トリックアールとは?
福岡県田川市で開催されている「たがわトリックアール」というイベント。市内各地に展示されているトリックアートを楽しもう、という企画です。
先日参加した田川市内のウォーキング大会が、この「たがわトリックアール」とタイアップしていたため、ウォーキングコースの途中にあるトリックアートを幾つか楽しんできました。
-
風鈴が有名な田川・三井寺の秋シーズンは大量風車が撮影スポット
2022年11月、福岡県田川市を歩いてきました。今回は田川後藤寺駅から田川伊田駅までをウォーキングした前編、丸山公園や三井寺などの風景を紹介します。
-
石炭記念公園・二本煙突裏の高台から田川伊田の風景を心地良く見下ろす
2022年11月、福岡県田川市を歩いてきました。今回は田川後藤寺駅から田川伊田駅までをウォーキングした後編、石炭記念公園や伊田商店街などの風景を紹介します。
そもそもトリックアートではなく「トリックアール」とは何か? という話ですが、トリックアールは「トリックアート」と「AR」を合体させた造語だそうです。
「AR」は「拡張現実」のことで、「VR(仮想現実)」とはちょっと違うみたいです。
ARとは「Augmented Reality(アグメンティッド・リアリティ)」の略で、現実を仮想的に拡張する技術のことです。現実世界の情報にバーチャルな視覚情報を加えて現実環境を拡張します。例えば、スマートフォンのカメラで写している画像にCGの映像を重ねて表示すれば、そのCGが実在しているように見えます。
引用:AR(拡張現実)とは? 4つの種類とVR・MRとの違いを解説 | Japan Computer Vision Corp.
2000年代に入ってからも、ARの技術を活用した多彩なアプリが設計されています。ARを活用したアプリ、「Pokemon GO」の大ヒットは、記憶に新しいところではないでしょうか。
引用:AR(拡張現実)とは? 4つの種類とVR・MRとの違いを解説 | Japan Computer Vision Corp.
VR(Virtual Reality)とは、「仮想現実」という意味の言葉です。AR は現実の世界を主体としますが、VRはバーチャルな世界でリアルに近い体験ができます。なお、VRは仮想の世界を現実世界から完全に遮断するため、ユーザーはヘッドセットとヘッドフォンを着用することが一般的です。
引用:AR(拡張現実)とは? 4つの種類とVR・MRとの違いを解説 | Japan Computer Vision Corp.
田川市内のトリックアートは全部で9個
田川市内のトリックアートは、見つけるのが簡単な場所もあれば、なかなか見つけられない場所もあります。
誰にでも分かるような案内がされておらず、悪く言えば「不親切」に感じますが、もしかすると宝探しのように「自分で見つけてみよう」という主旨のもと、敢えて詳細を隠しているのかなと思ったりもします。
田川市内に展示されているトリックアートは全部で9個あります(2022年11月現在)。展示場所は以下のとおり。
- 後藤寺商店街(田川ごとうじ銀天街) … 2個
- 伊田商店街 … 2個
- 田川伊田駅 … 1個
- 丸山公園 … 1個
- 田川中央公園 … 1個
- 石炭記念公園 … 1個
- 炭坑住宅モニュメント … 1個
もしも「詳細な場所のネタバレ解説は知りたくない、自分で探してみたい」という方は、ここから先の解説を読まず、自力で頑張ってみてください。
トリックアート展示場所の写真付き解説
それでは各展示場所を写真付きで解説します。具体的な住所などは書かず、適度にボカします。実際に現地で探してみてくださいね。
発見する難易度の簡単な順番に紹介していきます。★マークが多くなるほど発見が難しいという意味になります。
田川ごとうじ銀天街のトリックアート:難易度 ★
まずは後藤寺商店街(田川ごとうじ銀天街)に展示されている1つめのトリックアート。
ドアを開けた向こうは昭和39年(1964年)頃の後藤寺商店街。まだまだ筑豊エリアが石炭で大いに栄えていた時代、商店街も人でギッシリ埋まっているのが分かります。
展示場所は、JR田川後藤寺駅のすぐ近く、商店街北側の入口です。上の写真、赤い丸で囲っているところ。
2つめのトリックアートは、まるでここが炭坑の採掘場所であるかのような絵。
田川の炭坑では、「黒ダイヤ」と呼ばれた石炭と「白ダイヤ」と呼ばれた石灰石、この両方が採れていたのだそうです。
展示場所は上の写真のとおり。
田川ごとうじ銀天街は1本道の商店街ですので、田川後藤寺駅の側から入って直進すると、右側にトリックアートがあります。
伊田商店街のトリックアート:難易度 ★★
伊田商店街にもトリックアートが2つあります。
まず1つめは、田川名物「ホルモン鍋」の写真。田川市はホルモン関連の飲食店がとても多く、ホルモンは田川のソウルフードと呼ばれています。
トリックアートが縦になってるので、最初見た時は「なんじゃこりゃ」と思いましたが、アート内のお箸のところに立ってスマホで撮影し、写真を横に90度回転させると「人間がホルモン鍋の具材になってる」という絵が出来上がります。
展示場所は上の写真のとおり。
商店街の北側入口(=伊田郵便局の前)から入り、少し歩いた左側にあります。
2つめのトリックアートは、紳士っが何やら大きな物をこちらに差し出している様子。紳士の背後には昔の二本煙突が映っていますね。
炭坑で働く人々の糖分補給として甘い物が重宝し、田川ではお菓子の文化が発展したのだそうです。石炭を模した「黒ダイヤ」という羊羹(ようかん)も田川から生まれたのだとか。
ちなみに「チロルチョコ」を世に出した「松尾製菓」は現在も本社が田川伊田にあり、田川市にはチロルチョコの工場もあります。(「チロルチョコ株式会社」は松尾製菓から分社して設立されています)
展示場所は上の写真のとおり。
商店街の東側入口(=JR田川伊田駅のすぐ横)からが近く、入ってすぐ左側にあります。
北側入口(=伊田郵便局の前)から入った場合、途中の商店街内交差点で左に曲がり、田川伊田駅方面にしばらく進むと右側にあります。
田川伊田駅のトリックアート:難易度 ★★
田川伊田駅のトリックアートはなかなかの迫力。石炭運送に大活躍した蒸気機関車・59684号が作兵衛トンネルから火花散らして飛び出してきています。
蒸気機関車・59684号の実物は、石炭記念公園の中央付近に現在も展示されています。
「田川伊田駅にトリックアートがある」という説明だけだと、普通は駅舎の周辺を探しますよね。私もしばらく「どこだ?」と探してしまいました。
しかしトリックアート自体にも描かれているとおり、展示場所は「作兵衛トンネル」の向こうにあります。
作兵衛トンネルは(田川伊田駅を正面に見た場合)駅舎の右端にあるトンネルで、駅と石炭記念公園とを繋ぐ連絡路になっています。
作兵衛トンネルを進んでいくと、トリックアートが見えてきます。この演出や絵の構図は素晴らしい。今回のトリックアートで一番好きです。
ちなみに「作兵衛トンネル」内の壁には、日本で初めて世界記憶遺産に登録された山本作兵衛氏(福岡県出身、元炭鉱労働者)の絵画作品が展示されています。
丸山公園のトリックアート:難易度 ★★
「田川ごとうじ銀天街」から南に徒歩15分ほど進んだ場所にある「丸山公園」のトリックアート。
サーカスの絵ですね。左下にあるボールの上に立って写真撮影すると、自分が玉乗りしているように見えるトリックアートとなっています。
展示場所は上の写真、赤い丸で囲ったところです。上の写真はトリックアートの裏側が映ってますので、反対側に回ってみてください。
丸山公園の東端にある屋外ステージの近くにあります。屋外ステージのペイント作品も大変ステキですので、そちらでの記念撮影もオススメです。
田川中央公園のトリックアート:難易度 ★★★
田川市内の高台にあり、市民プール、総合グラウンド、陸上競技場、市民会館などがある「田川中央公園」。
ここのトリックアートは、地盤が崩落し、マグマが噴出しています。なぜそんな場所に木製の吊り橋を作ったのか。燃えとるやないか。
吊り橋の上に立って写真を撮れば、あなたの勇気が証明されることでしょう。
トリックアートを立ったまま上から見ると、ビニョーンと縦に間延びしているので意味が分からないと思います。上の写真のように絵の手前でしゃがんで見てください。
とてもとても広い公園なので、ここでトリックアートを(情報もなく)探すとなると「どこを探せば良いのだ!」と途方に暮れてしまうかもしれません。公園を端から端まで探すと体力を失って大変なことになりそう。
しかし、途方に暮れなくても大丈夫。「端から端まで」どころか、スタート地点にあります。
上の写真は田川中央公園に車で行った場合の入口。写真の左側には公衆トイレや車の駐車スペースがあるところ。
上の写真は2012年5月、田川市のウォーキング大会に参加し、初めて田川中央公園に来た時の写真。
現在は撤去されてしまったのですが、以前は青く巨大なすべり台が設置されていました。うちの子供たちも何度か連れてきて、すごくお気に入りだったすべり台。
その2012年5月、初めて田川市内を歩いた時の様子はブログ記事に書き残しています。現在は黒い田川伊田駅が昔は白かったり、作兵衛トンネルも昔は違う名前だったり、石炭記念公園が舗装されていなかったり等々、昔の田川市を知る人には懐かしんでもらえると思いますよ。
-
田川市の市街地を初めて散策、石炭記念公園や中央公園からの景色を堪能
2012年5月12日(土)。福岡県田川市を歩いてきました。坂道だらけ、特に上り坂ばかりの難コースに加え、さっき見た建物や風景が何度も視界に入ってくるため、同じ場所をグルグル回ってるような錯覚に陥ってしまいました。
話を戻します。以前はすべり台のスタート地点だった公園内の高台にトリックアートがあります。高台に上ってみてください。
トリックアートのある高台は景色が最高。上半分がスパーンと斬られている「香春岳」や、石炭記念公園の「二本煙突」もハッキリ見えます。
炭坑住宅モニュメントのトリックアート:難易度 ★★★★
「炭坑住宅モニュメント」という場所にあるトリックアート。石炭記念公園をドローンで空撮したのか、二本煙突や伊田竪坑櫓よりも高い位置から撮影された写真で、手前には満開の桜。
空にたくさんのハートが飛んでいて、女性たちが撮影するのには楽しそう。オッサンがここで記念写真を撮る光景は浮かびません(撮ったらダメとは言ってない)。
さて、こちらの発見難易度を★4つにしたのですが、もともと「炭坑住宅モニュメント」という場所がどこにあるのかを知っている地元の方々であれば、全然難しくありません。難易度★1つかな。
問題は「炭坑住宅モニュメントって、どこ?」という、そもそもの場所を知らない人。私は全く知らなかった。なので事前に調べてから行ってきました。
いちばん簡単なのは、田川市美術館から行く方法。
先に結論を書くと、「炭坑住宅モニュメント」は田川市美術館の裏にあります。
田川市美術館と田川税務署の間に細い道路があります。細い道路をまっすぐ進みます。
細い道路をまっすぐ進むと階段があり、一段低いところに駐車場があります。どこの駐車場なのかよく分かりません。美術館か税務署の第2駐車場なのかな。
階段を下り、駐車場入口のところで右に曲がります。上の写真、正面に写っている緑色の建物は「ドラッグコスモス田川松原店」です。
右に曲がると坂道があるので、下ります。
下っていくと、右側に整備された公園のようなエリアが出現します。ここが「炭坑住宅モニュメント」。
炭坑で栄えていた頃、炭鉱労働者やその家族が暮らしていた炭坑住宅(長屋)を表現したモニュメントなのだそうです。ところどころ開いているスペースは玄関。
で、肝心のトリックアートはどこにあるのかというと、
モニュメントの裏側にあります。
トリックアートの右側には、炭坑住宅の実際の様子を写した写真や「炭都」田川の簡単な歴史を紹介した案内板があり、昔の田川を知らない自分のような人にも勉強になりました。
車で行く場合、福岡県立大学の方面から国道322号線を南下していくと「伊田日の出町」交差点があるので、そこを右折(右斜めの道ではなく、直角に曲がる右折方向です)。
右折すると上り坂が始まり、道路の右手に「田川記念会館」や「平和タクシー・松原車庫」といった建物が連続しているので、そのまま進むと上り坂が上の写真のように緩い左カーブとなります。
左カーブが終了すると、T字路が出現します。左には某政党の建物、右には「新町ホルモンセンター」があります。
このT字路を右折するとすぐ、「炭坑住宅モニュメント」があります。ちなみに右折せず直進すると田川市美術館があります。
炭坑住宅モニュメントのエリアには少しだけ駐車場もあります。
石炭記念公園のトリックアート:難易度 ★★★★★
石炭記念公園のトリックアートは、田川が特産品として売り出しているパプリカ。
炭坑がすべて閉山となり、新たな産業を生み出そうということで田川市が生み出した特産品で、商品名は「ピュアパプリカ」というそうです。
石炭記念公園のトリックアートは情報を持たず無闇に探すと、どこにあるのか全く分かりません。なんせ案内板の類いがどこにもない。
公園内にいた10名ほどの人に次々と尋ねたのですが、誰一人としてトリックアートの場所を知りませんでした。それどころか田川市が各地でトリックアートを展示していることすら誰も知らなかった。絶望しました。
ウォーキング中だったのですが、公園の中を何往復もして、20分以上も歩き続けるハメになりました。「たくさん歩けて良かったじゃないの」とかそういう話ではない。
疲れ切ってしまい、もうあきらめて移動しようかなと、石炭記念公園を去ろうとした時、偶然にトリックアートを発見しました。
赤い矢印のところです。すべり台などがある遊具広場の奥。
発見した時、「分かるわけねえだろ!」って叫びました。ほんっとアタマに来た(笑)
まとめ
以上、田川市の各地で展示されているトリックアートの場所を写真付きで解説しました。
私はウォーキング大会も兼ねて歩いた途中途中で撮影したのですが、石炭記念公園と炭坑住宅モニュメントの2箇所だけはコースに含まれていなかったので、別の日に改めて撮影してきました。
全部を徒歩で回れないこともないですが、ちょっと距離があります。10kmちょっとくらいでしょうか。厳密に計測したわけではなく、あくまで体感です。
InstagramやTwitterなどSNSが全盛の時代、トリックアートを背景にして面白い写真が撮れるし、友人知人やフォロワーさんたちが注目してくれるかもしれませんね。
今回紹介した情報をもとに回れば、最短の距離と負荷で各地を巡れるはずですので、興味のある方は是非コンプリートしてみてください。