9年ぶりの東郷駅前、風景が記憶から消えていた
今回のスタート地点、JR東郷駅。
思い返せば、東郷駅と宗像大社を往復するウォーキング大会に参加したのが2011年。それが生まれて初めてのウォーキング大会参加だった。
あれから12年が経ち、今では趣味として定着したウォーキング。東郷駅は自分自身の原点なのである。
原点なのではあるが、東郷駅の駅舎は2011年当時と全然違うものに変わっている。
2017年に宗像大社などが世界遺産に登録されたのに合わせ、東郷駅の駅舎もリニューアルされた。その際に「北口」という名称も「宗像大社口」に変更されている。
東郷駅を起点とするウォーキングは、前回の参加がちょうど1年前の2022年11月。ただし、そのときは宗像大社口(旧北口)ではなく、反対側にある日の里口(旧南口)のほうを歩いた。
宗像大社口を歩くウォーキングとなると、前回歩いたのは9年前、2014年4月だったらしい。もう9年も歩いてなかったのか! と超ビックリした。
9年前の記事を読み直すと、まだ東郷駅は古く、宗像大社口は「北口」のまま(記事内に写真が残っている)。駅前にドラッグストアなんてなかったし。
なので、上の写真の風景を見てポカーンとしてしまった。駅前の風景がガラリと変わっていて、何度も歩いた場所のはずなのに「ここはどこ?」と記憶喪失状態になった。
昔の記憶を引っ張ろうとウンウン唸っていても仕方がないので、歩くことにした。
駅前にあった橋を渡り、小さな川の反対側へ移動。川の名前を調べたら「八並川(やつなみがわ)」というらしい。
こんな川、前からあった? まさか、世界遺産登録を機に川も新しく引いたとか? そんなわけないよな。
「田熊」交差点で信号待ちをしながら上の景色を見た途端、昔の記憶がドドドド! と急激に頭の中へと流れ込んできた。
思い出した! この交差点、宗像大社へと向かうウォーキングで最初にいっつも赤信号で引っ掛かった交差点やん!
前方にある消防署も思い出した。めちゃくちゃ懐かしい。毎回、この道路を歩いて宗像大社へと向かっていたのだ。
しかし、今回は宗像大社へは行かない。いつもの某社主催ウォーキング大会であれば宗像大社へと向かうコース設定が常だが、今回は某社とはまったく関係ない。
東郷駅の北口を歩くのも久々だし、宗像市にある3つのJR駅「東郷」「赤間」「教育大前」を徒歩で巡ったら何kmあるんだろう、というのが興味あったので、今回はGoogleマップを頼りに好き勝手歩く計画だった。
いせきんぐ宗像(田熊石畑遺跡歴史公園)を知る
八並川沿いの道路を離れ、県道97号線を北東へしばらく進むと、「いせきんぐ宗像」と書かれた石碑があった。右下に小さく「宗像市田熊石畑遺跡歴史公園」とも書かれている。
初めて訪れる場所。そりゃそうだ。いつもは宗像大社のほうばかり向かっていて、こちらの方面には来たことがなかった。
入ってすぐのところに公園全体の案内図があった。公園として整備されているが、いろんな箇所に竪穴住居などの史蹟が分散しているらしい。
案内図を見てやっと「いせきんぐ」というネーミングが遺跡から来ていることに気付いた。
何のヒーロー? 伊勢エビ? などと最初考えたが全然関係なかった。頭が回っていなかった。
公園内はけっこう広い。
この日は「いせきんぐ宗像」を発着地点とするウォーキング大会が開催されていた。興味があったので、受付テントに行ってお話しを聞かせてもらった。
ロングコースとショートコースの2コースがあり、ロングコースは先ほど出発しました、とのこと。
ロングコースはなんと全長30km。宗像市の全体を歩くコースらしく、北の端にある「鐘崎織幡神社」や「神湊港渡船ターミナル」などを巡るコース設定だった。あんなとこまで歩くのか。すげえなあ。
ショートコースは全長10km。宗像大社まで歩き、ここへと戻ってくる往復コース。これは想像がつく。昔、毎年歩いていたのとコース設定も距離もほぼ同じ。
参加費が1,000円。ショートコースはもうすぐスタートで、当日エントリーもOKですよと言われたが、今回は宗像大社に行く気がなかったので丁重にお断りした。
大会パンフレットもいただいた。大会名は「1113ウォーキング宗像大会」と書かれており、最初の数字のところに「イイいさん」とも書かれていた。
「良い胃酸」って奇妙な語呂合わせだな、と最初考えたが、少し時間を置いて「胃酸」ではなく「遺産」だと気付いた。世界遺産の「遺産」ね。そりゃそうだよね。
頭が全然回ってなかったので、散策を再開して目を覚ますことにした。
宗像市役所の場所を初めて把握する
摩利支神社。「いせきんぐ宗像」から北東へ少し進んだところにある。
道路沿いに立派な鳥居が立っていたので、フラリと立ち寄り参拝してきた。
この日は「農業まつり」というイベントの開催日でもあったらしい。宗像市、いろいろ盛り沢山だな。
何も下調べをせずに来たが、朝早い時間だったので混雑にも巻き込まれず、ラッキーだった。
宗像市役所にも初めて来た。なかなか立派でキレイな庁舎。
釣川を渡り、赤間駅へ
釣川(つりがわ)に架かる東郷橋を渡る。
宗像大社のすぐ横を流れ、宗像市の東西を流れている釣川。この後で再び釣川の横を歩くことになる。
東郷橋を越えて右カーブを曲がり終えると、県道の方向が北東から東へと変わる。
ふと気付くと、すぐ右側に再び川が流れていた。
あれ? 釣川は離れた場所にあるはずなのに、もう近付いたのか? と不思議だったが、釣川ではなく「山田川」という川だった。
JR赤間駅(あかまえき)の北口に到着。なかなか遠かった。
ちなみに、スタート地点の東郷駅からここ赤間駅まで、電車ならたったの3分で着く。
今回の散策は約6km、時間にして1時間20分かかった。(公園や神社や市役所など、いろいろ寄り道している)
赤間駅に入って2階に上がり、改札口の前を通過して反対側に下りる。
赤間駅の南口から外に出てウォーキング再開。
と思ったものの、スタート当初からポツポツ降り始めていた雨が、赤間駅・南口を出る頃に本降りとなったため、少しだけ雨宿りした。
釣川の遊歩道、8年ぶりの散策
赤間駅の南側、釣川に架かる「赤間大橋」。ここから東西に長い遊歩道へと合流する。
釣川遊歩道は過去に2回、ウォーキング大会で歩いたことがある。そのどちらも教育大前駅から赤間駅へ、つまり「東から西へ」向かうコース設定だった。
今回はその逆、初めて「西から東へ」歩いている。
初めてついでに、釣川の左側(北側)を歩こうかと最初思ったが、どうやら歩行者専用道ではなく車道であり、車がビュンビュンとスピードを出して走っているのが見えた。
左側は歩道もなく狭い道路で、歩行者には危険だと感じたので、いつも通り釣川の右側(南側)を歩くことにした。
というわけで、車も来ない、安全な釣川の南側遊歩道を歩く。
過去2回、ここを歩いた時はどちらも快晴で、特に前回、8年前(2015年10月)にこの遊歩道を歩いたときは心の底から気持ちが良くて感動した。
今回は残念ながら小雨が降っていたが、それでも心地良かった。宗像大社のコースもだが、宗像市のウォーキングは好印象なコースばかりである。
釣川の北側にそびえている山は「城山」。山のふもと、上の写真だと左端に赤い看板が写っているのは「城山家具」。
城山家具のすぐ前を、JR鹿児島本線の普通列車が教育大前駅に向かい走っている。
ちなみに、このあたりの「城山」という読み方は不思議なことに複数パターンある。
- 城山(上の写真に写っている山) … 「じょうやま」
- 城山家具(家具屋さん) … 「しろやま・かぐ」
- 城山中学校(教育大前駅のすぐ近くにある学校) … 「じょうざん・ちゅうがく」
全部同じ漢字なのに読み方が全部違う。地元の人なら読み分けられるのだろうが、よその人は読めないよ、こんなの。
「辻田橋」を渡り、釣川の遊歩道とはお別れ。
旧唐津街道・赤間宿を久々の散策
「赤間構口」交差点を通過。
ちなみに、「構口(かまえぐち)」とは昔の宿場町の出入口という意味。
つまり、この交差点から先は江戸時代に宿場町だったということになる。
8年前にここを歩いた時には、そんな知識は持っていなかった。この8年間で旧街道についてそれなりに勉強したのだ。
「赤間宿」と書かれたオブジェが設置されている古い民家もある。
旧唐津街道は、小倉(現在の北九州市小倉北区)と唐津(現在の佐賀県唐津市)を結んだ江戸時代の街道で、赤間宿はその途中にあった宿場町。
勝屋酒造の煙突が見えてきた。この煙突と主屋は2015年、国の有形文化財に登録された。
勝屋酒造は創業が1790年という老舗の酒蔵。メインブランドである「楢の露」や、世界遺産に登録された沖ノ島の名前をいただいた「沖ノ島」というブランド酒も造っている。
前回のウォーキングでは、ここでおいしい奈良漬けをいただいた。
この道路は江戸時代に有名な街道だった、と思いを馳せながら歩くと、また風情が違ってくる。
ただ、次の電車の到着時刻が迫っていたので、旧唐津街道はかなり早足で歩いてしまった。
福岡教育大学には立ち寄れなかった
福岡教育大学にも久々に来た。ここは母校でもないし卒業生でもないが、学生の頃にも社会人になってからも数多く来ている。
福岡教育大学の最寄り駅・JR教育大前駅。ここで散策は終了。
歩行時間は2時間05分、歩行距離は9.05km。東郷駅から教育大前駅までは徒歩で9km、2時間かかると思ってもらえればOK。
次の電車が教育大前駅に到着する3分前まで迫っていた。ギリギリで間に合った。
この電車を逃すと次は45分後。かなり待たなければならなかったので、けっこう慌てた。
教育大前駅の改札を通過してホームに下りると、すぐに鹿児島本線の上り電車が到着した。これに乗って北九州まで帰った。
天気は悪かったが、今回も宗像市の散策はとても楽しかった。