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誰もいない雪深き大山寺を長男と散策、鐘をついたら天から啓示が降りてきた

2017年5月6日

雪が全然溶けてなかった!

2017年3月に行ってきた生まれ故郷・鳥取県への帰省旅行。

今回の帰省旅行で大きな目的の1つが、大山(だいせん)の近くにある先祖のお墓参り。随分ご無沙汰していた先祖の墓に線香を立て、自分自身の報告や、大学受験の合格発表を数日後に控えていた長男の守護を祈願。

何年もお墓参りできていなかったことが心にずっと引っ掛かっていたので、お墓参りが出来た時点で心はとても晴れ渡っていた。

天気がとても良かったので、久しぶりに大山へ行ってみようか、ということに。

大山への道沿い(県道24号線)

▲ 大山へは県道24号線を車で走って向かった。道路部分は平野部と同じく雪もなかったし凍結もしていなくて安全だったのだが、道路の両脇にある林は雪が全然溶けておらず、見ていて驚き圧倒された。

帰省旅行の往路で松江自動車道を通った時も、道路には雪がなくて安全だったものの、両脇が豪雪で埋もれており「本当に道路は大丈夫なんだろうか…凍結してるんじゃないだろうか」と不安を感じながら運転した。

いくら平野部に雪がなくても山間部は油断ならない、というのを改めて痛感させられた。

大山スキー場付近

▲ 大山スキー場付近に到着。駐車場に車を停めてから付近の散策を開始。上の写真は県道158号線と合流する橋のあたり。米子市から遠く眺める大山とは違う、至近距離に迫った大山の勇姿。

雪に埋もれた佐陀川

▲ 佐陀川(さだがわ)の上流。川が雪で埋もれてしまっている。この辺りの雪景色はとても幻想的で素晴らしかった。

大山寺への坂道

▲ 大山寺へと向かう坂道を上る。この辺りは車の往来が多いのか、道路の雪が比較的溶けている。

大山寺への坂道

▲ 次第に道路の雪が増えてくる。

大山寺への坂道

▲ この地点で車の通った跡がほぼ消失しており、写真に写っていないが右横にある折り返しスペースで数台の車がUターンしていた(地面が凍結しており、スリップして大変そうだった)。

嫁と娘の女性陣は、ここから先も続く雪道を眺めて「これ以上は無理、ここで待っとく」と大山寺行きを断念。

▲ 私は一人だけでも大山寺に行くつもりだったが(理由は後述)、長男に「お前はどうする?」と聞くと「行きたい」と即答。私はニンマリ。そう返答すると思ってた。私と長男の思考は似ている。

というわけで、完全に車の轍(わだち)が消えてしまった坂道を長男と二人で進む。

所々で雪が凍結しておりツルツルすべって歩きにくい。大学受験の合格発表を数日後に控えていた長男も、そして私も「うわーすべった!」「あぶねえ!」と禁句であることなどお構いなしに叫びながら歩を進める。

豪雪の深さに絶句

大山寺(鳥取県西伯郡大山町大山)の「山門(仁王門)」にようやく到着。

写真で見ると山門までは緩やかな坂のように見えるが、実際は坂道から山門までの階段を豪雪が完全に覆い隠しており、雪の斜面がかなり急傾斜だった。普通に歩いて上り下り出来ないほどの傾斜。手すりもなく、人々が歩いた部分は凍結している。

写真右に写ってる見知らぬ男性参拝者は中腰になりながら恐る恐る斜面を降りている。私と長男も帰り道はこのような体勢で降りたが、かなり怖かった。

▲ 大山寺の山門から左に進むと「大神山神社奥宮」という神社がある。神社に行ってきたらしき数名の方々がこちらに戻ってきている。

大神山神社奥宮へは緩やかだが長い上り坂を延々と進み、階段を上った先にある山奥の神社で、行くのは大変だが行く価値はある素敵な神社。

以前写真で見て「今度帰省したら大山寺と共に行きたいな」と思っていたが、この深い雪の中を行こうとはさすがに思わない。修験者になってしまう。

大山寺山門

▲ 急斜面を何度もすべりつつ上り終えた長男が山門に到着。私も遅れて雪の傾斜を上る。

天台宗別格本山 角磬山 大山寺

▲ 大山寺の正式名称は「天台宗別格本山 角磬山 大山寺」というらしい。

大山寺の階段

▲ 石碑があった地点から第1の階段が始まるのだが、雪で埋もれて全く見えない。階段らしき段差はあるが、おそらく誰かが人工的に雪を削って造っただけ。本物の階段は雪の遙か下にある。

大山寺の階段

手すりの半分以上は雪で埋もれてしまっている。手すりの左側に道のようなものが掘られているのだが、すべり台のように滑りやすい斜面となっていた。まともに歩いてもツルツルすべって脚を取られ、上ることができない。

「道ではない」場所を歩いた人の足跡が点在している。我々も「少しでも摩擦のあるところを」ということで足跡の少ないところを歩こうとしたのだが、雪が深すぎて脚が埋まってしまい思うように前進できない。

結局は中腰になって(少しだけ地上に姿を見せていた)手すりに掴まりながら上るしかなく、ヘンな姿勢で上ったので腰を痛めた。

大山寺の舞台

▲ 第1の階段を上り終えると本堂前の舞台が見える。舞台の下にも建物はあるが、入口が雪で覆われて出入り不能となっていた。

▲ 第1の階段の最上段から下を撮影。山門までご覧のような急角度の傾斜。普段は階段になっているとは想像できない。スキージャンプ台みたいになってる。上りでさえ大変だったのに、下りの帰り道は無事に山門まで辿り着けるのだろうかと不安が募る。

大山寺第2の階段

▲ 第1の階段が終わった時点で疲れたが、続いて第2の階段がある。「まだあるのか〜!」と長男も私も悲鳴。

第2の階段は第1の階段よりも更に手すりが雪で埋もれてしまい、手すり本来の機能が失われていた。でも幸いなことに手すり左側の「階段もどき」は第1の階段よりも凍結してなかったので比較的歩きやすく、あまりすべることもなく上ることができた。

啓示が降りてきた

大山寺境内

▲ 2つの長い斜面(雪がない時は階段)を上り終え、ようやく本堂のある境内に着いた。大山寺に来たのは中学生の時以来か。30年ぶりくらいの再訪。長男はもちろん初訪問。

「雪がない時はどういう風景だったっけな」と思い、福岡に戻ってからGoogleマップのストリートビューで確認してみたのだが、あまりにも風景が違い過ぎて大笑いしてしまった

興味ある方々はGoogleマップのストリートビューで大山寺の山門から本堂までの道中風景と、今回このブログで紹介している雪景色の道中風景を比較してもらいたい。ぜんっぜん違う。

宝牛

▲ 境内に牛の銅像みたいなのを発見。似たようなのが福岡県の太宰府天満宮にもある(あそこはいつ行っても牛像前に大行列ができている)。

この像は「宝牛」といって、一つの願いを念じて牛を撫でると叶えてもらえる、と像のすぐ脇にある立て札に書かれてあるらしいのだが、我々が訪れた時は立て札も雪の下に埋もれていた。

「大学に合格できますように」と長男、願いを込めて牛の頭を撫でる。

大山寺境内

▲ 女性や小さな子供ではとても到達できないほど雪深き階段の上にある大山寺の境内。私と長男以外には誰一人いない。

大山寺境内

▲ 我々が帰省する数日前にも積雪があったらしいし、今年の冬は例年以上に雪が多かったらしい鳥取県。本堂へと続く道も雪かきして何とか歩けるようになっているが、その両脇は1メートル以上も積雪がある。

大山寺の開運鐘

▲ 境内にある「開運鐘」。この鐘を撞(つ)いてみたかった、というのが今回大山寺に来たかった最大の理由。

2年前か3年前かは忘れたが、大晦日の紅白歌合戦が終了した直後に放送されるNHKの「ゆく年くる年」で番組冒頭に大山寺が映り、除夜の鐘を撞いてる様子も全国に流された。

北九州の自宅でその様子を見ながら「大山寺、長いこと行ってないなあ」「あの鐘を撞いてみたいなあ」と、その日以来思い続けていた。

大山寺の開運鐘

▲ まず長男が受験合格を祈願しながら鐘を撞く。続いて私も願い事をしながら撞いた。

ゴーンという低音。水面に広がる波紋のように鐘の音が四方へと拡散していくのを聞き入っていたら突然、自分の中に何かが「降りてきた」のを感じた。時間にして1秒か2秒くらいの短さだったのだけど、ハッとさせられる明確な意識の変化があった。

まず長男の受験に対する思い。それまで全ての大学受験に失敗し、もう後がない中で最後の大学受験に臨んだ長男。そこに至るまで長男も私もいろいろ大変な思いをしたのは以前ブログに書いたとおり。

やるべきことは全てやった。ベストは尽くした。それでもやはり不安は残る。合格を信じてあげたい一方で、合格の確率が低いことも事実。

それもあって、大山寺で鐘を撞いて合格を祈願してあげたいと思ったのだが、鐘の音を聞きながら「ああ、間違いなく長男、合格したわ」という確信が天から降ってきた。

その場で長男に「お前、大学合格してるわ。いま確信できた」と告げると、長男もニヤッと笑って「僕も今、鐘を撞いた後で同じ事を思ったわ。間違いなく合格してる」と続けた。

※事実、この数日後の大学合格発表で長男は合格し、4月から大学生になれた。

あとは私自身の中で、どう進めていけば良いのか分からず糸がこんがらがったように錯綜していた悩み、中長期的な将来への不安、性格的なものから来る仕事の進め方に対する不信・失望感・反省など、いろいろ抱えていたネガティブな「よどみ」が、鐘の音を聞きながら突然パッと晴れた。

「うーん、いろいろ考えたけど、そうじゃないよねー、こうだよねー、こうすべきだよねー」と熟考した末に決めたとかではない。暗闇でスイッチを押したら全部屋の照明が一気に点灯したような意識の瞬間的な煌めき。

今まであまり経験したことのない、不思議な、それでいて心地良い体験。今回鳥取に帰省して最も良かったのがこの出来事かもしれない。お墓参りで助走ができて、鐘の音で一気にジャンプしたのかな。

この体験はなかなか出来るものではない

本堂前、舞台の上

▲ 本堂へと続く道。左に高く積もった雪の下には、先ほど下から見た舞台がある。しかし雪が深すぎて舞台に近付くこともできない。

大川寺本堂

▲ 道を進むと大川寺本堂。参拝するところだけは雪がない。

大川寺本堂

▲ 長男と二人で参拝。

大川寺境内

▲ 本堂前は雪かきで盛られた分もあり、3メートル近く雪があった。長男の身長と比較してもその高さが分かる。

大山寺舞台

▲ 凍結した急傾斜を時間かけてゆっくり降りる。境内では豪雪の深さで近寄ることさえできなかった舞台横を降りていく。雪のない時はどういう景色になるのだろう。

大山寺前の参拝路

▲ なんとか全ての傾斜を降りた。途中あまりに危険で怖くて写真を撮る余裕もなかった。

嫁や娘たち女性陣が待っているところまで二人で歩きながら語り合った。「次に来る時、お前は大学生だな」と伝えると、長男はニカッと笑った。

淀江どんぐり村から見た大山

▲ 帰路の途中、「淀江どんぐり村」(米子市淀江町本宮464-2)の駐車場から見た大山はとても雄大で逞しかった。ありがとうございました、と雪山に向かってお礼を言った。

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