親として「子供が文字を読み始める時期」は気になる?
ご自身に子供が生まれ、成長していく過程で「子供って、何歳頃から文字が読めるものなんだろう?」と気になり始める方は、意外と多いのかもしれません。
というのも、この記事は2013年に執筆・公開したのですが、以降長い間、大変多くの方々に読んでいただいており(ありがとうございます!)、SNSやメール、Facebookページなどでも多くのリアクションをいただきました。
当初執筆していた内容は「うちの子供は2歳になったばかりの時点で、ひらがなもカタカナも読めていました」ということを単に紹介するだけの内容でした。
子供が文字を読めるようになるために「父親として私自身が何をしたのか」に関してはサラッと紹介した程度で、具体的な内容はあまり解説していませんでした。
公開以降、「どういう風にお子さんに教えたのか、もう少し具体的に解説してもらえると嬉しいです」といったリアクションをSNSなどで多数いただいたので、内容を加筆・再編集して公開いたします。
本題に入る前に、ひとつだけ「おことわり」を。
子供の学習能力には当然ながら差があります。今回この記事に書いている内容をそのまま実践したとして、お子さん全員が同じ時期に文字を読めるようになるとは断言できません。
あくまで「我が家はこういう風にしてきました」というサンプルを提示しているだけです。ご了承いただきますようお願いします。
また、2歳で読めても、5歳で読めても、それはお子さんの成長という意味では何も変わらない、親としてはとても嬉しい「育児過程の1ページ」です。
あくまで「子供が文字を読めるようになるために、親として何をサポートできるだろう」という点についての紹介記事として捉えてください。
早い年齢で読めたからスゴい、遅い年齢でやっと読めたからダメ、などという比較論にするつもりは一切ありません。ご理解いただければ幸いです。
「2歳でひらがなを読めるのはスゴい」と言われるまで知らなかった
私自身、初めての子供(=長男)がまだ幼かった頃、「子供って何歳くらいで文字が読めるようになるんだろう」ということについて、あまり考えたことも調べたこともなく、それほど関心もありませんでした。「幼稚園に行って教えてもらえれば、いつか文字も読めるだろう」程度に思っていました。
2歳になったばかりの頃、長男が通っていた幼稚園で学習発表会を兼ねた保護者参観があり、長男と手を繋ぎながら園内を散策している中、各教室に張り出されているポスターなどの文字を長男が次々と声に出して読み上げていました。
まだ2歳だったので、年少組の1つ下、幼児組だった長男が、年上の園児たちのクラスで展示されている文字を次々と読み上げていくのを見て、他の園児の保護者さんたちが驚き始めたんです。
- 「え、この子、幼児組なのにひらがな読んでる!」
- 「2歳なのに字が読めるんですか! スゴい!」
- 「どうやって文字が読めるように指導されたんですか?」
などなど、知らないお母さん達から次々と称賛されたり質問されたりしました。
私自身も大変驚きました。「え、2歳で文字が読めるのって、そんなビックリすることだったのか」と。謙遜とかイヤミとかじゃないですよ。本当に知らなかったのです。
子供は何歳頃に文字を読めるようになるか、の調査データ
小学校に入学するまでの時期、つまり幼稚園や保育園に通っている時期に子供たちが何歳くらいで文字を読めるようになるかの調査データをここで紹介します。あくまで平均値ですのでご了承ください。
- 年少児(3歳〜4歳):66.8%
- 年中児(4歳〜5歳):88.1%
- 年長児(5歳〜6歳):97.2%
参考幼児期から小学1年生の家庭教育調査(2016年3月) | ベネッセ教育総合研究所
調査データにある通り、小学校に就学する前の時点で、実に98%近くのお子さんが文字を読めるようになっていることが分かります。
また、7割近くのお子さんは年少児(3歳〜4歳)の時点で文字を読めるようになっています。2歳で読めたからといって、それほど特筆すべき大偉業ではない、ということなのです。
もちろん、早い時期に子供が文字読解能力を会得してくれることは、親として大変嬉しいことではあるんですけどね。
ひとくちメモ
※上で紹介したベネッセの参考資料は、文字を読む時期の統計だけでなく、他にも育児に関することや、子供が成長する過程で大切なことが多数紹介されており、とても有益な資料集となっています。
小さなお子さんをお持ちの方々は、お暇な時間にでもぜひご一読されることをオススメします。
子供が文字を読めるようになるまで、親として実践した内容
それでは、うちの長男が文字を読めるようになるまでの期間、私が実践してきたことを具体的に紹介します。参考になれば幸いです。
子供の就寝時、本を読んで聞かせる
子供を寝かしつける際、本を読み聞かせるのは基本中の基本だと思います。まずここで子供は「本」「絵」「文字」と本格的に出会います。
我が家は夫婦共働きで、夕食後に妻は皿洗いや洗濯をしてくれていたので、子供を寝かしつけるのは父親である私の役目。うちには長男の他に長女、次女がいて、合計3人の子供に何年もの期間、すべて私が寝かしつけの担当でした。
最初の頃、子供は「絵本を読んでいる」というよりも、「父親が何かのストーリーを語ってくれている」という風に感じているようでした。
子供の顔の前に本を置いてはいるのですが、本に書かれている文字を読んでいるということに最初は理解が行きません。文字が読めないから当然です。本に描かれている絵だけはジーっと見てるけど、文字は見ていない。
何度か読み聞かせを重ねてストーリーの理解が進んでくると、たとえば「AちゃんとBちゃんが会話している場面」のページを読んでいる時は、Aちゃんのセリフの時にAちゃんの絵を指差すなどして、「このセリフはAちゃん(=いま指差してる左の女の子)が話している」という風に意識をさせるようにします。
こうすることで、父親が語っているストーリーは「目の前にある『本』に書かれているんだ」という理解が少しずつ進みます。
注意ポイント
※子供の寝かしつけで本を読み聞かせる際、あまり大げさに抑揚をつけて読んでしまうと逆効果となり、子供は寝なくなるので注意が必要です。
たとえば、オバケが登場する場面で大げさに怖い演出をしたり、ビックリする場面で大きすぎる声を出したりすると、子供は寝るどころか逆に興奮して目が覚めてしまいます。寝かしつけの際は抑揚を控えめにしましょう。
どうしてもエキサイティングに本を読みたい場合は、お昼など活動時間にしてあげてください。
「いちばん大好きな本」を1冊決める
我が家は大金持ちではありませんから、所有する絵本にも限りがありました。それでも20冊くらいは買っていたし、祖父母や友人知人から幼児用の絵本を買ってもらったり、譲ってもらったりもしたので、恵まれていたほうかもしれません。
毎日、寝かしつけの際には2冊の本を読むのが平均的でした。子供が疲れている時などは1冊目を読んでいる途中でスヤスヤ寝ていたこともあったし、寝付きの悪い時は2冊読んでも全然寝てない、なんてことも当然ながらありました。
最初の頃は2冊を読み終えても寝ず、「もう1つ読んで」とおねだりされたこともありました。しかし私の場合は「2冊まで」と決めて、子供にもそう説明しました。「1日に2冊までね。続きは明日の夜に読もう」という風に。うちの子供たちは反抗することもなくそれで納得してくれたし、静かに寝てくれました。
毎日2冊の絵本を様々な組み合わせでローテーションするうちに、長男がとても好きになった本が1冊ありました。「ねないこだれだ」という作品です。
別の本を1冊目として読んだ後、長男は必ず2冊目に「ねないこだれだ」をリクエストしたのです。毎日だとさすがにいつか飽きるだろうと思っていたら、長男は全く飽きなかった。違う本を2冊目に読もうとしたら「ねないこだれだ読んで!」と怒られたりもしました。何ヶ月もの間、毎日読み続けました。
長男は自分自身で「いちばん大好きな本」をチョイスしたのですが、長女と次女の時は「これがいちばん好き」という特定の本はなかったので、「いろんな本を読んでるけど、どれがいちばん好き?」と質問し、教えてもらいました。
最も好きな本として長女がチョイスしたのは「ぐりとぐら」、次女は「めがねうさぎ」でした。
「いちばん大好きな本」を1冊決めることで、次からのフェーズがラクになります。
選ぶ時のポイントとしては、なるべく絵本に書かれている文字は「ひらがなのみ」が良いです。カタカナや漢字が混じっていたとしても、大きくフリガナがあればOK。幼児用の絵本なので、ひらがなだけのものが主流だとは思います。
子供が暗記できるよう工夫しながら読み込む
いちばん大好きな本が1冊決まれば、他の絵本よりも大好きな絵本のほうを読む回数は当然ながら増えます。
何度も読んでいくうちに、子供は本の内容を暗記し始めます。機嫌が良い時などは、親が読み上げるのに合わせて一緒に音読したりもします。この状況になったら次のフェーズ突入です。
注意ポイント
※子供が声を出して音読を始めた時も、あまり大きな声を出すと興奮してしまい、眠れなくなります。本来の「寝かしつけ」という目的とは離れてしまいますので、寝かしつけの際は「もうちょっと小さい声で読んでもいいよ」と促してあげましょう。「大きな声はダメ!」などと叱ったりしてはいけませんよ。
どうしても大きな声で読んでしまう場合は、就寝時以外の時に音読させるようにしたほうがいいかもしれませんね。
本の内容を暗記し始め、親の読み聞かせの声に合わせて合唱のように同じセリフを音読し始めたら、次にするべきことは「ページごとにセリフを切る」ということ。
子供は本の内容を暗記していますから、いま開いているページの内容を読み終えないうちに、次のページの内容をフライングして音読し始めることがあります。
「ちょっと待ってね、それは次のページだからね」などと優しく指摘してから、次のページを開き、あらためて子供と一緒にページを読むようにします。
そうすることで「このページには、あそこから、あそこまでのセリフが書かれているんだな」ということを子供は理解していきます。
子供が先読みをすることなく、ページごとに正確に読み上げられるようになったら、今度は絵本に書かれている文字を指で指し示し、たどりながら読んであげてください。
これを何度かやってあげることで、子供は「いま自分が声に出して読んでいる部分はココだ」という認識が少しずつ出来てきます。つまり「おばけ」と書かれている3つの文字はオバケを表しているんだな、と理解し始めます。
子供ひとりで本を読ませてあげる
ここまで出来るようになったら、お子さんはもう自分ひとりで本を読めるようになっているはずです。
今度は、お子さんひとりだけで大好きな本を音読させてあげてください。1ページを読み終えたら次のページをめくるかどうかもチェックしてみてください。
ちなみに、お子さんひとりで読ませる時間は、寝かしつけの時ではなく、活動する時間にしてあげましょう。ひとりで音読の初挑戦を就寝前にやってしまったら、子供は緊張して眠れなくなるので注意。
親が一緒に読み聞かせている時はスムーズに音読ができているのに、ひとりで読むとスラスラとは読めなかったり、暗記は出来ているけどページをめくるタイミングが早かったり遅かったりとズレていたら、まだ完全には「文字を読む」ことができておらず、暗記したストーリーを語っている可能性が高いです。
そんなときでも、お子さんを誉めてあげてください。そして、また寝かしつけの時にお子さんのいちばん大好きな本を読んであげてください。もちろん、ここまで書いてきた手順は継続です。何度かやっていくうちに自分ひとりで読めるようになっていきます。
お子さんがひとりで上手に本を読めるようになったら、おもいっきり誉めてあげてください。そのことでお子さんは喜びますし、自信もつきます。
もしも就寝時に読み聞かせを担当しているのがお父さんだったら、お子さんがひとりで読む際にお母さんにも聞かせてあげてください。担当がお母さんだったらお父さんに。
今まで寝かしつけの時に本を読んであげているだけだと思っていたのに、突然お子さんが自分ひとりだけで本を読むようになっていたら、とてもビックリすると思いますよ。そして両親二人でお子さんをたくさん誉めてあげてください。
「自分で本を読む」ことで両親に誉められ、自信がつけば、お子さんは「次の本も自分で読めるようになろう」という意欲が湧いてきます。
いちばん大好きな本以外の本を引き続き就寝時に読み聞かせていけば、それらの本もやがては暗記し、音読していくようになるはずです。
知育玩具を活用する
お子さんが本を暗記し、ストーリーを音読できるようになり、そして文字を理解し始め、自分ひとりで読める本が増えてくれば、文字を読解する能力はずいぶん身に付いているはずです。
この段階に来たら、本を読むこと以外に、文字を学習できる知育玩具を使ってみるのが有効です。
うちの子供たちはアンパンマンが大好きだったので、アンパンマンのキャラクターたちがお喋りをして、クイズ形式でマナブことも出来るキッズ用のタブレット玩具を購入しました。
私が購入したタイプは20年近く昔に販売されていたので既に販売終了となっていました。似たような玩具が上のようなものです。ひらがな50音だけでなく濁点や半濁点にも対応しており、文字パネルを押すと音声で読み上げてくれる機能があれば十分。
他にはクイズ形式で、アンパンマンの声で「り・ん・ご」と音声で問題が流れ、正しい順序で「りんご」と文字パネルを押すと再びアンパンマンの声で「正解っ!」と誉めてくれるような機能があればパーフェクトですね。
注意ポイント
※問題を出題した後、解答を間違えたり、時間が掛かった時にヒント機能のような表示をするものは、むしろ逆効果なので必要ありません。
「どうすれば正解を教えてもらえるか」ということに気を取られ、「文字を覚える」ことよりも「正解すること」を優先するようになってしまいます。それでは意味がないですよね。
長男はこのアンパンマンの知育玩具に見事にハマり、幼稚園から帰宅したら毎日この玩具で遊んでいました。クイズも自分だけでどんどん解き始め、文字の読解能力はさらに向上していきました。
絵と文字が書かれた知育カードも我が家は併用していました。
最初はどうしても「絵を見て正解を言う」傾向にあります。たとえば牛乳のカードであれば「ぎゅうにゅう」という文字を読むのではなく、牛乳パックの絵を見て正解を言う、というように。
そんな時は、どこか1文字を指などで隠してみて、ここに隠れてる文字は何だ? とクイズを出してあげると文字学習に広がりが出ます。「ぎゅうにゅう」であれば「ぎゅう●ゅう」にしてみて、隠れた文字は何だ? という感じですね。
「答えは『に』!」と正解できたのであれば、「ぎゅうにゅう」という文字をしっかりと理解できている、ということです。
街の中にも教材はたくさんある
絵本を読み、知育玩具で遊びながら学び、どんどん文字を覚えていけば、文字教材は日常のあちらこちらに転がっています。
たとえばテレビを見ていても、ひらがなだけのテロップや字幕は時々出てくるでしょう。それにお子さんが反応し、読み上げるようになってきます。
車やバスや電車で外出した時も同様に、街の中にはひらがなで書かれた看板、ポスター、店名がいろんなところにあるはずです。
街でひらがなを見つけたら、お子さんに「あれは何て読む?」とクイズを出してあげてください。正解したら誉めてあげましょう。
運転してる人がひらがなを探すのは危険ですので、助手席や後部座席に乗っている家族の人が問題を出してあげるのがいいですね。
カタカナも基本的にやることは同じ
ひらがなをマスターし、街中の看板やテレビの字幕でひらがなを読めるようになったら、次のフェーズは「カタカナの学習」です。
ひらがなとカタカナで同じ形状の文字ってありますよね。「り」とか「へ」とか。まだ幼稚園児の頃は「ひらがな・カタカナの違い」まで教える必要はないと個人的に思っています。読めればOKではないかなと。
「か・カ」だったり、「に・ニ」だったり、ひらがなとカタカナで少しだけ形状が異なる文字もありますね。最初はこれら「似ている文字」からカタカナ学習を始めるとラクチンです。
子供がカタカナに違和感をおぼえ、たとえばカタカナの「カ」について、ひらがなの「か」に似ているけど何かオカシイ、と気付いたら理解度は早いです。
今まで読んできた文字は「ひらがな」というんだけど、他に「カタカナ」という字もあるんだよ、と教えてあげましょう。
あとは今までと基本的に同じです。カタカナの混じった絵本を読み聞かせてあげたり、カタカナに対応した知育玩具を使って一緒に遊んだり、街中でカタカナ文字の看板を発見したらクイズを出してあげたり。
うちの長男は、ひらがなを覚えるのに要した時間の半分以下でカタカナも全部覚えました。ひらがなでコツをつかんでいたんでしょうね。とにかく早かった。ちょうど2歳になったばかりの頃です。
まとめ
長男ほど早い時期ではなかったものの、長女と次女にも同じように寝かしつけの際に毎日本を読み続け、知育玩具で一緒に遊び、外出した際に看板などを読ませるという上で紹介した手順を踏み、二人とも3歳の時にはひらがな・カタカナが読めるようになっていました。
3人の兄妹に共通していたのは、とにかく「読書が大好き」になったことです。
幼い時期から文字に触れ、親しんだことで、本を読むという行為が好きになり、お小遣いやお年玉の大半を書籍購入に使うようになりました。
特に長男は本が大好きで、中学2年生の時には東野圭吾の作品を気に入り、当時発売されていた東野圭吾の文庫本を全作品揃えていました。(最近はマンガばっかり読んでますけどね)
この記事を最初に公開した年には中学3年で高校受験だった長男ですが、あれから年月が過ぎ、今ではもう社会人となっています。
長男も、そして長女も次女も、受験を経験しました。特に必死で勉強しなくても国語に関してはテストで毎回、平均以上の点数を取っていました。これも読書で培った能力なのでしょう。
絵本がキッカケで物語に興味を持ち、文字を読むことの楽しさ・面白さを覚え、独力で本を読み上げ、誉められて喜び、自信を付け、さらに学んでみようと頑張る。この循環で子供たちはどんどん学習する意欲を培い、成長していってくれました。
親も子も、好奇心の波に乗ってみるというのは大変重要です。少しでもお子さんが興味を持ってくれたら、それを楽しみながら伸ばせるよう、親はサポートしてあげたいですよね。
そしてお子さんが成長してくれたなら、それは親にとって最高の幸せでもあるはずなのです。