福岡市博多区で毎年7月上旬に開催される夏祭り、博多祇園山笠。祭りのクライマックスとなる7月15日の「追い山笠(おいやま)」では、全長約5kmのコースを山笠が駆け巡ります。
この記事では、スタート地点の櫛田神社から、清道のある東長寺と承天寺、御供所通りの長い直線の先にある下呉服町まで、コース全体の前半部分を写真付きで紹介します。
博多祇園山笠にあまり詳しくない方や、初めて山笠を見物したいのだけど、どこで見物すれば良いか分からないという方のために、オススメの見物ポイントも紹介しています。
上のマップでは博多祇園山笠の全体コースを紹介しています。この記事で紹介しているコース前半は、マップでは赤の線と数字で表示しています。
櫛田神社をスタート、1つめの清道を通過する
櫛田神社の北東出入口「楼門」の横にある「山留め」が、博多祇園山笠の「追い山ならし」「追い山」両方のスタート地点になります。
「山留め」からスタートするのと同時に、ゴールまでのタイム計測が開始されます。博多祇園山笠とは「山笠のスピードとタイムを競う祭り」でもあるのです。
「山留め」をスタートした山笠は、楼門のすぐ横にある入口(=上の写真)から境内の「清道」に入ります。これを「櫛田入り」といいます。
境内に入った山笠は、中央に立てられた「清道旗」という旗の周囲をグルリと1周します。
なお「清道旗」はコース内に全部で3つあります。(櫛田神社を含む)
櫛田神社に関する詳しい内容や、博多祇園山笠というお祭りの基本的な解説、スケジュール、各交通機関を利用してのアクセス方法などについては「櫛田神社についてまとめた記事」を読んでいただければ幸いです。
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櫛田神社:福岡を代表する夏祭り「博多祇園山笠」の開幕が近付く
福岡市の夏祭り、博多祇園山笠は毎年7月に開催されます。祭りのクライマックス「追い山」のスタート地点でもある櫛田神社も準備が着々と進んでいます。お祭り1ヶ月前、桟敷席が建設されるなど準備が進む櫛田神社境内の様子を見に行ってきました。
櫛田神社を出て国体道路へ
櫛田神社・境内の清道を1周した後、山笠は櫛田神社を出て右に曲がり、「博多通り」を南へ直進します。
直進してすぐ、「萬行寺」前のT字路を左に曲がります。
「国体道路」をしばらく直進します。
2つめの清道は、大博通りの東長寺前
「祇園町」交差点でいったん左に曲がり、「大博通り」に入ります。
交差点の向こう側には「もち吉・博多本店」、地下には福岡市営地下鉄・空港線の祇園駅があります。
「祇園町」交差点で左折してすぐ、中央分離帯の切れている箇所に2つめの清道旗が設置されます。すぐ目の前には「東長寺」があり、東長寺に奉納するために2つめの清道があります。
山笠はここを180度まわり、Uターンする形で反対車線に移動します。
東長寺の前を走る道路(=大博通り)は道幅がとても広く、歩道もかなり広いです。東長寺前はオススメの見物スポットとして人気があります。
2つめの清道旗をグルリと回った山笠は大博通りの「祇園町」交差点に戻り、左に曲がって再び国体道路に入ります。
つまり、2つめの清道で奉納するため、少しだけ左に進んだような感じですね。
3つめの清道、承天寺は「博多祇園山笠発祥の地」
「祇園町」交差点を左折して国体道路を進み、最初の交差点で今度は右に曲がります。
目印としては、交差点の向こう左側に「北九州予備校」と書かれた茶色のビル(=北九州予備校飛梅学寮)が建っています。
山笠が曲がる方向は一方通行で、車両は右折できません。しかし山笠は追い山当日にここを突入していきます。
右折してすぐ、次の交差点には横断歩道がありません。
交通量の多い道路ですので、歩行者は(回り道にはなりますが)少し左側にある信号を渡って迂回するようにしましょう。
一方通行を逆走する形で東へ進むと、左手に「承天寺」が見えてきます。
道路の脇には「山笠発祥之地」と刻まれた石碑があります。
鎌倉時代の1200年代に博多で疫病が流行したとき、承天寺の開祖で当時は住職だった聖一国師(円爾)という人が、博多の町民がかついでくれた木製の「施餓鬼棚(せがきだな)」というものに乗って博多の各地をまわり、聖水をまいて町を清めながら疫病退散を祈祷したのだそうです。
これが博多祇園山笠のルーツといわれ、承天寺は博多祇園山笠発祥の地と言われています。
聖一国師は宋の国(現在の中国)から、うどん・そば・羊羹(ようかん)・まんじゅうなどの製法を持ち込み、日本国内に伝えたとも言われています。
承天寺の境内には「饂飩蕎麦発祥之地」と刻まれた石碑もあるそうです。上の写真は、その石碑なのかと勘違いして撮影したものですが、実際の石碑は金色の文字が刻まれていて、本殿の裏側にあるとのことです。
承天寺の入口前が3つめの清道となります。追い山ではここに清道旗が立てられます。
山笠は清道旗を180度まわり、来た道をUターンして戻っていくことになります。
承天寺の前も広い道路ですので、多くの人が見物する人気スポットです。
ここは山笠をかつぐ人に対して清めの水を大量にかけまくるポイントでもあります。スマホやカメラで撮影する人は水をかけられないよう位置取りに注意しましょう。
御供所通りを北西へ、妙楽寺や聖福寺を通過する
承天寺前でUターンした山笠は、交差点を直進して国体通りを横断し、御供所町(ごくしょまち)に入っていきます。
北九州予備校の建物があるあたりから始まる細い道路は「御供所通り(ごくしょどおり)」で、車両は一方通行です。
北九州予備校の建物を通過するとすぐ、永寿院があります。
栄寿院正門のすぐ隣り「妙楽寺 山門」の奥に妙楽寺があります。
続いて「聖福寺(しょうふくじ)」の前も通過。
聖福寺は、日本で初めて創建された禅宗寺院なのだそうです。
上呉服町の下り坂が難所
妙楽寺や聖福寺を通過し、山笠はまだまだ御供所通りを北西へ直進。御供所町を抜けて上呉服町に入ります。
写真では分かりづらいですが、道路の前方がストンと削れているように見えており、下り坂がやって来たと分かります。
縦に御供所通り、横に西門通りが走る交差点に来ました。点滅信号があり、交差点の手前左側には焼き肉店、向こう右側にはラーメン店があります。
この交差点を通過してすぐ、御供所通りは下り坂になります。
それほど急斜面というわけではないのですが、それはあくまで「歩いている人」や「自動車」での感覚。
1トンもあろうかという重い山笠をかつぎながら、この下り坂を走り下りていくのを想像すると、なかなか壮絶です。
山笠にブレーキがあるわけもなく、かつぐ人たちの脚力でブレーキをかけなければなりません。ここは大変でしょうね。
下り坂を横から撮影すると、ご覧のような傾斜になっています。
かつぐ人たちは大変ですが、山笠は下り坂のためスピードが上がり、ここを通過する際はなかなかの迫力となるでしょうね。
ただ道幅が狭いため、ここで見物するのは厳しそうです。
明治通り、昭和通りを連続で横断する(1回目)
下り坂を走り終えた山笠は、次に「明治通り」を横断して直進。上呉服町から中呉服町へと移ります。交差点の向こう左側にはファミリーマート、右側には焼き鳥屋があります。
明治通りの地下には福岡市営地下鉄・箱崎線が走っており、ファミリーマートから少し左に進んだところには地下鉄・呉服町駅があります。
明治通りを横断してしばらく直進すると、今度は「昭和通り」という大きな道路に出ます。山笠はここも横断して直進します。(明治通り、昭和通りの連続横断は、この後さらに2回あります)
道路の中央分離帯には白い柵が設置されており、車両はここで右折・左折やUターンができないようになっています。
追い山の時には柵を一時的に撤去するということなのでしょう。
山笠は道路を横断できるのですが、歩く人は横断できません。なのですぐ左側にある歩道橋を渡って昭和通りの向こう側に行きます。
歩道橋の上から、山笠が通過するであろう昭和通りのルートを撮影してみました。山笠は右から左へ、白い柵がある部分を通過していくのだと思われます。
昭和通りの向こう側には、福岡都市高速・呉服町インターチェンジが見えています。福岡天神と北九州市とを繋ぐ西鉄高速バスは、いつも呉服町インターチェンジを経由します。
下呉服町から恵比須通り、大博通りへと進む
昭和通りを横断した山笠は、中呉服町を抜けて下呉服町へ。浜口公園の右側を通過して、もう少しだけ直進します。
浜口公園の横を通過した後、ここの交差点で左に曲がり、恵比須通りへと進みます。
交差点の手前右側には酒屋さん(白水酒店)、向こう左側にはお米屋さん(シノザキ米穀)がある交差点です。
上の写真を左折した山笠は、恵比須通り、そして大博通りへと進んでいきます。
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博多祇園山笠「追い山」全コース解説・後編(恵比須通り〜廻り止め)
福岡市博多区で毎年7月上旬に開催される夏祭り、博多祇園山笠。7月15日の追い山では全長約5kmのコースを山笠が駆け巡ります。その追い山コースの特徴、見物するのに適した場所などを実際に歩いて確認してきました。後編では恵比須通りからゴール・廻り止めまでのコースをまとめています。