【当サイトはアフィリエイト広告を利用しています】

わずか1週間で復旧した博多駅近くの道路陥没崩落事故現場に行ってきた

2016年11月26日

衝撃的だった大都市の道路陥没事故

2016年11月8日(火)の早朝午前5時過ぎに発生した博多駅近くの交差点における道路陥没事故

約2時間後の午前7時過ぎには、5車線ある道路の全体が陥没し、地下に崩落してしまうという大規模な事故となりました。

道路陥没の映像は世界中に配信された

このニュースは日本国内だけでなく海外でも報道され、大きく陥没してしまった事故現場の映像が世界中に配信されました。

近くの商業施設、ライフラインにも影響が出た

工事関係者の迅速的確な判断により死者・負傷者の人的被害はなかったものの、現場は通行止めとなり、現場周辺の店舗や駐車場は営業不能になっただけでなく、近隣のオフィスビルは倒壊の恐れがあるため避難指示が通達されました。

またガス漏れ、水道や電気のストップなどライフラインにも影響が出て、博多駅や福岡空港も一時的に電気が使えなくなったほか、福岡銀行では全支店のATMが使用不能となるなど、駅前エリア以外にも影響が出たそうです。

事故当日の現場写真を含むツイート

道路の端から端まで、全面的に陥没してしまったことが分かります。

車道部分だけでなく、歩道部分までもが陥没しています。

店舗入口のギリギリまで穴が拡大してしまったことや、ビル地下の基礎部分がむき出しになっている映像はテレビのニュースで何度も報道され、衝撃を受けました。

あれほどの大規模事故がわずか1週間で復旧!

福岡市の工事関係者が総力を結集!

かなり大規模な事故だったこともあり、復旧までには相当な時間を要するのではないかと言われていた事故現場。

しかし、福岡市・高島市長の号令のもと、工事関係者が総力を結集させてライフラインの復旧を最優先に工事を進め、わずか1週間後の11月15日(火)早朝には車両や歩行者の通行が再開されたと報道されました。

あれほどの大規模事故だったにもかかわらず、わずか1週間での復旧というニュースもまた、驚きをもって報道されました。

博多駅前の事故現場を実際に見てきました

陥没事故現場が1週間で復旧した、さらにその1週間後というタイミングですが、JR博多駅に行ってきました。

復旧した事故現場は現在どうなっているか、もう安心して通行できるのか、写真付きで紹介します。

陥没事故発生から2週間後、復旧から1週間後の事故現場の様子

博多駅の屋上から撮影した陥没事故現場

JR博多駅ビルの屋上
JR博多駅ビルの屋上

まずはJR博多駅の屋上に来ました。レストラン街「くうてん」がある10階からエスカレーターで屋上まで行くことができます。

駅の北西「大博通り」
駅の北西「大博通り」

JR博多駅の屋上から「大博通り」を撮影してみました。陥没事故現場の道路よりも1本北側になり、JR博多駅から北西に伸びている大きな道路です。

ちなみに、大博通りの地下には福岡市営地下鉄・空港線が走っています。

道路の延長線上には博多港が広がり、博多ポートタワーも見えています。大相撲・九州場所が開催される福岡国際センターもこちらの方角です。

陥没事故が発生した「はかた駅前通り」
陥没事故が発生した「はかた駅前通り」

こちらが博多駅から見て西の方角。写真中央を通っている道路が今回の事故現場となった「はかた駅前通り」になります。

屋上から見た限り、陥没事故の面影はない

博多駅屋上から見た「博多駅前2丁目」交差点
博多駅屋上から見た「博多駅前2丁目」交差点

上の写真、中央あたりが陥没事故現場となった「博多駅前2丁目」交差点です。

5車線の道路が元に戻り、普通に車が通行しているのが見えます。一見したところ、ここが陥没事故現場だったとは思えません。

「博多駅前2丁目」交差点

それでは事故現場に歩いて行ってみます。

陥没事故現場の「博多駅前2丁目」交差点に到着

福岡銀行は事故当日、全ATMが使用不能となった

福岡銀行・博多駅前支店
福岡銀行・博多駅前支店

JR博多駅前の道路を横断して「はかた駅前通り」に入ります。

交差点の角にある福岡銀行・博多駅前支店は陥没事故の当日、事故の影響で周辺エリアが停電してしまい、銀行のサーバーがダウン

全支店のATMが使用不能となっただけでなく、店舗での窓口業務もできなくなったとニュースで報道されていました。

近くで見ると陥没した道路面が生々しい

「博多駅前2丁目」交差点に到着
「博多駅前2丁目」交差点に到着

JR博多駅から西に約100メートル進むと、陥没事故現場となった「博多駅前2丁目」交差点に着きます。

道路の陥没により、道路面と共に地中へと引きずり込まれてしまう様子が映像で流れた信号機も、無事に地上で復活していました。

「セブンイレブン 博多駅前通店」のすぐ前が陥没事故現場です。

セブンイレブンは現在も営業できていない

セブンイレブン 博多駅前通店
セブンイレブン 博多駅前通店

その「セブンイレブン 博多駅前通店」は事故当時、入口のすぐ前まで陥没した穴が迫っており、店舗前の歩道もえぐられてしまい、断崖絶壁のようになっていました。

事故発生から18日、道路復旧から9日が経過したこの日も、入口や窓は白いシートで覆われており、営業は再開されていません。

舗装の色で陥没箇所がハッキリ分かる
舗装の色で陥没箇所がハッキリ分かる

地中に陥没してしまい新たに舗装され直した道路と、陥没を逃れた古くからある道路は、舗装の色がハッキリ違います。

「ここからが陥没したんだなあ」というのがパッと見ただけで分かります。

歩道も舗装の境界線が分かる
歩道も舗装の境界線が分かる

陥没事故が発生したのは早朝の時間帯だったため、通行人がほとんどいなかったのは不幸中の幸いだったと言えます。

歩行者が事故に巻き込まれなくて本当に良かった、と感じさせられる光景でした。

復旧工事中、報道陣が取材可能だったエリア
復旧工事中、報道陣が取材可能だったエリア

復旧工事の期間中、テレビカメラなどメディアが取材していた最前線となる場所が上の写真のあたりでした。ここから先は取材陣も立入禁止となっていました。

セブンイレブン 博多駅前通店
セブンイレブン 博多駅前通店

多くの歩行者が陥没事故現場の写真を撮影していました。

「博多駅前2丁目」交差点の横断歩道を渡る
「博多駅前2丁目」交差点の横断歩道を渡る

復旧した横断歩道を渡ってみました。2週間前までここは大きな穴が開き、地下水が流れ込んで溜まり、ガス管や地下電線がむき出しになっていました。

事故発生時にここを歩いていたら、無事では済まなかったでしょう。想像すると背筋が寒くなりました。

本来は5車線ある道路ですが、車線の右端はトラックが停車して何やら作業をしており、1車線だけ信号手前の箇所が通行できなくなっていました。

「博多駅のすぐ前」という誤解や勘違いがSNSで数多く流布された

右上に見えるのがJR博多駅
右上に見えるのがJR博多駅

上の写真、右上に写っているのがJR博多駅です。逆光のため見づらくなっていて申し訳ないです。

JR博多駅から陥没事故現場の「博多駅前2丁目」交差点までの距離は約100メートルあります。駅から少し離れた場所なので、陥没事故現場は博多駅のすぐ目の前というわけではありません

しかし、交差点の名前に「博多駅前」と付いていることや、テレビのニュースなどで「博多駅前の道路」と表現されたこともあり、博多駅のすぐ目の前にある道路(=住吉道路)が陥没したと勘違い、あるいは誤解した人の投稿がSNSで数多く見受けられました

「東京で言えばバスタ新宿に相当する交通量のところ」と表現していたSNS投稿も目にしました。

バスタ新宿には行ったことがないのでどのくらいの交通量なのかは知りませんが、おそらく「かなり交通量が多い道路」というニュアンスだったのではないでしょうか。その表現もおそらく博多駅のすぐ目の前の道路を想定しての勘違いだったのではないかと想像します。

陥没・崩落はまだ続いていた?

陥没した区画の西端
陥没した道路の西端

陥没した穴の西側の端にあたる部分。こちらも境界線がはっきり識別できます。

この辺りの歩道を歩いていたとき、ほんの少しですが、地面にグニュッと沈み込むような感覚がありました。

復旧工事が完了したばかりでアスファルトがまだ柔らかいのか、それとも新たな地盤沈下や陥没の予兆だったのか。

少し怖くなって足早にその場所から離れましたが、数日後におそろしいニュースが報道されました

 26日午前1時40分頃、福岡市博多区博多駅前2の市道で、工事関係者から「道路が沈んでいる」と110番があった。

 今月8日の大規模陥没事故とほぼ同じ場所で、県警博多署は現場一帯を通行止めにしたが、安全が確認されたため、午前5時半に解除した。

引用:『博多駅前再び沈下、最大7センチ…一時通行止め』 – 読売新聞(2016年11月26日)

もしかしたら、あの時は本当に道路が沈んでいたのかもしれません。怖い怖い。

事故現場すぐ横の立体駐車場から撮影

事故現場のすぐ横にある立体駐車場
事故現場のすぐ横にある立体駐車場

陥没事故現場のすぐ横に建っている立体駐車場。1階部分が「セブンイレブン 博多駅前通店」です。

立体駐車場は陥没事故により出入口が通行不能となってしまい、復旧工事が完了するまでは車の出し入れが不可能になってしまったそうです。現在は営業を再開しています。

道路が陥没する瞬間が映っている動画は、交差点の上のほうから撮影していました。おそらく立体駐車場の上から撮影したのだろうと思い、行ってみることにしました。

陥没事故現場を立体駐車場8階から撮影
陥没事故現場を立体駐車場8階から撮影

道路陥没が発生した様子を動画で撮影していたのは、間違いなくこのアングルでした。しかし、こんなに高い場所ではなかったなと、現地に行って初めて分かりました。

おそらく撮影されたのは駐車場の3階か4階のあたりだったのでしょう。一方で今回私が行ったのは駐車場の8階でした。高すぎました

高所恐怖症なので、高すぎて怖すぎて身を乗り出すことが出来ず、腕だけを外に出して恐怖で震えながらの撮影となりました。

陥没事故現場の西端を上から撮影
陥没事故現場の西端を上から撮影

カメラを左(西側、キャナルシティ博多方面)に振って撮影。高くて怖くて身を乗り出せなかったため、ヘンな角度での撮影となっています。

復旧工事で新たに舗装された部分と、そうではない(=陥没を逃れた)部分との境界線が上からだとハッキリ分かりました。

なぜ今回の陥没事故は発生したのか

今回の事故現場は「地下鉄・七隈線のJR博多駅への延伸工事」で何らかのミスがあったため、地上の道路が陥没した、と福岡市などが公式に発表しています。

福岡市を走る3つの地下鉄路線

福岡市営地下鉄は現在、3つの路線があります。

  • 空港線
  • 七隈線
  • 箱崎線

今回、陥没事故の原因となってしまったのは、2番の「七隈線」の延伸工事です。

「空港線」は福岡空港とJR博多駅を5分で移動できる

福岡市営地下鉄の「空港線」は、東端の福岡空港と、西端の姪浜とを結ぶ路線。姪浜駅からはJR筑肥線と接続しており、九州大学・伊都キャンパスの最寄り駅や、佐賀県の唐津市・伊万里市などに行けます。

地下鉄・空港線で特筆すべきなのは、空路での福岡空港と、新幹線の停車駅であるJR博多駅とを結んでいる路線であること。福岡空港とJR博多駅はわずか2駅、所要時間5分で着きます

「福岡市は交通の便が良すぎる」という評価は、特に空港線の利便性が極めて高いおかげであるとも言えます。

「七隈線」はJR博多駅と接続されていない

一方、福岡市営地下鉄の「七隈線」(読みは「ななくません」)は空港線よりも南側を走る路線。薬院、六本松、福岡大学などの駅を経由し、福岡市西区の橋本駅が終点となっています。

この七隈線で最大の問題点は、JR博多駅と接続されていない、ということ。なので今回の事故原因となった「七隈線の延伸工事」がおこなわれているのです。

たとえば七隈線の沿線エリアに住む人々が新幹線に乗りたい場合や、福岡空港から飛行機に乗りたい場合に、七隈線とJR博多駅は接続されていないため、地下鉄・空港線への乗り換えが大変なのです。

同じことは逆の場合にも言えて、国外や県外から福岡空港やJR博多駅に来た人が七隈線の沿線エリアに行く場合、空港線から七隈線に乗り換えるには手間がかかります。

JR博多駅や福岡空港にすぐ行けないという点だけでいえば、七隈線の利便性は空港線に遠く及ばない、と言わざるを得ません。

空港線と七隈線の乗り換えは徒歩移動が必要

地下鉄・七隈線はJR博多駅に乗り入れていないだけでなく、地下鉄・空港線の駅とも接続されていません

このため、空港線と七隈線を乗り換える場合は、空港線の「天神駅」と七隈線の「天神南駅」とを徒歩で移動しなければなりません

両駅の間には「天神地下街」があり、信号に引っ掛かることもなく雨に濡れることもなく移動できるので便利ではあるのですが、なんせ遠い。

天神駅から天神南駅までは距離にして約660メートル、時間にして6分〜10分ほどかかってしまいます。

七隈線の博多駅乗り入れで、どう便利になるのか

七隈線の博多駅延伸によって利便性が大きく高まる一例として、北九州市から福岡大学(=七隈線沿線)に毎日通学している知人のお子さんの話をします。

  • 北九州市からJRで博多駅まで移動
  • 地下鉄・空港線に乗り換え、博多駅から天神駅まで移動
  • 天神駅から地下鉄・七隈線の天神南駅まで徒歩で移動(天神地下街)
  • 天神南駅から七隈線に乗り、福大前駅まで移動

上記のような時間と手間をかけて通学しています。相当大変だと思います。

今後、七隈線の延伸工事が完了してJR博多駅と繋がったら、北九州から福岡大学まで通う場合は上のリストでの2番と3番が消えることになるのです。

  • 北九州市からJRで博多駅まで移動
  • 地下鉄・七隈線に乗り換え、博多駅から福大前駅まで移動

こうなります。空港線に乗る必要もなく、天神地下街を歩くこともなく、博多駅から直接、七隈線の沿線エリアに行ける。通学時間も短縮されます。

この例だけでも、七隈線の博多駅乗り入れがどれほど利便性を高めるか、お分かりいただけるでしょうか。

まとめ

わずか1週間という短期間での復旧は、日本だけでなく国外でも大きく報道されていました。称賛の声がある一方、早すぎる復旧を不安視する意見もありますし、道路陥没の直接的原因となった地下鉄の延伸工事に対しても非難や不安の声があがっています。

地下鉄工事に関しては現在、事故現場ではない他の場所で流れ込んだ地下水が完全に汲み上げられていないこともあり、工事再開のメドは立っていないそうです。安全面の確保が最優先であり、早急な工事再開はおそらく世論が許さないだろうとも予想されます。

現地に行って実際に目にした感想としては、陥没した穴の面積がやはり大きい。陥没事故発生時刻が早朝だったこともあり、歩行者や車は巻き込まれずに済みましたが(というか、それも見越しての深夜・早朝工事なんでしょうけど)、改めて人的被害がなかったことに安堵し、迅速な復旧に感嘆しました。

現場は今後も地下の地層検査や工事再開に向けての検証作業が続くと思われます。道路上でも部分的な交通規制などが継続しています。事故現場を見物するため歩行者も多くなっています。「完全なる通常運行再開」にはもう少し先の話になるかもしれませんね。

追記:七隈線は無事、博多駅まで延伸・開業しました

当初は2020年度のうちに工事完了、そして延伸開業するはずだった地下鉄・七隈線ですが、今回紹介した道路陥没事故が影響し、事故原因の究明や再発防止対策などにも時間をかけられたため、工期が大幅に延期されました。

最終的には2022年度の末に天神南駅から博多駅までの七隈線延伸工事が完了し、2023年3月27日、新しい七隈線が開業しました

延伸工事の副産物として、天神南駅と博多駅の間に、新たに「櫛田神社前駅」が建設され、開業しています

-ぶらり散策
-