ウォーキング大会の帰りに寄り道してきた
この日は午前中、粕屋町のウォーキング大会に参加。
昨年よりも成熟度の増したバラが迎えてくれた【長者原ウォーク】
2012年5月13日(日)。福岡県糟屋郡粕屋町一帯を歩いてきました。昨年に続き2年連続での参戦。昨年は開花が六分ほどだった駕与丁公園のバラ祭り。今年はどうだったか、写真を交えて書いていきます。
今回は長者原駅まで車で行ったため、帰りも車を運転して北九州へ。その途中、篠栗町の「南蔵院」に立ち寄ってきた。初めての訪問である。
日曜だったので平日のように空いてはいないだろうとは思っていたが、それどころか南蔵院の100メートルくらい手前から渋滞が始まった。
道路の左側にある無料駐車場は無理だな、と思ってたら右側にも駐車場の案内板がある。前の車がスキを見て右にシュッと曲がったので、続いて右折し、駐車場へ。
右に曲がった先の駐車場は有料だった。複数の駐車場スペースがあり、それぞれに入口で所有者らしき人たちが「こちらこちらー」と誘導している。
一番奥の駐車場に入ると、前払いで200円。
駐車場の管理人に聞いてみた。今日は何か南蔵院であるんですか?
「今日はサバクヨウだから混むと思うよー!」と管理人の女性。
サバクヨウ? 砂漠用? なんだろう。
詳しく聞こうと思ったが私の後ろにも駐車待ちの車が並んでいたので、迷惑になるから聞けないまま、奥へ進んで車を停めた。
平日と違って日曜だから、さすがにガラガラまではいかないだろうけど、でもそれほど混んでもないだろうと予想してただけに、ちょいとビックリ。南蔵院で何が開催されてるんだろう。サバクヨウとは何なのか。
篠栗八十八箇所巡礼の第一番札所、南蔵院
駐車場のすぐ前にあったJRの「城戸南蔵院前」駅。「きど・なんぞういんまえ」と読む。
昨年まで南蔵院の存在すら知らなかった。ウォーキング大会参加のため各地を訪れるようになり、JR福北ゆたか線に乗って篠栗や博多方面に向かう途中、山奥にこの「城戸南蔵院前」駅がある。
快速でも停車する駅だったから、山奥にもかかわらず乗り降りする人が多いのかな?とも思ったが、平日の昼にはほとんど誰もこの駅で降りないし、また乗っても来ない。
この駅の意味が分からず、帰宅してから妻に聞いたら、駅の名前にもある通り「南蔵院」という有名なお寺があるからだという。
「大仏みたいな大きな像が横になってて、一度見てみる価値あるよ」と妻。その言葉を聞いてずっと興味を持っていた。
そして今年の3月、ウォーキング大会が篠栗町で開催され、その中で「篠栗八十八箇所巡礼」のことを初めて知った。
篠栗八十八箇所を巡礼、温泉で食べ過ぎて太る【篠栗ウォーク】
2012年3月25日(日)。福岡県糟屋郡篠栗町一帯を歩いてきました。猛烈な向かい風や、至るところにある上り坂の連続で、前日に引き続き今回も過酷なウォーキングとなりました。
一般的に八十八箇所巡礼といえば四国が有名だけど、こちら篠栗も四国と同じく弘法大師による救済を祈願するため、各地に設置された霊場を訪れるというもの。篠栗町周辺に集中しているが、とても一日では巡れないくらい広範囲にわたって分散している。
自分もウォーキング篠栗編の時に幾つかの札所を歩いて巡った。途中で山を登ったりするハードなコースだった。
その時に知ったが、南蔵院は篠栗八十八箇所の第一番札所なのだという。他の霊場とは規模が違うこともあり「別格」と呼ばれているんだとか。
一部ではあるけれど八十八箇所巡礼を経験したことで、一番札所である南蔵院への思いは以前よりも増した。
駅の前にある篠栗八十八箇所の地図。
駅を通過して、南蔵院へと続く道の途中、多々良川に架かる小さな橋がある。橋の歩道には鉄琴のような板が並べられていて、バチで叩くと音が鳴る。連続して叩いていくと何かの曲になるみたい。実際に叩いてる人がいた。
行列は並ぶだけじゃなく見てるだけでも疲れる私
南蔵院の敷地内に入ると、人がワンサカ。普通の恰好をした観光客はもちろん、全身白いお遍路スタイルで歩いている集団もたくさんいた。皆さん巡礼してらっしゃるんだなー。
南蔵院は第一番札所、というのは上で書いたが、南蔵院本殿のすぐ近くにも複数の札所があった。写真もたくさん撮ったけど今回は札所の紹介じゃないので割愛。
坂を上って行くと、ものすごく長い行列を発見。坂の下に向かって並んでいるから、行列の群れがみんな私を見ている感覚。さすがに恥ずかしいから正面で写真撮る度胸はなかった。
「さば接待所」と書かれてある。この前に大量の人が並んでた。
さば? 砂漠じゃなくて「さば」なのか。魚のサバ? 何が何やらさっぱり分からん。
正面から撮る度胸はないので、行列を後ろから撮ってみた。皆さん何を接待してもらうために並んでるのか。
写真を撮ってる間も行列はどんどん長くなっていく。同じ色のハッピを着た複数の関係者が必死の形相で整理券を配ったり、行列の最後尾に誘導したり、何かの説明を一生懸命喋ってる姿を何度も見かけた。
篠栗八十八箇所の各所には、「子供が夜に夢で見て泣きそう」な怖い顔した像がけっこう多い。
ところで、妻が言ってた「大仏みたいな像が寝転んでる」のはどこにあるのだろう。道が分からないのでテキトーに歩いてみる。
坂を上ると違う札所だった。昔の人はこんな山奥のせせらぎでも祈願してたんだろうね。
福岡は源平合戦最後の地となった壇ノ浦があるので、平家落ち武者(落人)伝説ってのもいろいろ聞くことがある。川のせせらぎの向こうの岩に平家の人たちが身をひそめていた伝説があるんだって。
南蔵院の本堂に到達。ここに来るまで結構時間を要している。せっかくなので祈願してきた。
それにしても道が全然分からないので、本堂の横にあった売店の人に「大仏みたいな像」がどこにあるかを聞いてみた。
「ああ、涅槃像ですね、行き方はですね…」と親切に教えてもらい、やっと道が分かった。
涅槃像(ねはんぞう)って言うのか。
本堂横の階段を下りると、トンネルがあった。この向こうに涅槃像がある。
トンネルの中央にモクモクと煙がたちこめていた。何かと思ったら中央の壁にも祭壇があって、多くの線香が立てられていたのだけど、それが予想以上に燃えまくっていて、煙の量がハンパなかった。
トンネルの後半は煙が充満しまくっていて、これは一酸化炭素中毒で倒れる人が出るんじゃないかと思った。すごく煙たかった。長いトンネルじゃないから大丈夫なのかな。
トンネルを抜け、緩い上り坂を上っていく。この木製の通路は下を走る道路からも見える。いつも見上げてた橋のような通路はこれだったか。
松の葉が三つになっている、九州では珍しいとされる「三鈷の松」。葉っぱを持ってるとイイことあるんだって。
涅槃像へと向かう通路の途中、景色が良かったので、JR城戸南蔵院前駅と駐車場をパチリ。
ブロンズ像としては世界最大の「涅槃像」
しばらく歩くと階段があったので上ると、ようやく着いた。涅槃像の後頭部のところに出た。
これが南蔵院の涅槃像。デカイ。
全長41メートル、高さ11メートル、重さ300トンで、ブロンズの像としては世界最大なんだって。ニューヨークの「自由の女神」と大きさが変わらない、とサイトに書かれている。
涅槃像の足裏に階段がある。行ってみよう。
足の裏もデカイ。多くの人が足の裏を撫でたり触れたり、お賽銭を置いたりしていた。
足の裏に描かれた紋様に関する説明書き。整骨院で似たようなのを見かけるけどたぶん主旨が違う。
涅槃像の前、ど真ん中に式典で使ったと思われる紅白の特設ステージが設置されていて、写真を撮るのに邪魔。
周囲には式典関係者なのか、黒いスーツを着た集団がワンサカ。あんまりゆっくりくつろげる雰囲気でもなかったし、下を見てみると道路の渋滞がハンパないことになってて帰りが心配だったので、早々に立ち去ることにした。
駐車場へと戻る途中、柱に貼られていた紙を見て全ての謎が解けた。「おさかな供養祭」が開催されてた。
水揚げした魚介類の霊を慰めて海の恵みに感謝し、漁業者の安全と大漁を祈願する「おさかな供養祭」が13日、篠栗町の南蔵院で開かれた。
福岡市中央卸売市場鮮魚市場(福岡市中央区)で取引を行う卸売会社、仲買人、漁業者などでつくる福岡鮮魚市場魚霊供養会(平川真臣総代)が毎年主催している恒例行事で、30回目。市場関係者たちが建立した境内の「さば大師像」と「魚籃(ぎょらん)観音像」前に祭壇が設けられ、ヒラスやタイが供えられた。
(中略)参列者約400人が順番に手を合わせて焼香した。漁船名を記した大漁旗がはためく境内では、塩サバ5500匹が参拝客に振る舞われ、紅白の餅まきもあった。via:南蔵院でおさかな供養祭 | 西日本新聞
「サバクヨウ」の意味は「砂漠用」じゃなくて「さば供養」ね。なるほど。午前10時30分から塩さばを配布、と書かれてある。あの行列は塩サバをもらうための行列だったってことか。
ちなみに行列の写真を撮ったのは午前10時10分頃。たぶん行列がピークだった頃だったんだろう。
なぜ南蔵院に漁師の大漁旗がたくさん揺れてたのかも、やっと納得。
さっき通った、トンネルを抜けてすぐの木製通路を道路から撮影。下にある駐車場は無料で、駐車可能なスペースは少ないけど空いてる時にはここに停めれば涅槃像まで最短距離で行ける。
上りの飯塚方面も、下りの篠栗方面も、両方向がとんでもない渋滞になっていた。この一帯で渋滞する理由は南蔵院しか考えられない。人気のあるイベントなんだね。全然知らなかった。
軽い気持ちでフラッと寄るつもりが、スゴイ人混みのイベントに偶然重なって、ワーっと急いで歩き回り、慌ただしく写真を撮って帰った。でも楽しかった。
大渋滞に巻き込まれる寸前で脱出できたのが何より良かった。