いよいよ4月
4月になりました。北九州地方は最近、気温20度を超す温かい日が続き、自宅では半袖で過ごすことも多くなっています。
今日は4月1日。「ここぞ!」とばかりにエイプリルフールのネタをカマしてくるブロガーさんがいらっしゃるかもしれません。面白くて笑えるネタならいいんですけど、書いた本人だけが楽しくて、だまされた読者が腹立つようなネタなら逆効果だし、辞めといたほうがいいでしょね。
そんな私は面白いことが何も言えないし、今までエイプリルフールに乗っかったエントリーなど書いたこともないし、そもそもウソをついたことがありません。巨乳好きとかお尻フェチとか書くこともありますが、あれはウソじゃなく本当なの。
そんな出オチみたいな話はともかく、今回書くのはエイプリルフールと何の関係もない、ただの戯言です。
時が経つと変わることもある
昨日(3月31日)まで天気が良かった北九州地方ですが、4月1日から天気が崩れるという週間天気予報の発表でした。
せっかく満開になった桜が雨で散ってしまう。その前にたくさんキレイな桜を見ておきたい。今年はウォーキング大会に参加して、既に2つの街でキレイな桜を堪能してきましたが、雨が降る前にもう1回ってことで、仕事の昼休みを利用して花見に行ってきました。
近くにあった桜並木は、どの木々も桜の花が勢いよく全開になっていて、春が来たぜー! という歓喜の声が聞こえてくるかのような生命力を感じさせてくれました。
まだ地面に散った花びらが1枚も落ちていない「パーフェクトな状態」の桜を見るのは久々で、空も青くて天気良かったし、とても爽快な気持ちになりました。
桜の季節が来て、桜の花を眺めるのは大好きなんですけど、好きになったのはいつ頃からだろう。皆さん、昔々から桜の花見をするのって好きでした?
私は20代後半で結婚したんですけど、独身の頃は桜を見ても何一つ感動なんかしませんでした。花に興味なんてちっともなかったから、桜に限らず、どんな花を見ても特に何も感じなかった。
嫁は花が好きなので、まだ結婚前、フラワーイベントに時々連れて行かれたんですけど、興味もないし、花の名前も分からない。今も花の名前が分からない事は多いですけどね。ウォーキングで写真撮っても何の花なのか説明できないってのが多々ある。
結婚して、子供が生まれて、家族で休日に公園などへ行くことが増えてきた辺りからなのかな。花ってキレイだな、と思い始めたのは。ウォーキングを趣味にして、風景を眺めるのが好きになってからは、風景の一部として花の美しさも心に留まるようになってきました。
転職活動に失敗し続けた日々
10年以上務めていた会社を辞め、しばらく体調を崩して外出できない時期がありました。精神的にも病んでしまい、食べることと寝ること以外は何もしたくない日々。不摂生の極みで、新たな病気をたくさん呼び込んでしまったし、20kg以上も太って体重が110kgを超えてました。
通院が続き、少しずつ回復して、ようやく就職活動を開始したはいいけれど、採用してくれる会社はどこもありません。50社か100社か、数えてないけどアホみたいに履歴書を書き、面接を受け、その全てに落ちました。
退職金を含めた貯金はどんどん減り続け、反対に夫婦ゲンカの回数は増える。家のローンがヤバイ。子供の教育費が捻出できない。このままでは家計が破綻する。だから早く仕事を見つけなきゃ。でも不採用の嵐。親戚からは罵倒の電話が掛かってくる。何も言い返せない。
システムエンジニアの仕事しか経験がなかったので、デスクワークの仕事ばかり求人を探してたんですが、仕事を選んでる場合じゃないだろって話になり、正直気は乗らなかったけど面接受けたらすぐ合格と言ってくれたのが、お歳暮配達のアルバイトでした。
勤務初日。自分が担当する配達エリアを、責任者のAさんが運転する車の助手席に座って案内してもらったんです。今まで来たこともない未知の街。説明されても何が何やらサッパリ分からない。
ものすごく不安で、「ご迷惑かけるかもしれません」と、配達作業を始める前から謝ってました。「慣れるまで大変とは思うけど、大丈夫、大丈夫」と、いつもAさんは笑顔で激励してくれました。たぶんAさんがいなかったら、今の私はないんじゃないかな。
忘れられない肉体労働
翌日から一人で配達。朝7時から夜9時まで、何度か集配所に配達物を取りに行く以外は延々と配達エリアを徘徊。道も、住所も、方角すら分からない。しかも全然やったことない肉体労働。ブクブクに太って動きの鈍い重い身体。真冬なのに汗ダク。
1日で50個配達できれば上出来だ、と言われてたんです。でも最初の1週間、どんだけ必死に走り回って頑張っても、40個が精一杯でした。Aさんは「慣れない段階でそれだけ配れたらスゴイよ」と誉めてはくれるんですけど、それでもヘコみます。
配達個数1個につき幾らという賃金システムだったので、配る個数が少なければ収入も減る。だから配らないと話にならない。でも、配達先の家庭が100パーセント在宅とは限りません。不在なら数時間後にまた来ないといけない。だから効率のよい配達ルートを自分で見つけないといけない。でも道が覚えられないから迷ってばかり。
肉体的にも精神的にも相当追い込まれる仕事でした。太って動きが鈍くなったせいで、配達中にカラダのあちこちをぶつけ、腕や手や指、両脚などが毎日どこか流血。30kgの荷物を持って団地の5階まで階段を上るなんてことも頻繁にあって、ギックリ腰の経験アリだから怖くて仕方ない。腰は大丈夫だったけど筋肉疲労で帰宅してから自宅の2階に上がれない。
精神的には、配達員を奴隷か人間のクズみたいに考えてる人ってのが世の中にはたくさんいるというのを思い知らされた日々でした。あの仕事を経験してから、私の自宅に配達してくれる人には優しく接しよう、と思うようになりました。
仕事を始めた最初の1週間は、あまりに疲れ過ぎたために食欲が全くなくて何も食べられず、5kg痩せました。逆に2週間目からはお腹が空き過ぎて幾ら食べても足りなく感じ、超大盛りのご飯を毎日バクバク食ってましたが、それでも太るどころか痩せ続け、最終的に4週間で13kg痩せました。
とにかく毎日ハードでハードで。しかし怪我の功名というか、睡眠導入剤を幾ら飲んでも眠れない深刻な不眠症だったんですけど、仕事始めてから薬を飲まなくても眠れるようになりました。あんだけ疲れたら眠れるわって感じで。
1週間を過ぎた辺りから、さすがに道順も把握できてきて、「あそこの家は昼間に不在が多い」などの個人情報もインプットでき始め、さらには体重が少し軽くなったり、深刻だった筋肉痛も慣れのおかげで消えて、荷物持って走るのが迅速軽快になってきたりもして、徐々に作業効率が上がってきたんです。
配達個数は少しずつ増えてきて、7日目で「上出来ライン」の50個を達成しました。この時Aさんに教えてもらったのが、これまでアルバイトの人が私の担当エリアで1日に配った個数の最高記録が71個だ、ということ。その人は40日目で71個という記録を作ったって。
71個配ることが出来れば収入もそれなりに満足できる額なので、そこを目標にして必死に頑張りました。で、11日目で達成できたんです。1日に71個。
夜の9時過ぎ、集配所に帰り、配達個数71個をAさんに報告したら飛び上がって喜んでくれて、近くにいた他エリア担当の人たち全員呼んでくれて、「彼はスゴイ! ほんとスゴイ!」って誉めてくれて、みんなから拍手してもらったんです。
その場では照れ臭いのと恥ずかしいのとで、笑いながらお礼を言うだけだったんですけど、自宅に車で帰る途中、感極まって涙が止まらなくなっちゃって、泣き過ぎて前が見えなくなって路肩に車を停めて10分くらいワーワー泣きました。その仕事をするまで、数え切れないくらい死のうと考えたことがあったけど、生きてて良かったと思えた。
配達の仕事はトータル4週間で終了したんですけど、配達の最高記録は82個まで伸ばせました。ちなみに責任者のAさんは10年以上経験してるんで、1日で140個くらい配ると言ってました。バケモンです。
配達の仕事が終わって再び無職状態になってしまったのですが、不思議なもので半月後にアルバイト面接を受けた会社が採用してくれて、1年半勤務し、いろいろ新しい技術や知識を身に付けることも出来ました。
さらにこれまた不思議な縁で、知人を通してシステムエンジニア時代の私の経歴を知った人が「うちの会社に欲しい」と言ってくれて、完全にあきらめてた正社員としての採用が決まりました。
アルバイト時代も正社員になってからも、楽しいことばっかりじゃなくてムカつくこともたくさんありますけど(っていうかムカつくことばっかりですけど)、少しずつ人生が良い風に回転を始めてくれたのは、やっぱりあの肉体労働があったからこそだと思うんです。
そして、あの肉体労働を経験したおかげで「あれよりシンドイことなんてないだろ」と思えるようになりました。疲れる作業やムカつく作業で心や身体が乱れたら、あの時のことを思い返して自分にカツを入れるようにしてます。あの時のほうが何倍もムカついたやろ、今のほうがマシだ、って。あの時は8割方ムカついてましたから。
初心の桜
4週間だけの経験だったんですけど、あの肉体労働は物凄く多くの教訓と自信と活力を結果的に与えてくれました。私にとっての「初心」です。時々忘れちゃうんですけど、やっぱり初心は忘れてはいけない。
初心といえば、私にとって「初心の桜」ってのがあるんですよ。
初日にAさんが車で配達エリアの案内をしてくれた時、ある道路の角を曲がったら桜並木がズラーーっと直線に並んでたんです。
うわ! これ全部、桜の木ですか。4月になったら相当キレイなんじゃないですか?
「うん、春になったら桜がスゴイよ。ゆっくり花見をしたことはないけどね」とAさん。
その時は真冬・12月初旬でしたから、当然ながら桜なんて咲いてません。でもなんとなく未来透視できました。春になったらスゴイとAさんに教えてもらった桜の花々が見えた気がした。
翌日から毎日、桜並木の横を何十回も往復する日々。ここの桜が咲く頃に自分はどうなってるんだろう、って最初は不安だったのが、桜の咲く頃も頑張って生きるぞ、って次第に思うようになっていきます。
配達作業の契約が12月末で終わり、すぐに次のアルバイトが見つかって働き始め、翌年の4月、桜の開花が始まった頃に「初心の桜」を見に行きました。想像した通り、満開の桜がズラーっと咲き誇っていて、それが1km近く直線で続いてるんです。感動しましたよ。
配達の仕事で毎日必死だったのがわずか4ヶ月前。でもすごく昔のように感じる。あの時に頑張れたから今がある。そして、胸を張って桜を見に来ることが出来た。
大変だったこと、ツラかったこと、ムカついたこと、そして嬉しかったこと、いろんな記憶が去来して、桜の前でボロボロ泣きました。それが6年前、2009年4月のことです。
あれから毎年、桜の季節になると「初心の桜」を見に行ってます。まだ全然咲いてなくてツボミだったり、シーズン終了しちゃってほとんど桜が散ってたり、毎年いろいろですが、欠かさず来てます。
最初の3年くらいは毎回、桜を見ながら泣いてました。その都度、通りがかった見知らぬオッチャンやジイチャンが私に声を掛けてきて、泣いてるのに気付いて慰めてくれました。
「今年は結構飛んでるもんなぁ」とか(花粉症じゃねえよ)、
「女なんて星の数ほどおるんやで」とか(失恋じゃねえよ)、
イチイチ「違います」と答えるのが面倒くさいので、数年前から泣かなくなりました。
今年は今日(4月1日)行ってきました。通算7回目の「初心の桜」。
昨日少し雨が降ったので微妙に散って地面に落ちてましたが、ほぼパーフェクトな状態の桜。こんだけバッチリなタイミングなのは過去7回で初めてかも。
普通の住宅街にある桜並木で、有名でもなんでもない場所にあります。近隣住民の方々にご迷惑をかけるといけないし、私だけの秘密の場所でもあるので、どこなのかは内緒。
ここで桜を見ながら、いつも1年のリセットをしてます。この1年間、目標にしてたことはどのくらい達成できたのか。そしてこれからの1年、どう生きるのか。何を目指すのか。
天気予報は雨とのことでしたが、私が訪れた時は曇ってたものの雨は降らず、満開の桜をしばし眺めながら今年もいろんなことを桜の前で決意してきました。
りくま ( @Rikuma_ )的まとめ
今日から4月。新社会人は今日が入社式だったことでしょう。高校や大学に入学する新入生はもうすぐ入学式。大変だった受験戦争を終え、新たな学校に緊張感や期待感を高めていく日々でしょうね。
新しい生活は、楽しいこともあればツライこともあります。泣きたくなることや投げ出したくなることがあるかもしれません。
でも、それはいつかきっと何かの役に立つはずです。私もムカつくことがたくさんありました。「でも今となっては良い思い出」なんてキレイに浄化できない記憶が今も山のようにあります。
それでも「きっと何かの糧にはなってるよな」と思えるようにはなりました。
それから、出会いを大切にしてください。待ってるだけでは始まりません。せっかく新しい生活のスタートなんですから、おもいきっていろんな人に笑顔で飛び込んでみてください。それが生涯の友になるかもしれないし、将来の家族になるかもしれません。
人生とは時間の流れと共に様々な思いを積み重ねていくことです。暑い夏もあれば寒い冬もあり、いろんな出来事を体験して、いろんな感情を消化して、そしてまた桜の咲く春がやってきます。
止まない雨はない。陽はまた昇る。それと同じく、春になれば必ず桜は咲きます。咲かない桜はないんです。そして花が散った後も桜は生き続けます。次の春を目指すんです。
新生活を始める方々に素晴らしい出会いがありますように。応援しています。
そして私は、リバウンドした体重を少しでも削れるように頑張ります。脂肪退散、カロリー消費。