雪が舞う露天風呂で全身に異変、ヒートショックの恐怖を体感【Walk門松・番外編】

ウォーキングをしている途中で決めた

今年初のウォーキング大会参加で、JR門松駅から篠栗駅まで11.4kmを完歩。


今回のウォーキング大会参加者には、参加特典として「久山温泉レイクサイドホテル久山」の入浴料金が通常900円のところ600円になるとのことだった。ゴールのJR篠栗駅から臨時シャトルバスも運行してるとのこと。

いつもなら寄り道しないですぐ帰るのだが、今回は温泉に入りたくてたまらなかった。雪の中を歩く壮絶なコースで疲れ切ったし、帽子もかぶらず歩いたのでビショ濡れになった髪を洗いたい。氷点下の気温でとても寒かったから温泉に浸かって温まりたかったのもある。

篠栗駅

▲ ゴールの篠栗駅でシャトルバスを20分待つ。この20分も寒くてツラかった。

篠栗町役場

▲ シャトルバスを待つ間、ヒマだったのと動かないと凍死しそうだったので駅付近を散策。上の写真は駅のすぐ隣りにある篠栗町役場。

久山温泉のシャトルバス

▲ バスは5分後に到着したが、そのまま駅で15分待機。そんなに待つならやっぱり帰れば良かった。ちなみにバスに乗ったのは私一人だけ。

レイクサイドホテル久山

▲ レイクサイドホテル久山に到着。

レイクサイドホテル久山

▲ 正面入口の右側に温泉受付があり、小さ目のフェイスタオルと大きなバスタオルの2枚セットを150円でレンタルできる。300円でタオルを購入することも出来るが今回はレンタルにした。

レイクサイドホテル久山

▲ 大浴場は階段を上って2階にある。

久山温泉

▲ 温泉に入るのは1年半前の嬉野旅行以来だ。久しぶり。

久山温泉

▲ 女風呂。残念だがこちらには入れない。

久山温泉

▲ 男風呂の入口。

初めての露天風呂、アロエ湯は最高

脱衣所で衣服を脱ぎ、まずは内風呂へ。外が大雪で気温が氷点下なのもあってか、内風呂には大量の蒸気が発生していて深い霧のよう。前方も足下も何も見えない。手探りで手桶を探し、近くの蛇口から出ていたお湯を足に数回かけて温める。

そのまま内風呂に浸かろうかとも思ったが、せっかく露天風呂があるのだから直行しよう。実は露天風呂に入るのが今回初めてなのだ。とても楽しみにしていた露天風呂。

水蒸気で見通し悪い中をゆっくり進み、ドアを開けて屋外へ。外は雪が止んでおらず、小さい粒ながら降り続いている。

外には幾つかの露天風呂があった。通常の岩風呂、檜風呂、薬用成分を入れている風呂、美肌効果のある真珠粉末や植物油を入れている風呂など。他に日替わりの「イベント風呂」というのもあった。「ラベンダー湯」「カモミール湯」「アロエ湯」などが日替わりで楽しめるらしい。女性湯だとワイン風呂の日もあるらしい。すごいな。

今回そのイベント風呂はアロエ湯と案内板に書かれていた。ここに入ってみる。

湯の温度はそれほど熱くない。38~40度くらいだろうか。ウォーキングで疲れ切り、全裸で外気に触れて冷え切った全身が一気に温まる。さらにアロエの香りが風呂一帯に漂っていて、ものすごく心地良い。これはリラックス効果抜群だ。

温泉に入り、空から落ちてくる雪を眺める。天国にいるかのような気持ち良さ。どのくらい入浴しただろう。体感的には10分か15分くらいお湯に浸かっていた気がする。そしてお湯から出たとき、天国どころか地獄に突き落とされるとは思わなかった。

露天風呂から出た直後、身体に異変が生じた

いつまでも入浴していたかったが、湯あたりでのぼせてしまうのが怖かったので、アロエ湯から出ることにした。他にも数種類ある別の露天風呂に入りたい気持ちもあったが、今日はもういい。十分に温泉を堪能した。では帰るとしよう。

露天風呂を出て、内風呂があるホテルの建物に向かって数歩進んだとき、頭が突然クラーっとした

のぼせたのか、立ちくらみか。そんなことを考える余裕もなく、一瞬にして全身の血の気が引いていく。頭が文字通り「真っ白」の状態。意識がどんどん薄れていく。自分自身が雑巾のようにギューっと絞られていくような、巨大な手で握り潰されていくような感覚。

頭の中で自分の声が響く。やばい、やばい、死ぬ、死ぬ、やばい、死ぬ、死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ! やばいやばい! 死ぬ死ぬ死ぬ!!!

その内なる叫び声で突然、猛烈な「死の恐怖」に襲われ、このまま気絶して死んでしまうかもしれないと(薄れる意識の中で)考えた瞬間、冷たい汗が一気にブワーっと噴き出た。その汗が上半身を流れていく感覚だけは分かる。その冷たさのおかげで意識を維持できていたのもある。

助けを呼ぼうかと思ったが、そもそも露天風呂には他に人がいなかったのも覚えている。内風呂には誰かいたはず。叫べば来てくれるだろうか。しかし声が出ない。頭の中では「死ぬ死ぬ死ぬ!」と絶叫しているのだが、声に出せない。この時点で完全にパニック。これは本当に死んでしまう。

首の両脇、おそらく頸動脈なのか、そのあたりが締め付けられて細くなっていくように感じられた。引力に逆らわず上から下へと落ちていくはずのものが、体内で逆流し、頭に向かって突き進んでいる。全身の血が脳に向かっているのか

激しい目まいが治まらず、中腰の体勢になって左手を自分のヒザに置き、右手ですぐ横にあった露天風呂の石垣を掴んで、恐怖と闘いながら必死で深呼吸するよう努めた。しかし状況は良くならない。

座ってしまったり、あるいは横になってしまうと気絶して本当に死んでしまうような気がした。だから中腰のまま踏ん張って耐え続けたのだが、右手の握力が弱くなり石垣を掴めなくなってきた。

しかし右手を離すと転倒して頭を打ってしまうのも怖かった。意識が薄れていきながらも「横になったら死ぬ」「石垣を持ってないと倒れて頭を打ちそう」と考えていたから、この辺りでは少しずつ回復していたのかもしれない。

転倒するのが怖かったので、右手で石垣を掴んだまま両方のヒザを折り曲げて床につき、それから右手を石垣から離した(ように思う。正確には覚えてない)。正座のような体勢からどうにかしてお尻を床につけて、ここでようやく体育座りのような体勢に。

「死ぬ死ぬ死ぬ!」とサイレンのように絶叫し続けてた恐怖の悲鳴は頭の中から消えていた。今度は自ら意識して「眠るな!」「起きろ!」「呼吸しろ!」などと自分自身に語りかけるように頭の中で叫び続け、同時に深呼吸を繰り返す。座った状態でゆっくり息を吐き、そして息を吸う。

どのくらい深呼吸していただろうか。体感的には3分か、5分か、あるいは10分か。「うわー、ここで全裸のまま気絶してたら大変だったなー」という思考が頭に浮かんだ。そして同時に「あ、恥ずかしいとか考えてるなら余裕が出てきたか。もう大丈夫かな」とも思った。

意識はほぼ戻った。助かった

氷点下の屋外で、全裸のまま冷たい石の床にお尻をつけて座り、経験したことのない冷や汗と、さらに振り続ける雪のせいで全身は冷え切っていた。ようやく意識が回復したと思ったら今度は寒くてたまらない。

もう1回露天風呂に入って温まろうか、と少しだけ思った。しかしすぐに別の自分が「お前アホか、今度こそ死ぬぞ」とツッコミを入れる。ひとまず氷点下の世界からは逃げよう。

起き上がり、石垣に手を置いて支えながらゆっくりと歩き、ドアを開けて内風呂へ。急に温かくなったのでイヤな予感がして、しばらくドア近くに立ち続けて全身が温かさに順応するまで待機(内風呂にいた人は「なぜアイツ、あそこで立ってるんやろ、寒くないのか、と思ったかもしれない)。

温かさに慣れたので、深い霧のような内風呂の中を脱衣所まで歩き、タオルで身体を拭いてから衣服を着て、脱衣所の長椅子に座って10分ほど深呼吸を続けた。精神的にも落ち着いた。ようやく安心することができた。

ヒートショックについて何の知識もなかった

数年前から急激に体重が増え、血圧の病気持ちになってしまった。2年前から薬で治療している。最近はずいぶん改善されてきてると医者にも言われたが、まだ完治したわけではない。そんな状態での今回の出来事。

露天風呂で起こった異変は何だったのか。それが全く分からなかった。ウォーキング記事をブログに書いた後、このエントリーを書くにあたって「あの症状は何だったのか」の理由を調べるためネットを何時間も検索し、異変が起きた時の状態と一致するものが見つかった。「ヒートショック」だ。

特に冬の寒い時期、自宅の風呂場でお年寄りが亡くなるという事故が多発する。浴室と脱衣所の温度差が激しい時、まず脱衣所で衣服を脱ぐことで寒さのため血管は縮む。次に浴室へ移動し、お湯に浸かることで今度は体内が温まるので血管は一気に拡がる。

そしてお風呂を出て、再び寒い脱衣所へと移動することでまた血管は縮まる。まるでジェットコースターのように血圧が急降下と急上昇を繰り返す。血管が収縮と拡張を連続させ、心臓にも強烈な負荷をかけ、その結果として狭心症や心筋梗塞、脳出血などが発生し、死亡事故になってしまう。

情報を読んでて再び怖くなった。ヒートショックのことを何も知らなかった。高齢者の事故は確かに聞いていたが、まさかそれが自分自身に及ぶなんて思いもしなかった。よく自分は生きてたな…。冗談抜きで「死んでても全く不思議ではない状態」だったのだと分かった。

バイキングを食べる気力も失った

当日の話に戻る。

温泉受付でタオルを返却。ホテル内にランチバイキングのレストランがあり、当初は「露天風呂でくつろいだ後はバイキングをたらふく食べよう」と考えていた。しかしバイキングは人気が高いらしく、待ち行列が出来ていた。さらに露天風呂での出来事で消耗しきってしまい、食欲も失せてしまった。

ホテルの玄関を見ると、ちょうど良いタイミングでシャトルバスが到着していた。バスに乗り込んで数分ほど出発待ち。結局行きと同じで帰りもバスに乗ったのは私一人。

ニトリ

▲ ウォーキング大会で歩いたニトリの横を通過。この辺りを歩いていた時はヘロヘロに疲れてたのを思い出す。バスに乗ってる今は別の意味でヘロヘロだ。

JR篠栗駅

▲ JR篠栗駅に到着。運転手にお礼を言ってバスを下りる。

福北ゆたか線快速列車

▲ 絶妙なタイミングで帰りの快速列車が到着。座席の空きも余裕があった。

IMG_0718

▲ 自宅の最寄り駅に到着したら、雪は完全に消滅していた。

IMG_0701 IMG_0718

▲ 左が午前7時30分。右が午後1時50分。同じ場所、同じ構図。朝に雪で覆われていた車は、何事もなかったかのように雪が消えている。

意識もすっかり平常通りになり、身体も異常は感じられない。雪が消えた車を眺めながら、本当に「何事もなかった」かのような錯覚に陥りそうになった。でも露天風呂での出来事は生涯忘れることはないだろう、という確信も同時に感じていた。

【2014年追記】

このエントリーは2012年2月、ウォーキング大会参加後に温泉へ行き、露天風呂を出た直後にヒートショックを発症して死の恐怖に直面した出来事を覚えている限り文章にしたものです。

ヒートショックについて全くの無知だったこともあり、その後に時間をかけて情報収集し、自分の入浴方法がいかに無謀だったのか、ではどうすれば良かったのか、ヒートショックになりやすいのはどんな人なのか、ヒートショックを防ぐ入浴方法はあるのか、などについて2014年にエントリーを書いています。

近年ヒートショックによる死亡事故は増え続けているにも関わらず、お風呂に入る際にどう気を付ければいいのかという点に関してまだまだ認知度は低いと感じています。私自身が体験したのもあり、これは一歩間違えると死に至る、大げさではなく危険な症状なのだと注意喚起する意図もあります。気になる方は是非ご一読ください。

露天風呂


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