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冬の露天風呂でヒートショック発症、死の恐怖から何とか逃れた方法

2012年2月22日

ウォーキング参加特典で温泉に

今年初のウォーキング大会参加で、JR門松駅から篠栗駅まで11.4kmを完歩。

雪景色の福岡を散策する滅多にない機会を大いに楽しむ【門松ウォーク】

2012年2月19日(日)。この日は福岡県糟屋郡の粕屋町、久山町、篠栗町を歩いてきました。今年最初のウォーキング大会参加となったのですが、前日から降り続く雪が各地で積もる中、滅多に味わえない雪景色を楽しみ、しかし大変過酷なコースでした。

ウォーキング大会の参加特典として「久山温泉レイクサイドホテル久山」の入浴料金が割引きになっており、JR篠栗駅から臨時シャトルバスも運行していると聞いたので、せっかくだから行ってみることにした。

篠栗駅
JR篠栗駅

篠栗駅でシャトルバスを待つこと20分。気温が低いので、動いていないと凍えてしまう。

篠栗町役場
篠栗町役場

寒くてたまらないので、ウォーキング大会が終わったばかりだというのに篠栗駅の付近を少し散策。篠栗町役場の周辺も雪が積もったまま。

久山温泉のシャトルバス
シャトルバスはようやく到着したが…

ようやくシャトルバスが到着。しかし出発時刻までもう少しあるということで、15分ほど待機。こんなに待たされるのなら帰宅すれば良かったと後悔。

ちなみに、シャトルバスに乗って久山温泉に向かったのは自分一人だけだった。

レイクサイドホテル久山
レイクサイドホテル久山
レイクサイドホテル久山

やっとレイクサイドホテル久山に到着。ここまで長かった。

温泉受付にて、小さ目のフェイスタオルと大きなバスタオルの2枚セットを150円でレンタルできる。

レイクサイドホテル久山
ホテル1階の下駄箱

大浴場は階段を上って2階にある。

久山温泉
久山温泉の案内板

温泉に入るのは1年半前の嬉野旅行以来だ。久しぶり。

久山温泉

女風呂。残念だがこちらには入れない。

久山温泉

男風呂の入口。

初めての露天風呂、アロエ湯は最高

まずは内風呂へ。外が大雪で気温が氷点下なのもあり、内風呂には大量の蒸気が発生していて深い霧のようだった。前方も足下も何も見えない。手探りで手桶を探し、近くの蛇口から出ていたお湯を足に数回かけて温める。

そのまま内風呂に浸かろうかとも思ったが、せっかく露天風呂があるのだから直行しよう。実は、露天風呂というものに今回初めて入るのだ

水蒸気で見通し悪い中をゆっくり進み、ドアを開けて屋外へ。外は雪が止んでおらず、小さい粒ながら降り続いている。

外には幾つかの露天風呂があった。通常の岩風呂、檜風呂、薬用成分を入れている風呂、美肌効果のある真珠粉末や植物油を入れている風呂など。他に日替わりの「イベント風呂」というのもあった。「ラベンダー湯」「カモミール湯」「アロエ湯」などが日替わりで楽しめるらしい。女性湯だとワイン風呂の日もあるとのこと。

今回は「アロエ湯」と案内板に書かれていた。ここに入る。湯の温度はそれほど熱くない。38~40度くらい。

ウォーキングで疲れ切り、全裸で外気に触れて冷え切った全身が一気に温まる。さらにアロエの香りが風呂一帯に漂っていて、ものすごく心地良い。これはリラックス効果抜群だ。

温泉に入り、空から降り続ける雪を眺める。天国にいるかのような気持ち良さ。どのくらい入浴しただろう。体感的には10分か15分くらいお湯に浸かっていた気がする。

そしてお湯から出たとき、天国どころか地獄に突き落とされるとは思わなかった

露天風呂から出た直後、身体に異変が生じた

いつまでも入浴していたかったが、湯あたりでのぼせてしまうのが怖かったので、アロエ湯から出ることにした。他にも数種類ある別の露天風呂に入りたい気持ちもあったが、今日はもういい。十分に温泉を堪能した。では帰るとしよう。

露天風呂を出て、内風呂があるホテルの建物に向かって数歩進んだとき、頭が突然クラクラっとした

のぼせたのか、立ちくらみか。そんなことを考える余裕もなく、一瞬にして全身の血の気が引いていく。頭が文字通り「真っ白」の状態。

意識がどんどん薄れていく。自分自身が雑巾のようにギューっと絞られていくような、巨大な手で全身を握り潰されていくような感覚。突如芽生え、休息に大きくなっていく恐怖感。

頭の中で自分の声が響く。「やばい」「死ぬ」「やばい!」「死ぬ!」

声は出ず、頭の中で悲鳴が連続する。ものすごく恐ろしい。冗談でもなく、大げさでも誇張でもなく、本当に死んでしまう。猛烈な死の恐怖

「死」が現実のものになりかけているということを、薄れていく意識の中で感じ始めた。それでスイッチが入ったかのように、冷たい汗が一気に全身からブワーっと噴き出し始めたのも分かった。

助けを呼ぼうと思って数回試したが、声は出なかった。露天風呂に入る前の記憶では確か自分以外には誰もいなかった。助けを呼んだところでおそらく誰も来ない。完全にパニックとなる

首の両脇、おそらく頸動脈なのか、そのあたりが締め付けられて細くなっていくように感じられた。引力に逆らわず上から下へと落ちていくはずのものが、体内で逆流し、足から頭に向かって血が突き進んでいる感覚。全身の血が脳に向かっているのか

激しい目まいが治まらず、中腰の体勢になって左手を自分のヒザに置き、右手ですぐ横にあった露天風呂の石垣を掴んで、恐怖と闘いながら必死で深呼吸するよう努めた。しかし状況は良くならない。

座ってしまったり、あるいは横に寝転んでしまうほうがラクだったのだろうけれど、そうしてしまうと気絶して本当に死んでしまうような気がした。だから中腰のまま踏ん張って耐え続けた。しかし右手の握力が次第に弱くなり始め、石垣を掴めなくなってきた。

右手を離すと転倒して頭を打ってしまうのも怖かった。意識が薄れていきながらも「横になったら死ぬ」「石垣を持ってないと倒れて頭を打つ」と考え始める。

冷たい汗が噴き出しているせいで全身がとても寒く、しかし怪我の功名というか、「やばい」「死ぬ」の連呼に挟まる形で「寒い!」という悲鳴が混ざり始め、そのおかげもあって意識が少しずつハッキリしてきた

転倒するのが怖かったので、まずは座ろう、と決める。右手で石垣を掴んだまま、両方のヒザを折り曲げて床につき、ようやく右手を石垣から離し、正座のような体勢に、それからゆっくりとお尻を床につけ、体育座りのような体勢で座ることができた。

座ったことで、サイレンのように絶叫し続けていた脳内での悲鳴の連鎖がようやく収まり、少しずつ冷静さを取り戻し始めた

今度は「眠るな!」「起きろ!」「呼吸しろ!」と自分自身を鼓舞するように頭の中で叫び続ける。同時にゆっくりと深呼吸を何十回と繰り返す。座った状態でゆっくり息を吐き、そして息を吸う。

どのくらい深呼吸していただろうか。体感的には3分か、5分か、あるいは10分か。「ここで全裸のまま気絶してたら恥ずかしかったな」と思った。そして同時に「恥ずかしいと考えてるくらいだから、余裕が出てきたか。もう大丈夫かな」とも思った。

意識はほぼ戻った。おそらく、もう死なないと思う。助かった。

氷点下の屋外で、全裸のまま冷たい石の床にお尻をつけて座り、経験したことのない冷や汗と、さらに振り続ける雪のせいで全身は冷え切っていた。猛烈に寒い。

もう1回、露天風呂に入って温まろうか、と少しだけ思った。しかしすぐに別の自分が「お前アホか、今度こそ死ぬぞ」とツッコミを入れる。ひとまず氷点下の世界からは逃げよう。

起き上がり、石垣に手を置いて支えながらゆっくりと歩き、ドアを開けて内風呂エリアへ。急に温かくなったので「また急激な寒暖差だな」と考えるとイヤな予感がして、しばらくドア近くに立ち続け、全身が温かさに順応するまで待った。内風呂にいた人は「なぜアイツ、あそこで立ってるんだろ」と不思議に思ったことだろう。

温かさに慣れたので、深い霧のような内風呂の中を脱衣所まで歩き、タオルで身体を拭いてから衣服を着て、脱衣所の長椅子に座って10分ほど深呼吸を続けた。精神的にも落ち着いた。ようやく安心することができた。

ヒートショックについて何の知識もなかった

露天風呂で起こった異変は何だったのか。それが全く分からなかった。ウォーキング記事をブログに書いた後、このエントリーを書くにあたって「あの症状は何だったのか」の理由を調べるためネットを何時間も検索し、異変が起きた時の状態と一致するものが見つかった。

ヒートショック」だ。

特に冬の寒い時期、自宅の風呂場でお年寄りが亡くなるという事故が多発する。浴室と脱衣所の温度差が激しい時、まず脱衣所で衣服を脱ぐことで寒さのため血管は縮む。次に浴室へ移動し、お湯に浸かることで今度は体内が温まるので血管は一気に拡がる。

そしてお風呂を出て、再び寒い脱衣所へと移動することでまた血管は縮まる。まるでジェットコースターのように血圧が急降下と急上昇を繰り返す。血管が収縮と拡張を連続させ、心臓にも強烈な負荷をかけ、その結果として狭心症や心筋梗塞、脳出血などが発生し、死亡事故になってしまう。

情報を読んでて再び怖くなった。ヒートショックのことを何も知らなかった。高齢者の事故は確かに聞いていたが、まさかそれが自分自身に及ぶなんて思いもしなかった。よく自分は生きてたな…。冗談抜きで「死んでても全く不思議ではない状態」だったのだと分かった。

バイキングを食べる気力も失った

当日の話に戻る。

温泉受付でレンタルしていたタオルを返却。

ホテル内にはランチバイキングのレストランがあった。当初は「露天風呂でくつろいだ後に、バイキングをたくさん食べよう」と考えていた。しかしレストランは人気があるらしく、入り口前には行列ができていた。

死ぬ寸前の危険な状態から回復したばかりで、あんまり食欲がなかったこともあり、早々にバイキングはあきらめた。

ホテルの玄関を見ると、ちょうど良いタイミングでシャトルバスが到着していた。バスに乗り込み、行きと同じく帰りも自分一人だけを乗せたバスは出発。

ニトリ
ニトリ物流センター

ウォーキング大会の時も通ったニトリの横を通過。

ここを歩いていた時はウォーキング終盤だったので、ものすごく疲れていたのを思い出した。

今はバスに乗っているので体力的にはウォーキング中よりも遙かにラクチンなのだが、露天風呂で死にかけたせいで精神的には今のほうが遙かに疲れていた

JR篠栗駅
JR篠栗駅に到着

JR篠栗駅に到着。運転手にお礼を言ってバスを下りる。

福北ゆたか線快速列車
JR篠栗駅ホーム

絶妙なタイミングで帰りの快速列車が到着。座席の空きも余裕があった。

IMG_0718
すっかり雪がとけていた駐車場の車

自宅の最寄り駅に到着したら、雪は完全に消滅していた。出発時の朝、雪で覆われていた車は何事もなかったかのように雪が消えていた。

意識もすっかり平常通りになり、身体も異常は感じられない。雪が消えた車を眺めながら、本当に「何事もなかった」かのような錯覚に陥りそうになった。でも露天風呂での出来事は生涯忘れることはないだろう。

ヒートショックについて記事を書きました

このエントリーは2012年2月、ウォーキング大会参加後に温泉へ行き、露天風呂を出た直後にヒートショックを発症して、死の恐怖に直面した出来事を覚えている限り文章にしたものです。

ヒートショックについて全くの無知だったこともあり、その後に時間をかけて情報収集し、自分の入浴方法がいかに無謀だったのか、ではどうすれば良かったのか、ヒートショックになりやすいのはどんな人なのか、ヒートショックを防ぐ入浴方法はあるのか、などについて2014年に記事を書きました。

ヒートショック体験を元にまとめました
露天風呂
冬の露天風呂で死にかけた経験から学んだ入浴時ヒートショック予防と対策

2年前、初めて体験した露天風呂で血圧の急変動が原因と思われる猛烈な目まいが発生し、死の恐怖を味わいました。特に生活習慣病患者や血圧の持病を持つ人、そして高齢者が入浴時に注意しなければならない「命にかかわる」ことをまとめました。

近年ヒートショックによる死亡事故は増え続けているにも関わらず、お風呂に入る際にどう気を付ければいいのかという点に関してまだまだ認知度は低いと感じています。

私自身が体験したのもあり、これは一歩間違えると死に至る、大げさではなく危険な症状なのだと注意喚起する意図もあります。気になる方は是非ご一読くだされば幸いです。

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