福岡県で2つめの世界文化遺産登録
2017年7月9日、ポーランドで開催されていた国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会において、福岡県宗像市を中心とする「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」を世界文化遺産として登録することが発表されました。
2年前、2015年7月には北九州市や中間市にある旧八幡製鉄所施設などを含む「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」が世界文化遺産に登録されました。これに続き今回は福岡県で2つめとなる世界遺産の誕生です。
それまでほとんどの人々に知られてなかった場所や施設が世界遺産の登録をキッカケに突然スポットライトを浴びてしまうという現象は、2年前に北九州市や中間市の世界遺産が誕生した際にも感じました。
今回も、たとえば宗像大社であれば福岡県民の大半が知っている有名な神社です。しかしその宗像大社が「3つの宮で構成されている」ことをどれだけの人が知っていたか。
あるいは「新原・奴山古墳群」がどこにあるのか。私は知らなかったどころか名前も聞いたことなかった。古墳群がある福津市に住んでいる友人知人ですら場所を知らなかったくらいです。
国際的に知られることとなった福岡の世界遺産ですから、福岡に住む者としては当然ながら見ておきたい。
ということで2年前の北九州市&中間市に続き、今回も世界遺産群を巡ってきました。
世界遺産登録決定に至るまでの簡単なまとめ
本筋に入る前に、今回の『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群について、登録決定までの経緯を簡単に解説しておきます。
2006年度と2007年度に世界遺産候補として申請され、2009年には文化庁の「世界遺産暫定リスト」に加えられました。そして2016年1月には文化庁から正式に推薦されて世界遺産候補として認定され、現地の審査などが始まりました。この時点では県も宗像市も大喜びだったんです。
この時点で今回、関連遺産群として申請されてたのは8箇所。
- 沖ノ島
- 小屋島
- 御門柱
- 天狗岩
- 宗像大社沖津宮遥拝所
- 宗像大社中津宮
- 宗像大社辺津宮
- 新原・奴山古墳群
ところが2017年5月、国際記念物遺跡会議(ICOMOS・イコモス)から沖ノ島とその近辺にある3つの岩礁(上の一覧、1番から4番までの4つ)のみが認められ、他の4つに関しては除外すべきという勧告が成され、関係者は衝撃を受けます。
県知事や宗像市長は「8つ全てでの登録を目指す」と言明はしたものの、厳しいのではないかという空気が流れていたらしく、一部メディアもそのように報道していました。
しかし関係者が委員国に対して粘り強く「8つであることの意味」などを説明し続け、2017年7月9日の世界遺産委員会では、勧告された4つではなく、県と自治体が望んでいた8つ全てが世界文化遺産として登録されました。
「8つ全部の登録は厳しい」という予想から一転しての全面登録だったので、メディアも「逆転サヨナラホームランだ!」と大喜びしていました。その例えで良かったのかどうかは知らんけど。
それにしても、2年前の北九州市&中間市の世界遺産登録の時は委員会当日に韓国がイチャモンつけてきて登録自体がヤバい! と大騒ぎになるし、今回も8つはダメ、4つにしなさいと勧告されるし、世界遺産の登録って簡単にはいかないんですね。
宗像大社辺津宮の駐車場はとにかく広い
では、先日私が実際に巡って収集した世界遺産の情報について紹介します。
ちなみに、
- 沖ノ島
- 小屋島
- 御門柱
- 天狗岩
- 宗像大社沖津宮遥拝所
- 宗像大社中津宮
- 宗像大社辺津宮
- 新原・奴山古墳群
今回登録された8つのうち、1番から4番までの施設は「沖ノ島」にあります。沖ノ島は現時点で渡船もなく、一般観光客は島に入ることも近寄ることすらもできません。なので、我々観光客が実際に現地へと行けるのは、5番から8番までの4箇所のみとなります。
その中で今回紹介するのは上の一覧では7番目の「宗像大社辺津宮」について。読みは「むなかたたいしゃ・へつみや」。
「辺津宮」って聞き慣れないですよね。今回の世界遺産報道で初めて耳にした福岡県民もおそらく大勢いるでしょう。何のことはない、誰もが知ってる宗像大社のことです。
その宗像大社(辺津宮)、駐車場はめちゃくちゃ広い。上の写真の第1駐車場だけでなく、他にも神宝館の近くに第2駐車場、さらに第二宮・第三宮の近くに第3駐車場まであります。
正月の初詣以外で、ここ第1駐車場が満車になってるのを見たことがないです。なので車で行く人は基本的に第1駐車場へ向かえば問題ないはずです。
奥にある高宮祭場は神秘的
第1駐車場から鳥居を2つくぐって境内へ。池に架かる「太鼓橋」という橋を渡ります。
左に手水舎(手を洗うところ)、右に祓舎、そして正面には宗像大社の神門。
神門をくぐれば、すぐ目の前に宗像大社(辺津宮)の拝殿があります。奥に連なって本殿もありますが、お賽銭を入れて参拝するのは拝殿。
拝殿本体や、拝殿の前にある敷石部分の改修工事が行われていましたが、昨年12月に工事が完了して現在はとても綺麗になりました。
宗像大社の拝殿、本殿ともに国の重要文化財です。
拝殿の右側には「高宮参道」の入口。宗像大社の敷地って結構広いんですよ。
知らない人は宗像大社に来て拝殿・本殿だけ参拝して帰っちゃいます。それは大変もったいない。奥にある第二宮や第三宮、そして高宮祭場も巡ってみることをオススメします。
特に高宮祭場は、間近で直接見ることが出来る全国でも数少ない古代祭場の一つとして有名なのです。普通の神社では体感できない神秘的な何かを感じ取ることができますよ。
神宝館の中にあるものとは
拝殿の左側には絵馬を飾る社があり、その横には神宝館へと続く参道があります。
この神宝館、ウォーキング大会などで前を通ったことは数多くあるのですが、中に入ったことは今まで一度もありませんでした。なので、神宝館には何があるのか、どういうものが展示されているのかも全く知らなかったのです。
しかし今回、宗像大社が世界遺産に登録された際、様々なニュース番組で報じられてた話を聞き、ものすごくビックリしました。神宝館、めちゃくちゃ貴重な場所でした!
沖ノ島は一般観光客が近寄れないのですが、昭和29年から沖ノ島の学術調査が開始されて、大昔(3世紀〜5世紀)のものと思われる銅鏡、武器、工具、装身具、馬具、金属製雛形品、滑石製品、土器、貝製品などが多数発掘・発見されたんだそうです。その数、なんと約8万点。
沖ノ島は容易に人が侵入できないこともあり、それらの出土品はほぼ手付かずで、形状も劣化せずシッカリした状態で発見され、その8万点の出土品はすべて国宝に指定されたそうです。
その出土品を展示してあるのが、こちら「神宝館」だったのです。そんなスゴい場所だとは全然知らなかった!
神宝館のすぐ近くに第2駐車場があります。ここは神宝館にも、そして宗像大社の拝殿にも近いので便利なのですが、いつも車は全然停まってません。ある意味、穴場。
ただ、やっぱり参拝するなら正面から鳥居をくぐって、手を洗って神門をくぐって拝殿に、という正規ルートで行きたい人が多いと思います。
第1駐車場がよっぽど混雑してる時は、こちら第2駐車場に停めるのがいいですよ。
「海の道むなかた館」には歴史情報が盛り沢山
宗像大社・第1駐車場の北側に「海の道むなかた館」という施設があります。
2012年4月18日にオープンし、今年で5周年。5年前のオープン日はちょうどウォーキング大会とタイアップしており、私もオープン初日に中を観覧してきました。
その日は午後からタレントの森口博子さんも来場し、オープニングセレモニーに参加していました。森口博子さんは福岡出身で、世界遺産応援大使に任命されています。
「海の道むなかた館」は今回の「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」に関するガイダンス施設でもあり、世界遺産に登録された8つの場所・施設に関する解説パネルが写真付きで展示されています。ここに来れば今回登録された世界遺産群の概略を学ぶことができます。
上の写真は大島にある「宗像大社中津宮」や、島の中央にある御嶽山山頂への参道や祭祀遺跡が紹介されています。
他にも館内には世界遺産に関するものだけでなく、宗像市一帯で出土された土器や装飾品の展示ブースや、宗像を含む北部九州の歴史などについて詳しく分かる解説ブースなどがあります。
九州ローカルな歴史情報だけでなく、邪馬台国が近畿なのか九州なのかに興味がある人には結構面白い情報もあったりして、今回の世界遺産登録を機にこちら「海の道むなかた館」も来場者が増えるかもしれないですね。覗いてみると面白いですよ。
まとめ
ウォーキングを趣味とする私ですが、初めて参加したウォーキング大会が、今回紹介した「宗像大社」とJR東郷駅を往復するコースでした。
ウォーキングのおかげで最近はすっかり神社が大好きになった私ですが、福岡の数ある神社の中でも特に思い入れが深い宗像大社が、今回世界遺産に登録されたのはとても嬉しく思っています。北九州市と中間市が世界遺産登録された時と同じくらい嬉しいです。