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アルコールハラスメントに対して下戸な私がやってきた対抗策

Ginger Ale
Ginger Ale / krossbow

両親がどちらも全くお酒を飲めないので、たぶん遺伝なのでしょうね。私も全くお酒が飲めません。完全な「下戸」です。

初めて飲み会やオフ会で一緒になった人に下戸だと告げると、驚かれたり信じてもらえなかったりします。外見からくる印象として「酒豪」「お酒かなり強い」と思われるらしいです。初対面の人の大半にそう言われ続けて生きてきました。

「飲めない」そして「飲まない」

酒の席で初対面の人などに「りくまさん、お酒は『飲めない』んですか? それとも『飲まない』んですか?」と質問されることが時々あります。

「両方ですね」と答えることが多いんですけど、基本的に「飲めない」。加えて、アルコールが体内に入ると「かなり不機嫌」になります。不機嫌の度が過ぎると他人に迷惑かけるし自分もイヤなので「飲まない」。

お酒が飲めない人に飲酒を強要することを「アルコールハラスメント(アルハラ)」と言います。私自身、そして周囲だけに限定すれば、アルハラ行為は最近ほとんど見かけなくなりました。

しかし世間的にはどうなんでしょうか。今も飲酒を強要され、虐げられ苦しみイヤな思いをしている下戸な人は多いのかもしれません。特に就職して社会人になったばかりの1年生社員さんたち、アルハラの理解がない先輩社員にイヤな思いをさせられてはいないでしょうか。

昔はお酒の強要が当たり前だった

私が社会人になりたての1990年代、世の中は「社会人はお酒を飲めてようやく一人前」という風潮でした。アルコールハラスメントという言葉や概念なんて聞いたこともなかった。

「俺も昔はお酒弱かったけど、何度も先輩や上司に飲まされて、吐いて吐いて強くなったんだよ」と武勇伝のように胸を張り、だからお前も飲めば強くなる、と酒をすすめてくる先輩が過去にいました。

「飲めば強くなる」のは元々からアルコールを受け付けられる体質だったというだけのことです。アルコールを受け付けない体質の人が「飲む訓練」を重ねても、酒に強くなるどころか危険だというのは最近様々なメディアで頻繁に聞くようになりました。

【参考】お酒の話、訓練すれば強くなる?|すずき院長のブログ

人事考課の面接時に真顔で、「社交性という意味では、単に仕事が出来るだけでなく、仕事が終わってからの付き合いも大切だぞ。そういう意味ではお酒飲めない奴よりお酒飲める奴のほうが評価が高くなる」と言い放った上司もいました(当然ながらその男は大酒飲みです)。

いわゆる「飲みニケーション」という考え方。でもそれは酒が飲める奴、酒好きな奴の理屈でしかない。

仕事が終わってからの付き合いも大切だというのは理解も同意もします。サラリーマンならある意味仕方のないことでしょう。だからってなぜ飲めない酒を無理に飲まなきゃならない? お酒飲めないことで給料下げられる会社ってアホか。

※結局その会社は辞めました。お酒が理由で退職したわけではないけど。

お酒を飲んで美味しいと感じる人、お酒を飲むと心が楽しくなる人、お酒を飲むと発散できる人、そういう人たちがお酒を酌み交わして楽しく騒げばいいんです。

問題なのは、お酒を飲んでも美味しいと全く感じられない人や体質的にアルコールを受け付けない人に対して、お酒飲める奴らが「飲め」と、なぜ強要する必要がある? ってこと。

お酒飲みたい奴だけで飲んでりゃいいんだよ。飲めない奴に飲ませて、苦しんでる姿を見て笑って楽しむなんてイジメの構図そのまんまじゃねえか。

私のアルハラ対抗策

幸いなことに成人して以降の私の周囲には、無理強いしてお酒を飲ませるような輩はそんなにいなかったけど、それでも飲酒を強要された場面がゼロだったわけではありません。

今回このエントリーで紹介する私自身が経験したアルハラ対抗策、そして私自身の外見的特徴やキャラクターもあって、なんとか飲酒強要から逃れてきました。

全ての下戸な人々に有効かどうかは正直分かりません。上でも書きましたが私の外見やキャラも関係してくるかもしれないので。

私の外見やキャラは以下のような感じ。

◆身長183センチ。ガッシリ体型(言い換えれば太い)
◆目つき悪い。近眼なので目を細めることもある
◆普通の顔してても怖いと言われる(怒ってる? と昔よく言われた)
◆ときどき関西弁が出る(20代の頃はほぼ関西弁だった)

こういう特徴だという前提で以下をお読みください。

対抗策その1:ドクターストップ

新入社員の頃。新人研修が終わって配属も決まり、新人の歓迎会が開かれました。同期の仲間たちとは数ヶ月の研修期間で仲良くなったし、何度も居酒屋で大騒ぎしてたけど、歓迎会となると初対面の先輩ばかりなので緊張します。

そんな中、「歓迎会で新人は自己紹介の後にイッキ飲みをするのが毎年恒例」という話が耳に入ってきました。最初の飲み会でお酒を飲まされて機嫌悪くなりたくもないし、暴れでもしたら就職して早々クビになる。それは避けたい。

で、どうしたかというと、飲み会の前日、部長(=歓迎会の参加者でいちばん偉い人)にお願いしたんです。

「元々お酒が飲めない体質なんですけど、学生時代にお酒を飲んだ際に体調を崩して、医者から絶対にお酒を飲むな、飲むと死ぬかもしれないと言われてるんです」

だから明日の歓迎会、イッキ飲みがあると聞きましたが申し訳ないですけど私は出来ません、と。「飲むと死ぬ」と医者に言われたってのはウソですが、あながちホラでもなかったなと今になって思います。下手すりゃ死にますからね、下戸が無理に飲んだら。

「分かった、そういう事情なら仕方ないな、無理に飲む必要ないよ」と部長は言ってくれました。理解のある優しい部長で良かった。ひとまず一番上を押さえておけば大丈夫だろ、と安堵。

しかし歓迎会当日、部長は出張でした。歓迎会にも来やがりません。幹事に伝えてくれてるのかなと期待してましたが、私の番が来て自己紹介が済んだら幹事、「それではイッキ飲みどうぞ!」って。おいおい部長。

仕方ないからその場で言いましたよ。医者に止められてウンヌンって部長に伝えたそのまんまを。

「うるせえよー、いいから飲めよー」と全く日本語を理解できないらしい先輩社員もいたけど、幹事が「いいよいいよ、無理しなくていい」と理解してくれてセーフ。

「じゃあイッキの代わりに何か一発芸して」と幹事に言われたのは覚えてるけど、何をしたかは忘れちゃった。

対抗策その2:無視&逃亡

20代後半の頃。プロジェクトを任され、管理職的な立ち位置でした(普通の会社だと係長くらいのポジション)。そのプロジェクトに新たなメンバーが加わることが決まり、歓迎会を開くことに。

その歓迎会にAという男が参加することになりました。うちのプロジェクトと全く関係ない別の部署に所属してたのですが、今回歓迎する男と大学時代に先輩後輩の間柄だったそうで、飲み会に参加したいと。

Aは半年前に中途採用で入社したばかりで、ほとんど会話したこともなかったんですけど、社内会議などでやたらと「他人に議論をふっかける」ことが多い奴でした。

酒が入ってないシラフの時でさえ「からみ好き」だから、酒が入ったらもっとヒドいのかも、という不安が的中しまして。

歓迎会が始まって1時間くらい経った頃、Aと隣り同士になり、お酌されたんですよ。「ああーごめんね、俺お酒飲めないのよ」と告げたところ、

「はあ? 俺の酒が飲めないんですか?」

って。威圧するように。

ちょっとビックリしましたね。まだそんなセリフを吐く絶滅危惧種的な生命体が存在したのかと。年上の人や先輩から「俺の酒が飲めないのか」と言われたことは無かったのに、年下でほぼ初対面の男から言われるとは思わなかった。

誰の酒とかじゃなくて俺は下戸だから、と説明しても「こういうのは礼儀の問題でしょ」。お酒飲むと体調崩すんだよ、と「ドクターストップ作戦」を説明しても聞いちゃいない。

「酒1杯でおかしくなるほど人間の身体は弱くない」
「腹割って話し合う機会を拒否ですか」
「挨拶の1杯も飲めないなんて器が小さい」

どんどんムカついてくるんですけど、その歓迎会で私は最年長だし、リーダーだし、会の責任者でもあって、そんな私が部下の前で感情的になって酒を飲む飲まないのレベルで口論するのって物凄くメンドクセー!!

Aに絡まれてる途中で「悪い、トイレ行ってくるわ」と強引に議論を打ち切り、トイレの中で30分ばかしタバコを吸いまくって時間を潰し(当時まだ喫煙家だった)、部屋に戻ってAと遠い席に座り、女の子の部下と雑談タイム。Aが再び近付いてきて討論の続きをするのかなと思ったけど来なかった。

1次会が終わり、私はさっさと帰宅。付き合ってられるかっつうの。それ以来、Aとは二度と飲みませんでした。

歓迎会以降2〜3回ほど、うちのプロジェクトに関することや私の会議での発言などについて「納得いかない点がある、僕の持論を聞いてもらえますか」と社内メールでディベートふっかけてきたんですけど、全て「俺アタマ悪いから良く分かんないや〜」と返信してたら、やがて音沙汰なくなりました。

バカは相手にするだけ時間の無駄と思われたのかな。バカで結構。

対抗策その3:iPhone&発狂

これは最近の話。といっても3〜4年ほど前。仕事の関係で打ち上げを兼ねた飲み会がありました。複数の会社が関係してたプロジェクトで、いろんな会社からいろんな人が参加してたんです。

参加者の1人は私より10歳ほど年上の男性でした。名前をBとしましょう。同じ仕事をしてたわけではないけど、B氏と同じ会社の社員が私のプロジェクトに参加してくれてて、その関係で打ち上げに来たと。

私はお酒を飲まないから車で会場に行ってました。駐車場でB氏が車を運転してるのも見たので、彼の顔は記憶してました。

乾杯が終わり雑談タイム。参加者30名ほど。私はいろんな会社の関係者に挨拶回り。当然ながら私は烏龍茶を飲んでました。

で、B氏のところに行くと、お酒をすすめられたんです。「今日は車で来てるので」と断ると、「まあまあ、細かいこと気にせんで飲みましょうや」とまだ酌をする動作。

車で来てるのもあるけど元々飲めないんで、と再び断りました。しかしB氏、「せっかくのお祝いの席やないですか、パーっと無礼講でいきましょうや」と。

そういえばアナタ、さっき駐車場で運転してましたよね。帰りも運転するつもりですか?

「いやー、このくらいは飲んだうちに入らんですよ」って言いながら2杯目を飲んでるんですよ。私の目の前で。こいつ絶対に運転して帰るつもりやん。

自分だけでなく他人にまで飲酒運転させるつもりですか、と怒り始めた私に対し、B氏も怒り始めて、「祝いの席でゴチャゴチャうるさい」「若造はオトナの付き合いを知らん」「無礼だ」「黙って飲めよ」と、あくまで酒を飲めという主張。若造って俺も40歳過ぎてんねんぞ。

途中から1〜2分ほど、iPhoneの「ボイスメモ」アプリで口論の内容を録音し、それを再生してB氏に聞かせました。録音開始した時点で相当アタマに来てたので、飲酒を強要した証拠だと再生しながらB氏に説明しつつ怒りまくってました。

B氏はトーンダウン。それでも「たかが酒1杯で何をそんなに大騒ぎするんだ」「大げさ過ぎる」などとまだブツブツ言ってるので私が完全にブチギレてしまい、いろいろ絶叫してたら異変を察知したうちの社長が必死の形相で止めに来ました。

翌週の朝礼で社長は騒動を知らない他の社員たちに顛末を暴露(顛末と言っても社長は止めに来た最後の場面しか知らなかったけど)。私を責めるわけではなく、むしろ擁護してくれたのですが、

「りく君がiPhone持ってる時はお酒飲ませたらいかんよ。怖いからね」

と話をヘンな風に変換されて大変遺憾でした。

B氏の会社の社長とうちの社長は昔から懇意にしてたらしく、その関係でプロジェクトにも社員を派遣してくれてたのですが、騒動があったこともあり、B氏の会社との業務契約は切れました。私は何も言ってないですが、社長が察してくれたのでしょう。感謝してます。

対抗策その4:武力行使

上で書いた3つの対抗策はいずれも私が社会人になってからの話。

大学生の頃の私はというと、同じ学部だった仲間たちは誰一人として私に酒を強要しませんでした。逆にお酒を飲まされそうになると守ってくれる側になってくれて、ありがたかったです。私が暴れると面倒臭いというのもあったんだろうけど。

ただ、同じ学部じゃない人たちと飲む機会も多々あります。同じ学年だけど違う学部との交流だったり、サークルの関係だったり、バンド繋がりだったり、合コンってほどじゃないけど友人繋がりで知らない男女が集まったりとか。

こういう集まりの時、たまに出没したんですよ。私が下戸だと知るとギャーギャー言い始める奴。「俺の酒が飲めないのか」の派生で、「みんなが楽しく酒飲んでるのに1人だけ飲まない奴がいると場がシラけるよなー」という論調を展開する奴。

なんで俺が飲まないとシラけるの? 俺が飲めなくて苦しんでるのを見て笑いたいだけだろ?

そういう魂胆も透けて見えるし、言い方もムカつくし、お前飲めやコラーみたいなケンカ腰で来ますからね、学生は特に。

単純明快に腹立つので、そういう時は単刀直入に武力行使してました。友達が止めに入っていつも迷惑かけてました。ホントすいませんでした。

武力行使は「よっぽど頭に来てる時」にやっちゃうので、その時は気が晴れたりもするんですけど、後で必ず後悔します。確かにそれ以降、同じ人が再び酒をすすめてくることは無くなりました。だからと言って「良かった」とか「やって正解」とは思えません。後味の悪い感情を引きずってしまいます。

幹事をしてくれた友達にも、互いに止めに入った友達にも迷惑かけるし、自分のせいでどこかの友情にヒビ入れちゃうこともあったし、お店で騒いでも迷惑かけるし、最悪の場合は退学とか、社会人だと解雇もあるし、警察のお世話になることだってあります。

たぶん良いこと何もないので、感情に任せて武力行使する前に何か他の対抗策がないかを考えてみたほうがいいです。

対抗策その5:法的手段

最後は私が実践したわけではないですが、場合によっては最も有効かもしれません。

早い話が、アルハラは犯罪ですよ、ってことです。そんなに無理矢理お酒を飲ませるのなら訴えますよ、と。

★飲酒を嫌がってる人に「飲め」と強要して飲ませた

強要罪」になります。3年以下の懲役。

最近、衣料品店やボウリング場で店員を土下座させて逮捕されるという事件が幾つかありましたが、あれも強要罪。

仮に「おらー酒飲めよー」と強要して、それを被害者が「イヤだ」と断った場合でも、強要した側は罪に問われます。「未遂処罰規定」というそうです。

★相手を意図的に酔い潰した

意図的な場合は「傷害罪」になります。15年以下の懲役、50万円以下の罰金。

★意図的じゃないけど相手を酔い潰した

相手が酒に強いも弱いも関係なく、そして意図的じゃなかった場合でも、相手を酔い潰した場合は「過失傷害罪」または「重過失傷害罪」になります。

★酔い潰した人が死亡した

過失致死罪」または「重過失致死罪」。さらに飲酒を強要した行為次第では「傷害致死罪」にもなります。3年以上の有期懲役。

★酔い潰れた人を放置した・放置した人が死亡した

放置しただけで「保護責任者遺棄罪」になります。3年以上5年以下の懲役。

もしも放置した人が死亡してしまった場合は「遺棄等致死傷罪」となり、更に重罪となります。

★飲酒の強要行為をあおった

直接的に飲酒の強要はしてないけど、強要してる近くで「そうだそうだー」「飲んじゃえー」などとはやし立てた場合、「現場助勢罪」になります。1年以下の懲役又は10万円以下の罰金もしくは科料。

また、直接飲酒を強要した人の「共同正犯ないし幇助犯」とされて立件されることもあります。

★飲酒強要は犯罪です

以上、これだけの罪状があります。飲酒が苦痛でしかない人にそれでも酒を飲めと強要するのは、最悪の場合「死」に直結する。そのことを真に理解すれば「傷害罪だなんて大げさだよー」などとはならないでしょう。

飲酒強要もですが、飲酒後に車の運転までも強要されたら更に事は重大です。事故を起こすことで身を滅ぼし、家族も悲しみ、職を失うことにもなりかねません。何の罪もない他人を巻き込んでしまう可能性も十分あります。

そんな風には絶対なりたくないのに飲酒を強要してくる輩がいるのなら、幾ら飲酒を拒んでも聞く耳を持たず飲め飲めと言ってくる輩がいるのなら、警察に通報して助けてもらう道を選んだほうがいいです。

【参考】飲酒に関する法律 アルコールハラスメント(アルハラ)~楽酒のススメ
【参考】アルコールハラスメント – Wikipedia

りくま ( @Rikuma_ )的まとめ

繰り返しになりますが、飲み会やオフ会は人と人が楽しく交流できる素晴らしい場です。繋がりも広がるし、いろんな情報を得ることが出来たり、刺激や活力をもらえたり、美味しい料理に舌鼓をうって幸せな気持ちになれたり、有効活用できればこんなに楽しい場はないです。私は下戸ですが楽しんでます。

「飲み会」だからと言って「酒を飲むのが必須」なわけではないんですよね。お酒飲みたい人は飲み、飲みたくない人は飲まない。ジュースでも烏龍茶でも下戸は楽しめるんです。酔いたい人だけ酔えばいいんです。酔いたくない人のことは放っておいてほしい。

というわけで私は酒が飲めませんが、シラフでも毎回ワイワイと騒いでます。今後もいろんなオフ会に参加して、美味しいジンジャーエールを飲みたいな。でも最近、ジンジャーエールのない居酒屋が多くて困っちゃうのよね。

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