駅名は「スペースワールド駅」のまま続く
今回のスタート地点、JRスペースワールド駅。
この一帯である「東田エリア」は、もともとは八幡製鉄所の敷地だった。その敷地の一部が遊休地となって開放され、1990年4月にテーマパーク「スペースワールド」が開園。
JR鹿児島本線も以前は八幡製鉄所の敷地の外周をグルリと迂回するルートだった。遊休地となった東田エリアの再開発事業の一環でルートが変更され、JR枝光駅とJR八幡駅を最短距離で結ぶ現在の線路となった。
スペースワールド開園当初は最寄り駅としてJR枝光駅が案内されていたが、なんせ駅から遠いし、道路も狭くて利便性がとても悪かったことから、枝光駅と八幡駅の中間地点に新しい最寄り駅として造られたのがスペースワールド駅。1999年7月に開業している。
残念ながらスペースワールドは2017年の大晦日をもって閉園。北九州が誇るテーマパークは消滅した。こちらスペースワールド駅も快速電車の停車駅から外れた。
閉園後もJR九州の社長は「駅名を変えない」と発表。事実、4年経った現在も駅名はそのまま。
しかしスペースワールド跡地には「ジ・アウトレット北九州」の建設が進み、2022年4月にはオープンすると発表されている。
ジ・アウトレット北九州には是非とも盛り上がって欲しいし、一市民として開業が楽しみである。
新しい商業施設が街に馴染み、親しまれるようになってからでも構わないから、どうか駅名を変更していただきたい、と個人的には思う。
人口減少が進んでいる北九州市。消滅したテーマパークの思い出を駅名として刻み続けるよりも、どうか先に進んでもらいたい。
ただ、新駅名が「ジ・アウトレット北九州駅」になると想像すると、全然ピンと来ない。きっと慣れたら違和感はなくなるのだろうけど。
日本新三大夜景、皿倉山
ウォーキング開始。スペースワールド駅前にある歩道橋を渡る。
左に見えている大きく白い建物は、スペースワールド跡地に現在建設中である「ジ・アウトレット北九州」内の施設、「スペースLABO」。北九州市八幡東区桃園にある「北九州市立児童文化科学館」がここに移転してパワーアップする。
そのあたりの詳しい経緯や、スペースLABOには何が出来るのかといった話は、先日取材して公開したジ・アウトレットの記事にミッチリ紹介している。興味のある方は是非ご一読を。
イオンモール八幡東の横を通過。北九州エリアでは最も店舗面積が広いイオンモール。
道路を挟みイオンの反対側に建つのは、旧スペースワールド、イオンモール八幡東と並び東田エリアの集客を牽引する「北九州市立いのちのたび博物館」。
様々な展示企画があり、小学生のバス遠足としても定着した感がある。うちの子供たちも全員行った。
東田大通りを南へ進み、戸畑バイパスの高架下を抜けると、八幡東区のシンボルとも言うべき「皿倉山」の姿が見え始める。
2003年4月には「新日本三大夜景」と「日本の夜景100選」に選ばれた。
ひとくちメモ
他の2つは「笛吹川フルーツ公園(山梨市)」と「若草山(奈良市)」。
また2015年には日本新三大夜景都市の投票で、皿倉山、高塔山を始めとする北九州市の夜景が第3位に選ばれている。
ひとくちメモ
1位は長崎市(稲佐山、鍋冠山など)、2位は札幌市(藻岩山、大倉山など)
自分も皿倉山の山頂には100回くらい行ったかもしれない(登山はしていない)。「100億ドルの夜景」と称される夜の眺めは確かにキレイだし、夜景好きは満足できると思う。なお、100億ドルは盛り過ぎだとは正直思う。
「中央町」交差点を渡る。中央に見えている白い建物は「レインボープラザ」。市民センターや福祉団体、教育団体が入居しており、貸し会議室もある。
中央町から東西に延びるこの道路は、かつて路面電車(=西鉄北九州線)が走っていた。路面電車の廃止後は「旧電車通り」と呼ばれていたが、現在もそう呼ばれてるのかは知らない。
負けないこと、逃げ出さないこと
八幡製鉄所が1928年に造った「大谷球場」。2004年に北九州市へ管理権が譲渡されている。
毎年、秋になると八幡東区では「まつり起業祭八幡」というお祭りが開催され、大谷球場周辺も主要会場となっている。残念ながら新型コロナウィルス感染の影響で2020年と2021年は開催が中止された。
ここ数年はプロ野球・福岡ソフトバンクホークスの今宮健太選手が、春季キャンプ前の自主トレ期間に大谷球場で自主トレをすることで有名になっている。
2020年にパ・リーグの盗塁王を獲得した周東佑京選手も、同年1月の自主トレで今宮選手と共に大谷球場にてトレーニングをしている。
数年前、初めて40kmウォーキング大会に参加した時、ここ「春の町一丁目公園」がチェックポイントになっていた。ちょうど半分、20kmくらいの地点だったと記憶している。
それまで最長でも15kmほどしか歩いた経験がなく、20kmの時点で両脚が悲鳴をあげていて、公園の遊具に座って脚をマッサージしながら「あと20kmなんて無理だ、ここでリタイアしようか…」と何度も考え、何度も打ち消すという葛藤の時間帯があった。
結局、もう一度気持ちを震い立たせ、なんとか40kmを完歩することが出来た。この公園の近くに来るといつも、あの時のことを思い出す。あきらめないで良かったと。
馴染みの店が消えていた
どんどん近付いてくる皿倉山を眺めながら進路を西へ。皿倉小学校、九州国際大学と通過していく。
かつて、ここは「リンガーハット」だったのだが、北九州では有名な「八幡のチャンポン」に店が変わっていてビックリした。
2021年3月にオープンしたらしい。全然知らなかった。
「八幡のチャンポン」にもビックリしたが、同じ敷地内にある「ゲオ平野店」が閉店していたのはビックリを通り越して衝撃だった。「うわああ」と声が出てしまった。
会社勤めの頃、通勤路にあったことから数多く利用していた馴染みの店。2021年8月に閉店したらしい。寂しい。
毎年春になると「前田さくら祭り」が開催される「さくら通り」。九州国際大学の西側を南北に延びている。
こちらも残念ながら、2020年と2021年は新型コロナウィルス感染拡大の影響により祭りが中止となった。
「さくら通り」よりも1本西にある「八幡祇園町銀天街」。
ここにはアーケードがあったのだが、建設から60年も経ったことで老朽化が進んだのと、補修費を負担する店舗が減ってしまったことなどから、2020年2月に撤去された。
この商店街は、北九州市や直方市の各地で撮影が行われた『おっぱいバレー』(主演:綾瀬はるか)という映画作品でロケ地となった。映画の中で祇園町銀天街は、加工も何もなく、そっくりそのままの姿で登場していた。
前述した「前田さくら祭り」には何度か訪れたことがあり、祇園町銀天街はいつも散策している。
店舗は全盛時の1割ほどしか残っていないらしいが、新しい店舗も幾つか建っていた。アーケードの消えた祇園町銀天街は「あおぞら祇園町商店街」として続いていく。
北九州市立八幡病院に到着。小児科の救急・総合医療センターが有名。
うちの子供も入院したことがあり、お世話になった。毎日見舞いに来て、休憩室でMacとにらめっこしながら仕事していたのを思い出す。
それにしても、病院の様子がおかしい。建物全体が暗く、駐車場には枯れ葉が舞いまくり、人の気配もなければ車の往来も全くない。廃墟みたいな雰囲気。どうしてしまったのだ。
病院から東へ進むとロータリーがある。「初心者ドライバー泣かせ」と言われ、慣れない人はどう走ってどう曲がればいいのか分からなくなるらしい。確かにこの形態のロータリーは北九州市の他にはないかもしれない。
そのロータリーの中央には「復興平和記念像」という石像が建てられている。
太平洋戦争の最中、昭和19年(1944年)6月16日、現在の北九州市各エリア(当時は八幡市・小倉市・門司市・戸畑市・若松市)はアメリカ軍に上空から爆撃された。これが日本本土における初めての空襲被害だった(=八幡空襲)。
さらに同年8月20日、翌年(1945年)8月8日(=八幡大空襲)と合計3回も空襲され、八幡エリアは多くの死者を出し、街も焼け野原となったらしい。
昭和33年(1958年)に建設された「八幡市民会館」。2016年3月末で閉館した。取り壊されるという話を聞いていたが、保存される方針に変わったらしい。
駐車場横の歩道には「都市公民館発祥の地」と刻まれた石碑がある。
その八幡市民会館の隣りに、見たことのない巨大な建物を発見。建物の上に「北九州市立八幡病院」という看板が。「はあ?」と声が出てしまった。
どうやら北九州市立八幡病院は、ここ(=北九州市八幡東区尾倉2丁目)に移転したということらしい。
移転したなんて、ぜんっぜん知らなかった。今回いろんな場所で閉店や新装開店を目撃して驚いたが、この病院の移転がいちばんビックリした。
だからさっきの「旧」市立八幡病院は廃墟のようになってたのか。やっと把握した。
あとで調べたら、2018年12月に移転開業していたらしい。3年も気付かなかった自分を恥じる。
「新」市立八幡病院が建っている場所、以前は何が建っていたのかをすっかり忘れていたが、歩道で記念碑があるのを発見。
そうだそうだ、ここは旧八幡図書館が建っていた。昔のウォーキング大会で写真を撮ったこともある。
1955年に建築され、2016年3月に閉館。建物を保存して遺そうという動きがあったように記憶しているが、結局は解体された。跡地に病院が建つということだったんだな、と今になって知る。
なお、新しい八幡図書館は、跡地に移転してきた北九州市立八幡病院の敷地内に新しく建築されている。
国際通りを北へ進み、「八幡駅前」交差点を渡る。高いビルが建ち、このあたりも都会っぽくなったなあと感じる。
「八幡駅前」交差点の東西に延びる道路も「旧電車通り」で、昔は路面電車が走っていた。
今回のゴール地点、JR八幡駅に到着。黒いラジカセみたいな新駅舎に変わったのは2008年3月から。
余談だが、北九州市の「八幡」の読みは「やはた」。同じ漢字を「やわた」や「はちまん」と読ませる自治体もあり、ニュース原稿を読む東京のアナウンサーが時々間違えてることもある。iPhoneのSiriまで「きたきゅうしゅうし、やわた」と言いやがるが、我々は「やはた」だ。
八幡駅前にある「八幡のチャンポン」。今回の記事で紹介したように、平野に新しい店舗が出来たことで、こちら八幡駅前の店舗は「本店」ということになったらしい。
店名にもなっているとおり、チャンポンが有名なのだが、個人的には焼きそばが好きで毎回頼んでいる。名物「八幡の焼きそば」はチキンカツが2個ついてくる。チキンカツをトンカツに変更することも出来る(値段は高くなる)。
お昼時だったので満員だったが、おいしくいただき大満足。帰りの電車にも間に合った。
総距離5.2km、いろんな新発見のある楽しいウォーキングだった。