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官営八幡製鉄所旧本事務所と遠賀川水源地ポンプ室の場所と行き方

2015年5月8日

世界遺産登録が確実!との報道

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明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」という名称で世界遺産に登録申請されていた施設群。最初に申請されたときには「九州・山口の近代化産業遺産群」という名称でしたが、2013年に見直しが行われて岩手県や静岡県の施設も加えられ、「明治日本の〜」と改称されました。

連休真っ只中の2015年5月4日、ユネスコの諮問機関であるイコモス(ICOMOS)より世界遺産登録勧告(=きっと登録されますよ、というお墨付きみたいなものだそうです)が発表されました。

あくまで諮問機関の「勧告」であり、まだ正式に世界遺産登録されたわけではないのですが、イコモスから勧告をもらった案件はほぼ間違いなく大丈夫だろうと言われているので、関係自治体は歓喜に沸いています。

今後の日程としては、6月28日〜7月8日に開催される世界遺産委員会で登録審査が行われて正式決定となるようです。イコモスから名称を「明治日本の産業革命遺産 製鉄・鉄鋼、造船、石炭産業」に変更したほうが良いと勧告されたようで、登録審査には新名称に再び改称されるかもしれませんが、最終的に正式登録される際の名称もまた変わるかもしれないそうです。

構成資産の紹介

今回世界遺産に申請された各施設群の構成は以下の通り。全8県に分散していることや、現在も稼働中の施設が含まれていることでも話題となりました。

★三池(福岡県・熊本県)

◆三池炭鉱(福岡県大牟田市、熊本県荒尾市)
◆三池炭鉱 宮原坑(大牟田市、荒尾市)
◆三池炭鉱 万田坑(大牟田市)
◆三池炭鉱 専用鉄道敷跡(大牟田市、荒尾市)
◆三池港(大牟田市新港町)
◆三角西(旧)港(熊本県宇城市三角町)

★八幡(福岡県)

◆八幡製鐵所 旧本事務所(北九州市八幡東区尾倉)
◆八幡製鐵所 修繕工場(同上)
◆八幡製鐵所 旧鍛冶工場(同上)
◆遠賀川水源地ポンプ室(中間市土手ノ内)

★萩(山口県)

◆萩反射炉(萩市椿東)
◆恵美須ヶ鼻造船所跡(萩市椿東)
◆大板山たたら製鉄遺跡(萩市紫福)
◆松下村塾(萩市椿東)

★佐賀(佐賀県)

◆三重津海軍所跡(佐賀市川副町)

★長崎(長崎県)

◆小菅修船場跡(長崎市小菅町)
◆三菱長崎造船所 第三船渠(長崎市)
◆長崎造船所 ジャイアント・カンチレバークレーン(長崎市)
◆長崎造船所 旧木型場(長崎市)
◆長崎造船所 占勝閣(長崎市)
◆高島炭坑(長崎市)
◆端島炭坑(=軍艦島)(長崎市)
◆旧グラバー住宅(長崎市南山手町)

★鹿児島(鹿児島県)

◆旧集成館反射炉跡(鹿児島市吉野町)
◆旧集成館機械工場(同上)
◆旧鹿児島紡績所技師館(同上)
◆寺山炭窯跡(同上)
◆関吉の疎水溝(鹿児島市下田町)

★韮山(静岡県)

◆韮山反射炉(静岡県伊豆の国市)

★釜石(岩手県)

◆橋野鉄鉱山・高炉跡(釜石市橋野町)

日本四大工業地帯の1つ、北九州市

構成資産群のうち、我が街・北九州市からは旧八幡製鉄所の4施設が含まれています

私が小学生のとき、社会の授業で「日本の四大工業地帯は、京浜・中京・阪神・北九州である」と教わりました。今も教科書には同じように載ってるのかな?

その四大工業地帯の1つ、北九州工業地帯の中核を成していたとも言えるのが官営八幡製鉄所

1970年に八幡製鉄と富士製鉄が合併して「新日鉄」、さらに2012年には住友金属工業と合併して「新日鉄住金」と社名を変えてますが、現在も北九州市内一帯には巨大な工業エリアが広がっています。

ちなみに今回の世界遺産申請では初期の段階で、北九州および筑豊エリアの候補資産が他にも幾つかあったようです。

◆東田第一高炉跡(北九州市八幡東区東田。スペースワールド近くにあります)
◆旧伊藤伝右衛門邸(飯塚市幸袋。朝ドラ「花子とアン」で超有名になった旧邸)
◆筑豊炭鉱 旧三井田川鉱業所伊田竪坑櫓、伊田竪坑第一・第二煙突(田川市のJR田川伊田駅すぐ横にある炭坑節発祥の地)

3つとも最終推薦選考のときに選から漏れたそうです。残念。

今回正式に候補となった北九州エリアの4施設は今まで一度も行ったことのない場所ばかりだったので、早速巡ってきました。

東田エリア・旧八幡製鉄所関連施設の場所と行き方

まずは北九州市八幡東区にある旧八幡製鉄所関連施設の場所と行き方を写真で解説します。

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▲ JR鹿児島本線のスペースワールド駅。駅の上は鹿児島本線の線路。

もともと八幡製鉄所の所有地だった東田エリアの再開発で1990年に開業したテーマパーク「スペースワールド」。その最寄り駅として1999年に完成した駅です。

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▲ スペースワールド駅を出て右側にある歩道橋を上ります。

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▲ 世界遺産候補の1つ「旧本事務所」まで、至るところに写真のような案内表示版が設置されています。初めて訪れた人でも駅から迷うことなくたどり着けるはず。

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▲ 右手にスペースワールド。連休明けの平日なのもあり、ジェットコースターにはほとんど人が乗ってません。

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▲ 歩道橋をそのままずーっと直進。スペースワールドの正面入口まで歩きます。

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▲ スペースワールド正面入口の手前にある歩道橋を渡って、道路の反対側に進みます。

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▲ 道路の反対側で歩道橋を下りると、今度は地下への階段があるので下ります。

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▲ トンネルを抜けると到着です。

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▲ トンネルを出てすぐ左側に、八幡製鉄所・旧本事務所の眺望スペース。2015年4月17日にオープンしたばかりの眺望スペースから旧本事務所を眺めることができます。世界遺産勧告のニュースを知った人たちが連休後半に大勢来てたみたいですよ。

なお、写真撮影できるのは眺望スペースの入口まで。眺望スペース内での写真撮影、特に旧本事務所の撮影は禁止されています

※記事執筆時点では旧本事務所などを撮影することが禁止されていました。しかしユネスコに正式登録された日から撮影OKとなっています。

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▲ 眺望スペースは定休日があります。この日も休みでした。(事前確認して定休日だと知った上で訪問しています)。

旧本事務所の他にあと2つ、「修繕工場」と「旧鍛冶工場」も同じ敷地内にありますが、眺望スペースからはあんまりよく見えない位置(=旧本事務所の奥)にあります。この2施設は現在非公開となっています

中間市・遠賀川水源地ポンプ室の場所と行き方

続いて北九州市の隣り・中間市にある「遠賀川水源地ポンプ室」。こちらも実際に行ってきました。

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▲ 中間市役所(中間市中間1丁目)。

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▲ 中間市役所の正面には遠賀川。その河川敷に無料駐車場があります。中間市の発表によれば、ここに駐車しても良いとのことなので、今回私はここから歩いて現地まで行ってみました。駐車場の入口は中間市役所のすぐ前です(出口は別の場所)。

※公式サイトにはもう1つ駐車場が案内されていますが、そちらはオススメしません。詳しくは後述します。

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▲ 河川敷の駐車場は大雨になると遠賀川の増水により冠水することがあり、特にヒドいときは駐車場が水の底に沈みます。大雨の日に世界遺産を見学する人はいないだろうとは思いますが、念のため情報として。

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▲ 4月上旬から5月中旬にかけて、市役所前の河川敷では毎年たくさんの鯉のぼりが泳いでいます。お子さんに見せてあげると喜びますよ。

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▲ 河川敷駐車場を出発したら、まずは土手の階段を上ります。駐車場入口の坂道は車が通りますので、歩行者は階段をオススメします。

河川敷を直進しても遊歩道は橋の手前で終了し、橋をくぐった向こう側は整備されていません。それを知らなかった私は帰り道に歩いて靴が泥だらけになりました。

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▲ 土手を上がったら市役所前にある交差点を直進して県道73号線を南に直進します。左側に消防署があるので通過。

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▲ 消防署を過ぎると信号が2つ続きます。1つめの「唐戸」交差点は直進。

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▲ 2つめの「笹尾川橋」交差点。緑色の橋を渡ってそのまま2〜3分ほど直進すれば、道路の左側に「遠賀川水源地ポンプ室」があります。

今回はこの交差点で左折し、世界遺産の裏側が見物できるスポットも紹介します。

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▲ 先ほどの「笹尾川橋」交差点を左折し、しばらく小川に沿った道を直進。

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▲ T字路に突き当たるので、ここを右折。市役所前の河川敷駐車場からここまで、約1km。徒歩10分といったところです。

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▲ 右折するとすぐ「土手の内水門」という小さな青い水門が右手にあります。ここを過ぎればすぐゴール。

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▲ 世界遺産候補のポンプ場が見えました。川沿いの県道から見るのとは違った眺めが楽しめます。

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▲ このポンプ場は現在も製鉄所に遠賀川の水を送っている現役バリバリの施設。敷地内への立入は禁止されています。近くまで来ると水を送っている装置の音なのか、ウイーンと鳴ってるのが分かります。

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▲ 敷地内で撮影したかのような写真ですが、実際は柵の上に手を伸ばして撮影しています。

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▲ 実際の柵。ちなみにポンプ場のすぐ横は一般の住宅街ですので、見物の際は騒音やゴミのポイ捨てなどマナーに十分注意し、近隣住民の方々のご迷惑とならないようにしなければなりません。

またポンプ場の近隣には駐車スペースが一切ありません。短時間だから…と近くに路上駐車して見物や写真撮影する人が今後増えると思われますが、道路も狭いし、繰り返しますが一帯は住宅街ですので、路上駐車せずに指定された駐車場を利用しましょう。10分ちょっと散歩すれば着きますので。

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▲ こちらが表側、川沿いの車道(県道73号線)側から見たポンプ場。

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▲ 県道73号線は交通量が多く渋滞も頻繁に発生します。脇見運転や路上駐車などは危険ですので慎みましょう。

駐車場について幾つか補足

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▲ 中間市役所前・河川敷の駐車場は、前述しましたが入口は市役所前、しかし出口は違います

駐車場から北に進むとJR筑豊本線(福北ゆたか線)の鉄橋があります。その鉄橋をくぐって右折すると県道に合流できる坂道があります。ここが出口。

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▲ 余談ですが、この河川敷では映画『ALWAYS 三丁目の夕日』の撮影が行われ、蒸気機関車が走るシーンで鉄橋が登場します(実際に蒸気機関車が走ったわけではなく合成)。

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▲ 中間市内は現在、駐車場へと誘導する案内板が道路のあちこちに立っています。しかし、この案内板に従って進んでも、中間市役所前の駐車場には到着せず、別の駐車場に着きます。

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▲ 案内板の通りに進むと、遠賀川の反対側にある垣生(はぶ)公園・市営球場の駐車場に着きます。

駐車場自体は広くて良いのですが、ここからポンプ場までは徒歩で片道30分近くかかります。しかも、この駐車場からポンプ場までの区間に現地までの案内板表示はありません(2015年5月現在)。

地元の人や土地勘のある人、iPhoneなどスマートフォンで地図を見ながら歩ける人であればまだ良いのですが、初めてここを訪れる人がスムーズにポンプ場まで徒歩でたどり着くには難易度が相当高いのでオススメしません。中間市役所前の河川敷駐車場に停めることをオススメします

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▲ 垣生公園のすぐ近くにはJR筑前垣生(ちくぜんはぶ)駅があります。JRでポンプ場を見に行く場合は筑前垣生駅が最寄り駅になりますが、上で書いたようにここからポンプ場までは結構遠いので駅からはタクシーで行ったほうが無難です。

世界遺産候補の施設関連Q&A

今回、八幡東区と中間市を訪問するにあたり、事前に「北九州市世界遺産登録推進室」(TEL:093-582-2922)へ電話して幾つか質問し、回答をいただきましたのでまとめます。担当者様、お忙しいところお時間をいただき、ありがとうございました。

ーQ:八幡東区の眺望スペースはいつでも見学できるのですか?

ーA:開場時間は9:30〜17:00(入場は16:30まで)。毎週月曜が定休日となっています(月曜が祝日の場合は翌日)。またGW明け(2015年は5月7日)と年末年始も休みとなります。

ーQ:旧鍛冶工場と修繕工場は現在「非公開」とのことですが、世界遺産登録が正式決定した後、(中には入れないまでも)建造物に近付くといったことは可能になるのでしょうか。

ーA:現時点では分かりません(新日鉄様の所有地のため)。

ーQ:公式サイト等での住所表記が「八幡東区尾倉など」となっているのですが、これは詳細な住所を公開しない等の意図があるのでしょうか。

ーA:所在地が新日鉄様の工場区画内となっていることや、今回候補となった旧八幡製鉄所関連の4施設が「八幡東区尾倉」「八幡東区枝光」「中間市」と分散しているため、「八幡東区尾倉など」という表記にしています。

ーQ:中間市の遠賀川水源地ポンプ室ですが、建造物を写真撮影しても問題ないでしょうか。

ーA:柵の外からポンプ室は見えていますので、それを撮影する分には問題ありません。敷地内への立入は禁止となっています。

りくま ( @Rikuma_ )的まとめ

現時点では世界遺産「候補」ですが、それでもニュース報道後は各地とも訪問者が急増しているようです。今回行ったのは連休明けですが、それでもポンプ場では写真撮影されてる方がいらっしゃって、しばし談笑させていただきました。全国の世界遺産を訪問されてるとのことで、いろんなお話を聞かせてもらい、とても楽しかったです。

その方とも話したのですが、世界遺産に正式登録されたとしても「有名になった、観光客が増える、バンザーイ!」で単純に済む話ではなく、県外や海外からも訪問者が増えますし、交通アクセスや駐車場、現地周辺の整備や警備をどうするかなど、管理する側もまだまだ問題が山積みでしょうし、訪問する我々市民の側もマナー問題などについて再考する必要があると言えます。

先日ブログに書いた河内藤園もそうですが、我が街・北九州の情報が世界に発信されるというのはとても嬉しいことですし、自治体や管理側と訪問者の両方にとって良い方向に進んでいけばいいなと切に願っています。

まずは世界遺産の正式登録ですね。良い結果が出ますように。

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