嬉野温泉の旅日記 目次
- まずは旅の目的地決定で悩む
- お盆期間の高速渋滞を体感する
- 鳥栖の市街地で道に迷う
- 泳ぐというよりも水遊び
- 大きければイイとは限らなかった
- 旅館も食事も温泉も大変満足
- 旅先でも早起きは三文のトク
- 滝を上から眺めることができます
- 友人知人の忠告を素直に聞けば良かった
- 温泉の街なんだから温泉に入らなきゃ
- トトロの森を思わせるパワースポット
- 大渋滞、そして聞こえた亡き義父の声
まずは旅の目的地決定で悩む
「佐賀県を旅しよう!」と思い立ったとき、佐賀県のどこに行こうと皆さんは考えますか?
まず私がポンと即座に思い浮かんだのは、吉野ヶ里遺跡と、唐津。しかしどちらも何度か行ったことがあります(どちらも日帰りでしたが)。なので今回は外したい。しかし他にどこがある?
いったんは唐津で決まりました。おいしいイカを食べたかったし、1泊旅行ならいろいろ楽しめるかなと思いまして。
しかし残念なことに、宿泊施設がどこも予約でいっぱいでした。なので唐津は断念。じゃあ他にどこがある?
いろいろ考え、「やっぱり温泉に入ってゆっくりしたいよな」という、仕事で疲れ切ってた私の希望が通り、佐賀県の嬉野と武雄周辺を巡り、宿泊は嬉野温泉に決定しました。
お盆期間の高速渋滞を体感する
旅行したのはお盆期間中でした。中学生の長男は部活が忙しく、私も嫁も休日が不規則なので、家族全員が旅行に行ける日程となるとお盆しかなかったんです。
旅行の際はいつも私が「何時ごろに出発するぞ」というのを決めるのですが、これまで時間通りに出発できたことなど数えるほどしかありません。時間にルーズなメンバーが勢ぞろいしてますから。そして私が一人でイライラしているという毎回の構図。
しかし今回は珍しく、予定していた時刻より30分も早く出発することが出来ました。お盆期間中は特に各地の渋滞が激しいだろうから、絶対に遅れるんじゃねえぞ、と私が必要以上に脅したのは正解だったようです。
予定では、九州自動車道(下り側)の古賀SA(サービスエリア)に立ち寄って、モーニングのバイキングを食べよう、という計画でした。
目的地である古賀SAまであと500メートルというところで、入口へと分岐する脇道のところに車の行列ができていました。SAの駐車場が満杯で入ることが出来ないのでしょう。慌てて私も最後尾に車を停車させ、ハザードを点滅させました。
並んだはいいが、まったく前に進まない。後ろを見ると続々と車が連なり始めている。
20分ほど待ちましたが、車3台分くらいしか前進できなかった。SAに入る頃には昼になっちまうぞ。そう判断し、古賀SAの朝食バイキングは断念しました。
じゃあどこで朝食を食べようかを考えたのですが、高速のSAに入ってしまうと、また渋滞が発生してたらタマランので、高速を降りてからどこかで食べよう、ということになりました。
我々が本線に戻った直後にFMラジオをつけたら、渋滞情報が流れていました。
九州自動車道下り、古賀サービスエリアを先頭に5キロの渋滞です
まさに我々がさっきまでいた場所でした。見切りをつけて正解。
鳥栖の市街地で道に迷う
九州道の鳥栖ジャンクションに到着しました。
佐賀・長崎方面(長崎道)への分岐、熊本・鹿児島方面(九州道)への分岐、大分・日田方面(大分道)への分岐、それから鳥栖市街に下りる出口と、この鳥栖ジャンクションは初心者を混乱させます。
予定通り鳥栖出口を出て市街地に出たのは良かったけど、カーナビをセットしていなかったため、自分たちが今どこにいて、どこに向かっているのかが全く分からなくなりました。
ひとまずどこか食事できそうなところがあれば、もうどこでもいいから入っちゃおうぜ、ってことで探すのですが、飲食店がぜんっぜんない。たまに発見しても準備中だったり。
そんなこんなで走ってたらセブンイレブンを発見したので、家族全員分のオニギリを大量に購入。旅の最初がいきなりコンビニのオニギリってのも寂しいですが、何も食べずに飢えるよりはマシ。
どこか広いところでオニギリを食べようと思い、フラフラとさまよっていたら、見覚えのある景色を発見。
ベストアメニティスタジアムです。ちょうど一年前、2010年の夏ですが、スタジアムの隣りにある施設「サンメッセ鳥栖」に日帰り出張をしました。そのときにスタジアムを初めて見て、「うはー! カッコエエー!」と感動したのです。
2011年シーズン、サッカーJ2を勝ち上がり、悲願のJ1昇格を果たしたサガン鳥栖のホームスタジアムでもあります。男子サッカー・ロンドン五輪予選の日本vsマレーシア戦もこのスタジアムで開催されました。
このスタジアムでJ1公式戦を見たら面白いだろうなあ。北九州からはちょっと遠いけど、いつか遠征して見てみたい。もちろんその時に応援するのはサガン鳥栖ですよ。
泳ぐというよりも水遊び
鳥栖市街を北上し、河内河川プールに到着しました。子供たちに大人気のスポットと書かれていたのですが、我々が到着したとき、駐車場はガラガラ。先客も家族が1組だけでした。早く出発して良かった。
どこか鳥栖で子供たちが遊べるスポットないかなあ、と探していて最初に見つけたのがここでした。
ダムの上流にある川を整備して作られたプールです。
こうやって見ると露天風呂みたいですが、プールです。水は冷たい。
プールは3つあるのですが、そのうち2つはとにかく浅い。浅すぎる。大人のスネあたりまでしかないので、泳ぐというよりチャプチャプと水遊びする場所ですね。小さいお子さんにはむしろいいかもしれないです。
「小さいお子さん」を卒業した中学生の長男が一人、浅いプールに座って物思いにふけっています。半身浴にすらなっていない。
3つのうち残り1つは、そこそこの深さでした。
「小さいお子さん」を卒業した長男も潜水して遊んでました。
末っ子が水に潜る練習を始め、それに付き合う長女。
到着した時は貸切状態みたいなものでしたからユッタリ気分で楽しんでいましたが、さすが人気スポット。1時間もしないうちに家族連れがワンサカ来ました。それほど広くない駐車場も即座に満車。
川の自然水を利用したプールということもあってか、とにかく水温が低いです。水の中へ最初の一歩を踏み出すと、まるで自分が冷凍保存されてしまうかのように冷たい。慣れれば大丈夫ですが、それでも通常のプールよりは冷たいですよ。
それもあって、末っ子が寒いと震え始めたので、1時間半ほど遊んで終了しました。
子供たちが着替えている間、プールのさらに上流にある橋の上から撮影してきました。
本格的に泳ぐことを目的として行くとガッカリしますが、ちょっとした子供たちの水遊びにはいいんじゃないでしょうか。ただ、とにかく混みます。駐車場もすぐ満車になるらしいので早目に行かれることをオススメします。(朝9時30分から利用できるそうです)
大きければイイとは限らなかった
鳥栖インターから再び九州自動車道に乗り、西の武雄北方インターで下りて武雄市内に入ります。
次の目的地は宇宙科学館。
佐賀旅行を決定した際、私も嫁もいろんな友人知人に「佐賀で面白いところ知ってる?」と聞いてみたのですが、圧倒的に一番評価が高かったのは、この宇宙科学館でした。
外観もイイ感じ。駐車場もほぼ埋まっていたし、中も賑わっていました。
リニアモーターカーの一人乗り用デモ機に末っ子が試乗しました。超低速で数メートル進んで、元の位置にバックして戻る、ただそれだけ。「これの何が楽しいの?」と末っ子はポカンとしてました。
ここの目玉の一つは巨大プラネタリウム。我々が行った時間帯は「星空」ではなく「恐竜の歴史」みたいなのを上映していたのですが、これが全然意味分からない。普通の映画みたいに前方に平面で映るのではなく、我々の頭上にある丸い天井部分に映写してるので、確かにデカくて迫力はあるけれど、大変見づらい。私の前に座る男が後ろを確認もせず何度もドスンドスンと座席を倒しやがって私の足にぶつかるのに謝りもしないのもあって、超不機嫌モードで上映終了。
プラネタリウムはハズレでしたが、他のちょっとしたアトラクションで子供たちはそこそこ楽しめたようで、おおむね満足していたようです。
旅館も食事も温泉も大変満足
宇宙科学館を出て一般道を南下し、嬉野市内に入りました。
嬉野と言えば温泉の他に「お茶」が有名です。市内に入ってすぐお茶畑が目に入ってきました。北九州に住んでいるとお茶畑なんて滅多に見られません。
そして、あちこちに立っている温泉の看板。
「日本三大美肌の湯・嬉野温泉」
ほおー、そうなのかー。三大ってことは、あと2つどこだろう。
調べたら、島根県の斐乃上(ひのかみ)温泉と、栃木県の喜連川(きつれがわ)温泉、だそうです。
旅館に到着して、荷物を置くやいなや家族全員で温泉に直行。お肌がトゥルントゥルンになりました。気持ち良かったー! この頃、とにかく仕事がハード過ぎて疲れが溜まりまくっていたので、心の底から癒されました。
食事も大満足でした。おいしかったー。ホテルや旅館の情報サイトで、こちらの料理は評判があまり良くなくて少し心配してたのですが、実際に食べてみて「みんなゼイタクなんだなー」と正直思いました。我々一家には十分すぎるご馳走でございました。
嬉野の名産で、温泉湯豆腐(茶豆腐)ってのがありました。お茶に浸した湯豆腐をゴマだれで食べるのですが、これ最高でした。翌朝のバイキングでも食べまくりましたよ。
旅先でも早起きは三文のトク
2日目。朝の5時に起床。私は普段もこのくらいの時刻に起きますが、この日は嫁も子供たちも次々に目覚めました。旅先だと早起きなんだな、おまえら。
外は快晴。家族全員で早朝の温泉街を散歩しに行きます。
今回お世話になった旅館。有名な旅館ですが、あえて名は伏せます。
車もまったく走ってないし、我々以外に誰も歩いていない、見事に静まりかえった温泉街を歩きます。ウォーキングのような速いペースではなく、あくまで散歩だったのでゆっくりと散策しました。
この時、ある施設のことを記憶していたおかげで、後でちょっといいことがありました。
旅館に戻り、すぐ朝風呂。早朝だったにもかかわらず、我々以外にも温泉に入ってる人が数名いました。
1階の売店でお土産を購入してから旅館をチェックアウト。お世話になりました。
滝を上から眺めることができます
2日目、最初の目的地は轟の滝。嬉野温泉街からそう遠くない距離です。
駐車場のすぐ横に、河川敷へと下りていく階段があります。
川は浅く、遊泳も出来ると観光ガイドに書いてました。水深は浅かったので、ここも泳ぐというより水遊びですね。
河川敷で中腰になって写真撮影をしていたら、きっとエサをくれると思ったんでしょうね。人懐っこい鴨がワンサカと寄ってきました。エサをあげるフリだけして移動。
そんなに大きな滝ではないですが、周囲の景色などはとても風情があって良かったです。
滝が落ちる崖の上にも行くことが出来ます(柵がないので小さい子供は要注意)。2つの滝が落ちる中間地点に不動明王像?が立っていました。真っ黒なわけじゃないですよ。単に逆光だっただけです。
友人知人の忠告を素直に聞けば良かった
次に向かったのは、歴史テーマパークの肥前夢街道。
「嬉野」と聞いて私がまず最初に思い浮かんだのは肥前夢街道。そのくらい九州では昔から知名度のあるテーマパーク。以前はテレビでもCMがジャンジャン流れていました。
テレビCMで印象的だった時計台の周辺では、CMで使われていたテーマ曲が無限ループで流されていました。
旅行の前、多くの友人知人に佐賀県で面白そうな場所の情報を収集して、一番人気は宇宙科学館だった、というのは上で書きました。
逆に最も評価が低かったのは、実は肥前夢街道でした。
行ったことのある人は全員、同じセリフを言いました。「ガッカリすると思うよ」と。
そうは言っても、面白くないと思うのは大人の感覚であって、小さい子供ならそれなりに楽しめるんじゃないの? だってあんなに有名なテーマパークじゃないですか。それに、他に嬉野近郊で「子供が遊べるところ」と言ってもそれほど多くなかったんですよ。
幸いなことに今回宿泊した旅館で肥前夢街道の入場割引券をもらえたので、行くだけ行ってみるか、ってことになりました。
で、結論を先に書くと、友人知人たちは正しかった。大いにガッカリしました。
最大の理由は、料金があまりにも高すぎる。
料金が高くても、相応の楽しさを提供してもらえるのなら納得はしますよ。でもここは残念ながら設定された料金に見合う楽しさは全く提供できていない。もし料金が現在の半額になったとしても、まだ高いとすら思える。
入場料だけなら高くはないですが、それだと何も遊べない。なのでフリーパス(1500円プラス)を付けざるを得ないのですが、フリーパスで利用できるアトラクションってのが、あまりにもお粗末。
すごく気になったのがスタッフの対応。ベテランらしきスタッフ、そして女性スタッフはみんな感じが良かったのですが、問題は大半の若い男性スタッフ(アルバイトなのか?)。
無愛想。笑わない。不機嫌そう。説明の声が小さい。質問しても無視。輪投げのアトラクションで女性客が「やったー入ったー!」と喜んでるのにハズレ判定で輪を撤去。「入ってたよ~」と女性客が抗議すると「はぁ?」とニラむ。客がいる目の前でスタッフ同士が雑談。あるいはジャレ合ってプロレスごっこしてる奴までいる。
さらに施設のあちこちがクモの巣だらけ。古く歴史のあるテーマパークだから老朽化ってのは仕方ないけど、それと「清掃できてない」ってのは違うはず。
おかしなもので、入場した時には青空が広がってたはずなのに、途中から信じられないほどの豪雨になりました。屋外のテーマパークですから何をすることも出来ない。しばらく待ちましたが止む気配もないし、止んだところでこれ以上何もすることはないので、家族で話し合った結果、豪雨の中を駐車場まで猛ダッシュすることにしました。
ズブ濡れになった服を車の中で着替え、肥前夢街道を後にしてから数分後、空はウソみたいに再び晴れました。そんなもんです。都合1時間ちょっとくらいしかいなかったのかな。
温泉の街なんだから温泉に入らなきゃ
事前の計画では、肥前夢街道で3時間ほど時間を潰して、それから北九州に帰ろう、と考えていました。
ところが前述の通り、1時間半も潰せなかった。さあどうしよう。
ひとまず全員ズブ濡れになったので、もう一回どこかで温泉に入ろう、ということになりました。せっかく温泉街に来たんだし、もう一回温泉に入れることになって良かったね、と子供たちもプラス思考。
「どこかに大衆浴場があるんじゃないの?」と嫁。
ふと思い出した私。今朝みんなで散歩した時に「ここ大衆浴場やね」って言ったところがあったやんか。
「そうだった?」と嫁。
嫁の絶望的な記憶力のことは忘れて、向かったのは嬉野温泉・元湯白珪。昔懐かしい銭湯みたいな風情のある大衆浴場でした。ここも気持ち良かったなあー。
ついでにこちらで昼食も済ませることにしました。
食後にみんなでかき氷を注文。子供たちは大喜び。
さて。これからどうすんべ。このまま帰るにはもったいない。時間に余裕もあるし。
iPhoneで周辺の観光スポットをいろいろ検索し、一つイイのを見つけました。早速行ってみよう。
トトロの森を思わせるパワースポット
武雄市内に入り、武雄神社というところに着きました。神社の境内に入り、正面に見て左側に下りの階段があります。
階段を下りるとヤケに雄大な景色が広がっていました。ここから上り坂になります。
ひたすら上ります。竹林の間を抜けていくと…
武雄の大楠、その雄姿がドドーンと視界の中に飛び込んできます。
ネットで「トトロの大木みたいな印象」と素敵なレビューを書かれてる方がいて、そのレビューに惹かれて行ってみたのですが、迫力もあるし、生命力もすごく感じることが出来ました。まさにパワースポット。
行ってよかったです。心を洗ってもらった気がしました。
ただ、午前の豪雨で地面がぬかるんでいてツルツルすべって歩きにくかったのと、大量の蚊が飛んでました。全員刺されまくってカユかった。
大渋滞、そして聞こえた亡き義父の声
いよいよ北九州に戻ります。武雄北方インターから長崎道に乗り、東へ。
吉野ヶ里遺跡の近くにあたる東脊振インターの手前で電光掲示板が渋滞情報を表示していました。
九州道 広川IC 渋滞12km
うわー!12kmって! っていうか広川インターってどこだ?
知らないってことは、北九州方面(上り)じゃないよな?
九州道って書いてるから、大分方面でもなさそうだし。
ってことは九州道の下り、熊本方面か? だよね? そうであってくれ!
iPhoneで調べたら、下りの熊本方面で正解でした。
うちらが帰ろうとしてる上りじゃなくて良かったねー、下りの人たちカワイソウだねー、渋滞12キロってどんだけ待つんだろうねー、俺はイライラして耐えられんやろうねー。
完全に他人事モード。
もうすぐ鳥栖ジャンクション。九州道への分岐へと入る直前の電光掲示板が見えてきました。
九州道 八幡IC 渋滞30km
わあああーー!!! 無理無理ムリむりm(気絶
(八幡インターってのは北九州市です)
もう条件反射。考えるよりも早くハンドルを切って鳥栖出口で高速を降りました。渋滞12kmを笑ってた天罰だ。30kmなんて経験したこともないけど、耐えられる自信などない!
カーナビをセットすれば帰る道くらいすぐ分かったのでしょうけど、渋滞30kmのパニックから立ち直れず、しばらく訳も分からず走り続けてました。
ところが。あれ? なんかこの風景、記憶にあるぞ。
1年前、出張で鳥栖に行った際、上司の運転する車の助手席に座って景色を見ていたのですが、その時に見た景色ってこれじゃない?
あやふやな記憶のまま進んでいて、途中で確信しました。間違いない、あの時の道だ。
ということは、あのラーメン屋が近くにあるはずだ。家族全員に「ラーメン食べたいか?」と聞くと、子供3人が「食べる!」と大合唱。寄り道することにしました。
安さが人気の丸幸ラーメンです。昼食から3時間しか経過してなかったけど、全員ペロリと完食。
ラーメンを食べ終え、運転を再開。1時間ほど進むと、亡くなった義父と義母の墓があるお寺の近くに出ました。
少し話が脱線します。前日、つまり旅行の初日にこんなことがありました。
車で移動中に嫁の携帯が鳴りました。相手は嫁の親戚の女性。
その女性の母親はもう80歳を超えたおばあちゃん。機械に疎くて留守番電話もセットの仕方が分からず、もう何年もセットしていなかったんですって。
ところがその日、帰宅すると電話の赤いランプが点滅している。留守番電話が入っているというサインでした。しかしおばあちゃん、留守電をセットしていない。「うっかりセットしちゃったんじゃないの?」と娘は言いますが、「しとらん。そこまでボケてない」とおばあちゃん。
誰がセットしたんだろう。そして相手は誰だろう。おばあちゃんは操作が分からないので、娘が代わりに再生ボタンを押しました。
すると流れてきたのは、7年前に亡くなった義弟の声。
つまり、おばあちゃんのご主人の弟。イコール私の嫁の父。
しかも伝言の内容がビックリ。
「しばらくご無沙汰して申し訳ありません、お盆にはお邪魔いたしますので」
というものだったそうです。
普通に考えれば、何かの拍子で偶然留守電がセットされちゃって、何かの誤作動で留守電ランプが点滅して、ずっとずっと昔に生前の義父が録音していた伝言が偶然再生された、っていうことなのでしょう。
それにしても偶然を通り越して奇跡ですよね。だって亡くなってる人がお盆にメッセージ残してるんですよ。しかも「お盆に行きます」って。
おばあちゃん、その伝言を聞いて腰を抜かしたそうです。しばらく立てなかったって。
でもその後、電話に向かって手を合わせて何度も拝みながら、「お盆だから帰ってきたんやね、それを教えてくれたんやね、本当に嬉しい、嬉しい」と言って号泣したんだそうです。娘も一緒に号泣。
そのことを嫁の携帯に電話して、教えてくれたというわけです。
だから、渋滞が30kmになって私が高速を降りて、こうやってお寺の近くまで来たのは、お義父さんの作戦通りだったのかな?
もちろん、お寺に寄ってきました。楽しかった家族旅行のことを家族全員で義父と義母に報告してきましたよ。
ちなみに余談ですが、その日の九州自動車道、私が帰るはずだった上り方面の八幡インターから続いた大渋滞は最終的に60kmを超えたらしく、その日全国でもっともヒドい渋滞だったそうです。
巻き込まれなくて良かった。60キロなんて想像も出来んわ。お義父さん、お義母さん、ありがとうございました。