登山を決意するまでの経緯
【→自主トレ宮地嶽編からの続き】
▲ 「那の津さくら通り」と書かれた石碑。民家村の端にある。
▲ 桜の木に囲まれた坂を上っていく。
▲ 坂が終わり「不動神社」横の階段を上ると、「宮地嶽自然歩道」の案内板。
「奥の宮八社参り」の途中、「濡髪大明神」の場所が分からずウロウロしてる最中にこの案内板があることを知り、八社参りが終了してから戻ってきた。
宮地嶽神社は本殿だけではない、奥には別世界が広がっている
2012年6月28日(木)。ウォーキング大会が中断中の自主トレ第2弾として選んだのは、福津市の宮地嶽神社を散策するコース。お友達に教えてもらった「ウォーキング大会の際には立ち寄らなかった」宮地嶽神社の別世界を散策してきました。
「全長2.4km」「約1時間半」「景色の良いのが特長」
この3つのキーワードだけで8割方「登山してみる?」と心が傾いていた。登山は苦手なはずなのに。
登山後にイオンモール福津まで歩いて帰ることが出来るだろうかという不安と(イオン福津まで結構遠い)、先日若松で死にそうになった件(ウォーキングの若松大会で登山の途中に過呼吸で気を失いそうになった)が再発しないだろうかいう不安、その2つが少し気がかりだった。
しかし、宮地嶽神社のことを詳しく教えてくれた友人が「裏の山を登ってみたい」と語っていたのを思い出し、せっかくだから友人よりも先に登ってガイド的なことをブログに書けば恩返しにもなるかな、という気持ちもあり、よし登ろう、とスイッチが入った。
山頂に到着、しかし何も見えない
▲ スタート直後は登山道もコンクリートで舗装されているので歩きやすい。勾配も緩やか。
▲ 200メートルおきに距離標が立っている。
▲ 少しずつ勾配がキツくなってくる。
▲ コンクリート舗装が終わった。最初の方はそれでもまだ歩きやすかった。
▲ 進むにつれて道は細くなり、やがて左側が崖状態になってきた。正直ビビる。
前日までずっと雨が降ってたせいで、細い土の登山道がツルツル滑る。冗談抜きで遭難の恐怖を感じ始める。
▲ 400メートル地点を通過。道がすべりやすくて歩きづらい。しかし、まだ勾配はそれほど急でもなかったし、散策の延長みたいな気分で歩けていた。
600メートル地点を通過後、道が3つに分岐している地点に到達。宮地嶽神社に向かうと思われる道以外に「在自山」「山頂古宮址」という2つの案内板。
山頂に向かうんだから、山頂って書いた方角だろ。
▲ ってことで「山頂古宮址」という方向に進もうとしたのだが、道が下っている。山頂に行くのに下り坂はおかしいだろ。
もう一度案内板をよく見てみると、下り坂の方向ではなく、丘の上の方を指している。どうやら坂を下れということではなく、丘のほうに登れという案内らしい。丘のほうが道らしい道という感じでもなかったため、ものすごく分かりづらい。
というわけで、分岐点は実質4つのルートに別れていた。その4つめ、丘へと登る道を進む。それまでの散策モードから突然傾斜が厳しくなり「登山モード」になってしまった。
▲ 勾配が緩やかになり、少し広い場所に着いた。前方に何かある。
▲ 鳥居と、何かの案内板。
▲ 「宮地嶽神社 古宮の由緒」と記されている。
ちょっと待て。ここ山頂なのかい?
▲ 「宮地山 180.7m」と書いてある。山頂だった。えええ?
過呼吸を意識し過ぎて少々疲れはあったが、まだ体力に余裕はある。こんな突然山頂に辿り着けるとは思ってなかったので拍子抜け。山頂まで1時間半じゃなかったのか。まだ30分くらいだぞ。
▲ 木ばっかりで何も見えん。「景色サイコー! 登山して良かった!」という満足感と達成感がゼロ。
▲ 「御来光遙拝所」という案内板が木に隠れつつも立っていた。そちらに向かって進む。
▲ 昔の人はここからご来光を見てたらしい。
▲ 今は光どころか木と草しか見えない。
おかしい。何かが間違ってる。
登山口の案内板に「景色の良いのが特長」って書いてたよな? 景色なんて何も見えない。ここじゃないのか? どこ行けばいいのだ?
山頂で軽くパニック。
iPhoneで調べてみると、「隣りの在自山(あらじやま)に行く途中で展望の良い場所がある」と書かれているサイトを発見。
それで納得。ここは「宮地山」で、隣りにもう1つ「在自山」がある。在自山の景色が綺麗ということなのだろう。そういえばさっきの「4つの分岐点」にも「在自山」という案内板があった。
在自山で豹変した地獄の急勾配
▲ 丘を下り、さっきの「4つの方向への分岐点」へと戻る。
▲ 在自山はコッチ。今度は間違いない。
▲ 分岐点を過ぎると、まず緩やかな下りの階段が始まる。とてもラクチン。
▲ 下りが終了して再び上りに変わった。階段をあわてずゆっくりと進む。まだそれほど急勾配ではない。
▲ 上り続けていると展望の良い場所に出た。やっと福津市街の風景を見下ろすことが出来た。テンションが上がる。
▲ 見覚えのある建物を発見。イオンモール福津だ。「今から山を下りてあそこまで歩いて帰って、さらに運転して自宅まで帰る」なんてことを考えると気力が萎えそうだったので考えないようにした。
▲ 見晴らしの良い場所を通過すると勾配が厳しくなってきた。
▲ かなり急勾配な上り階段。前方から見ると階段というよりハシゴのようだ。視界に入った時点で絶句してしまった。
ここからがものすごくハード。階段を1段進むのに10秒くらいかけてた。過呼吸が怖い。慌てず、呼吸に気を付けて、息を吐く。
▲ 突然現れた距離標示。まだ半分も来てないのか、と考えかけて打ち消す。弱気になると疲労度が増す。
▲ 高い丈の茂みに囲まれた登山道をゆっくり進む。勾配はまだ険しいが、徐々に前方が明るくなってきた。空が見え始めている。山頂が近付いている予感。
▲ 視界が開けた。
▲ ここでベンチに座ったら負け。座ると歩くのを再開する気分が薄れる。立ったまま少しだけ休憩しよう。
そう考えてベンチ前で立ち止まり、後ろを振り返って驚く。
▲ いきなりの絶景。猛烈に感動して「やったああー!!」と叫んだ。周囲に誰もいなかったから恥ずかしくない。
▲ 登山好きな友人から「山に登る楽しさ」を聞かされても羨ましいと思ったことはなかった。なぜ山に登るのが好きなのか分からなかった。
しかし、この景色を見て少し理解できた。この感動と達成感を登る度に友人は味わっているのだ。いやあ素晴らしい。
▲ 左手前にある山がおそらくさっき登った「宮地山」なのだろう。今いる場所より低い。
▲ 湾曲した海岸線はどの辺りなのだろう。古賀市なのか、新宮町なのか。
▲ こちらは津屋崎千軒の辺りか。ウォーキング大会で何度か歩いて少しは福津市に詳しくなったつもりだったが、山の上から見下ろすとあんまりよく分からない。
真の地獄、そして未知の恐怖は下り坂に…
風景を堪能したので登山再開。あとはもう下るだけだろうか。上りよりはラクだろう、と安易に考える。
▲ 数秒で「甘かった」と気付かされる。山頂まであと少し残ってたみたい。再び上り勾配になった途中で1200メートルの距離標。
▲ さらに上り続けると、いかにも「山頂」って雰囲気の広場に到達。
▲ 在自山(あらじやま)の山頂に到達。標高249メートル。登りきった。
▲ さっきも言ったがベンチに座ると負け。無視して通過。
▲ 山頂を通過し、下り坂に入ってすぐのところに何やら開けた場所。
▲ 「在自山の古宮」との案内板。福津市に合併する前の「津屋崎町」のままになってる。
▲ お宮があったので参拝。無事に登ることが出来たことを感謝。
しかし、ここからが無事じゃなかった。
▲ 古宮のすぐ前の階段を下りると、1400メートルの距離標。
▲ 階段のすぐ正面に案内板。左に行けば展望台。しかし先ほど景色は堪能した。おそらく同じ景色なのだろう。展望台に寄り道はせず右の「自然歩道」に進む。
▲ 最初はそれほど急な勾配じゃなかった下り坂も、進むにつれてどんどん傾斜が厳しくなる。前日までの雨で下り坂も延々とヌルヌル状態。とにかく転んで怪我しないことだけを気にしながら下り続ける。
必要以上に神経を使うし、いつも以上にヒザへ負担がかかる。両ヒザがもともと悪いので滑りやすい下り坂は過酷。
▲ 1800メートル地点の距離標。ここの直前で1回目の転倒。想像以上に段差のある箇所で、勢いよく飛び降りて左足だけで着地したら見事にツルッと滑った。
転倒しないよう右足で踏ん張ったら、右脚の付け根がピキーっとつってしまった。「いてててて!!!」と痛みで叫びながら結局派手に転倒。
他の箇所に怪我はなかったが、つった右脚の付け根が痛くてたまらない。しばらく座り込んだまま付け根を数分間マッサージした後、両脚のストレッチをしたら幾分痛みは治まった。
しかし右脚に力が入らなくなってしまった。困った…。でも下りるしかない。
▲ なおも滑りやすい下り坂は続く。
木の上の方で得体の知れない鳴き声が聞こえる。鳥なのか猿なのか、何なのかは分からないが不気味でたまらない。
さらには下の方の茂みの中から時々、正体不明の音がする。バキバキっと地面の枝を踏みしめてるような音、フーフーという動物の呼吸みたいな音だったり、ガサガサっと草むらを移動するような音もする。
犬なのか狸なのか。まさか、熊ってことはないよな?
▲ 坂を進めば進むほど、下の方で響いている無気味な音が大きく、そして近付いてくる。上の写真を撮った直後、その不気味な物音が突然大きくなった。
何かが、間違いなく、自分の近くに潜んでいる。
しかし右脚の付け根に違和感があり、走って逃げることも出来ない。そもそも土の道が滑るので、走るとまた怪我をしてしまう。
▲ 前方に広場が見え、「下りが終わったのかな?」と一瞬気を抜いてしまった直後、すぐ後ろでザザザザッ!と大きな物音! 何かが襲ってきた!
うわああーー! と悲鳴をあげて走ろうとした瞬間、今度は両脚を同時に滑らせてしまい、アイススケートで初心者が転ぶ時のような体勢でお尻からズデーンと本日2度目の転倒。
お尻と脚が猛烈に痛かったが、そんな場合じゃない! 熊に食われる! 死んだふりする余裕もない!
後ろを振り返らずに脚をひきずりながら早足でその場から逃走。結局、物音の正体が何だったのかは最後まで判らなかった。
ココハドコデスカ?
▲ 右側に畑が見えてきた。ようやく「登山道」という感じではなくなってきた。
▲ 2000メートル地点。
▲ 案内板に従い左に進む。
▲ 車1台が余裕で通れるほど道幅も広くなった。勾配も緩やかになり、体力を奪われずに進める。しかし2度の転倒で右脚を完全に痛めてしまった。加速ができず、惰性でダラダラ歩くことしか出来ない。
▲ 登山道の終点、「金刀比羅神社」に到達。「ことひら」ではなく「こんぴら」と読むらしい。
▲ ここを終点と考えると、宮地嶽神社の案内板によれば「約1時間30分」の登山コースと記されていたが、今回私は1時間45分かかった。
「宮地山」の山頂で混乱し、在自山の山頂手前で景色をゆっくり堪能し、1800メートル地点で転倒してストレッチなどの治療した、全ての時間を合計しての1時間45分。
▲ 神社を出たが、ここがどこなのか全く分からない。案内板や道路標識など何もない。
▲ 住宅街に入った。さっきまでいた在自山が左に見える。
▲ iPhoneの地図アプリで現在地は把握したが、電波が悪かったのか周囲の地図が表示されない。絶望的な気分になりながらフラフラ歩いていると住宅から人が出てきたので、宮地嶽神社までの道を教えてもらった。助かった。
▲ おそらく最初に登った宮地山。
▲ 住宅街の中に田んぼ。
▲ 見覚えのある道路に出た。ウォーキング大会でいつも歩いてる道だ。もうiPhoneの地図アプリは必要ない。
▲ 宮地嶽神社に戻ってきた。ここまで一切飲まず食わずだったので、コンビニでペットボトルのお茶を買い、一気に飲み干した。
▲ 宮地嶽神社の入口と、後ろにそびえる宮地山。また一つ思い出と自信を積み重ねることができた。
ここがゴールなら良かったのだが、更にイオンモール福津まで歩かねばならない。バスに乗る手段も考えたが、脚は痛いながらもまだ動くので、やっぱり歩くことにした。
▲ iPhoneで福津市の気温を確認したら26度。暑いはずだ。
▲ 「大和町」交差点。ウォーキング大会であれば左折してJR福間駅に行くところ。今回は直進。
▲ 高架ではなく普通に踏切だった。
▲ 踏切のすぐ横がJR福間駅。上下線とも列車がホームに停車している。
▲ 博多駅方面の電車が発車したらしい。
▲ イオンモール福津に到着。
▲ さすがに今回は疲れた。途中で登山を入れたのは無謀だったが、よく最後まで歩けた。今回の距離と気力も財産になることだろう。
▲ この日は何も食べてなかったのでイオンモールのフードコートに立ち寄り、うどんを食べてから北九州に帰った。