞ。
それにしても、この低さと近さは驚きました。テレビ観戦では絶対に体験できない臨場感と迫力を味わえます。
こちらが南サイドスタンドの2階席。正面が北サイドスタンドで、右側に大型ビジョンがあります。
大型ビジョンの右下にはバックスタンド席。その向こうには海、そして山、そして青い空。天気がいい日は最高な景色。ホント感動しました。
広島のマツダスタジアムに初めて行った時も感動したけど、その比ではない。だって、こんな素晴らしい景色のスタジアムが「我が街・北九州」に完成したのですから。
こんな素敵な景色が見られるスタジアム、なかなか無いですよ。
南サイドスタンドから見たメインスタンド。
南サイドスタンド下にある通路に出て、JR小倉駅の方向を撮ってみました。手前にあるのが西日本総合展示場。その延長線上、写真の中央付近に(見えてはいませんが)JR小倉駅があります。
スタジアム側の発表では小倉駅から徒歩7分とのことですが、ゆっくり歩いて徒歩10分くらいで着くと考えればいいです。
トップリーグ・オールスターズvsサンウルブズ
今回サンウルブズの対戦相手となる「トップリーグ・オールスターズ」の選手たち(=黒いユニフォーム)が練習を開始しました。
円陣を組むトップリーグ・オールスターズの選手たち。
トップリーグというのはラグビーの日本国内リーグ(サッカーでいうならJリーグ)。今回のオールスターズは、その国内リーグに所属している選手や、サンウルブズに所属している選手たちの中から選抜された人たちによるスペシャル・チームです。
福岡を拠点に活動している「10神ACTOR」(テンジンアクターと読むそうです)が歌ってるところ。
このあと、北九州市長の北橋市長による「こけら落とし」の挨拶があったのですが、北橋さんのテンションが今まで見たことないほど高かった(笑) 世界遺産登録されたときでさえあんな興奮した声じゃなかったのに。
これだけ素晴らしいスタジアムが出来たらテンション上がるのも無理ないです。北橋市長を始め自治体の皆さんも相当苦労されただろうし。スタジアム建設に反対した人もかなり多かったらしいですから。完成した今でも文句言ってる人いるくらいだし。うちのブログ記事に対してもSNSで文句言ってくる人いましたよ。知るかっちゅうねん。
練習時間とセレモニーが終了し、オレンジのユニフォームを着た「サンウルブズ」の選手たちが入場してきました。
サンウルブズは、南半球のラグビー強豪国(ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカ、アルゼンチン)にあるクラブチームで結成された「スーパーラグビー」に2016年から参戦した日本のクラブチーム。
今回の試合(サンウルブズvsトップリーグ・オールスターズ)を私は当初、フレンドリーマッチ(親善試合)の類いだと思ってたのですが全然違ってて、サンウルブズのスーパーラグビーは開幕間近なんだそうです。(2017年の初戦は2月25日(土)、秩父宮ラグビー場)
なので親善試合というよりは壮行試合のような位置付けらしく、プロ野球でいうならWBCの日本代表チームとパ・リーグ選抜チームが対戦するような感じだそうです。近くの席の人が説明してました。
今回は北九州市の新スタジアム完成を記念した試合であり、私のように「新スタジアムが見たい」という理由で観戦に来た人も多かったと思いますが、同時に「サンウルブズの試合が見たい」という理由で観戦に来た県外からのお客さんも結構多かったようです。いろんな地方の方言を耳にしました。
ラグビーファンにとっては貴重な試合であり、そういった試合を北九州市に誘致できたというのは素晴らしいことだな、という意味でも感動しました。
キックオフ。試合が始まりました。ラグビーの試合を生で観戦するのは初めて。
私は南サイドスタンドの2階席最前列で観戦しました。南サイドスタンドは西からの風が東側の海へと抜ける通り道のような構造になっており、むちゃくちゃ寒かった。
普段とても寒さに強い私は、天気も良さそうだし、それほど寒くならないかもしれないと思いつつ、でも海が目の前だし、風が強かったら寒くなりそうだなと考え、年に1〜2回しか着ない厚手のコートを着て行ったのですが、この判断は大正解。
この日の北九州は快晴だったものの、最高気温10度で最大風速7メートル。ただでさえ体感温度が低くなるのに「風の抜け道となる南サイドスタンド」だったので、シャレにならんほど寒かった。
寒い時期にこのスタジアムで観戦する方々は1枚多めに上着を持っていったほうがいいです。冬場に薄着だと冗談抜きで凍死します。
※逆に夏は涼しくて良さそうだけども。
1階席から観戦する迫力には負けるけれど、2階席も前方にせり出しており、近くでプレイしているときには全体がとても見やすかったです。
さすがに反対の北サイド側でプレイしてる時は何やってるか全然分からなくて大型ビジョンばかり見てましたけどね。そういう意味では大型ビジョンを正面から見られる南サイドスタンドのほうが北サイドスタンドよりオススメ。だから私は南サイドに行きました。寒くなければ最高だった。
今回トップリーグ・オールスターズのキャプテンは北九州市出身で高校時代まで北九州で過ごした山田章仁選手。
上の写真のパス直後、右端にフリーで立っていた山田選手にボールが繋がり、そのまま山田選手がトライ成功。ミクスタの記念すべき初トライを地元出身の山田選手が決めたことで、スタジアム全体が物凄い大歓声でした。私も叫びました。
山田選手のトライで逆転した3分後、再びトップリーグ・オールスターズの選手が今度はサンウルブズのパスをインターセプトしてセンターライン付近から独走し、余裕のトライ。
スタジアム全体がめちゃくちゃ盛り上がって、完全にトップリーグ・オールスターズを応援する空気が出来上がってしまいました。ラグビーの試合自体もそうだけど、観客の大歓声と熱気には圧倒されましたね。ギラヴァンツの試合でも盛り上がって欲しいなあ。
試合は再逆転に成功したサンウルブズが24対12で勝利しました。ノーサイド(試合終了)の笛が鳴り、TVインタビュー用のボードがピッチ上に立てられ、向こう側では両チームの選手たちがバックスタンド側に並んで挨拶してるところ。
インタビューに応じたサンウルブズの主将、立川理道選手が「トップリーグ・オールスターズのトライで盛り上がってたけど、サンウルブズにも応援をお願いします」と語って笑いを取ってました。
この試合はCSの「J SPORTS」で生中継されており、当日夜10時から録画放送され、私も見ました。実況陣やゲスト、そして試合をした選手たちが新しいスタジアムや試合中の雰囲気を絶賛してました。プレイする側も見る側も素晴らしい試合になって良かった。
また放送の中で触れられていたのですが、この試合でのボールボーイは北九州市八幡西区にある東筑高校(=高倉健さんの母校)のラグビー部員が担当していたそうです。日本トップレベルの攻防を目の前で見ることが出来て貴重な体験となったことでしょう。
夕方に用事があったため、試合が終わるとすぐスタジアムを去りました。私と同じく大勢の観客が試合後すぐにスタジアムをあとにしており、「動く歩道」が今まで見たことのない混雑っぷりで壮絶でした。
一方で試合終了後もしばらくスタジアムに残ったお客さんも結構いたみたいで、両チームの選手がバックスタンドのお客さんにサインしたり記念撮影に応じるなどのファンサービスを続けている様子が夜のテレビ中継で映っていました。
子供さんも大勢見にきてたのですが、今回の試合を機にラグビーを好きになった子もきっといるだろうな。良い思い出になったでしょうね。
ちなみに、こけら落としとなったミクスタの初イベントは、入場者数が11,577人と発表されていました。ギラヴァンツの以前の本拠地(本城陸上競技場)はMAXで約1万人収容なので、初のスポーツイベントが上々の結果となったのも良かったです。
りくま ( @Rikuma_ )的まとめ
JR小倉駅に向かって帰る道中、同じように小倉駅に向かって歩く大勢の人々を眺めながらいろんなことを思いました。
この新スタジアム完成によって北九州市は素晴らしい宝物を手に入れたというのは強く感じました。現時点で収容人員は約1万5千人。最高で2万人まで収容人員を増やせるらしいです。
本拠地とするギラヴァンツ北九州は現在J3。おそらくJ1に昇格しない限り2万人規模に改築はしないでしょうけど、将来的にサッカー日本代表の試合が北九州で開催されることも夢ではなくなったんじゃないですかね。実現したら嬉しいなあ。
新幹線の停車駅から徒歩10分足らずの距離にスタジアムがある、というのは全国的に見ても少ないらしく、この好条件を活かすことが今後の北九州市にとって最重要課題になります。
素人の私でさえ考えることですから、自治体関係者の方々は当然そういうのも見越して施策を考えてるはず。スタジアムから小倉駅南口へとスムーズに誘導できる策を見出す必要があります。駅内のコンコースだけでなく、もう1つの(安全で短距離な)ルートが出来ればいいんですけどね。
あとは言うまでもなく、ギラヴァンツ北九州が素晴らしいスタジアムに恥じない結果を残して昇格してくれるよう応援するしかありません。がんばれギラヴァンツ!