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高齢者の定義と、シニアカー(電動カート)について知っておくべきこと

2014年2月17日

「高齢者」の定義

Grand Prix, Llandudno Style
Grand Prix, Llandudno Style / brianac37

高齢者は「老人」という単語の代名詞などではなく、キチンとした定義があります。

新聞やテレビなどでよく「高齢化社会」とか「高齢社会」という言葉を聞くようになりました。その意味について、おそらく一般の方々はあまり詳しくご存知ないように思います。言い換えれば、介護事業関係者が感じている深刻さも、それほど世間には浸透していないように感じられます。

まず法律的に言うと、65歳以上の人を「高齢者」と呼びます

高齢者は更に2つに分けられ、

  • 65歳から74歳まで → 前期高齢者
  • 75歳以上 → 後期高齢者

と定義されています。少し前に「後期高齢者医療制度」という言葉が国会を舞台にして頻繁に論じられ、メディアも取り上げて連日ニュースとなっていました。後期高齢者とは上に書いた通り、75歳以上のお年寄りという意味です。

近い将来、日本は「4人に1人が高齢者」になる

65歳以上の高齢者が国の総人口に対してどのくらいかを表すパーセンテージのことを「高齢化率」といいます。このパーセンテージが高ければ高いほど、その国には高齢者がたくさんいる、ということになります。

そのパーセンテージと呼び方については、以下のように分類されてます。

  • 高齢化率が7%〜13% → 高齢化社会
  • 高齢化率が14%〜21% → 高齢社会
  • 高齢化率が21%を超える → 超高齢社会

では現在、日本はどういう状況なのか。

人口統計によれば、2007年(平成19年)に日本の高齢化率は21%を超えました

つまり、現在の日本は超高齢社会なんです。さらに、2012年の内閣府発表を引用すると、

我が国の総人口は、平成24(2012)年10月1日現在、1億2,752万人であった。

65歳以上の高齢者人口は、過去最高の3,079万人(前年2,975万人)となり、総人口に占める割合(高齢化率)も24.1%(前年23.3%)となった。

引用:内閣府

もう既に24%を超えてしまっているのです。

地方では既に「お年寄りの割合がかなり多い」地域もあります。さらに人口の多い都市部でもドンドン高齢化が進み、高齢化率が高くなっています。日本の総人口において4人に1人が65歳以上のお年寄りになるという状況が本当に目の前まで来ているんです。

自分はまだまだ若いから別にいいや、って話ではありません。自分の親や親類が高齢者になった時、どれだけ自分が若くても「介護する側」となれば他人事ではなくなります。

また、高齢者はバリバリ仕事が出来るわけではないですから、貯金などの蓄えがある一部の人はともかく、そうではない方々は国や地方自治体が支援してあげる必要があります。そのために税金も使われていますし、消費税が上がるのも一つは介護事業に使えるお金を増やさないとヤバイという状況があるからなんです。

シニアカーとは?

高齢者や介護事業に関するアレコレは、実際に自分が介護する側になったり、あるいは仕事として携わらないと、なかなか知る機会もないし理解もできません。

私自身がそうでした。現在携わってる仕事の一部に介護事業があるのですが、携わるようになって勉強するまで、介護のことを何一つ知りませんでした。今回このエントリーで書いてることも、恥ずかしながら数年前まで何一つ知らなかった内容です。

シニアカー」についても、以前は名称すら知りませんでした。

「電動四輪車」「電動カート」「電動カー」など、いろんな呼び方があるらしいんですけど、正式名称は「シニアカー」というようです。お年寄りが乗ってる、スクーターを少し大きくしたような乗り物のことです。

ちなみにシニアカーのことを「セニアカー」と呼ぶ人もいます。

セニアカーというのは、アルトやワゴンRでお馴染みの自動車メーカー「スズキ」が開発販売しているシニアカーの商品名(商標)です。

「シニアカーの正式名称はセニアカーだ」などと勘違いして解説されることもありますが、スズキのセニアカー自体は評判も良く高いシェアを持っているため、代名詞的に使われているのでしょうね。

ちなみにJIS(日本工業規格)では「ハンドル形電動車いす」という呼称になるそうです。

「電動車いす」とシニアカーとの違い

シニアカーを「電動車いす」と言うこともありますが、厳密に言うと一般的な電動車いすとはちょっと違います。実際に介護用品のレンタル業者で許可をいただき、写真を撮ってきました。

電動車いす

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一般的な「電動車いす」

一般的な「電動車いす」。正面から見ると通常の「車いす」とあまり外観は変わりません。

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電動車いすは運転レバーを操作して移動する

通常の車いすは、乗ってる人が自分で動かす場合は車輪を手でこぐのが一般的です。一方、電動車いすの場合は運転レバーを操作して移動させることができます。

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電動車いすの運転レバー

これが運転レバー。バッテリー残量の確認もできます。

シニアカー

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シニアカー(写真はスズキ製なので「セニアカー」)

これが一般的なシニアカー。左がスズキ製なので「セニアカー」です。基本的に四輪で(三輪タイプもあります)、前方に運転パネルやレバーが付いてます。

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シニアカーの前方

前方からの外観。電動車いすよりも少しサイズが大きくなります。

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シニアカーの横側

シニアカーは横から滑るように乗り込むことが出来ます。

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シートが回転するタイプもある

シートが回転するタイプもあり、高齢者がラクに乗車できるよう工夫されています。写真右下に写ってるシート横の黒いレバーを動かすことでシート固定が解除され、回転します。正面を向いた状態でシートは固定されます。

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シニアカーの運転パネル

運転パネル。2から6まで書かれてるのが速度調節用の「つまみ」。前進と後退(バック)もレバー1つで切り替えられます。クラクション代わりのホーン、ウィンカー表示もここで操作します。バッテリー残量も表示されます。

手で持つ場所の近くには黒いレバーが付いていて、これがアクセルになります。アクセルを離すと自動でブレーキがかかる仕組み。

2から6の数値は時速の意味もあり、シニアカーは時速6kmを超えないよう法律で定められています。私がウォーキングで歩く時の平均時速が5kmほど。

時速5kmや6kmの「高速モード」は、シニアカーに乗って実際に運転してみると分かるのですが、意外と速いです。慣れてない高齢者が高速モードで運転すると制御しきれず事故になることも多いし、その速度で歩行者に衝突して負傷させてしまうケースもあります。

シニアカーは「歩行者」の扱いとなる

サイズも大きいし、そこそこスピードも出るので、シニアカーは車両の扱いだと思われてる方が多いかもしれません。

しかし、道路交通法でシニアカーは車両ではなく歩行者の扱いとなっています。運転免許などを取る必要もないし、車道ではなく歩道を通ることになります。

この「車道ではなく歩道」のところで誤解されてる方が意外に多いんです。シニアカーについて詳しくない一般の方々はもちろんですが、中には使用している高齢者自身にも誤解してる人は数多くいます。

歩道を走るシニアカーの高齢者に対して、一般のドライバーや歩行者が「危ねえだろ! 車道を走れ!」と怒鳴っている光景を、私は幾度となく目撃してます。

シニアカーは走行時にあまり音が出ず静かなので、後方から接近されても気付かないことがあります。また高速走行で歩行者にぶつかると負傷させてしまうこともあるので、危ないといえば危ない。

昨今、自転車が歩道を走ることの是非が問題になっています。同じ感覚で自転車より更にサイズの大きいシニアカーに関しても「歩道じゃなくて、せめて路側帯を走ってくれよ」と言いたくなる気持ちは分からないでもない。

しかし、それは大きな間違いです。自転車は「軽車両扱い」ですが、シニアカーは「歩行者扱い」。道路交通法での区分がそもそも異なるのです。

しかし、シニアカーが高速で走ってると「危ない!」と注意され、逆に低速で走ってると「遅い! 通行の邪魔だ!」と罵られ、心無い言葉で車道側に追いやられるケースは想像以上に多いのです。そしてその「無知さ」が多くの事故を引き起こしている。しかし一般人にはその自覚がありません

運転してる高齢者本人が「歩行者扱い」を理解していないケース

また、運転している高齢者本人の意志(あるいは勘違い)で車道を走ってるケースもあります。

少し前ですが、私は自宅近辺で2日続けて、シニアカーが車道を走ってるのを目撃しました。シニアカーは歩道を走るのだという道路交通法の規定うんぬん以前に、高齢者の運転するシニアカーが車道を走るということは状況的に危険極まりないのです。

1日目は、私が車を運転中、前方をシニアカーが走っていたので、危険のないよう追い抜いてから路側に車を停車させ、シニアカーを運転してる人に「車道を走ったら危ないですよ、歩道を走りましょうね」と声を掛けました。

その人は「あ、そうやったね、ごめんごめん」と苦笑しながら歩道に入りました。乗り始めてまだ慣れてない人は、時々そういう勘違いをします。

2日目は、私が歩道を歩いていると後方からシニアカーが車道を走りながら追い抜いていきました。そのシニアカーに追いついて前日同様に声を掛けたところ、

は? そんなん知らんよ、こっち(=車道)走るんやろ

と、自分は車道を走らなければならないと真剣に思い込んでる様子でした。介護事業者から「歩道を走る」と教えてもらいませんでした? と確認すると、「聞いてない聞いてない、車道を走れって言われたよ」と。

真っ当な介護事業者ならば絶対に「車道を走れ」などとは言いません。介護事業者の伝達不足か、怠慢か、それとも運転していた高齢者の思い違いか。

思い違いや勘違い、あるいは教えてもらってたけど忘れてたというレベルであれば、誰かが注意して今後は歩道を走るよう指導すればいいんです。しかし、もっと深刻なのは認知症などの病気による理解不足や、一時的な記憶の喪失です。

いずれにしてもシニアカーが車道を走るという行為は大変危険で、交通事故の原因にもなります。もしあなたがシニアカーが車道を走ってる場面に遭遇したら、可能であれば「歩道を走りましょうねー」と声を掛けてあげてください。それだけでも事故は減ります。

立ち往生しているシニアカーに遭遇したら

もう1つ、シニアカーでよくあるトラブルが、バッテリー切れによる運転不能です。

シニアカーは電気で動きますので、充電が必要です。電気を使い切ると当たり前ですが停まって動かなくなります。

運転している高齢者本人が「バッテリー切れ」を自覚している場合はまだ何とかなります。少なくとも危険を冒す行動に出ることは滅多にありません。

しかし時には「バッテリー切れで動かなくなった」ことを理解していない高齢者もいるんです。故障と勘違いしたり、何度も何度もキーを回して再び動き出すかを試す人もいます。

シニアカーは運転レバーのある前方パネル部分にバッテリー残量が表示されるようになっていますので、そこを見れば「動かない原因がバッテリー切れ」であることは分かるはずなのですが、これもまた乗り慣れていなかったり、あるいはパニックになってたりすると気付かないこともあるようです。

立ち往生しているシニアカーに遭遇したら、まずは運転パネルを見てバッテリー切れかを確認しましょう。もしバッテリー切れで、なおかつ運転者が混乱してる場合は「バッテリーが切れたみたいですね」と(故障ではない旨を)説明してあげると落ち着くこともあります。

さらに、シニアカーの大半はレンタル品のはずです。シニアカーは購入するとなるとかなり高額(数十万円することもあります)。しかし市町村などの自治体から認定されて「介護保険」を利用できるようになると、シニアカーなどの福祉用具を格安で(月数千円ほどで)レンタルすることができるようになります。

シニアカーの車体のどこかに、レンタル業者の電話番号や社名など連絡先を書いたシールや紙が大抵の場合は貼られています。もし貼られていなければ運転者の所有物(=購入した)か、あるいはレンタル業者の怠慢だということ。シニアカーに連絡先も貼らないレンタル業者は無責任だと個人的に感じてますので、利用しないほうがいいです。

バッテリー切れのとき、あるいはそうじゃない場合でも、シニアカーのトラブルで高齢者が立ち往生して困ってる場面に遭遇したら、レンタル業者、購入先、あるいは地域の包括支援センターや市町村役場など、シニアカー本体に記載あるいは貼付されている連絡先に連絡するよう促してあげるか、代わりに電話で連絡してあげてください。レンタル品の場合は業者が現地まで来て対応してくれます。

ちなみに、シニアカーはキーを外すと基本的にロックされて動かない仕組みなのですが、キーを外さなければ、後ろから押せば動くこともあります。もし立ち往生してる場所があまり安全とは言えない場合は、可能であればキーをつけた状態で後ろから押し、安全な場所まで移動させてあげると事故を未然に防げます。

注意ポイント


キーを外した状態でもロックを解除して動かすことは可能なのですが、自動ブレーキが無効になってしまうため、特に下り坂ではシニアカーが止められなくなってしまい、大変危険です。シニアカー本体の重量が結構あるため、いったん加速を始めてしまうと人間の腕力ではそう簡単に停めることが出来ません。
 
なのでロック解除方法は敢えてここでは書きません。
 
利用者ならびにそのご家族は、シニアカーを使用開始する際に業者からロック解除方法も説明されるはずです。「シニアカーが危険な場所に放置されている」などの理由により緊急的に移動させないといけない場合を除き、自動ブレーキが利かない状態での移動はオススメしません。あくまでキーを装着した状態で押すなどして移動させましょう。

あと根本的なことですが、シニアカーを利用している高齢者は基本的に歩くのが困難なはずです。親切心でバッテリー切れのシニアカーを押してあげるのは素晴らしいことなのですが、隣りで高齢者も一緒に歩かせているようでは本末転倒、逆に迷惑となってるかもしれません。

脚が悪かったり歩行の不安定な高齢者がシニアカーで立ち往生していた場合は、前述した通りシニアカー本体のどこかに書かれている連絡先に電話をしてあげたほうがいいです。急用などがなければ、電話連絡の後に放置するのではなく、業者か誰かが到着するまで話し相手になってあげれたらパーフェクトですね。

まとめ

今回シニアカーについて書こうと思った動機は、(文中にも書きましたが)シニアカーが車道を走ってる危険な場面に度々遭遇したこと。そしてシニアカーを利用してる高齢者の方々から「よく怒鳴られるんよ」という話を最近聞くことが増えてきたからです。

道交法で歩行者扱いだというのを知らないのは、ある意味で仕方ないとは思います。ただ、だからと言って低俗な表現で高齢者を罵倒して良い理由にはなりません。高齢者の中には、自分がキチンとルールを守ってシニアカーを利用してると自覚してるのに、理解のない人から汚い言葉で怒鳴られ、傷付いてる人がいます。

冒頭でも書きましたが、世の中はどんどん高齢化が進んでます。今まで以上に介護事業は重要になってくるし、一人でも多くの人々が幸せに暮らせるよう、物理的にも精神的にも様々なサポートを充実させなければなりません。

私自身がそうだったように、まだまだシニアカーをはじめとする「福祉用具」に対する世間の理解や認識は十分とは言えません。それもそのはず、なかなか見る機会がないし、使ってみたこともないから、知らないのは仕方がないんです。だから今回、シニアカーについて書いてみました。

知識や理解があればサポートも出来るし、動くことも出来ます。車道を走ってるシニアカーの利用者に声を掛け、歩道に誘導してあげると「ごめんねー、ありがとねー」と喜んでもらえます。事故にならなくて良かったと安堵もします。

利用者と周囲の方々、双方にとってこのエントリーが何かのサポートになれれば幸いです。

著:加島守, 蛯名真知子, 望月彬也, 編集:東京都福祉保健財団
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