【当サイトはアフィリエイト広告を利用しています】

ゲーリー・オブライト:恐怖の高速ジャーマンスープレックス【レスラー列伝#8】

2012年10月30日

ジャーマン・スープレックスの概念を変えた男

今回紹介するのは、格闘技系団体「UWFインター」に登場し、高田延彦や田村潔司など当時のトップ選手を次々と「超高速スープレックス」でなぎ倒していったゲーリー・オブライト

「プロレスの神様」カール・ゴッチが編み出したと言われるジャーマン・スープレックス。プロレス創世記の頃から有名な技です。

元々はアマレス技から来ているため、アマレス出身のレスラーが多用するこの技は、投げ方や投げた後の体勢(いわゆるブリッジという背中の反り)で、その選手が一流なのかそうでないのかが分かるとまで言われています。

ジャーマンの名手と言われる選手は数多く存在しますが、カール・ゴッチを筆頭に、基本的には「相手から3カウントを奪うフィニッシュ・ホールド」という使われ方が多く、観る側もそういう認識でした。

ジャーマン・スープレックス・ホールドという技ですね。投げた後にブリッジしたまま動かずフォールを奪う。

しかし、スタイナー・ブラザーズの兄ちゃん、リック・スタイナーの登場あたりから少々流れが変わってきます。

リック・スタイナーの必殺技の一つが「投げっぱなしジャーマン」。これは投げた後にフォールする「ホールド」ではなく、ジャーマンで投げた際に腰でクラッチしている両手を離し、そのまま後ろにブン投げるという荒技。

投げられる側の角度も含めて見た目のインパクトが強烈だったため、この技は大流行。三沢光晴はジャーマンだけでなく「投げっぱなしタイガー・スープレックス」もやってました。

小橋建太が見せる「ハーフネルソン・スープレックス」も投げっぱなしの派生と言えますね。あれもエグイ。

他にジャーマンでは高山善廣が見せる、その長身から角度をつけてズドンと落とす「エベレスト・ジャーマン」だったり、他にも挙げればキリがないほどジャーマンの名手はいます。

しかし、投げる速さでゲーリー・オブライトのインパクトに匹敵する選手はいなかったんじゃないかな。

ホールドしてフォールを奪ったり、投げっぱなしで放り投げたり、角度をつけて高い所から落としたり、いろいろなジャーマンがある中で、オブライトのジャーマンは「超高速で受け身を取らせない」ジャーマンでした。

そもそも、ジャーマンで相手をKOするなんてことは、それまで考えられなかった。

プロレスvsアマレスの異種格闘技戦で、アマレス選手が何回かスープレックスで投げるものの、基本的にそれが「相手を痛めつける技」ではないため、最終的にはプロレスが大勝利!なんていうシーンを数多く見てきました。

ところがオブライトのジャーマンは完全に「相手を潰すジャーマン」。UWFインターでオブライトの試合を見てて何度絶句したことか。

しかもオブライトは、ジャーマンだけでは終わらず、フルネルソン・スープレックスまでやるようになっちゃった。藤波辰爾が若い頃にやってた「ドラゴン・スープレックス」と同じ技です。

オブライトのフルネルソンは、相手の後頭部で手を握る方法ではなく、自分の両手を相手の後頭部に押しつけるような形。つまり相手の首を極めにいってるんです。

あのパワーで首を極めたまま超高速で後ろにドカンと投げるわけですから、これ大げさでもなんでもなく投げられた相手は死ぬ危険がありました。受け身が取れないし、首は極まってるし。

観る側のスープレックスに対する概念を根本的に変えちゃったオブライト。当然ながらUWFインターで大活躍しました。

ところが突然、全日本プロレスに移籍。スティーブ・ウイリアムスに誘われたらしいです。

UWFインターでは完全無欠のトップ外国人だったオブライトに対し、馬場さんは「プロレスが下手だ」とダメ出し。

全日本でのデビュー戦こそ川田利明との異種格闘技っぽい試合で扱われたものの、以後は普通の外国人選手と同等の扱いで、プロレス特訓も相当してたみたいです。

それでもタッグ王者になったし、ウイリアムスと「TOP」というユニットを組んだりして、実力でのし上がっていきました。

2000年、アメリカで試合中に心臓発作で倒れ、そのまま急死。享年36歳という若さでした。

印象的なムーブ・ベスト3

★第1位:超高速フルネルソン・スープレックス

これは本当に観てて怖かった。

UWFインターという団体は3カウントでフォールを取るのではなく、関節技のタップか相手をKOさせるかというルールだったので(途中からルールも変わっていきましたけど)、オブライトはスープレックスで相手をKOするスタイル。

このフルネルソンは十分すぎるほどの説得力がありました。

★第2位:超高速ジャーマン・スープレックス

相手をKOするジャーマンの使い手としては、彼がベストかもしれないですね。

★第3位:ベリー・トゥー・ベリー

プロレスでは「フロント・スープレックス」と呼ぶことが多いのですが、アマレスでは「ベリー・トゥー・ベリー」と呼ぶらしいです。

オブライトは何にしても投げ技が速かったので、この技も観てて迫力がありました。

Voodoo Chile (Slight Return)

Voodoo Chile (Slight Return)

収録アルバム『Electric LadylandThe Jimi Hendrix Experience Revolver RecordsAmazonデジタルミュージック

-プロレス
-